久々にこの話題。ここ数日この関連のニュースを何度も見ました。
中国を走るEVの平均年齢は「1.8歳」。「所有するスマートフォンよりも買い替え周期が短く新しい」ことが明らかになり「なぜこういった現象が発生するのか」 - Life in the FAST LANE.
BEVのみでなく、中国の自動車メーカーのグローバルな伸び(特に新興国・途上国)が如何に凄いか、それは何故か、についてはこのYouTube番組でコンパクトに説明されていました。
【中国ブランド車は本当に伸びているのか?】新興国で急増、先進国は微増/欧州での現地生産拡大/注目の6ブランド/中国輸出の謎/イラン戦争後のBEV特需/エチオピアは内燃機関車輸入を禁止/日本勢の対抗策
こういうニュースが連発したのは、中国BEV最大手のBYDが軽自動車規格のRACCOを日本市場に送り込み(以前話題にしました、さすがに売れてないみたいですね)、それに応える様に軽自動車の王者スズキが電気のアルトって感じのe SKYを登場させ(HONDAも軽EV出しましたね。両方とも乗ってないけど、きっと良い出来でしょう)、
さらには鈴木俊宏社長が「ウチも2年で新車を開発する!」と宣言したからですね。
スズキが新車開発期間を半減、中国勢と同水準の2年に…各工程同時進行やAIによる検証取り入れ : 読売新聞
いや、こうなることは明らかではありましたけど、既にそうなってしまったんだなあと思います。家電が衰退した後、自動車産業は日本にとっての稼ぎ頭でしたけど、それももうすぐ終わりますね。中国だってBEVで大儲け出来るわけではない。欧州、米国、そして今は韓国も含め、いわゆる先進国が自動車産業を担っていた時代は終わり、大量生産、大量消費されるチープな工業製品になってしまった。いろんな意味で、スマホと同じ。情報産業だってハードを作り提供する会社は儲からない。プラットフォームを提供し、情報をコントロールしている集団(GAFAM)が利益の大半を取っていきます。
新車開発に日本は3-5年を要し、中国は2-3年(1.5年のものまで!)。もはや試作車も作らず、テストもしない。設計からシミュレーションまでAIフル活用。例えば折り畳みディスプレイのスマホとか、そんなのすぐに飽きられると思うけど、お客さんは常に「最新の!」を求めてくるから特にBEVなどは最先端感こそ重要。そこは中国メーカーもよく分かってて、安く大量に作れる様になったディスプレイなどを多用して車内は未来感たっぷり。だけど、それって自動車の本質と無関係ですから、分かってるユーザーであればそもそも求めない。それで、中国国内のBEVの平均車齢は1.8歳なんだとか(すぐ飽きる、すぐ次が出る)。ビックリですね。私は今のスマホを3年以上使ってますが、買い替える気はサラサラありません。そういうおもちゃ的な魅力の追求がBEVの開発スピードを極端に速くしている一方で、切迫した事情からEVシフトが進む地域もあります。イラン戦争の影響もあって一部途上国地域ではガソリンの入手が困難になっています。エネルギーインフラ整備が経済成長に追付かないための電力不足もありますが、チープな太陽光発電とチープなEVを両方中国から買えば一番経済的なモビリティーが実現するわけです。急速充電器など無くても、気長に充電する時間的余裕もあったりして。結果的にグリーンモビリティーへのシフトはやむに已まれぬ事情がある途上国で先に進むわけですね。
皆さんどう思います?そもそも私の様に乗り物好きでない人にとってはどうでも良いことかなあ?私にとっては自動車文化が廃れていくこと自体が寂しく、日本がこの競争に巻き込まれて経済がより低迷することが厳しく、資源枯渇が進み大量のゴミが発生することが恐怖です。まず最後の観点については、何度も鉱物資源(リチウム、コバルト、レアアース等)の問題で取り上げているとおり、モビリティーのオール電化は資源をとても上手に使ったとしても困難なことです。バカでかいバッテリーを積んだ高級BEV志向とか、ほんの数年で価値が急激に低下してゴミ化するBEVを積極的に生む仕組みは、グリーンシフトが完了する前に我々を死滅させることになります。短期的には儲かるのかも知れませんが、すぐに行き詰まり、儲からなくなり、衰退することが明白な(最先端?)電気自動車の開発競争の同じ土俵に上がってはいけないです。日本の自動車産業の名門中の名門であったはずの日産は、その看板車種でもあるスカイラインの新型を「2年で開発するぞ!」と意気込んでいるそうで。
半年で650車種! 中国メーカーはなぜ毎日のように新車を出せるのか? 日本メーカーも変わり始めた開発の常識(MotorFan) - Yahoo!ニュース
それって、お客さんにとって魅力的なことなんですか?今の、そして近未来のニーズを一番良く反映する製品になるから開発期間は短い方が良い?自動車の役割なんて今も昔も、そして未来もそう変わらない。戦後の自動車産業を牽引してきた米国の平均車齢は12.8歳だそうです。つまり、20年使ってるクルマなんてザラにいる。日本の平均車齢はもうちょっと若いかも知れませんが、車検制度の関係もあって13年くらい使われるみたいです(その後輸出されたりもする、丈夫なので)。試作車のテストをロクにせず、コンピューター上のシミュレーションでOKだったから、で生産されたクルマなんて欲しくない!日本グランプリでのポルシェとの対決など、数々の伝説を残した「スカイライン」を名乗るクルマをAIが開発するの?
まあ、そういう自動車やバイクなどの乗り物に対する思い入れってのは、いかにも昭和的なオッサンのノスタルジーなんでしょうな。流行らない・・・知ってるよ。でも、そうだったんです。自動車やバイクってのは、庶民の憧れの工業製品であり(だって高いもん)、使う側はもちろん、作る側にはもっと「こだわり」があって、そうしたこだわりが詰め込まれたモノだった。メーカーとユーザーの間には一種の対話があって、それが購入の動機になるだけでなくて、「ソレがある」生活に彩を与えていたと思います。自分がバイクや自動車に乗り始めた40年前は、日本製品は欧州製品に性能的にも文化的にもまだ全く敵わないと感じました。車両には関係の無いオーディオとかのギミックがキラキラしてるだけで、肝心の足まわり、エンジン、シート、パッケージングとかがダメ。絶対大人が座れない狭い後部座席の4ドア車とか、ヘンテコなクルマが多かった(特にバブル期)。当時中国製品は無きに等しく、韓国製品も論外の粗悪品。米国製品は文化だけで工業製品としては×××。なので最初はヨーロッパ志向が強かったですけど、その後日本の自動車は産業界、国内市場双方急速に発展成熟したと思います。特に「これは!」と思ったのは、トヨタがレクサスブランドを立ち上げた頃。デザインとかは全然好みでないし、そもそもそういうラクシャリーな旦那グルマに興味は無いんですけど、クルマとしての出来の良さに脱帽、ドイツ御三家に負けてるのはバッジだけ、と思いました。ホンダのType-Rシリーズも「さすが、ホンダのエンジン!」で欧州製ホットハッチを蹴散らす痛快さでした。乗り物としてはちょっと・・・ですが、日本独自の軽ハイトワゴンも庶民のモビリティーを大きく進化させました(だからセダンとか消えた)。で、気づけばウチのバイクもクルマも全部日本製になっていました。決してブランド志向の変化とかではなくて、合理的な選択の結果です。中でも日本自動車工業の珠玉と思うのはトヨタハイエースです。何故モデルチェンジが必要ない(出来ない)のか良く分かります。あんな形で、前輪の上に座っているのに普通に走ります。それであの巨大な空間。恐ろしい程丈夫。
このまま自分の乗り物愛を語り始めると終わらないのでこれくらいにしますが、それぐらい作る側の思いが込められ、時間をかけて生み出され、長く愛されて生活を共にするモノでしたよね。妻が単身赴任するにあたり、それまで愛用していたクルマを手放す時に泣いていたのを覚えています。彼女の相棒でした。映画のカーズで自動車が擬人化されるのも良く分かります。自動車の所有って先進国における成功のシンボルでもあり、家族の一員の様に大切にされてきたんですよね。どこに行くのも一緒。それを文化と言わずして何と言うかです。で、そんなクルマがスマホ化?クルマ一台を生み、使うことの環境負荷はスマホと桁違いです。BEVは出来るだけ小さいバッテリーを高頻度で長い年月充放電して初めて環境により良い乗り物になります。使い捨てなんて絶対ダメです。