このブログについて

国立大学法人山形大学工学部教授の吉田司のブログです。2050年までのカーボンニュートラル社会実現に向けて、色々な情報や個人的思いを発信します。発言に責任を持つためにも、立場と名前は公開しますが、山形大学の意見を代弁するものではありません。一市民、一日本国民、一地球人として自由な発言をするためにも、所在は完全に学外です。山形大学はこのブログの内容について一切その責任を負いません。
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2023年1月7日土曜日

カーボンニュートラルというビッグビジネスチャンスと鉱物資源危機

 昨年11月に行われたシンポジウムで産総研の近藤先生から基調講演を頂きました。エジプトで開催されたCOP27に参加されていたそうで、そのことも話題になっていました。特に印象に残ったのが「それが良いことか悪いことかは別として、事実としてカーボンニュートラルはビッグビジネスチャンスとなっている」という話でした。COPでは各国政府の代表が気候変動対策の枠組みを議論する会議だけでなく、併設されるパビリオンで脱炭素に関する技術見本市も開催されます。エネルギー消費やエミッションが大きい従来型の産業やサービスに未来はなく、銀行もお金を貸してくれなくなります。一方それを大きく変えていくクリーンエネルギーやローエミッションな産業技術には将来性があり、各国が血眼になって自分のところの技術やサービスを売り込もうとしているわけです。まさに、カーボンニュートラルはゲームチェンジャーであり、社会や産業のシステムが大きく変わる時、勝者と敗者が生れることになるでしょう。だから、従来通りのメンタリティーでもって、勝ちあがりたいですから、これはビッグチャンスなわけです。しかし、そこには大きな落とし穴がある。

長引くコロナによる停滞に戦争の影響も加わって、世界経済の主役級の国々で好景気に沸く国などありません。失策としか思えないゼロコロナで自らの首を絞め、不満の矛先が政府に向かった途端に方針の変更というより崩壊が起こって酷いことになっている中国ですが、2023年は反転攻勢、GDP5%増を目指すようです。延期されるハズだった広州モーターショーが急遽開催され、中国メーカーは様々な新型EVを登場させたようです。

中国 感染拡大で延期した国内最大のモーターショー急きょ開催 | NHK | 中国

さすがの中国も、2022年の自動車販売台数は減少に転じてしまったようですが、EVを軸に内需を拡大して(輸出が伸びないし)経済成長のエンジンにしたいということなのでしょう。しかし、中国のエネルギーインフラを考えると、そのEVに使う電力は相変わらず石炭由来です。14億の人口と広大な国土にクリーンモビリティーを行き渡らせるのは容易ではありません。ならば太陽光発電や風力発電も拡大して、となりますが、これらカーボンニュートラル社会実現に向けた新しい産業技術は全て鉱物資源への依存が極めて高いという問題が浮上します。

EV、風力発電、電化社会・・・脱炭素時代にとるべき鉱物資源戦略とは | EnergyShift (energy-shift.com)

リチウムイオン電池に必要なリチウム、コバルト、ニッケルなどだけではありません。強力な磁石に必要なネオジム、ジスプロシウムなどのレアアース、さらには電線に必要な銅さえも、供給不安、価格高騰のリスクがあります。上記ウェブからもリンクされている、資源エネ庁がまとめた資料を見ると良く分かります。地球上に遍在する鉱物資源の地政学的リスクもそうですが、その原料を精製した化成品の供給がかなり中国に支配されています。戦争の拡大さえ心配される世界の分断と対立を考えると、こうした再エネ関連産業の足元がいつすくわれても不思議ではないです。

この様な危うさの中でも、各国がカーボンニュートラルのビッグビジネスチャンスを逃すまい、乗り遅れまいと躍起になっている状況に大きな不安を感じます。「儲かるから!」地球を穴ぼこだらけにしても、鉱物資源をどんどん掘り出し、消費浪費する。持続可能社会実現の名の下に、それとは正反対な持続性を無視した様な開発を進めようとする今の状況に、相変わらぬ人の強欲さが見えます。それは、持続可能な安定を求めているのではなくて、死に急いでいるのではないでしょうか。

持続可能な食の実現のために、昆虫や雑草を食べなくてはならないかも知れない。産業技術やエネルギー消費もまた、持続可能な範囲にとどめるという方針転換が必要ではないでしょうか。

2021年7月1日木曜日

佐藤ゆかり議員、e-Fuel推し!?

 自民党の経産部会長佐藤ゆかり議員のインタビュー記事がありました。

自民党 経産部会長佐藤ゆかり氏に直撃 「e-fuel」は経済戦略の決定打になるや?ならざるや??(ベストカーWeb) - Yahoo!ニュース

環境・エネルギーと産業問題に明るい方なので、佐藤さんが環境大臣でも良い様にも思うのですけど、必ずしも豊田章男モリゾー社長のファンだからとかではなくて、未来のエネルギー問題を幅広い視野で見ておられる様に思いました。例の水素エンジンレースカーのことも話題にしていますけど、自動車の電動化で問題解決とかそんな簡単なことではないし、そういう「究極はコレ」みたいな暴走に与さない姿勢が鮮明です。

これは、まあ例のEV推進の嘘でも取り上げられていたところで、EV化するにあたって電力どうするの?電池に必要な希少元素どうするの?など様々な課題があり、日本の産業構造を根本から揺るがしかねないという指摘は全くもってその通り。EVをやっちゃいけないわけではもちろんなくて、EVは重要な選択肢の一つではあるけど、それ一本じゃないですよ、ということでしょう。水素はもちろん、アンモニアもエネルギーキャリアとして注目されますし、自動車、船舶、航空機などにより親和性が高いグリーン燃料はe-Fuelだ、というわけです。

もちろん、グリーン水素やグリーンアンモニアに対して懐疑的な人もいます。さらに言えばCCSに対しても懐疑的、炭素税はとても受け入れられない税率になるとして、現状を「脱炭素バブル」と称し、それは必ず破綻するとおっしゃる池田信夫氏、はっきり言わないけど(ズルい)、総合すると「私は脱炭素なんて絶対無理だと思いますよ」と表明しているとしか思えません。

「脱炭素バブル」が必ず崩壊する理由(JBpress) - Yahoo!ニュース

じゃあどうするっていうの?脱炭素はどうせ無理だから、破滅への道をスローダウンするぐらいしか出来ないと言う?やりたい放題やって、欲しいものは全部手に入れて、もうじき死ぬ人はそういうことを言うかも知れません。でも、知った顔してそんな事をエラそうに言うあなたもこの状況を放置して、変えることの出来なかった無力な大人の一人ではないですか?

どんな時も、どうなっても、諦めたりしてはなりません。そんな無責任な発言を若い人を諭す様に言うものではありません。人を男か女かで分けたくないけど、どうにも私の同類である男は破壊が好きで困ったものだと感じます。「気候変動の大津波が来るから覚悟しろ!」と言うことを勇敢だと思いません。それを勇敢だと言うなら、私は勇敢じゃなくていいです。次の世代にもそう言う。思い切り怖がっても恥ずかしくなんかない。持続可能であること、守ることへの真心と情熱においては、常に女性が勝って見える今日この頃です。

さて、e-Fuelに話を戻しますけど、技術的には大変なことです。「大気中のCO2を回収して」なんてのはずっと先のことで、まずは火力発電から出てくるCO2とグリーン水素からメタンを作る「メタネーション」でしょうね。

脱炭素化 合成メタン作る「メタネーション」技術開発強化へ | 環境 | NHKニュース

これまた、CO2とH2があれば出来るんですけど、水電解でH2を作るところに貴金属触媒が必要になるので、低価格化が難しいところです。だから吉田研では有機触媒で水素を作る研究をやっているんですよ!それから、e-Fuelの様な液体の有機燃料を得るにはCOとH2を原料とするFischer-Tropsch反応があり、それは第二次世界大戦ぐらいからやっているそうですけど、COはCO2還元で、H2は水を還元して作る必要があります。そして、その電力は再エネにしなくてはならないし、触媒は貴金属ダメです。なので、やっぱり吉田研では有機触媒でCO2を還元することもやっているんですよ!CO2を流通した水の中で、COとH2を1:1の量論比ぴったりのファラデー効率で発生させる触媒とか出来れば、連続でF-T反応に接続してe-Fuelを量産出来るでしょう。金属を含まないけど水素結合性の導電性高分子は水電解やCO2還元の触媒になるんですよ。今研究のホットトピックスになっています!

だから、手段が無いわけではないんです。でも大変困難で、コストはかかるしスケールアップも難しい。難しいからやらないというのはダメです。無理だとか言わず、チャレンジするんです。技術の完成を2030年までには果たして、e-Fuelが実用出来る環境を整えないとなりません。佐藤議員には、是非可能性のある技術開発を幅広く(東大とかメジャー大学だけに任せない)支援して欲しいものです。EVはそんな未来までのつなぎですかね?e-Fuelを誰でも手に入れられる様になったら、エンジンの雄叫びが復活する?

2021年6月18日金曜日

船舶も低炭素義務化

 普段の生活で意識することはないですが、船舶は世界中の物流を担っています。先日のスエズ運河での座礁事故でも、物流が止まって大変だったことが報じられました。みんなお世話になっているということです。自動車の様に大きい工業製品、衣類、食料など様々なものが国から国へと海を通って運ばれています。

ビジネス特集 スエズ座礁事故 原因は?責任は? 今後の焦点 | NHKニュース

船舶も大型の移動機械ですから、当然ながらエネルギーを消費していて、帆船でもない限り大抵は化石燃料であって、GHGを大量に排出しているわけです。脱炭素の波は当然そこにも押し寄せ、GHG排出を削減する新たな国際ルールが決まったことが報じられました。

船舶の温室効果ガス削減義務づける 新たな国際ルールを採択 | 環境 | NHKニュース

どれぐらいの規制なのか、レポートには数字は示されていませんけど、2023年からその運用が始まり、それは新たに建造される船舶についてだけでなく、既に就航しているものにも適用されるそうです。でもどうやって?内訳を見ると、速度を制限することなどによって、とあります。つまり省燃費運転を心がけてください、ということですね。輸送コストを下げるためには、出来るだけ速く運びたいことでしょう。船の場合も、やっぱり全速力で動くと燃費が悪くなるということなんでしょうね。

より抜本的な解決策としては、LNG船(低炭素)、アンモニア、水素船(ブルー、グリーン燃料ならば脱炭素)が検討されています。日本郵船は、自動車輸送用にLNG船を12隻新造する計画を発表しています。

日本郵船/LNG燃料自動車専用船12隻を連続建造 ─ 物流ニュースのLNEWS (lnews.jp)

従来の重油を使う船に比べて40%ぐらいCO2排出を低減させられるそうです。もちろん、やるのは良いことですけど、日本郵船が公表しているGHG削減目標が、「2050年で今の半分」なんですよね。それじゃカーボンニュートラルにならないじゃないですか!もちろん、他のことでオフセットして、全体としてカーボンニュートラルを実現する、ということも出来るのかも知れませんけど、それほどまでに船舶の脱炭素は容易ではないということなんですね。LNGが現状最良であって、アンモニアや水素を待てないという事情はあるのかも知れません。ただ、大型船舶は数年使って入れ替える様なものではなくて、大変長期間運用されるでしょうから、化石燃料を使う船をあまり沢山は新たに作らない方が良いようには思いますよね。

とは言っても、アンモニアや水素で動くエンジン(あるいは燃料電池)はまだまだ開発途上ですし、そもそも再エネからアンモニアや水素を安価に大量に作る技術が確立されていません。蓄電池では無理で、やはりエネルギー密度の高い化学燃料が必要。太陽光からアンモニアや水素を作る技術確立が急がれます。

2021年6月12日土曜日

Kawasaki Noslisu

 マイクロ電動モビリティの話題です。オートバイで有名な川崎重工(Kawasaki)から、Noslisu(ノスリス)というヘンテコな名前の三輪車が発売されました(現状では限定販売)。

noslisu | ノスリス

その使用レポートは以下にあります。

先行販売は即日完売…川崎重工の電動三輪車「ノスリス」 実際に試乗してみた (1/2ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト

コンパクトでパワフルなLiイオン電池が広まったお陰で、電動モビリティーの幅は一気に広がりつつあります。世間では従来の自動車よりも静かでパワフルなEVばかりが注目されている感じですが、むしろ電動化のメリットが大きいのは軽くて小さく、少人数+ちょっとの荷物+ちょっとそこまで、という使い方に適した乗り物だろうと思います。先日話題にした、電動キックスケーターはその最たるもので、折りたたんで小脇に抱えられる様なものであれば、電車やバスとの併用も可能です。

さて、このノスリスですが、Kawasakiブランドのバイク技術がフィードバックされているところが魅力的です。見かけこそ、よくおばあちゃんが乗っていた三輪自転車(最近は電動アシスト付きもあり)と同じに見えますけど、走行のメカニズムが違います。前二輪はヤマハトリシティの様に平行に傾き、ライダーもオートバイの様に体を傾けて(リーンして)曲がることになります。プロモーションビデオの走行状態を見ると、オートバイみたいでちょっとスポーティーな感じですよね。前二輪はリンク機構によってストロークしますから、片輪が段差に乗り上げた時ももう一つの車輪が地面を捉える様になっています。要はトリシティのコンセプトと同じで、転倒しにくいというところが大きな安心感になります。この前輪の間には大きなカゴがあって、20キロまで荷物を積めるそうです。スーパーでコメを2袋買えますね!

かなり大きな車体の様にも見えますが、重量は40キロにも満たない様ですので、かなり軽量と言えます。先日紹介のGlafitと同様、自転車のパーツをうまく使っています(硬そうなサドルはちょっと・・・)。バッテリーの容量や航続距離はアナウンスされていませんが、重量は4キロとのこと。まあ、そこはある程度自由度があるでしょう。満充電で50キロ走れたら恐らく十分ですよね。小さいバッテリーは充電も速いということを忘れてはなりません。まあ、ここはサイズの違うバッテリーを用意するとかも良いでしょう。ペダルで漕ぐ電動アシストタイプは誰でも乗れて、モーターだけのEVタイプはマイクロカー登録で、普通免許が必要、けど二輪車ではないのでヘルメットの着用義務はナシ、となるようです。時速40キロも出るそうですよ。ただ、現行法を適用するのにもそろそろ限界があるので、法整備等も含めた環境整備が必要と思われます。

三輪車なら、未舗装路の様な滑りやすい路面、それこそ少々の雪の上でも転びにくそうなので、山形には合っているかも知れませんね!とにかく、こういうコンパクトモビリティーが普及することは、無用に大きい自動車(仮にEVであっても)を利用したりする機会を減らし、低炭素化に大きく貢献すると思います。そのためには、車両登録や税制、免許の要不要、ヘルメット着用の義務、道路走行帯、車道右折の可不可、など新種の登場に合わせて変える必要があるでしょう。出来れば、そうしたマイクロモビリティーの専用走行レーンを整備するとか、混雑した都市部への自動車の乗り入れ制限をするとか、電動コンパクトモビリティー(マイクロEV含め)を税制上大きく優遇するとか、そういう環境整備によってその普及拡大を後押しして欲しいですね。今は実験的な車両が色々出始めている段階ですが、法整備を急いできちんとした車両カテゴリーに育て上げて、輸出産業としても強いものにしていくべきと思います。

2021年6月5日土曜日

超音速旅客機再び

 コロナウイルス感染拡大のために、世界的な人の往来が著しく制限された状態が続いていますが、米ユナイテッド航空は従来の2倍の速度(ほぼマッハ2)で飛行する超音速旅客機を導入する計画を発表しました。

米 ユナイテッド航空 超音速旅客機導入へ 移動時間を半分に | NHKニュース

速度が倍なら移動時間は半分なわけで、例えば東京とサンフランシスコが6時間になるとのこと。超音速旅客機は、学生さんなどあまり知らないかも知れませんが、フランスとイギリスが共同開発したコンコルド(1976年就航ー2003年退役)が有名で、やっぱりマッハ2でした。ジェット戦闘機を大きくした様な特殊な機体形状ですから、多くの乗客を運ぶことは出来ません。エクゼクティブ級ビジネスパーソンの超エクスプレスとして、それでも確固たる需要があるということなんですかね?でも、大変時代錯誤な印象を受けました。新しい超音速旅客機の開発を進めるのはブーム・スーパーソニックというベンチャー企業だそうです。

コンコルドが消滅したのは、もちろん古くなったからというのもあります。退役する少し前に墜落事故を起こしてしまいました。超音速で問題となったのは、空気の壁を形成することによる著しい燃費の悪化と衝撃波(マッハ1の時)が発生する騒音などがありました。航空機が高くて座席が少ないからだけでなくて、運用にも大変な費用がかかり、さらに大変な環境悪だったのです。ジェット戦闘機がマッハ3とか出せるのは、アフターバーナーというエンジンに過負荷をかけて燃料の追い炊きをかけた時だけで、通常の移動時は亜音速らしいですよ。だから、マッハ2で飛び続けるというのは、とんでもない燃料消費をすることになります。このご時世ですので、ユナイテッド航空は100%再生可能な燃料で運用する計画、と言っていますが、それって前回書いたモンスター級EVをエコだと言うのと同じじゃないでしょうか?例えばバイオ燃料を使っているから、それをガンガン燃やしてマッハ2で飛んでも問題ない、と主張するわけですよね?その燃料を別のもっと有用なことに使った方が良いと思う。再エネであるから、というのを根拠に何でもやっても良いという様な行動をとるのは、やっぱり恐竜的であって、絶滅対象ですよ。悪あがきはやめにしましょう。

確かに、狭いエコノミークラスの座席で、ヨーロッパや北米まで12時間以上移動する時は大変苦痛で、もっと速く飛べないの?と毎度思います(エコノミーしか乗れないからであって、ビジネスクラスなら苦痛じゃない)。それを大幅短縮する手段があれば、重宝することがあるのは事実でしょう。しかし、コロナ禍で学んだのは、それこそ光の速度で移動して場の空気感を共有できるデジタル通信ツールがあることが分かり、それに実際依存して様々な国際的協業が可能となることです。なので、アナログ的思考の延長上で、スピードを上げ、時間を短縮する、という考えもまた、古臭いですよね。例えば観光旅行のために移動するならば、むしろ移動の時間を楽しむべきでしょう。1時間足らずで目的地に着いたら、「遠くに来たんだな」という感慨さえ得られない。新しい場所を訪れたりする喜びを続けたいのなら、真剣に電気で飛ぶゼロエミッション旅客機の開発を急ぐべきです。静かで、クリーンな。さすがに太陽電池は無理だから、水素燃料電池でしょうね。水素を大量に積む・・・。かつてドイツが誇った飛行船、ツェッペリンは水素を使って浮かび上がっていました。漏れて発火する危険が当然あって、ヒンデンブルグ号は大爆発(1937年)事故を起こしています。それこそ、浮上に燃料を要さない飛行船なんて、これからの移動手段としてアリじゃないですか?ヘリウムを大量に使うことは出来ませんけど、浮上だけでなく、航行にも水素を使って(水素燃料電池)。今の技術ならば安全に出来るはずです。トヨタミライは多分爆発しないですよね?そう、世界中を高速鉄道で結ぶのもアリですよ。経済格差や国際紛争を無くさないと実現不能ですけどね。

2021年5月24日月曜日

水素エンジン車耐久レース レース後記者会見

 水素エンジンを搭載したカローラスポーツレース車両によって、富士スピードウェイで開催された24時間耐久レースを完走後、豊田章男社長(レーサーとして参戦したモリゾウ選手)の記者会見が行われました。

24時間、1634kmを走りきった!トヨタ水素エンジン レース&記者会見詳報 by 難波賢二(RIDE NOW)

水素エンジンの開発は、カーボンニュートラルへの選択肢を増やすためであり、長年培われたエンジン開発技術を存続発展させること、関係の製造業を守ることにあると説明しています。実際にコース上に居た時間は半分の12時間程度だったようです。先に「トラブルなく」と書きましたが、実際には細かいトラブルは沢山あったようで・・・。しかし、走れなくなるような深刻な問題は発生せず、完走出来たということは、初めてのレースとしては上々ではないでしょうか。

岡山のオートポリスや三重の鈴鹿サーキットで行われる予定の、スーパー耐久シリーズの残りに再出場することも検討しているようです。レース時間が3時間だったり、水素ステーションに十分なスペースを確保することが困難だったりの問題があって、本当にやるかどうかは決まっていないみたいですが、是非経験を重ねて行ってほしいですね。車両の性能(パワーや航続距離)だけでなく、安全且つ素早い水素チャージの方法などもレース活動を通じて磨かれるはずです。プロレーサーのコメントでは車両が重い、とのことでした。水素自体は軽いですけど、十分な量の水素を安全に積載する方法などについては、まだまだ多くの課題があるものと思います。ですから、レースを開発の場として周辺技術のレベルアップを果たしていくことで、水素自動車が実用的な選択肢となるように、一般車両の開発も進められると思います。同じ水素でも貴金属触媒を必要とする燃料電池車よりも広く普及させるポテンシャルがあるかも知れません。マルチ燃料が可能になればさらにメリットは大きい。もちろん、どうやって水素を得るかがいずれにせよ問題ですが。

おまけです。トヨタ自動車が運営しているトヨタイムズというYouTubeチャンネルに今回の24時間耐久レースのドキュメンタリーが掲載されています。

密着】豊田章男24時間耐久レースの裏側<前編>

【密着】豊田章男24時間耐久レースの裏側<後編>

見たら、モリゾウ選手のファンになっちゃいますよ!学生さんは、こんな会社で仕事をしてみたい!と思うのではないでしょうか。カーボンニュートラルはとても難しいチャレンジですが、我慢することではないですよね。未来に挑戦する生き生きとした表情に心打たれます。

2021年5月23日日曜日

水素エンジン車24時間耐久レース完走!

 いやあ、素晴らしい。新しい時代の幕開けを予感させますね。

水素エンジン車、耐久レース完走(福島民報)

以前も話題にした、水素を燃焼する内燃エンジンを備えたレース車両が、今週末富士スピードウェイ24時間耐久レースに出場し、一周4.5キロのコースを358周して見事完走したそうです!ドライバーの一人はトヨタのマスタードライバーでもある「モリゾウ」選手こと、豊田章男社長!

水素を満充填しても50キロ程しか走行出来ないそうで、何度も何度もピットストップしなくてはならなかったはず(単純計算しても水素補給を30回以上!)。しかし、そこでもトラブルなく走りきれたということですね。ちなみに、用いた水素は福島浪江町の太陽光発電施設の電力によるグリーン水素。もちろん燃料だけで走るわけではないので、一連の活動でGHGは発生しているわけですけど、それにしても、カーボンニュートラルへの新しい選択肢を示すという意味では大変大きなチャレンジ、そして成功だったのではないかと思います。

これについては、恐らく後日談など沢山出てくると思いますので楽しみにしています。面白いものがあれば、またブログで紹介します。ひとまず、おめでとうございました!

2021年5月15日土曜日

電動キックスクーター

 引き続き、コンパクトモビリティーの話です。電動キックスクーターとかキックスケーターと呼ばれる車両が注目を集めています(地面を蹴って推進力を得ることも出来るから”キック”なんですよね、きっと)。

電動キックスケーターの「ノーヘル」走行 公道での実験開始(毎日新聞)

電動キックスクーターで「移動手段」どう変わるか 公道が走れる14万円台「LOM」実際に乗ってみた(東洋経済)

脱炭素という観点からのレポートではありませんが、コロナ禍の影響もあり、都市部での通勤等移動手段としても、混雑する電車やバスではなくて、パーソナルな移動手段として、これらキックスクーター(とここではしておきましょう)が注目されている様です。コンパクト軽量であれば、電車の車内に持ち込んだりすることも可能になり、自転車以上に便利かも知れません。それで、上記レポートにある通り、警察庁もこの新種の乗り物に合わせた法改正を検討している様です。とても遅いものは、従来からある電動車いすの様な乗り物で、これは歩道も走れます。一方ガソリンエンジンのスクーター並みに速度が出る電動車であれば、方向指示器やライト、ミラーなどの保安部品を装着し、ナンバーを付け、ヘルメットをかぶって車道を走ることになります。レポートで紹介されているGlafitのLOMという製品はこれに相当しますね。今回問題はその中間的な乗り物で、自転車程度の速度であれば、歩道走行は禁止だけどヘルメットは義務でなくても良いのではないか、を検討しています。「コロナ禍で他人とヘルメットを共用したくないから」という理由が書かれていますが、女性に限らず若い人が特に気にするのは(若くない人も?)ヘルメットでヘアスタイルが乱れることです。あと、ヘルメットは荷物になりますよね。出来の良いヘルメットだと暑苦しいとかは実はあまり問題になりません。安全性の観点からはヘルメットをした方が良いのは当然ですけど、普及しやすくすることを優先して、まずはノーヘルを認めるのも良いのではないかと思います。

さて、この様な電動キックスクーターが登場したのは、コンパクトでパワフルなLiイオン電池があったればこそです。人を軽々を動かせるだけの力をこんなにコンパクトな乗り物が実現できるわけです。上手に使えば、人の移動にかかるエネルギーの無駄を大幅に削減できる可能性がありますよね。例えば10キロ以内の移動なら、時速100キロ出る乗り物は要らないわけで、ドアtoドアで移動出来る分、きっとこういう電動キックスクーターの方が所要時間は短いです。

自転車の方がもっと健康的、はさておき、大注目は今回取り上げられているGlafit、若い社長が立ち上げた和歌山のベンチャー会社です。

glafit | グラフィット

理屈抜きにカッコイイですよね!上手いなあ。多分必要ないですけど、ディスクブレーキを使っているあたり、上手い!恐らく自転車のパーツを使って安くまとめています。欲しくなっちゃいますけど、おもちゃの様に使い捨てにされたり、物置にしまい込まれたりしたらダメですね。逆に炭素増えちゃいます。こういう乗り物が上手に活用される環境と、生産から廃棄まで、LCAを考慮した乗り物として発展していくことが望まれます。

和歌山は温暖で良いですよね。豪雪の山形ではこんなの使えない・・・4輪駆動の電動キックスクーターとかあればね・・・と思いきや!上記ウェブのFUTUREのところには、3輪や4輪のコンセプトモデルの絵がありますよ!ハブモーターなら多輪駆動も容易なので、雪道も走れるヤツは出来るんじゃないですか?是非米沢で一緒に実証実験しましょう!ここ米沢では、郵便配達や新聞配達の人は雪でグチャグチャになった道路をチェーン付けたカブで走ってます(モトクロスやったら強いですよ、きっと)。雪国の郵便配達向け2輪駆動電気カブなんてどうです?ヤマハは、ずっと以前に二輪駆動のオフロードバイクでレースまでしているんですよね。前輪は油圧駆動ですけど。

【WR450F-2Trac】油圧駆動の2WDオフロードバイク | Backyard Builder

ちなみに・・・私は超アーリーアダプターで、ヤマハが短期間販売していた電気バイク、EC-02というモデルを購入し、使っていました。

ヤマハ(YAMAHA) EC-02の型式・諸元表・詳しいスペック-バイクのことならバイクブロス (bikebros.co.jp)

これ、カッコ良かった!ハンドルやステップが折り畳みで、横倒しで車のトランクにもコンパクトに入るので、おもちゃにしていました。でも、超遅いんです!直進性も低くて、大型トラックに追い越される時に恐ろしかった!しかも当時のLiイオン電池(額面では600 Whぐらいあった様な…)はすぐに無くなり、すぐにオーバーヒートし、当時の自宅から岐阜大までの往復20キロ弱を走り切ることも出来ませんでした(なので、電池は2本持っていた)。最近の電気スクーターは恐らくずっと進化していると思います。ホンダのPCXエレクトリックなんかは、きっと実用上何も問題ないでしょうね。あれは、バッテリースワップの仕組みも導入したい様で、東南アジアで実証実験をやっているみたいです。国内では個人購入出来ないですけど。

PCX ELECTRIC | Honda

モビリティーは脱炭素の時代でもやはり重要。行きたいところにいつでも行ける自由は大切!オートバイファンとしては、これらコンパクトな電動モビリティーに期待するところ大です。

電気スクーターシェアリング、九州大学

 九州大学で最寄り駅と大学キャンパスの間の学生の移動に利用するための電気スクーターシェアリングの実証実験が始まったそうです。

九大~最寄り駅 ”電気スクーター”をシェア 実証実験開始 福岡市(FNNプライム)

私も何度か行ったことありますが、九大の伊都キャンパスは駅から遠く離れているのです。そこで、駅とキャンパスの間の移動手段として、走行時にCO2を出さない電気スクーターをシェアリングするサービスを検討するための実証実験が行われているそうで、上記ニュースでは走行している様子の動画も見られます。現時点では無料で、10台を供している様ですが、もちろん本格的にサービスを開始することになれば、台数も増えるでしょうし、使用に応じて課金、空き状況をスマホ等で確認出来る仕組みなども導入されることでしょう。

もちろん、電気スクーターでもその製造と使用する電気によってもCO2は排出するわけですが、そもそも軽量な二輪車は圧倒的にその排出量が四輪車よりも小さいです。なので、脱炭素に向けたモビリティーとして、二輪車はもっと注目、活用されて良いと思います(私がバイクファンだということを抜きにしても!)。ただ、荷物が運べない、雨の日困る(山形で雪だったらもっと困るというか、使えない)、混合交通の危険性、などバイクならではの問題もあります。一方で、四輪車は駐車に広大なスペースが要りますが、スクーターなら建物の近くにちょっとした駐車スペースを設けるだけで済みます。

良い取組みですね、山形でも何か出来ないでしょうか?「自転車ならもっと健康的だよ」と言う声も聞こえてきそうではありますが。

2021年5月2日日曜日

水素エンジン

 クリーンなエネルギーキャリアとして、水素が注目されています。まずは石炭、石油、ガスなどの有機燃料の燃焼から、再エネによる発電と社会システムのオール電化、そして究極的にはカーボンニュートラルな化学燃料に戻る、というのが理想でしょう。なぜ化学燃料が優れているかと言えば、これは圧倒的なエネルギー密度の高さ(小さいけど力持ち)と貯蔵が容易であるという点です。エネルギー密度の高さという点では水素はとても良いですが、貯蔵は簡単ではありません。もう一つの水素の大きなメリットは、使用の場でゼロエミッション(水蒸気しか出ない)ことでしょう。すなわち、排気ガスの処理が事実上不要になります(NOxは多少問題?)。但し、どの様に水素を作るかがやはり課題で、工業的に大規模に行われている石炭の水性ガス反応ではCO2が出てしまいますから、カーボンニュートラルになりません。太陽光発電の電力で海水を電気分解する、などが必要になります。

さて、水素の話をしたら長くなるので、本題の水素エンジンに移ります。水素で走る燃料電池車としてトヨタは既にMIRAIの第二世代を一般向けに販売しています。水素をいつでも買える環境にある方なら購入を検討するに値します(高いですけど、補助金も沢山付きます)。燃料電池は、水素を電極上で燃焼して発電し、電気モーターを動かしますから、MIRAIは実質電気自動車です。これに対して、水素を従来のエンジンの様にシリンダー内で爆発燃焼させる水素エンジンも開発されています。歴史は結構古くて、BMWやMAZDAが試作車を出していたのは私もよく覚えています。今回、トヨタが燃料電池とは別に水素エンジンも開発を進めていて、それを積んだカローラスポーツでいきなり耐久レースに出るそうです。エンジンは、同社のGR YARISに搭載されているモノをベースとしているそうです。詳しくは、実際の走行動画も出てきますので、以下のYouTubeビデオ(モータージャーナリストの島下泰久さんと難波賢二さんが運営しているRIDE NOWというチャンネル)を是非見て下さい。

密着取材!トヨタ水素エンジンレーシングカー初テスト(RIDE NOW)

必ずしもエコの観点からの興味で話しているわけではないので、やれ内燃機関の振動とか音が・・・と新しい世代には古臭く思えるコメントもあるかも知れません(私は・・・とても共感します!)。驚く程普通に見えるところが(若干遅いか?)逆に凄いと思いました。従来のガソリン用に作られたエンジンで、燃焼を制御するだけで水素が使えてしまうわけです。プロパンガスで走るタクシーは昔からありますが、あれと同じで、マルチ燃料の自動車というのも作れてしまうかも知れません。当然水素(しかも、人工的に作った純水素で不純物無し)なら水しか排気しませんが、例えば液化アンモニアを燃焼して水と窒素を排気する内燃エンジンも将来可能かも知れません。

作りやすさ(一次エネルギーを再エネにすることを条件に)と貯蔵、運搬のしやすさ、そして将来のコストを考えた時、水素に限らず様々なエネルギーキャリアを検討できるだろうと思います。そして、それをパワーに変換する手段は燃料電池とは限らず、この様にただ空気で燃やしてしまうという選択もあるでしょう。トータルとしてカーボンニュートラルであることが大切ですし、例えば既存の自動車の燃焼制御をガソリンからメタノールに変更するぐらいならば、その自動車をまだまだ使い続けられることになり、LCA的なエミッションを低減できる大きな可能性があります。簡単に買い替えるわけにはいかない飛行機については、バイオ産生の低炭素燃料が既に検討されています。既にあるインフラを使い続けるというのもカーボンニュートラルに向けた重要な考え方で、必ずしも新しいモノに置換するのが最良なわけではありません。

もう一つ、内燃機関を存続させられる可能性として、水素だと2ストロークエンジンも有望?というコメントが大変気になりました。元々クリーンな水素ですから、多少燃え残りがあっても環境汚染しないことに加え、とても発火しやすいので、2ストロークとの相性が良いようです。古くからのバイクファンなら知っていると思いますが、2ストエンジンはとてもコンパクトでハイパワーなので、クリーンであるならば復活させるに値する技術だろうと思います。

未来のエネルギーの主役はまだ確定したわけではないと思いますし、「これが究極!」と一つに絞ることは可能性を潰すことになります。物質も技術も多様な選択肢の中から探し続けるべきでしょう。それぞれに、問題点はあるでしょうが、良さもあると思います。今回、水素を燃やすエンジンを通じて改めてそう思いました。まだまだ多様な可能性があり、とてもワクワクします。トヨタ頑張っていますね。

還暦

 私、1966年生まれ、丙午(ひのえうま)です。2026年になりましたので、還暦を迎えました。すなわち、今1歳です。あと何年生きられるでしょうか?ひとまず、60年で色々経験させてもらい、色々なことを学び、考え、行動することが出来るようになりました。出来ることが増えた一方で出来なく...