このブログについて

国立大学法人山形大学工学部教授の吉田司のブログです。2050年までのカーボンニュートラル社会実現に向けて、色々な情報や個人的思いを発信します。発言に責任を持つためにも、立場と名前は公開しますが、山形大学の意見を代弁するものではありません。一市民、一日本国民、一地球人として自由な発言をするためにも、所在は完全に学外です。山形大学はこのブログの内容について一切その責任を負いません。

2025年9月24日水曜日

帰国報告(中国編),大学の国際化②

 またまた間が開いてしまいました。この間日米プログラムの学生受入れとか色々ありまして…。色んなことを考えさせられ、発信もしたかったのですけど、日々のことに追われておりました。

上記の学生受入れがひと段落するや否や、昨年のアメリカに続き、今夏は2つの全く違う文化圏に家族総出で渡航しました。一つはコロナ以前から5年ぶりの里帰り、中国への旅行(これは完全にプライベートですが、結局仕事の仲間にも会っている)。もう一つはフランス、パリです(これはEcole Polytechniqueへの招聘、私は仕事、家族はホリデーです)。沢山お金もかかりました(もらっている旅費ではとても足らない)。「色々旅行出来て良いでしょ?」という自慢話ではなくて、とても大切な「仕入れ」の旅行でもあります。色々と新しい学びもあり、世界の変化を感じ、これからについて考えさせられます。大学の教員ってのは「文化の先導者」であるべきだっていつも思っているのです。現実に即したことだけをやっていれば良いのではなくて(誰も問題視しないでしょうけど)、まだ起こっていないことに対して備え、現実を理想に近づけるための導きとならなくてはいけない。なので、時折国外を訪ね、今を知り、アップデートすることは大切な仕込みなのです。導きなどと言うと、何だか押し付けがましく聞こえるかも知れません。「○○でなくてはならない!」と自分の価値観を押し付けようと思っているのではありません。次の世代の人にはその人たちの考えや理想がある、それを信じ、支援すれば良い。それも一理あるでしょう。ただ、知らない人、経験も無い人に「どっちにするか決めて良いよ」と言っても、判断する根拠も持ち合わせていないでしょうから、困らせるだけです。なので、まずは知ることは大切。先生は学生にその機会を作り、何なのかを伝え、相手に考えさせて、道を見出す助けとなる。どこまでが助けであり、どこからが押し付けなのか、さじ加減は難しいところです。ともあれ、いくつかやったこと、思ったこと、について書きとめます。本当は、写真がいっぱいあるのですけど、このご時世人が写っている写真を沢山出すのは憚られるので、風景とかの写真中心でお送りします。

最初は中国、9日間。遼寧省瀋陽に義兄を、吉林省の田舎町に義母やその他親類を訪ねました。過去の訪中時には子供たちは小さかったので、今回初めて自分たちのルーツを本当に理解したと思います。言葉は通じないのに、家族として100%受け入れ、とても優しくしてくれる人たちの笑顔の本当の意味を理解したと思います。「中国は好き?嫌い?」「中国人は好き?嫌い?」というのは愚かな質問で、自分の大切な故郷であり家族です。そもそも人の絆に国境など関係しません。それは今のロシアとウクライナの関係にも当てはまるハズなんですけどね。中国の家族に即座に親しみ、甘えさえする子供たちの親としては、将来への期待がうんと高まったのでした。世界の平和と人類の共存を導く新人類?まあ、そんなプライベートな話はこれぐらいで。

旅の最後には北京にも少し滞在しました。天安門広場、万里の長城にも行き(暑かった!)。



天安門広場では9月3日の抗日戦争勝利を記念する軍事パレードの準備(観客席の設置やパレードの立ち位置を示す道路上のマーキングなど)も進められていました。今回久々に中国を訪れて一番驚いたのは、EV(特にバッテリー駆動でガソリンエンジンを持たないBEV)の普及の早さです。5年前、深圳とかはEV化が進んでいたものの、地方都市はもちろん、北京でさえEVは珍しかったです。ところが今は掛け値なしに路上の20-30%がBEV、新車に限れば恐らく80%以上がBEVです。それらの殆どが中国の国産(BYDだけじゃない!)。バッテリーが中国製なんだから当然と言えば当然。日本メーカーが焦るのも良く分かりました。だって、売るモノが無いんだから。まあ、EVのハナシは「EVシフトを考える」のシリーズで改めて書きます。まだまだ色々お伝えしたいことがある。

そして、北京でずっとお世話になったのが岐阜大時代のポスドク、今や天津師範大学の副学部長の張敬波先生です。山形大でポスドクだった殷さんも最近北京化工大学の先生になりました。

人写っちゃってますけど、まあほぼ全員公人なので…誰が誰とかは書きません。こうしてみると、自分の元で一緒に研究をした多くの仲間が学校の先生になったのですねえ。嬉しいことです。「中国は最近どうなの?」「日中の共同研究とかやりにくくなって残念」「ペロブスカイトは論文のため?実用化本気でやってると思う?」とか色々なハナシがありました。こういう研究仲間の存在も、自分にとって中国を特別な場所にしていると感じさせます。色々問題があるのが残念でならない…。自分にはどうしようもないし、何かしようとも思いません。しかし、地理的にも文化的、歴史的にも関係の深い中国は、国際化を語る上では最重要でしょう。アメリカ帝国の手先になっている今の日本の歪んだ状態そのままでアジアの恒久的な平和と共存、発展は見込めないと思います。

長くなったので中国編はここまで、次はフランス編です。

帰国報告(中国編),大学の国際化②

 またまた間が開いてしまいました。この間日米プログラムの学生受入れとか色々ありまして…。色んなことを考えさせられ、発信もしたかったのですけど、日々のことに追われておりました。 上記の学生受入れがひと段落するや否や、昨年のアメリカに続き、今夏は2つの全く違う文化圏に家族総出で渡航し...