このブログについて

国立大学法人山形大学工学部教授の吉田司のブログです。2050年までのカーボンニュートラル社会実現に向けて、色々な情報や個人的思いを発信します。発言に責任を持つためにも、立場と名前は公開しますが、山形大学の意見を代弁するものではありません。一市民、一日本国民、一地球人として自由な発言をするためにも、所在は完全に学外です。山形大学はこのブログの内容について一切その責任を負いません。
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2023年3月10日金曜日

宝もの①

 先日(2023年1月25日)、米沢市立北部小学校の6年生の皆さんに、「SDGs・地球温暖化・カーボンニュートラルについてみんなで考えよう!」というテーマで特別授業をさせて頂きました。そしたら、60人以上の子供たち全員からお礼の手紙、感想文を頂きました!手書きでびっしり書いてあって、熱心な子は2ページに渡っていました。全部読ませてもらいましたよ!

「自分たちのせいで地球が大変なことになり、他の生き物が死んだりしていることがショックだった」「ゴミを拾おう、プラスチックを出来るだけ使わないようにしよう、節電、節水を心がけよう」などに加えて、「どうして不平等が起こってしまうの?」「ウクライナとロシアの戦争が早く終わって欲しい」「このことについて、家族で話をしたい」など、まさに我が意を得たりで、子供たちが熱心に学び、素直に受け止めて、考えていてくれることが良く伝わりました。また、本当は対面でやる予定が、私がインフルにかかってしまったために、急遽オンライン開催になってしまったのですが、そのためかも知れませんけど「これからも、お体に気を付けて、お仕事頑張って下さい!」「ありがとうございました!」の言葉を沢山もらって、本当に涙が出るほど嬉しかったです。この手紙は宝ものです。みんなありがとう!

米沢市の青木さん、この特別授業の開催にご尽力いただきまして、本当にありがとうございました。この手紙を見て、心からやってよかったと思いました。子供たちの感受性の高さ、素直さ、真剣さに感銘を受けました。しっかりと伝わっていると感じますし、これからのこの子達の学びと成長に役に立てたように思います。きっとこの子達が大人になる時、今までの人たちに出来なかった幸せが持続する世界をつくっていってくれると、そう信じられる気がします。これは、是非続けましょうね!中学生になったこの子達に再会して、もっと話がしたいですし、次の子達とも会いたいですね。

60ページ以上の手紙、丁寧に色まで付けてある子も

授業風景はこんな感じだったそうです、会えなくて残念でした!

2023年1月7日土曜日

異次元の少子化対策

 「異次元の少子化対策」だそうです。また言葉遊びに終わらないで欲しいですね。一体何をしたら「異次元」と言えるのか?

岸田首相は、2023年度の目標として大規模な少子化対策に取組む目標を掲げ、関係大臣に指示、議論を加速させる意向です。それは当然でしょう。何しろ出生数は昨年度80万人を切り、予想よりも急速に少子化が進んでいます。一方で65歳以上が人口に占める割合は既に29.1%、令和18年には3人に1人になります。このまま行けば、日本の著しい衰退は避けられません。何でカーボンニュートラルのブログで少子高齢化の話題と言うことなかれ。目標は健全で幸福な社会の持続的発展なのですから、極めて重大な関連する問題です。

で、報道を聞く限り、結局金の話に終始していますね。確かに、子育てにはお金がかかりますが、お金だけが問題でしょうか?政府は子育て関連予算を倍増、それには数兆円規模の財源が必要、ということで消費税増税論が早速飛び出し激しい反発を受けています。つい先日は軍事大国になるための増税を決め、矢継ぎ早に生活に直結する消費税増税など論外です。社会は長引くコロナによる停滞とウクライナ戦争による物価高騰に喘いでいるというのに、増税などと言えば国民が支援されているとは感じないのは当然でしょう。逆に罰を与えられている様なものです。東京都の小池知事は5000円/人の都独自の支援を表明しましたね。絶妙なタイミングで格好をつけた感じです。

少子化対策、部分的対応では「異次元」にならず=小池都知事 (msn.com)

東京都はお金持ちだから、というのはあるでしょうけど、女性知事だからこそ余計にメッセージ性が強い。山形県の吉村知事もいかがですか?小さい子がいるウチは嬉しいですよ♡。いや、山形県にそんなゆとりは無いですかね。

政府の言う少子化対策というのは、今に始まったことではないです。過去の対策というのが全く少子化の抑止に効かなかったのは何故か?そこの検証が大切です。支援のお金が少なかったから、それを増額すれば「異次元」になり、成功する、と本当に思いますか?そもそも今の経済状況と日本の相対的国力が低下し続ける中で、お金を増額することなど無理だと思います。今まで一人5000円だったのを1万円にするとか、そいういうことだと増税するしかなくなります。政府は打ち出の小づちを持っているわけではありません。お金に限って言えば、むしろ振り分けが大切ですよね。このWedgeオンラインにあった記事がそれを良く説明していると思います。

「異次元の少子化対策」実現に必要なたった一つのこと  Wedge ONLINE(ウェッジ・オンライン) (ismedia.jp)

シルバーファーストからチルドレンファーストへ、まあ分かりやすいですよね。数字の上でも多数派になり、社会への支配力も強い高齢者に良い顔をし続けないと選挙に勝てないという実情もあって、高齢者への手厚い保障を切り捨てられない。しかし増税せずに子育て支援を拡充するにはそこから持ってくる以外にありません。高齢者も生産人口に組み入れられ、しっかり納税してくれるなら良いでしょうけど、税収は若年層の労働に支えられているわけですから、高齢者への保障を減らさずに子育て支援を拡充しようとすれば、必ず現役世代への税負担増となります。沢山支援しますよ、と言いつつ一方では増税に苦しめられるのであれば、ちっとも状況は改善しませんよね。まあ、以上ごく簡潔にお金のことでした。

しかし、何故結婚したくないか、子供を持ちたくないか。その傾向が続いていることはお金の理由だけではないと思います。女性を含む人口減少が続いているわけですから、出生数が低下するのは当然ですけど、未婚率が増大し、出生率が低下していることが問題なわけです。簡単に言って、社会がこの先良くなっていく様に思えない、リスクばかり感じて、希望が持てない。そういう状況だから家庭を持つなんていうのはリスクの増大としか感じられないのだと思います。命の再生産と次世代の育成に取組み(さらには労働の主力でもある)社会の持続性に奮闘する若い世代をもっと大切にしないと。それはお金を配るだけではないんですよ。日本よりもお金の無い国でも、こんなに少子化が進んでいない国は沢山ありますよ。未来に展望が持てるということと、お金が沢山あるということはイコールではないです。社会を取り巻く不安というのは、お金に対する不安だけではない。自分の将来が発展していくだろうという展望、そのためならば頑張りたいという意欲の引き出し、これが大切です。絶対値よりも微分値ですかね。微分も収入についてではないですよ。自らが社会の主役になっていくという展望と、それに対する期待です。

高齢者は多くの経験を積んできたからより的確な判断が出来る、というのは本当か?むしろ時代遅れ、古臭くなってしまった自分の経験に縛られ、判断を誤る。プライドが邪魔をして、過ちを認められない。特にタチが悪いのはジイサンです(まあ、バアサンもだけど)。そして、日本の社会を支配する人たちの顔ぶれを思い浮かべて。ジイサンばっかり。少し若い人がいても、それはジイサンの支配を完全に受けているジイサン予備軍みたいな人たち。ジイサンに異論を唱えると、排除の対象になる。もっと全世代が等しく社会参加する多様性を受入れないと。まだ言い訳は許されないけど、判断力や活力の低下は、自分自身にも感じます。一番強かった時期は過ぎたかな。人は誰でも老いていきます。当然の変化です。一方でこういう問題は以前よりもよく見えるようになったのは確かです。一通り経験したからね。

ジイサン支配は政府に限ったことではないんですよ。社会全体がそう、特に役所や大学は酷い。高度成長期を支えた団塊の世代はもちろん、その後についても今の社会で重要な地位を占めている男性は、そのキャリアのために女性を犠牲にしてきた人たちです。「内助の功」とかそういう言葉で片付けるな。学びの時、そして自分のキャリアを確立する過程において、どれ程女性に助けられましたか?女性に犠牲を払ってもらって今があるのです。自分の能力だなどと思わない方が良い。しかし、そんな人たちが「いや、これからは是非女性にも活躍して頂いて」とか言ったところで、全く説得力無いし、的外れなことをするに決まっています。今の少子化対策においても、結局子育ての主役は女性であるという考え方に全く変わりはない様に思います。かく言う自分を振り返ると、30代の頃は父親になる資格など絶対に無いような生活をしていました。だから、実際にも子供はいませんでした。自分自身が他の人をケア出来るだけの余力を持つまで、それは無理でした。だからこんなに歳を取った父親になってしまい、我が子にはちょっと申し訳ないんですけど、それでも30代の自分は親になるべきではなかったと今でも思います。今は毎日食事を作ったり、子供の勉強を手伝ったりしてはいても、それでもやはり母親である妻には大きな負担をかけてしまったと思います。やはり、彼女自身のキャリアを犠牲にさせてしまった。生き物として、子供を身ごもることも、授乳することも、女性にしか出来ないです。子供が生まれ、歩いたり話したり出来る様になるまでは特に、妻は大変だったです。子育てとは、それぐらい大変な取組みです。

結局、女性の苦労の上にあぐらをかいているオジサンには少子化対策など出来ないと思います。「異次元」を目指すならば、まずはその席を退席するのがよろしいかと。あと、ミサイルも要らないんで、そのお金を子育て支援に回した方が良いですよ。

2022年7月13日水曜日

リアクト米沢訪問

 米沢市役所の計らいで、米沢市にある「リアクト米沢」さんを見学してきました。

reactyonezawa.com

近隣で飼育される家畜(乳牛)の糞尿や、スーパーで廃棄されてしまった農作物等からバイオガスを生成し、これを用いた発電に取組んでいます。同時に生成される堆肥は地域の農作に利用されていて、ゴミを出さない循環型農業のモデル事業です。


「はまだ牧場」の乳牛さんたち

見学の最初は、「はまだ牧場」です。広い牛舎の中で、沢山の乳牛がエサを食べていました。一部土の様なモノを食べていたので、何か尋ねると、ゼオライトだそうです。お腹の調子を整えているそうで、自発的に食べるんだとか。生まれて間もない子牛も別の牛舎にいて、可愛かった。

搬出される牛糞

当然ながら、牛たちは沢山ウンチをします。それをもみ殻と混ぜて、トラックで運びだします。もみ殻も一緒に発酵されますが、混ぜるのは水分(オシッコも混ざっているので)を吸収させて、搬送途中で盛大に漏れ出さない様にするためだそうです。

リアクト米沢の施設外観

はまだ牧場から500メートルぐらい離れたところにある、リアクト米沢さんに到着しました。写真に見える様な発酵槽が2基、大きいのと小さいのがありました。

廃棄物を砕いて混ぜるミル、ミキサー

搬入口を入ると、牛のウンチだけでなくて、廃棄された野菜なども全部混ぜて粉々にするミキサーがありました。緑色っぽいのはキャベツでした。これ、写真では分かりませんけど、猛烈に臭かったです!まあ、そりゃそうですよね。

分離された固形分は堆肥として利用

ドロドロになった廃棄物は、洗濯の脱水機の様な仕掛けで固形分と消化液に分離されます。固形分は全く臭わず、これが近隣の農家のアスパラガス栽培などの肥料に用いられているそうです。

発酵槽、中央上部に見える赤いのは攪拌用モーター

消化液は地下に埋設された管を通って発酵槽に入り、嫌気性細菌によってメタンガスへと分解されます。硫化水素の生成を抑制するために多少空気を入れるそうですが、酸素があると二酸化炭素と水まで行っちゃいますから、酸素は基本的には遮断されています。温度は43℃ぐらいが良いそうです。攪拌する方が良いのか、しない方が良いのかなどは色々テストするそうです。この攪拌モーターの電力は、ここで発電された電力を使っているそうです。発酵で温度が上るわけでもないそうで、寒い時は温めるそうです(それも、施設内で生み出した電力による)。大体数週間で完全にクリーンになって、そのまま下水に流すことが出来るので、いっぱいになって止まってしまうことは無いそうです。生成したメタンは上部の半球形ドームで回収されます。

ガス分離装置

生成するガスはメタンだけではありません。余計なガスがエンジンに入るとエンジンが壊れるので、このガス分離装置で純化するそうです。

発電機のエンジン、写真に写るのは案内して下さった、株式会社ハイポテックの高橋さん、ハイポテックがこのバイオガス発電プラントの運用をしています。

そして、生産されたメタンガスは、御覧のエンジンの燃料になり、発電機を動かします。エンジンの回転軸は発電用のダイナモに直結されていて、負荷はマグネットで制御する仕組みだそうです。最大出力は470 kWとのことです。てっきりガスタービンエンジンだと思っていましたが、普通のレシプロエンジンでした。片バンク6気筒、V型の12気筒エンジンで(チェコ製だとか)、スパークプラグも見えました。効率悪そうにも思うのですけど、恐らく小型の設備についてはガスタービンよりも良いんでしょうね。燃焼すると、当然二酸化炭素が出るわけですが、元々バイオマス由来ですから、完全カーボンニュートラル、というわけです。燃料さえカーボンニュートラルならば、いままで通りエンジンを使ったら良いです!自動車だって、何も全部EVにする必要はナシ!
こんなに先進的なバイオガス発電施設が米沢にあるということが驚きでした。全国でもこういう施設はまだまだ少ないそうで、連日全国から視察があるようです。設備のほとんどは輸入部品で構成されていますが、設備の設計や施工は独自にされたそうです。こういう施設を見るのは初めてでしたので、スゴイなあ、という印象ではありましたが、ヨーロッパで大規模に取組まれている施設と比較すると、可愛いモノだそうです。実際、470 kWというのは、これだけの設備にして「まあそんなもの」という小ささです。同じ敷地に太陽電池を敷き詰めてもそれぐらい発電出来そう。
でも、そういうことじゃないんです。循環型農業、さらにはカーボンニュートラルな電力生産の取組み、素敵じゃないですか!ご案内頂いた濱田さんや高橋さんの生き生きした表情も大変印象に残りました。我々が何らかの形で、こうした取組みの進化や拡大に貢献出来たら良いなあと思います。リアクト米沢さんの場合、効率的な運用方法は独自に研究検討していて、大学等と共同しているわけではないそうです。エライ!(っていうか、役に立つことが出来ていない大学の研究者が情けない!?)
ここまでやっても、まだまだ道半ばであることの一つとしては、最初に出てきた牛さんたちが食べている穀物飼料や干し草は、やっぱり全部輸入品なんだそうです(外国の土壌、お日様で育った穀物を燃料を使って輸送している)。昔の牧畜というのは、餌も地域で生産し、家畜が育ち、廃棄物は再び土壌に戻るという完全循環でしたが、今は安い輸入穀物飼料を使う効率的な大規模生産が当然になってしまいました。国産は高い上に品質が安定しない、雨が多いせいで牧草がカビたりする、というのが国産飼料にはなかなか切り替えられない理由だそうです。しかし、稲わらの飼料など研究はされているそうですよ。出来ることなら、地域で生産された飼料で家畜が育ち、そこから食料とエネルギー両方を頂いて、再びそれが土壌に戻って飼料を育てる完全循環、その全てが太陽の光の力で回っている、という仕組みを実現したいものですね。
そしたら、国産家畜飼料の話題が先日放送されていました。
鹿児島、指宿での飼料の国産化の取組みです。天候不順による不作、ウクライナ紛争、急激な円安、コロナによる物流停滞などで、輸入穀物飼料の価格が急騰しているために、早くから取り組んできた国産飼料が十分現実的競争力を持つようになったそうです。上記のカミチクホールディングスさんがスゴイのは、餌づくりに始まって、最後に食肉が提供される外食産業まで多角的に取組んでいるところです。でも、そうした方が、入口と出口がつながって、循環する仕組みを作りやすい様にも思いますね。大変ではあるけれど、分業による効率化よりも、連携によるシステム化が今後の鍵でしょうか。これからは、コストだけではなくて、持続可能であることが優先されるべきファクターになると思います。もちろん、採算性が全くないことには取り組めないので、一歩ずつ理想形に近づいて行って、いつかは東北地域から食料とエネルギー両方を全国に供給できる様になったら良いなあと思います。









2022年3月28日月曜日

ユーチューバーとコラボ

 山形出身ユーチューバーの「しおたん」さんと「アフロりゅうじ」さんとのコラボによる動画がそれぞれのチャンネルで公開されました。

【地球がやばい!!】しおたん&アフロりゅうじが世界を救う!!カーボンニュートラルって一体何?【山形県環境啓発動画】(前編) - YouTube

【地球を救え!】しおたん&アフロりゅうじが世界を救う!!環境を守るための具体的なアクション【山形県環境啓発動画】(後編) - YouTube

こんな世界にも足を踏み入れることになるとは思ってもみなかったですけど、色々経験させて頂いて有難い限りです

正しいとか正しくないとか、優れているとか劣っているとか、そんなことじゃないんですよね。しおたんさんの動画が2日間で3500回以上視聴されていることに驚きました。これを社会へのインフルエンサーと言わずして何をそう呼ぶのでしょう。先日書きましたけど、日本学術会議のウェビナーの視聴が200人ですよ!

しおたんさん、アフロさん、ありがとうございました。今度ともどうぞよろしくお願いいたします!

2022年3月17日木曜日

アマモ

 先日こんなニュースがありました。

海草のCO2吸収量 約1万1000世帯分か 全国の主要港などで推計 | 環境 | NHKニュース

浅い海に繁殖するアマモと呼ばれる水草(海藻ではなくて海草)を日本の港湾に植えることで、二酸化炭素を吸収する計画で、国土交通省が取組み、その削減分を国内企業に対して二酸化炭素排出権として売るというのです。「これって本当に大丈夫?」と思ったので、YUCaNの仲間と議論しました。何が心配かと言うと、植物と言うのは確かに成長期においては二酸化炭素を吸収しますけど、死んで分解されるとまた二酸化炭素を出しますから、生まれて、それが完全に消滅するライフサイクルにおいてはカーボンニュートラルであって、ネガティブカーボンではないだろう、と思ったからです。例えば最初は吸収してくれるけど、死んで分解されたら差し引きゼロではないかと。

それで、農学部の程為国先生からご説明頂きました。今までアマモが生えていなかったところにアマモを繁殖させれば、それは砂漠を草原に変える様なものなので、やはりネガティブカーボンを生み出すと考えて良いということです。ナルホド。それから、死んだアマモは全部分解されるわけでなくて、有機物として海底に堆積するので、ある程度はネガティブカーボンを生み出し続けるのです。例えば釧路湿原の様な場所は、水草が長年堆積して、泥炭(ピート)の層を形成しています。それはいずれ石炭になるのでしょう(人間は使えないぐらい時間かかると思います)。しかし、やはり時間が経過すると、吸収量と排出量がバランスし始めて、ほぼニュートラル状態になるみたいです。例えば白神山地の様な古い森林の場合、成長分と同じくらい枯死と分解による排出があるので、吸収能力は期待できないということです。それで、実際どれぐらいの二酸化炭素吸収能力があるのかを正確に見積ることは非常に難しい、とのことです。

全く理にかなった説明で、納得なんですけど、そうするとやはり心配ではあります。それは、人の心理から来るものです。このアマモの繁殖に取組む方からすれば、その二酸化炭素削減効果を声高に主張したくなるでしょう(過大評価につながる)。一方、それを排出権としてわざわざ購入したサイドからすれば、自分たちはお金を使って二酸化炭素を削減したのだ、と主張し続けたいでしょう。しかし、恐らくは毎年の二酸化炭素吸収能力の変化(低下し続けると思われる)を見積もることはしないでしょう。このニュースには全国でやると年間4万5千トンとありますが、それに単純に年数をかけ算して、「これだけ削減した!」となるに決まっています。

なので、やっぱりバイオマスによる二酸化炭素削減効果については、正確な見積もりを可能とする科学的根拠が不十分であると思います。例えばCCSで地中に埋める場合はこれだけ埋めたと言えるでしょうけど、戻ってくる分もあるバイオマスの場合はそんなに簡単ではありません。もちろん、だからやっても仕方ないと言っているのではありません。注意が必要だというだけです。

2022年1月14日金曜日

そうだったのか!「吉田教授の学べるニュース」

 2月4日(金)19時から、米沢市社会教育課主催のオンライン講座で、代表の吉田がカーボンニュートラルについて一般市民向けに講演させて頂くことになりました。ご関心のある方は是非ご登録ください。

開催日:2022年2月4日㊎19:00~21:00

演 題:学校で教わらない!カーボンニュートラルの不都合な真実!?

内 容:最近ニュースで聞くカーボンニュートラルとは何か、

    世界はどうやって脱炭素社会を実現しようとしているのか、

    そんな疑問を山形大学の吉田教授が深堀り解説!

講 師:山形大学カーボンニュートラル研究センター 代表 吉田 司 氏

会 場:You Tube配信

参加費:無料

参加申し込みURLはこちら

https://forms.gle/1iQxXG6eS7ufdUbV8

2022年1月7日金曜日

最上町ゼロカーボンシティ宣言!

 山形県の北東部に位置する最上町が、新たにゼロカーボンシティ宣言をしました。

二酸化炭素排出量を実質ゼロへ 「ゼロカーボンシティ」宣言|NHK 山形県のニュース

おめでとうございます!パチパチパチ!最上町は、人口約8000人で、その大部分が森林ということで、木質バイオマスの利用を進めてきたそうです。森をしっかり再生しつつ、吸収量も確保することで、カーボンニュートラルを達成出来そうですね。超豪雪地帯でもありますから、雪も活用できると良いと思います。

これで県内のゼロカーボンシティ宣言の市と町は13になるそうですが、最上地区では最上町が初めてとのことです。共に協力してカーボンニュートラル先進県山形を実現していきましょう!

2021年12月2日木曜日

カーボンニュートラルオンライン講座収録進行中!

 先日もお伝えした、山形県委託のカーボンニュートラルオンライン講座。本日は近藤道雄先生担当の第三回目の収録がYTS山形テレビで行われました。

左から聞き手のYTSアナウンサー、熊谷瞳さん(いつもお美しい!)、真ん中が講師をお勤め頂いた産総研の近藤道雄先生、そして私ですが、私は出演しているわけではございません。毎回、収録のお供をさせて頂いております。しかし、当然といえば当然ですけど、近藤先生はお話がとても分かりやすく、上手なので、調整役の私は全く必要ありませんでした。雑談のパートナーをしただけですかね。
今回のテーマは「カーボンニュートラルに向けた国、県等の施策」で近藤先生からは、第6次エネルギー基本計画、産総研FREAやGZRの紹介、日本がリーダーシップをとる国際連携についてお話頂いています。後半は山形大学の栗山先生から山形県の施策についてお話頂きます(後日収録)。完成版は近日中にアップされると思いますので、是非お楽しみに!
吉田担当の第一回目とKarolin先生担当の第二回目は、山形県公式チャンネル「やまがたChannel」に掲載済みです。まだ御覧頂いていない方は是非ご覧ください!



2021年11月26日金曜日

食用コオロギ!

 ちょっと前に、NHKの山形ローカルニュースでやっていて、物凄いショックだったのがこのネタです。

飼育したコオロギを加工 食べ物として発売開始 新庄市の工場|NHK 山形県のニュース

うぎゃー!私は無理です!いやねえ、確かに牛は成長するまでの極めて多くの穀物飼料を食べ、沢山水を飲み、沢山糞尿をし、沢山ゲップをした上に、ちょこっとだけお肉を作ります。タンパク質を作るプロセスとして大変効率が悪い上に、温室効果がCO2の300倍にもなるN2O(糞尿から)や25倍のメタン(ゲップから)を沢山生産する、とても持続性の無い環境負荷の高い食料です。そのトウモロコシや水を人間が食べれば、もっと多くの人がお腹を空かせずに済むはず、牛肉を減らしましょうとはよく言うハナシ。それに対して、昆虫は僅かな餌でタンパク質を効率よく作ります。だから、持続可能で気候変動も抑制する昆虫食を見直そう!とはよく言われることです。イナゴとか蜂の子とか、サナギとか、日本では昔から昆虫食はありました。何を隠そう、私の故郷の岐阜でも、クロスズメバチの幼虫は「へぼ」と呼ばれる高級食です(私は食べたことありません)。さらに言えば、エビとかカニとか、もし陸を歩いてたら昆虫と何も違わないですよね?ウニとかホヤとか、海の生き物ならばもっとオゾマシイものを食べるじゃないですか!

でもねえ・・・。私はてっきり「え、これ本当にコオロギなんですかぁ?」って感じで、粉末化するとか、元の昆虫の姿が全く見えないものなのかと思っていました。ところが、ビデオに出てくるのは、あのコオロギさんそのもの!まあ、バッタと似たようなもの?いや、あの黒光りする羽根がねえ・・・あの「ゴ〇ブ〇」を連想させるでしょ?だから、これは無理だなあ・・・。本当に食べる物が無くなって、お腹が空いたらきっと食べますけどね。でもそうならないことを願っています。来るべき時に備えて、食品を開発する方はもちろん非難しませんし、賞賛しますけど、私はちょっと遠慮します。生涯食べずに済むことを願っております。皆さんはいかがです?

2021年11月25日木曜日

再エネ施設見学

 先日紹介した浪江町のFH2Rは再エネの未来像とも言える施設でしたが、ある意味普通の従来からある再エネ施設を最近訪れていました。山形県内や近隣県にも多くの再エネ施設があります。

まず最初は、家のすぐ近くに建設が進められている「川西ソーラーパーク」。潰れてしまったスキー場の跡地を利用して、なだらかな山を覆う様にソーラーパネルが設置されています。この場所は時々通りがかるのですが、突然ソーラーパネルで覆いつくされていたので驚きました。どれぐらい広いのかこの写真ではよく分かりませんが、25 MWということなので、国内では結構大規模なソーラーファームですね。近くまで行ったのですけど、工事中で入れません。その昔のスキー場ホテルと思われるコンクリの建物がお化け屋敷の様に朽ち果てて、そのままになっています。いずれ見学できる様になるのかも知れませんが、現状は遠くから見るのみです。何しろ雪が沢山降る地域ですから、ソーラーパネルは全部陸からかなり持ち上げられて設置されています。最近の事故を受けて、しっかり基礎の工事をやっていると信じたいですけど、傾斜地ですし、大雨の時に土砂崩れとか起こさない様にして欲しいですね。でも、ふもとにはほとんど住宅などはありません。こういう場所も上手く使わないと、日本ではソーラーを拡充するのは難しいですから、しっかり対策をしたうえでこういう施設を増やしていって欲しいものです。
次は、山形県庄内町にある「立川ウィンドファーム」。元々この地域は立川町だったみたいです。最上川に沿って吹く「清川だし」と呼ばれる風の好立地のため、古くから国内での風力発電推進のための研究もここで行われていたようです。広大な田んぼの中に10基程度、そして周辺の山の上にも10基程度、合計20基程度の風車を見ることが出来ます。1基あたりの出力は600 kWぐらいのようです。「ウィンドーム立川」という施設があり、地域での風力発電開発の歴史を紹介する施設や、電気カーにも乗れる子供の遊び場などありますが、ややさびれた感じで、展示物はちと古臭い感じではありました。まあ、近々洋上風力発電が本格稼働することになるでしょうけど、さきがけの地として、再エネを皆さんに考えてもらう施設を拡充して欲しいものだとは思います。田んぼの中にある風車は、そのすぐ下にまで行くことが出来ます。巨大な羽根がグルグル回る様に、子供たちは「怖ーい!」。確かに、もし落っこちてきたらどうしよう、という感じはします。しかし、その大きさを見ることで、電気にも大きさがあって、エネルギーを生み出すのは大変なことなのだ、ということを子供たちも数字でなくても理解した様に思います。
最後は、福島県奥会津金山町の「道の駅奥会津かねやま」に併設された、「みお里」という水力発電を紹介する施設です。2020年にオープンした出来立ての綺麗な資料館(?)で入場は無料で、絵ハガキのオマケまでくれます(私が行った時点での話なので、もらえなかったらゴメンナサイ)。阿賀野川の支流、尾瀬を水源とする只見川は、高低差が大きい深い谷を流れる川で、戦前からその水力発電利用の開発が進められたそうです。本格的には、戦後東北電力の初代会長となった、あの有名な白洲次郎氏がその開発の指揮をとったんです。
白洲次郎、カッコ良すぎて男の子はちょっと憧れちゃいますよね。あの時代に、あんな国際人がいたこと自体が伝説になっちゃいます。この椅子、マッカーサー元帥に送ったもの(たぶんレプリカ)だそうですよ。座ってみましたけど、座り心地は良くない。白洲次郎の生き様を紹介するコーナーのほか、4K画像のシアターでは、水力発電開発の歴史などを学べます。そしてハイライトは、実は美術館なんです。奥会津の景色などを描いた絵画やステンドグラス、そしてあの片岡鶴太郎氏の絵画も展示されています。
子供たちは、このプロジェクションマッピングによる、只見川の水力発電施設の紹介や、インタラクティブな水力発電の仕組みを学ぶ模型、東北電力管内にある太陽光、地熱、バイオマス、風力などの再エネ施設などの紹介を楽しんでいました。無料でしたけど、結構楽しんでしまいました。近くへ行った時は是非立ち寄ることをお勧めします!
最後は、みお里の近くにある、沼沢湖を訪れました。カルデラ湖だそうですが、只見川よりも200メートルほど高地にあり、只見川とトンネルで結ばれていて、揚水式電力貯蔵が可能な水力発電が地下に建設されているそうです。凄い!電力が余った時には只見川から水を汲み上げてこの湖に貯めて、発電する時には湖の水を只見川に落とす仕組みです。実際大分登りますけど、川のすぐ近くなので、こんなことが可能なんですね。揚水式ダムはとても有効な再エネ電力貯蔵設備になりますが、なにしろそんなのに適した場所は多くはありません。なので、やはり巨大な電池とかの蓄電設備が必要になってしまいますね。
というわけで、近くにこれほど再エネ施設があるということが嬉しい驚きでした。中が見れなくても、斜面を覆いつくすソーラーパネルや巨大な風車が動く様を見るだけでも、脱炭素に向けて色々考えさせられてしまいます。新しい時代の到来を(その困難さも含めて)リアルに感じるためにも、是非足を運んでみることをお勧めいたします。次は地熱発電を見に行きたいと思ってます!






2021年10月30日土曜日

山形県カーボンニュートラルオンライン講座

 皆さん!山形県のカーボンニュートラルオンライン講座(全7回予定のYouTubeプログラム)が始まりました!

【県公式】やまがたChannel - YouTube

是非ご覧ください!

2021年9月7日火曜日

山形からEVトラック

 立て続けにEVの話題になりますが、これは山形からのニュース!

トラックEV化へ走行試験 サニックス(山形)、23年度の事業化めざす (msn.com)

天童市にあるサニックスという会社が、EVに改造された貨物トラックの試験を行ったということで、山形大学の国際事業化センターもその開発に協力しているとのことです。全然知らなかった。

トラックは今でも物流の主力ですが、大きく重いトラックは、大きいディーゼルエンジンで動いていて、当然CO2の排出量も多いです。長距離の輸送をすることもあります。だからこれを全部電気で、となるととても大きいバッテリーが必要になってしまい、簡単にはEV化出来ないという説明。しかし、国内はもちろん、海外でもEVトラックの開発は進められています。重いとはいえ、一方では大きいので、専用設計をすれば上手にバッテリーを積むことも出来そうです。

上記レポートのEVトラックは、実際にはレンジエクステンダーとしての発電用エンジンを搭載していて、ゼロエミッションではありません。さらに、トラックにとって一番大切な荷室にデデーンとバッテリーが搭載されているのはちと問題ですねえ。やはり専用設計で、最初からバッテリー駆動をするEVトラックを開発しなくてはならないと思います(やっていると思います)。とは言え、そもそも長距離移動を前提とする必要が本当にあるかどうかも疑問です。長距離を走るトラックと、市内でコンビニに弁当を配達するトラックでは、一度の走行距離は全然違います。むしろ、都市部で沢山使われている2t程度のトラックを全部電化した方が良いのではないかと思います。ワンチャージで100キロも走れば十分で、荷物を積み替えている間に充電が完了する様な急速充電が必要ですね。

さて、EVトラックの開発は、トラックが庶民の足になっているアメリカで盛んに進められています。異様な形で話題になったテスラのサイバートラックも2022年から本当にデリバリーするそうですが、実はアメリカで一番売れているクルマであるフォードF-150というピックアップトラックのEVバージョン、その名もFord F-150 Lightningも近々発売のようです。

フォード、「F-150 ライトニング」初公開 ピックアップトラック「F-150」のEV版 - Car Watch (impress.co.jp)

その内容には驚くばかりです。馬鹿でかいピックアップトラックは、かの地では生活の道具として定着していますが、当然大きいので大量の燃料を使います。こんなものが、飛ぶように走るわけない、と思いきや、なんと0-60 mph (0-100 km/hとほぼ同じ)加速が4秒なんだそうで、F-150シリーズ最速をうたっています。走行レンジは300マイル(480キロ)ということなので、相当な容量のバッテリーを搭載しているはずです。分からないですけど、恐らく100 kWhを越えます。なのに、一番驚いたのはその価格で、たった4万ドル(440万円)から買えるというのです。色んなものがオプションで、それらを追加すると倍ぐらいになってしまうのかも知れませんが、それでも安い。それから、本来なら巨大なエンジンが納まっているフロントフードの下は巨大なトランクになっているとのこと。一体どこにバッテリーを積んでいるのでしょう?車体の下ですかね。でもそうすると、岩にヒットしたら壊れますよ。それは本来のピックアップトラックの使われ方としては問題ですから、きっとしっかり対策はしてあるのでしょう。15.5インチのタッチスクリーンも強烈な印象ですけど、そんなギミックはどうでもよくて、本当にそんなパッケージのトラックをその値段で作れるのか、俄には信じがたいです。

まあ、これはF-150の話題じゃなかったですね。でも、この通りで、トラックもEV化が進んでいることは間違いないです。大勢の人のために働き、年間の走行距離も長いトラックやバスなどは、優先的に低炭素化を進めるべきだとは思います。


2021年9月2日木曜日

P2G

 先日はV2H (Vehicle to Home)の話題がありましたけど、日本の人って本当にこういう略称好きですよね。

山梨県と企業が水素製造技術「P2Gシステム」実証へコンソーシアムを設立 | TECH+ (mynavi.jp)

P2GとはPower to Gasのことだそうです。太陽光発電等の電力をガス燃料である水素に変換供給する水素のサプライチェーン構築をNEDOの支援によって山梨県で実証するということです。電力からガスだったら、Electricity to Gas = E2Gじゃないの?水素じゃなくて液化アンモニアだったら、Power to Liquid = P2L?さらに粉末状の固体燃料だったらPower to Powder = P2P?いや、そんなのどうでも良いですね。どんな技術に将来性があるのか、確定しない段階ですから、ほんの数年で忘れられてしまう可能性も高いです。まあ、覚えやすいとか、キャッチ―な感じなので、かく言う私も略称を作りまくるタイプですけど、すぐに忘れられる造語とか、学術的には何の意味も無いですわな。流行りです。文化です。上記の山梨県コンソーシアムの名前も、H2-YESだそうで、なんとまあ。

しかし、太陽の国、山梨県は再エネに積極的ですよね。それは素晴らしいことだと思います。先に取組んだ人がエライんです。それは他に波及します。新しいことをしようとすると、すぐに抵抗する人のなんと多いことか・・・。

2021年8月31日火曜日

銚子沖洋上風力発電

 千葉県銚子市の沿岸に大規模な洋上風力発電が計画されています。

洋上風力発電 | 銚子市 (city.choshi.chiba.jp)

秋田県、長崎県でも同様な事業が進められていて、先日秋田の建設現場の近くを通りがかって、巨大な風車の建設が進められているのを目撃しました。平地が少ない日本の国土では、最も安上がりな風力発電の陸上設置は困難です。山の上に風車を建設するよりは、洋上が適しているということでしょう。洋上風力は海底に固定されているわけではなくて、浮動式のようです。釣りのウキみたい。何しろ台風に頻繁に襲われる日本で、それも最近は気候変動のために超大型化していますから、それに耐えるのも大変だと思います。技術者の談では、50年に一度の強風に襲われても大丈夫、とのこと。まあ技術の進歩を信じるしかありません。しかし、技術的問題ではない問題が指摘されているようです。

千葉県銚子市沖で進む洋上風力発電計画 “景観一変”の指摘も | NHK

銚子沿岸の屛風ヶ浦は有名な景勝地で多くの観光客が訪れますが、その景観を壊してしまう問題です。上記レポートには完成予想図もありますが、海からにょきにょきと多数の風車が生えている様な景観は、これまで地域の人が親しみ愛してきた景観の美しさを台無しにするだろう、というわけです。観光収入の低下も予想されますが、心に訴えるところの方が大きいかと思います。

ずっと以前、北ドイツ付近の上空を飛ぶ飛行機の窓から無数の風車が牧草地に設置されている景色を見ました。緑はもちろん綺麗ですが、凄い数の風車が回り、電気を生み出している様は圧巻でした。率直に「悪い」とは感じなかったのを白状します。オランダの風車は有名ですが、それも国土を作るため(水をくみ上げるため)に人が設置したものです。恐らくその時景観に対する悪影響など誰も議論しなかったことでしょう。時間が経ち、むしろそれはオランダを代表する景色の一部になりました。脱炭素に向けて大きく社会が変動しようとしています。未来の世界においては、きっと洋上風力発電も景色の一部に溶け込んでいるのではないかな、と私は思います。

時代の変遷と共に、失われたものもあれば、新たに生まれたものも多くあります。例えばパリのルーブル美術館の入り口のガラスのピラミッドも、登場した時には相当な反発もあったそうですが、今やパリを代表する景色の一つになっています。アパルトマン様式の建物は、数世紀前と変わりませんが、下に目をやると路上を通るのは馬車ではなくて、自動車です。それを悪く言う人はいませんよね。だから、変化に対してそれを全て拒むということではないでしょう。今回の洋上風力の大規模設置については、当然脱炭素という未来志向のモティベーションがあってこそです。それと、さびれていく地域の活性化への期待もあるようです。そうした正の効果も十分議論した上で、地域の人々が選択すべき問題かと思います。仮に銚子の人たちが、景観を損ねるならば計画を撤回して欲しい、と望むならば、きっと他のどこかの地域が手を上げることになるだろうと思います。

2021年6月29日火曜日

カラフルアップサイクル繊維

 内丸もと子さんという方が設立した「カラーループ」というベンチャー会社が、再生繊維からカラフルなプロダクトを生み出す、アップサイクル事業を始めたレポートを見ました。

リサイクルをカラフルに!|おはBiz キーワード解説|NHK NEWS WEB

このNHKのレポートだけでなく、以下のレポートも御覧ください。

テキスタイルデザイナーが起業 廃棄繊維を色で分別しアップサイクル | 繊研新聞 (senken.co.jp)

この内丸もと子さんのインタビューが印象的です。元々服飾のデザイナーさんだったそうですが、作って、売り、使われて、まだ使えても捨てられてゴミになり、消費され続ける衣類に対して「ひょっとして私はゴミを沢山作っているのか?」と疑問に思ったとのこと。そして、子育てが終わったのを機に京都工繊大の博士課程に入学し、このカラフルアップサイクル技術を研究されたそうです。苦節5年で完成させた(まだ高いのが問題の様ですけど)そうで、なんと素晴らしい。

家具などでスカンジナビアンデザインはそれ自体がブランド化していますけど、再生繊維をプレスして作った厚手のフェルトを座面にした椅子とかなかなかカッコ良くて、上手いなあと思いました(例えばこれ)。とは言え、このレポートの通りで、全部の繊維を一緒にして再生すると、中間的な色であるグレーになっちゃうんですよね。もし何度でもリサイクルを繰り返せば、世の中の繊維製品は全部グレー一色になっちゃいます。やはり色というのは、デザインの基本中の基本なので、まずは色が選べるというだけでも凄いですよね。恐らく模様を入れるところまでは行っていないのかな、とは思いましたけど。ゼロから新品を作るなら、どんな色でも模様でも入れられますけど、リサイクルという前提になると、これは容易ではない。そこに目を付けたということですね。服を長らくデザインされてきた人からすれば当然のことなのかなと想像します。それにしても、先日話題にした柿コーヒーも女性社長でした。エコロジーに対するセンスと行動力は明らかに女性の方が優れていますね。

しかーし、結局のところ、まずはリサイクルの対象になる廃品を色分けしている様子がビデオに出てきますよね。それも人力で。それは大変だし、コストが上がるのも当然です。ゴミを減らすのは良いけど、リサイクルがあまりにも高くついてしまうと、リサイクルしたというバリューがあっても合理化出来ません。ここを何とか省力化、自動化出来ると良いですよね。瞬時に色だけでなくて繊維の種類も映像から判別して、自動仕分けする様な設備を開発すれば、リサイクル品をもっとカラフルに出来るかも知れませんね。

2021年6月19日土曜日

コミュタン福島

 

今日は福島県三春町にある「コミュタン福島」に家族で行ってきました。

コミュタン福島-福島県環境創造センター交流棟| (com-fukushima.jp)

5年ほど前にオープンした施設だそうですが、皆さんご存知でした?恥ずかしながら、私知りませんでした。原発事故からの福島の復興拠点の一つとして、同じ敷地に国立環境研究所(NIES)と日本原子力研究開発機構(JAEA)の研究施設、福島県の施設もあります。福島第一原発から直線距離でおよそ50キロ。トンデモナイど田舎にあるので、通りがかりにたまたま見かけることは絶対にないと思います。探して行かないとたどり着きません。行ったことが無い方、超おススメです。是非行くと良いと思います。特に子供連れで。

原発事故の罪滅ぼし的に作られた施設であることは明らかです。特に子供に向けて、原発事故がどんなに大変だったかの記録を残すことと(でもホラー的展示ではないのでご安心を)、原発に頼らない未来への福島の再生を展望する(反省よりも希望)様な施設で、事故後の放射線量や野生動物生態の変遷、温暖化が進むことの地域環境への影響などをデータを元に見ることが出来ます。気候変動とか脱炭素はメインテーマではないですけど、やはり原発のない未来ということで、それらの課題は展示にかなり入っています。最先端の映像施設、インタラクティブな展示などがあります。ど田舎としては想像を絶する立派な施設があり、しかも無料です。今日は天気も悪く、折からのコロナ蔓延の影響もあって、来場者はまばら(両手で足りる程で、ほぼ貸し切り状態)、恐らく説明員の人数の方が多かったです。とても綺麗な施設で、掃除も行き届いており、相当なランニングコストがかかっていることは間違いありません。しかも、データも新しいものでは2020年時点のもので、作りっぱなしでアップデートされていないわけではありません。

というわけで、色々考えさせられてしまう施設ではあるのですけど(存続できるかな?)、あって良いか悪いかでいったら、当然良いです。誰も来ないとしたら全くもったいないです。アクセスは決して良くないですけど、行ったことない方は是非どうぞ。家族でエネルギーの未来、持続可能な社会を考えるとても良い機会になるでしょう。もちろん、学生さん同士で行くのも良いと思いますよ!

以下、少し写真です。

入口すぐのところに、事故後の福島第一原発の模型があります。綺麗なジオラマではなくて、滅茶苦茶に壊れた施設の状態を再現しているところが良い。
この球状シアターが圧巻です。直径12.8メートルの球体スクリーンの中に入ります(廊下がガラス張り)。360度全方位のスクリーンに映像が映し出され、音響も素晴らしく、没入感が凄いです。5歳の息子はあまりの迫力に怖がってしまいました。今日のお話は2本、地球の中心への旅(地震のメカニズム)と、宇宙誕生の歴史でした。最初のナレーションはピーターバラカンさん、二本目のナレーションは竹中直人さんだったと思う(声がそうだった)のですけど、そうですか?この映像体験だけでも500円ぐらい取られるのが普通と思いますが、無料だなんて、凄いです!
放射線に関わる展示も多数ありますが、注目はやっぱり再エネです。色々インタラクティブな仕掛けがあり、子供は大喜びです。説明はほぼバイリンガルですから、今度留学生が来た時には絶対連れて行きます。
極めつけはプロジェクションマッピングによる3Dフクシマ。少し低いところから水平に近く見ると、本当に立体的に浮き上がって見えます。この10年間での放射線量の分布や野生動物の生態域の変遷、再エネ施設の拡大などが投影されます。




2021年6月16日水曜日

柿の種コーヒー

 柿の種からコーヒーを作れるそうです。いや、コーヒー味の柿の種とか、コーヒーによく合う柿の種とかではありません(ちなみに、カフェオレ味の柿の種は売っていました。モーニングサービスで有名な岐阜のコーヒー文化ですが(私の故郷は岐阜です)、モーニングの時間帯以外ではコーヒーに柿の種の小袋が付いてくるのは当たり前です。つまり、元々柿の種はコーヒーに合うということ?)。岐阜県海津市にある、地元の富有柿から柿酢をつくるリバークレスという会社が、余ってゴミになってしまう柿の種(本当に、「種子」の意味)からコーヒー(のような)飲み物を作って販売している、という話です。

柿の種で焙煎コーヒー ノンカフェインで酸味ある味わい、リバークレスが商品化 | 岐阜新聞Web (gifu-np.co.jp)

富有柿の“柿の種”コーヒー 2年かけ完成 女性社長「ストーブの上の“種”」見て思いつく フルーティーな味わい 岐阜・海津市 : 中京テレビNEWS (ctv.co.jp)

そもそも、コーヒーって、コーヒーチェリーと呼ばれるサクランボにも似た果実の種で、それを乾燥、焙煎し、挽いてお湯で抽出したものです。ちなみに、コーヒーチェリーの生の実も食べることが出来るそうですよ。

この柿の種コーヒーを開発した伊藤由紀社長は、使い道が無くて捨てるしかなかった柿の種をたまたまストーブの上にのせて焙ったら、いい香りがしてくるので、これでコーヒーが作れるのでは?と思ったそうです。コーヒー豆と同じようにはいかず、焙煎方法を試行錯誤して製品化に至ったとのこと。今は試験的な販売とあって、1杯分が432円とかなりお高いですが、これが普及したら廃棄物の柿の種を減らせるだけでなくて、コーヒー豆の消費量を減らすことも出来るかも知れませんね。というのも、コーヒーがどこで生産されているかご存知でしょうか?

コーヒー豆の生産量国別ランキング!世界1位の国は? | DRIP POD (drip-pod.jp)

私は一日中コーヒーが欠かせない人なんですが、安くておいしいので、AEONのトップバリュー品をいつも飲んでいます。しかしそのコーヒーがどこから来るのか知りません(ベトナム、ブラジルと書いてありました)。綿花やカカオ豆でもよく話題になりますが、果たして生産者にちゃんとした対価が渡っているのか心配です。経済の拡大に伴い、特に中国ではコーヒーの消費量が大きく伸びていて、コーヒーの生産量も増え続けています。資本主義経済の競争原理の当然の結果として、より良い品質を求める一方で、その付加価値は可能な限り低く見積もられます。すなわち、強者(買い付ける側)による価格の支配が起こり、生産者は極めて厳しい状況に追い込まれ、大変な無理をして生産を続けることになります。土地にも大変な負担を強いることになります。農薬や化学肥料の大量使用、そして児童労働の問題。明らかに持続性が無い上に、貧困国のコーヒー農場で労働する子供たちは学校にも行けず、その国を将来豊かにするための学習の機会を奪われてしまうのです。だから、これは廃棄物の利用が出来て良かったね、ということを遥かに超えて、素晴らしい取組みだと思いました。コーヒー豆の消費が減ったら貧困国が余計に困るじゃないか、という心配は無用です。まずは、生産者をいじめたりしないフェアトレードが必要ですし、消費者(EUが1位、米国2位)は持続可能な生産方法をとらない生産者からは買わない、そのために必要な出資をする、などして必要な対価が生産者に行きわたることが必要です。そうすれば、生産者も豊かになり、子供たちは学校に行き、将来自らの地域を発展させるための力になります。一次農産品の生産だけでなく、加工品にも取り組んでより付加価値の高い生産に取組むことも可能になります(但し発展のための発展でなくて、持続可能であることが大切ですよね)。

さて、山形で何が出来ますかね?山形も庄内柿が有名でしたね。おっと、種無しだった!種がゴミにならないからもっとエコですか?サクランボ?種がいっぱいですね。チェリーだけど、コーヒーチェリーとは全然違うな。山形の農業関係の皆さん、何かお困りのことはありませんか?

2021年6月1日火曜日

アイガモロボ続々報

 過日お伝えしたヤマガタデザインのアイガモロボが、再びレポートされていました。動画で実験の様子を見ることが出来ます。

機械で雑草や害虫を防げ!アイガモロボの実証実験 山形県朝日町(FNNプライム)

現場は先日その写真を掲載した椹平(くぬぎだいら)の棚田です。私が写真をとった翌々日(5月31日)に実験があったんですね。見れなかったのが惜しい!アヒル(アイガモじゃないね)の風船を取り付けて、より「らしく」なりましたかね?飾りを付けるにしても、ソーラーパネルの邪魔になってはなりません。稲苗の上からかき混ぜるスクリューって大丈夫かと思っていたのですけど、やっぱり苗をもぎ取ってしまうことがあったんですね。でもそれも改良されて問題なくなったとインタビューに答えています。ちゃんと進化しているということ。年に一回しか実験出来ないのが大変だと思います。いずれ期待通り製品化されてあちこちでアイガモロボを見かける時がやってくるのでしょうか?

2021年5月29日土曜日

お米のプラスチック

 米どころ新潟で廃棄されるお米を石油系樹脂と混ぜたバイオプラスチックを使った食器類を製造販売しているメーカーがテレビで紹介されていました。

バイオマスレジンホールディングス (biomass-resin.com)

マイクロプラスチックによる海洋汚染が問題となっていますし、フードロスの問題もあります。お米を使うなんてちょっともったいない感じはしますけど、食べられなくなったなら廃棄するよりこうして利用した方が良いです。バイオマスをエネルギー転化するのは最後の手段で、極力マテリアルとして利用することが望ましいですね。

事業内容を見ると、コメとかコーヒーとかそばとかの食糧だけでなくて、木材、竹などを使ったプラスチックもあるようです。コメのスプーンでコメを食べる、なんてちょっと良い感じですよね。実際テレビで紹介されていたのも、百貨店でちょっと贅沢な品物として販売されている感じでした。モノが悪くても我慢して使うのが脱炭素への取組みではなくて、ちょっと手間とコストがかかっても、脱炭素に向けた製品が、これまでより、この方が良い、と思える付加価値になる、ということですね。脱炭素に貢献するのは、最も進んだ成熟した生き方、皆が目指したくなる生き方、そうなって欲しいです。最後は徹底的に無駄をなくす、というところに行き着くのかも知れませんが、脱炭素へのシフトを誘導するためにも、この「新しい価値」というセンスはとても良いと思いました。

しかし、技術的観点からは、生分解性プラスチックとか長期使用大丈夫?とか思ってしまいます。一方、割りばしが環境に悪いと言って、合成プラスチックの箸に置き換えて、それを毎回温水、洗剤で洗っていたら、それは本当に環境に優しいのか?間伐材に使い道を与え、最後はバイオ燃料になる割りばしはそんなに環境悪?と思ってしまいますよね。日本のそば文化、そばを食べるには割りばしが一番、なんせ滑りません。そばを一番おいしく食べられる。しかも割りばしは生分解性ですよ。昔からやっていることが絶対に環境に悪い、とは限りませんよね。

2021年5月26日水曜日

消火活動だって、脱炭素です!

 東京消防庁が電気モーターで放水する「スマートポンプ車」を全国で初めて配備したそうです。

モーターで放水「スマートポンプ車」全国で初配備 東京消防庁(NHK)

エンジンがかかっていない状態で、1時間放水する能力があるとのことですから、相応に大容量のバッテリーを積んでいるものと思います。ただ、それをどうやって充電するのか?EVの様に外部から給電するのですよね?エンジンで充電だと意味ありませんので。こんなところでも脱炭素。消防車が頻繁に使われるのは望ましくないですけど、火事そのものでなくても、消火活動でもCO2が出るというわけですよね。静かなのもメリットでしょう。

雪国で生活していますと、車やバイク以外にも内燃エンジンを備えた道具を持っています。除雪機です!あと、うちにはエンジン式の高圧洗浄機もあります。近所には芝刈り機を持っている人多いですね(2サイクルエンジンがいまだに主流)。これら、力の要る大変な作業なんですよ。ウチの除雪機は、単気筒400cc空冷OHVキャブレターエンジンで、いまどきバイクだって使わない旧式エンジン。触媒も無いので、排ガスはとても臭いです。しかし、パワフルなんですよねえ、ガソリン。いつの日か電動除雪機を充電している自分が想像できません。高圧洗浄機は、最近コード式電動のケルヒャーに換えましたけどね(調子いいです)。除雪機など、恐らく必要なところにはガソリンエンジンは残ると思いますが、やれる限りの脱炭素化は進んでいくのでしょうね。


還暦

 私、1966年生まれ、丙午(ひのえうま)です。2026年になりましたので、還暦を迎えました。すなわち、今1歳です。あと何年生きられるでしょうか?ひとまず、60年で色々経験させてもらい、色々なことを学び、考え、行動することが出来るようになりました。出来ることが増えた一方で出来なく...