このブログについて

国立大学法人山形大学工学部教授の吉田司のブログです。2050年までのカーボンニュートラル社会実現に向けて、色々な情報や個人的思いを発信します。発言に責任を持つためにも、立場と名前は公開しますが、山形大学の意見を代弁するものではありません。一市民、一日本国民、一地球人として自由な発言をするためにも、所在は完全に学外です。山形大学はこのブログの内容について一切その責任を負いません。

2025年5月7日水曜日

トランプ

 もちろん、カードゲームではありません。あの人です。

「トランプ大統領再び」は、しばらくお休みしていた間に起こった一番大きな出来事でしょうね。このブログの主題であるカーボンニュートラル、持続可能な世界、という目標に対しては大きく後退し、元々難しかったこれらの目標の達成がもはや不可能になったとさえ思える様な変化が急速に進行していると感じます。もう万策尽き果てたとさえ感じて、希望を語る力もありません。今の幸せが一体いつまで続くのか?人類は簡単に絶滅したりしないと思うけど、人が世界の覇者となった、私たちが記憶する世界はあっさり終わってしまうかも。何も準備していなければ、地獄に真っ逆さま。いつまで逃げられるか、どこに逃げるべきかは分からないけど、疎開する準備をした方が良いか?

人が好きで、人を理解したくて、自分も人らしくありたいと思っています。自分にとって、自然科学と社会科学と人文科学には境目が無くて、色んな知識がパズルのピースの様に入ってきて、それを組み立てて「世界とは何か?」を知ろうとするのだけど、自分の経験も知識も少なすぎて、足らないピースが多すぎて、根拠の無い「希望」に逃げ込むナイーブな私。心の奥底では性善説を信じていて、善の力は必ず勝利すると思っているナイーブな私。自分がダメなヤツでも次の世代はもっと賢いと信じている無責任且つナイーブな私。そんな自分よりもさらに経験・知識が少ない上に不勉強且つ超ナイーブな人たちが世界には大勢いるとも思う。信じたいことだけを信じて、現実から目を逸らすことが「夢見ること」「希望を持つこと」なのか?そうやって「何もしない」ことで世界は一直線に滅びへと向かって行く耐え難い事実。でも結局自分に出来ることなど何も無い様で、60年近く生かさせていただいたオッサンとして、次の世代の伴走者である先生として、そして父親として、自己嫌悪なのです・・・。

「知の巨人」みたいな方々の言説には素直に耳を傾けて、「これは一体何なの!?」「なんでこうなるの!?」「これからどうなっちゃうの!?」という疑問へのこたえを探し求めています。その人たちがどれくらい私よりも経験と知識に富んでいるのかは分からないし、ナイーブに信じちゃうのもイケないのかも知れないけど、やっぱり自分よりもずっと先を見ていると感じる人がいます。国外はさておき、日本人だと佐藤優さん、古賀茂明さん。「うーん」と唸らされます。最近読んだ古賀さんの論説を2つ紹介します。

145%の関税で中国が屈すると考えたのは甘かった…トランプ大統領が知らない「粟と歩兵銃」の精神 古賀茂明 | 概要 | AERA DIGITAL(アエラデジタル)

中身は是非見て下さい。自分が言うのも生意気ですが、「その通り!」と膝を叩きまくりました。トランプさんは、そしてそれを支持するアメリカ国民も、無知です。中国、中国人を全く分かっていない。自分たちの弱さも分かっていない。カネも力かも知れないけど、人の命も力です。日中戦争でも、ベトナム戦争でも、人の命そのものが武器になりました。中国を見くびった日本はとても痛い目に遭いました。ロシアも人の命を大変軽く扱い、それを武器として大量消費することが今のウクライナの戦争でも明らかです。絶対数だけでなくて、どう扱うかも重要なので、インドは中国程の脅威にはならないかも知れないけど、人口の力は物凄いです。だからインドもどんどん怖い国になる。アメリカやヨーロッパは民主主義の正義に負けるので(私はそっちが良い!)、人口が3億あっても消耗品扱いは出来ません。だから先に音をあげるのはアメリカです。でも、人の命を軽く扱うのは嫌、負けて良い。アメリカが貧しかった頃を覚えている人はもういない。豊かな暮らしに慣れ切った人はそれを失うことの痛みに耐えることは出来ない。でも中国のリーダーは貧しかった頃の中国を生きてきた人たちです。「Xiaomi = 小米 = 粟(あわ)」の話がへえー、でした。日本を蔑視する時に「小日本 = Xiao Riben」と言うので、そっか「小米!ちっちぇえアメリカ!」とアメリカを見下してXiaomiか!と一瞬思ったけど、中国語でアメリカは美国(Meiguo)なんですよね!そもそも何で日本語でアメリカは米国なんですかね?中国人はアメリカ大っ嫌いなのに何で美国?教養が無くて知りません。(あ、すいません。中国人がアメリカ大っ嫌いは違うと思います。)

さらに凄かったのがこちらの論説。

米中「関税戦争」最悪のシナリオは“台湾有事” 米国は戦わず日本の自衛隊が“最前線”に立たされるリスクも 古賀茂明 | AERA DIGITAL(アエラデジタル)

トランプさんも、一旦上げてしまった拳を下げることは容易ではない。でも中国はアメリカの脅しに絶対屈しないから、トランプさんが「いやあ、習近平はマブダチだからさ、アイツを困らせたくないんだよね」とか言って全部取り下げればともかく、この関税戦争が本当の戦争に発展する危険性は極めて高いです。衝撃なのは、これってまさにアメリカが望むこと、というハナシ。台湾メーカーも、韓国メーカーも、日本メーカーも、先端半導体は全部アメリカで作らせる。中国に渡さないためには早々に台湾の工場を潰せばいい。中国のミサイルで。アメリカはきっと中国を非難しまくるけど派兵しない。ウソでしょ!?本気で言ってんの?日本も同じ扱い?と耳を疑うものの、確かにスジが通る!最低の人種、人間性のカケラも無い連中が考える様なこと、と思いつつも、それこそが人間性か?と益々人が分からなくなるのでした。アメリカ人も、中国人も、私の友人には全く当てはまらないんですけどね。リーダーが狂人だからこうなるのか?自分自身も含め、全ての人の本性がこうだからなのか?ならば我々は進んで破滅への道を選んでいる様に思える。それとも、個々の人はやはり善人なのに、どうにも出来ない魔の力が人々を破滅へと追い込もうとしているのか?私たちはその魔物に打ち勝つことが出来るだろうか?

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