このブログについて

国立大学法人山形大学工学部教授の吉田司のブログです。2050年までのカーボンニュートラル社会実現に向けて、色々な情報や個人的思いを発信します。発言に責任を持つためにも、立場と名前は公開しますが、山形大学の意見を代弁するものではありません。一市民、一日本国民、一地球人として自由な発言をするためにも、所在は完全に学外です。山形大学はこのブログの内容について一切その責任を負いません。

2022年7月13日水曜日

男女平等日本116位!

 世界のジェンダーギャップの2022年度ランキングが発表されました。

男女平等度、日本は116位 東アジア太平洋地域でも最下位 (msn.com)

周囲を見渡しても、全く改善していないわけですから当然といえば当然ですけど、日本は調査対象146ヶ国中で116位と、何とも不名誉な、低い順位となっています。G7で最下位なだけでなくて、東アジア太平洋太平洋地域19か国の中でも最下位。韓国よりも中国よりもミャンマーよりも下です。教育と健康は男女同水準だけども女性の社会的経済的地位が圧倒的に低いことがランキングを下げています。これも以前と同じ。改善の兆しもナシ。日本よりもランキングが下の国って、あの宗教の国とかですからね。最下位の146位はアフガニスタン。あの宗教でも日本より上の国もいくつかあります。それぐらい、日本は酷いし、全く改善の傾向がない。

日本の場合はジェンダー差別が一番激しくて、それを社会全体が当然の様に受け入れてしまっているところが問題です。その他のあらゆる差別、人種、宗教、教育、貧富、年齢、身体的ハンデ、そうした全ての僅かな違いが差別の理由に使われます。多様性とかインクルーシブとか、言ってはみるものの、むしろ人は差別を求める生き物です。差別は格差を拡大させ、持続性の無い歪んた社会構造を生み出します。持続性を度外視した経済発展の結果生じているのが色々な環境問題だったりするわけで、SDGs目標の中で何が一番重要と問われれば、それは差別に関するものだと思います。もしもそれが解決できるのなら、他の全ての問題も解決する、というか、そもそも問題が生じないでしょう。

気候変動対策としてのカーボンニュートラルは、SDGsに包含される目標の一つ、みたいに言う人が多いですが、トンデモナイ。気候変動は最後に現れてくる問題であって、それを解決しようとすれば、持続可能性よりも差別と格差を求める人の行動、一番根源にある問題を正すことが大切です。SDGs目標は決して切り離すことの出来ない、全てが連動している問題であって、「つまみ食い」の様に対応してはいけないのです。YUCaNをSDGsの下部組織の様に言う人もあるのですけど、それも違う。YUCaNは目標を具体化し、SDGs達成の具体的手段を見出そうとしているんです。「問題だあ」とか言っているだけで、具体的アクションが何もない、そういうのではダメなんです。「気候変動とジェンダー平等は別問題ですからね」と言っちゃう人もあるのですけど、いえいえ!そんなことはありません!直結しています!弱者をリスペクト出来ない様な世界だからこそ、気候変動なんて見向きもされないんです。

で、「困った問題だねえ~、どういう対策が必要かなあ、私に何をして欲しいですか?」と腕組みしているオジサン方!あなたたちが問題なんですよ!どうしたら活躍する女性が増えるのか分からない?あなたたちがそこに居るからいけないんです。「私が何とかしてあげましょう」と思う必要もナシ。静かに退場することです。「そんなこと言っても、君には無理だろう」と女性や若者を見下す、権力の座に座ったオッサン達、そんなことはないんです。本当に、SDGsを理解しているならば、まず自分のその席を若い女性に譲ったらどうですか?世界を動かしているのは自分だ、とかいう驕りをまずは捨てましょう。日本のオッサンリーダーは自分の権力にしがみつく、女性や若者はオッサンリーダーに甘えてしまい、自らが矢面に立つ度胸を持たない。不寛容だから、リスクを避け、新しいことをことごとく潰そうとする日本の社会、それだからこういうニュースが何度報じられても、本気で変わろうとは思わないんですよね。日本人が大好きな「和」という言葉、でもこの意味においては大っ嫌いです。

リアクト米沢訪問

 米沢市役所の計らいで、米沢市にある「リアクト米沢」さんを見学してきました。

reactyonezawa.com

近隣で飼育される家畜(乳牛)の糞尿や、スーパーで廃棄されてしまった農作物等からバイオガスを生成し、これを用いた発電に取組んでいます。同時に生成される堆肥は地域の農作に利用されていて、ゴミを出さない循環型農業のモデル事業です。


「はまだ牧場」の乳牛さんたち

見学の最初は、「はまだ牧場」です。広い牛舎の中で、沢山の乳牛がエサを食べていました。一部土の様なモノを食べていたので、何か尋ねると、ゼオライトだそうです。お腹の調子を整えているそうで、自発的に食べるんだとか。生まれて間もない子牛も別の牛舎にいて、可愛かった。

搬出される牛糞

当然ながら、牛たちは沢山ウンチをします。それをもみ殻と混ぜて、トラックで運びだします。もみ殻も一緒に発酵されますが、混ぜるのは水分(オシッコも混ざっているので)を吸収させて、搬送途中で盛大に漏れ出さない様にするためだそうです。

リアクト米沢の施設外観

はまだ牧場から500メートルぐらい離れたところにある、リアクト米沢さんに到着しました。写真に見える様な発酵槽が2基、大きいのと小さいのがありました。

廃棄物を砕いて混ぜるミル、ミキサー

搬入口を入ると、牛のウンチだけでなくて、廃棄された野菜なども全部混ぜて粉々にするミキサーがありました。緑色っぽいのはキャベツでした。これ、写真では分かりませんけど、猛烈に臭かったです!まあ、そりゃそうですよね。

分離された固形分は堆肥として利用

ドロドロになった廃棄物は、洗濯の脱水機の様な仕掛けで固形分と消化液に分離されます。固形分は全く臭わず、これが近隣の農家のアスパラガス栽培などの肥料に用いられているそうです。

発酵槽、中央上部に見える赤いのは攪拌用モーター

消化液は地下に埋設された管を通って発酵槽に入り、嫌気性細菌によってメタンガスへと分解されます。硫化水素の生成を抑制するために多少空気を入れるそうですが、酸素があると二酸化炭素と水まで行っちゃいますから、酸素は基本的には遮断されています。温度は43℃ぐらいが良いそうです。攪拌する方が良いのか、しない方が良いのかなどは色々テストするそうです。この攪拌モーターの電力は、ここで発電された電力を使っているそうです。発酵で温度が上るわけでもないそうで、寒い時は温めるそうです(それも、施設内で生み出した電力による)。大体数週間で完全にクリーンになって、そのまま下水に流すことが出来るので、いっぱいになって止まってしまうことは無いそうです。生成したメタンは上部の半球形ドームで回収されます。

ガス分離装置

生成するガスはメタンだけではありません。余計なガスがエンジンに入るとエンジンが壊れるので、このガス分離装置で純化するそうです。

発電機のエンジン、写真に写るのは案内して下さった、株式会社ハイポテックの高橋さん、ハイポテックがこのバイオガス発電プラントの運用をしています。

そして、生産されたメタンガスは、御覧のエンジンの燃料になり、発電機を動かします。エンジンの回転軸は発電用のダイナモに直結されていて、負荷はマグネットで制御する仕組みだそうです。最大出力は470 kWとのことです。てっきりガスタービンエンジンだと思っていましたが、普通のレシプロエンジンでした。片バンク6気筒、V型の12気筒エンジンで(チェコ製だとか)、スパークプラグも見えました。効率悪そうにも思うのですけど、恐らく小型の設備についてはガスタービンよりも良いんでしょうね。燃焼すると、当然二酸化炭素が出るわけですが、元々バイオマス由来ですから、完全カーボンニュートラル、というわけです。燃料さえカーボンニュートラルならば、いままで通りエンジンを使ったら良いです!自動車だって、何も全部EVにする必要はナシ!
こんなに先進的なバイオガス発電施設が米沢にあるということが驚きでした。全国でもこういう施設はまだまだ少ないそうで、連日全国から視察があるようです。設備のほとんどは輸入部品で構成されていますが、設備の設計や施工は独自にされたそうです。こういう施設を見るのは初めてでしたので、スゴイなあ、という印象ではありましたが、ヨーロッパで大規模に取組まれている施設と比較すると、可愛いモノだそうです。実際、470 kWというのは、これだけの設備にして「まあそんなもの」という小ささです。同じ敷地に太陽電池を敷き詰めてもそれぐらい発電出来そう。
でも、そういうことじゃないんです。循環型農業、さらにはカーボンニュートラルな電力生産の取組み、素敵じゃないですか!ご案内頂いた濱田さんや高橋さんの生き生きした表情も大変印象に残りました。我々が何らかの形で、こうした取組みの進化や拡大に貢献出来たら良いなあと思います。リアクト米沢さんの場合、効率的な運用方法は独自に研究検討していて、大学等と共同しているわけではないそうです。エライ!(っていうか、役に立つことが出来ていない大学の研究者が情けない!?)
ここまでやっても、まだまだ道半ばであることの一つとしては、最初に出てきた牛さんたちが食べている穀物飼料や干し草は、やっぱり全部輸入品なんだそうです(外国の土壌、お日様で育った穀物を燃料を使って輸送している)。昔の牧畜というのは、餌も地域で生産し、家畜が育ち、廃棄物は再び土壌に戻るという完全循環でしたが、今は安い輸入穀物飼料を使う効率的な大規模生産が当然になってしまいました。国産は高い上に品質が安定しない、雨が多いせいで牧草がカビたりする、というのが国産飼料にはなかなか切り替えられない理由だそうです。しかし、稲わらの飼料など研究はされているそうですよ。出来ることなら、地域で生産された飼料で家畜が育ち、そこから食料とエネルギー両方を頂いて、再びそれが土壌に戻って飼料を育てる完全循環、その全てが太陽の光の力で回っている、という仕組みを実現したいものですね。
そしたら、国産家畜飼料の話題が先日放送されていました。
鹿児島、指宿での飼料の国産化の取組みです。天候不順による不作、ウクライナ紛争、急激な円安、コロナによる物流停滞などで、輸入穀物飼料の価格が急騰しているために、早くから取り組んできた国産飼料が十分現実的競争力を持つようになったそうです。上記のカミチクホールディングスさんがスゴイのは、餌づくりに始まって、最後に食肉が提供される外食産業まで多角的に取組んでいるところです。でも、そうした方が、入口と出口がつながって、循環する仕組みを作りやすい様にも思いますね。大変ではあるけれど、分業による効率化よりも、連携によるシステム化が今後の鍵でしょうか。これからは、コストだけではなくて、持続可能であることが優先されるべきファクターになると思います。もちろん、採算性が全くないことには取り組めないので、一歩ずつ理想形に近づいて行って、いつかは東北地域から食料とエネルギー両方を全国に供給できる様になったら良いなあと思います。









2022年7月11日月曜日

ウクライナ6

 久々に、このテーマです。最近目立った動きがあったわけではないです。むしろ、他のニュースが大変だったこと、そして開戦から4か月半が経過したことで、人々の関心が薄れかかっている様にも思え、ニュースでとり上げられる時間もめっきり減った感じさえします。

戦況としてはドンバス地方に中心が移り、同地域の支配と一方的な独立宣言へと持ち込もうとするロシアの意図が明らかです。欧米各国が軍事支援を小出しにする中で戦闘が長引き、さらに多くの人命が失われ、国土が荒廃し、終わりの見えない状況です。この先どうなるのか、を考える中で、過去の戦争がどの様に推移し、どんな結果を生んだのかに想いを馳せています。「もう見飽きた」なんてもってのほかです。太平洋戦争は1941年12月8日の真珠湾攻撃で急に始まったわけではありません。その前の何十年にも渡る大国の覇権争いの末に、日本を破滅へと導く日米開戦へと突き進んでしまったのです。世界を取り巻く不穏な空気、これを増幅させる気候変動の問題、発展と繁栄の時代の終り、閉塞感。「世界の終りの始まり」の様に思えてならず、この時代に一体何をすべきなのか、出来ることはあるのか?に対して明確な答えを見いだせない自分自身を恨めしく思います。

そんな思いを余計に募らせたのが、7月8日の安倍晋三前首相の殺害事件です。1932年の五・一五事件になぞらえている人もありました。時の首相であった犬養毅が海軍の青年将校に殺害された事件です。気に入らないことがあるのなら、気に入らないと言うことは良いです。しかし、暴力でそれを封殺することは決して認められません。90年の時を経て、こんなことが再び起こってしまうことは、やはり暗黒の時代が繰り返されようとしていることの象徴ではないでしょうか?参院選では自民が圧勝し、遂に憲法改正の発議に必要な議席を衆参両院で獲得しました。これからその議論が本格化するのかと思いますが、憲法とは政府を国民がコントロールするための国民憲章であって、政府が国民をコントロールするためのルールではありません。改正案は政府から示されることになるかと思いますが、是非自分自身の考えで、日本という国がどんな国であって欲しいのか、をよく考えて、声の大きい人、多勢の意見に押し流されることのないようにしてください。特に争点となる9条ですが、あのような徹底平和主義が条文にある国は世界中で日本ぐらいではないかと思います。「他国から押し付けられた」とかを根拠に改正を訴える人がありますが、大いなる過ちを犯し、膨大な犠牲を払って深く反省することが出来た日本だからこそ勝ち取ることの出来た、世界に誇るべき平和憲法だと私は思います。絶対守るべき。自衛隊の明記も不要。

さて、話をウクライナに戻しますが、やっぱり日本の過去と対比してしまいます。過去の日本と対比されるのは、今のロシアです。今のウクライナと対比されるのは、過去の中国です。そして過去の大戦においても、今の戦争においても、その行く末に大きく影響するのが大国アメリカです。大日本帝国の拡大の歴史は、日清戦争にまでさかのぼります。台湾の統治、日露戦争による樺太の割譲、朝鮮半島の支配、1931年の柳条湖事件(満州事変)を経ての満州国建国、日中戦争による中国への侵攻、仏印進駐と拡大し、ついに1941年の対米開戦へと向かいます。アジアの同胞を西洋列強から守り、日本を中心とする大東亜共栄圏を形成しようとする当時の日本の理屈と、ロシア民族の統一の名の下にウクライナ(や、さらにジョージアやモルドバなども)に侵攻する今のロシアと重なります。そして、当初ヨーロッパの戦争(ナチスドイツとの戦い)にも、対日戦争に対しても消極的だったアメリカを動かしたのは、前者は英国首相のチャーチル、後者は国民党を率いた蒋介石でした。蒋介石の外交戦略は誠に巧みで、勝ち目のない日本との戦いをグローバル化し、まんまとその罠にかかる様にして、絶対に勝てないアメリカに対する無謀な戦争に日本を向かわせたのです。その過程において、西洋諸国に対して妥協的な姿勢を見せる政治家が血気盛んな若い軍属に暗殺されたりした、荒っぽい時代、力で言論をねじ伏せる空気があったわけです。恐ろしいですね…。

そうすると、今のゼレンスキー大統領と蒋介石が重なって見えます。当時の中国にも、結局自分の利害しか考えてはいない米英に対し、民主主義への不信が募っていきます。それが今日まで続いているかな?確かに蒋介石の関心はあくまで中華民族の独立を守ることであり、米英を信頼していたわけではなくて、独日との講和やロシアとの同盟も模索していたみたいです。それを今に置き換えると、ゼレンスキー大統領は中国を独立へと導く蒋介石のように、クレバーに交渉出来るのかどうか、と思います。でも、当時は敵を敵と戦わせるかのように、日本を米国と戦わせることで日本を滅亡に導いたわけですけど、今日的にはロシアを米国と戦わせるわけにはいかない。ロシアが勝つことは日本と同様に無いでしょうけど、強大な核兵器を持つロシアと戦争になれば、NATOが勝利して終わり、ともいきません。だから、ゼレンスキーさんは、国際社会を巻込んでも、対ロシア戦争に駆り立てることは出来ないし、やって欲しくもないんです。だから、ロシアが疲れるまで、戦力を小出しにしながら戦争を長引かせることになるのでしょうけど、紛争地域にいる人たちが可哀そうでならない。全くもって、列強の覇権争いの犠牲者です。当時の大日本帝国の様にロシアを追い込めば、最後の手段としての対米開戦もあり得なくはないです。そうすれば世界は終わります。そして、戦争が長引き、米英やEUがさっさと自分たちを救済してくれないことに対して、ウクライナ国民の中にも失望感が生まれるのではないかと思います。民族的なつながりが濃くても、侵略戦争の記憶から中国の人々が決して日本、日本人を信頼できないと感じるように、ウクライナの人々も、こうなってはロシアを同じスラブ民族の仲間として受け入れることは極めて困難でしょう。でも、一方で西ヨーロッパや北米も、自分たちの仲間ではない、という孤立感に追い込まれそうです。人種とか宗教とかいうものを越えて、同胞愛を発揮し、信頼し合える関係を築くことはそれほどにも難しいことなのでしょうか。

と、考えていくと、80年前の世界に対してテクノロジーは確実に、大きく進歩していて、戦争の手段はこの上なく強力になり、極めて短い時間に世界を焼き尽くす力があるのですけど、一方で人はちっとも進歩していないというか、相変わらず力で相手をねじ伏せる帝国主義的な戦いの構図、異なるモノへの不信、根底にある人の心が透けて見えます。だから、今事態は一触即発の危険な状態にあり、早くこの危険な状態を脱さなくてはならないのに、その打開策が見えない苦しい状況に陥っていると感じます。

皆さんはどう思いますか?この戦争の行く末に、勝者も敗者もいないことは明らかではありませんか?それどころか、世界は気候変動との戦いに一致協力しなくてはならない時です。人類社会がその終わりに向けて、その暴走を止めようとはせず、さらにその時が来るのを早めようとしているかのごとくです。私たちは、過去の過ちから学ばなくてはなりません。場当たり的な解決策であれば、過去も、どの地域でも、誰かがそれに一生懸命取り組んで、大きな犠牲を払ってでも過渡的な平和と安定を守ってきたのです。でも、そうした場当たり的対応も、既に効果を失いつつあるし、過去の繁栄を再び、というのはとてもありそうにないと感じます。

2022年7月4日月曜日

大混乱時代に突入

 コロナウイルス感染症によって疲弊した世界は、戦争によってさらにその分断が進み、モノの動きが止まって経済が混乱する中、これに追い打ちをかけるようにして気候変動の影響が顕在化している様に思います。世界はいよいよ大混乱時代に突入し、蓄積する不満が新たな紛争に対して引き金を引かせるのではないかと心配です。「終わりの始まり」の様に思えてなりません。果たして人類はここで立ち止まって考え、持続可能な新たな生き方に対して協力協調して、この難局を切り抜けることが出来るほどの英知を持った生き物なのでしょうか?

基本的人権や自由、個人の尊重と民主的な社会システムは、人が人らしく生きるための基本であるとは思いますが、動物的に生き延びること、生命が守られることが大前提として優先される基盤であることは明らかです。イデオロギー、思想など、それらに比べれば取るに足らない?

象徴的なニュースの一つはこれです。今年11月に行われる米議会中間選挙を睨んでのことでしょうか、中国に対する敵対的関税の見直しをバイデン政権が検討しています。

アメリカで対中関税の見直し論が浮上 なぜ?今後の行方は? (nhk.or.jp)

そもそも、トランプ前政権時代に米国の製造業を守ることを理由に始まった対中製品への高い関税ですが、今ロシアのウクライナへの軍事侵攻に対する経済制裁のために、世界的な物価高が進み、消費者に不満が蓄積しています。その緩和策として、対中制裁を弱めようということです。それって、全然おかしくないでしょうか?結局理屈も思想もポリシーも関係なくて、負の影響があれば場当たり的にそうした制裁を撤廃する。だったら初めからやらなければいい。そしてそんな不平不満を言っているのは、結局200円のサラダ油が400円になっても、買うことの出来る豊かな日本の消費者ですよ。もっと酷い目に遭っているのは、穀物が止まって餓死している貧困国の人たちです。その人たちにはイデオロギーなんて余計関係ない。選挙で負けることを恐れて簡単に捻じ曲げるぐらいなら、最初からそんな敵対的な関税をかけたりするなと言いたい。「それはトランプがやったこと」は言い訳です。間違っていると思うならば、交代直後に撤廃すべきでした。明らかに、バイデンも中国に敵対的です。そして、ロシアに対しても。ロシアについては、何しろ人殺しが進行中ですから、痛みが伴ってもロシアに対する敵対的な行動、軍事的手段による現状変更の試みに対して反対する姿勢を鮮明にすることは重要でしょう(でないと、抑止力が全く働かない)。しかし、それがこういう経済的混乱を生むことは、当然分かっていたはずですし、今こうなったからと言ってそれに耐えられないと泣き言は言えないはずです。この苦しみもまた、ロシアや中国が悪いからだ、と思う人が多いでしょうが、それは違うと思います。そもそも、ロシアの軍事行動を許してしまった国際社会全体に責任があります。邪悪な集団だからやったと言うのは簡単ですが、邪悪な集団(例えばテロリスト)を生んだのは、自分自身がそれらの人を抑圧したとは全く思っていない、しかし貧困国から搾取しまくって豊かさを享受してきた銃後にいる我々(一般的な日本国民やアメリカ国民)です。好きか嫌いか、考え方が合うか合わないかではなくて、相手にもその幸せを追求する生活があるのです。それを尊重出来ない限り、こうした対立とそれに伴う混乱、最悪事態としての戦争も無くなりはしないでしょう。結局、多様性を受け入れる寛容さが無いのです。強者が決めるルールに弱者を従わせることを多数決、民主と思っている限り、本当の民主主義は成立しないです。

そしてもう一つの気候変動。この前の冬、米沢はすさまじい豪雪でしたが、打って変わって暑いです。でもまあ、米沢なんて可愛いほうです。今年は、6月から40℃越えを記録するなど、異常な暑さが続いていますね。長期予想では、7月も日本全国で平年より気温が高い状態が続くそうです。この猛暑は日本に限ったことではなくて、ヨーロッパ西部、南部やインド、パキスタンも記録的な暑さのようです。

【気候変動による世界の被害】各地で異例の猛暑 ヨーロッパやインドは40℃超え - Yahoo! JAPAN

一方、反対側のオーストラリアでは豪雨による水害、アメリカでは乾燥による大規模な山火事と、とにかく気候が極端になっている感じですね。YUCaNのご意見番をお願いしている、JAMSTECの山形俊男先生と先日メールをやり取りさせて頂いた時に、この異常気象についての説明を頂きました。関連する部分を抜粋して紹介させて頂きます(専門用語が私には分からず・・・ですけど)。

(山形俊男先生より)

今年はインド洋に負のダイポールモード現象が発生し、インドモンスーンが活発です。これにひかれて消滅に向かっているラニーニャ現象がだらだら生き延びています。活発なモンスーンはロスビー長波を励起してそれが西進し、ヨーロッパ南部で下降気流を生み、猛暑をもたらすのですが(モンスーンー砂漠機構と言います)、それが北ヨーロッパの冷気と混ざって大気擾乱を生み、その擾乱が偏西風という導波管を伝わって東に戻ってきます。この擾乱はストークスドリフトで空気塊を東に運び、導波管が弱まるユーラシア大陸東部(日本の西日本あたり)にその空気塊を蓄積して、対流圏全体に及ぶ背の高い高気圧を形成します。今年はこの高気圧が形成されているようです。昔の予報官は経験的に<クジラの尾>といわれるパターンとしてこれを知っていました。

てことで、全体の平均が暑くなるのは気候変化(地球温暖化)だけど、気候が激しく揺れ動くのは気候変動で、その変動ぶりが温暖化によって激しくなっているようです。電気の正負のごとく、大気(海洋も)の熱冷のダイポールが発生し、その熱いところに位置する地域は極端な高温にさらされるわけですね。一方巨大低気圧なども発生して、別の地域では洪水を発生させると。地球規模の気候の仕組み、複雑な相関は我々素人にはとても理解出来ませんけど、なんとなくイメージは出来ます。この気候の激しい乱れもまた、我々が引き起こした問題なのでしょう。

地域によっては梅雨が2週間で終わってしまうなど、今年は酷い洪水が発生しなかった一方で、降水量が足らない地域が多かったのではないかと心配です。このまま猛暑が続くと、全国的な水不足に陥るのではないでしょうか。東北地域は、冬の間に降った雪がまだまだあって、それが水源となるために滅多なことでは渇水になりません。それでも、普段当たり前に起こっていることが絶妙なバランスを保っていて、水や食料が得られているわけで、このバランスが崩れると一気にパニック状態に陥るかも知れません。つくづく、普通を維持することが容易ではないことを思い知らされます。

地球が緊急事態に陥っているなかでも、覇権争いをやめることが出来ず、自らの生活を破壊し、更なる負荷を自然に対して与えることをやめない人類。世界の全ての人たちが、生き方を変えて、持続可能であることを最優先とすることは、果たして可能なのでしょうか?世界が狭くなり、食料が水が足らなくなれば、相手を殺して自分だけが生き残ろうとする、それが自然ですかね?でも、恐らく最後は全部が絶滅することになります。いや、核戦争が起こったとしても、ちょっとぐらいは生き残るかな?多分地球に10億人ぐらいならば、持続することはそんなに困難ではないでしょうね。

125

 「125」この数字が意味するのは何でしょう?はい、私はオートバイが大好きで、特に手に余らず、使い切れるパワーで軽量な125ccクラスのバイクが好きです。高速道路は乗れないけど、バイクで高速道路走っても、ちっとも面白くないし、二人乗りだって出来るし、燃費良くて維持費安いし。今ウチ...