このブログについて

国立大学法人山形大学工学部教授の吉田司のブログです。2050年までのカーボンニュートラル社会実現に向けて、色々な情報や個人的思いを発信します。発言に責任を持つためにも、立場と名前は公開しますが、山形大学の意見を代弁するものではありません。一市民、一日本国民、一地球人として自由な発言をするためにも、所在は完全に学外です。山形大学はこのブログの内容について一切その責任を負いません。
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2023年5月9日火曜日

男性目線

 先月末に、2回に渡って「”男性目線”変えてみた」というタイトルのNスぺが放送されました。しょっちゅうNHKの番組を話題にするので、「お前はNHKの回し者か!?」と思われる方もあるかも知れません。しかし、相当反響を呼んでいるようですね。実は世の中のことの多くが男性基準で決められていることに、当の男性が気づけていないという問題は、世界的に共通するところですが、特にこの日本ではヒドイ。御覧になっていない方は、是非NHKオンデマンドで(やっぱりNHKの回し者?いや、私は実はオンデマンド利用しておりません。録画しています。)

第1回は主に医療のこと。男女同じ扱いであることが社会的に求められる昨今ですが、こと体の仕組みについてはやはり性差はあり、同じ扱いは不適切というわけです。しかし、差別すべきところで適切な差別が行われておらず、医療的な診断法や処置が男性を基準に作られているために、女性に不利益を生じているというのです。これについては、特集記事もあります。

シリーズ“男性目線”変えてみた第1回 性差医療の最前線 - NHKスペシャル - NHK

番組見なくても、この記事でも分かります。これはこれで、知らなかったことも多かったし、面白かったです。家族にも大切な女子がいますし、是非医療の現場では公平であるために差別して欲しいものです。さらに言えば、性差以外の差も当然ありますよね。年齢や生活習慣。そもそも一人一人違って当たり前なわけで、理想を言えば一人一人に適した診断、処置を行って欲しい。まあ一番コストがかかるわけですけど。

さて、実はもっと面白かったのは(私の意見)、第2回目「無意識の壁を打ち破れ」で、特に男性が意識出来ていない社会的な差別を扱っています。特集記事が以下にまとめられています。

【#BeyondGender】4月30日(日)夜9時放送の「NHKスペシャル」で「“男性目線”変えてみた 第2回」が放送されます。

最初に出てくる、スウェーデンの除雪の取組については、別個特集記事があります。

【NHKスペシャル】ジェンダー平等の先進国・スウェーデンの取り組み|“男性目線”を変えて社会が変化

まあ、こちらは「ふーん」という感じでした。女性ももちろん自動車を運転します。でも、高齢者や子供にとっては、歩道を優先して除雪して欲しいのは当然ですよね。転倒事故が減って、医療費削減できたとか、それはまあ、こういう取組みを合理化する理由ってことでしょう。

一番学び、気づき、反省すべきは特に仕事における性差別、男性が無意識のうちに作り、女性を排除すると共に自らを(不当に)守ってきた壁です。OBNという言葉が出てきます。まさにそれ、それなんです。これに胡坐をかいでいる男性(特にオッサン、ジイサン)の何と多いことか!ええ、弱い男性はそこに入れないんですよ。具体的には妻がいて、家庭の仕事から解放されて、仕事100%の生き方を許されている男性が、能力は低くても有利な立場になりますから、それによって築いてきたOBNなわけです。ハイ、だから退場してもらうしかないんです。等の本人は、そのことに気付けてさえいないですから、やることなすこと間違いだらけ。何も変わらないどころか、どんどん悪くしている。

この第2回の内容について、杉江美樹さんという方が、解説、コメントしています。

DE&I変革のカギは"OBN"の解消〜NHKスペシャル「"男性目線"変えてみた」まとめ|杉江美樹|note

うん、その通りだと思いますよ。変な誇張とか、過剰反応をしているとは思いません。一連のハナシで大変不都合を感じ、感情的に反発したくなる(OBNの恩恵にあずかっている)男性も多いでしょうね。でも、この通りなんですよ。分かっていて、思わず目を背けたくなる痛みを感じる男性にはまだ希望があります。タチが悪いのは、気づいてさえいなくて、権力の中枢に居座ってしまっている男性です。

それで、ここらでやめとかないとならないんですけど、大学のハナシも出てきますよね。そーう、その通り!当方からすると、紹介されている国内大学の事例は、それでも羨ましい限りなんですけど、こんなのまだまだ。日本のガラパゴスぶりは凄いですよ、学術も、政治も。OBNを基礎とする世襲の様な人事。女性枠、というといつも学位とりたてのひよっ子ばかり(ゴメンナサイ)。そりゃあ、オッサンが手名付けられますよね。言いなりです。むしろ、男性教授が頭が上がらないぐらいの凄い女性教授が欲しい。せめて1/4。そしたら、文化が変わりますよ。男性か女性かでの差別なんて絶対出来なくなる。今は「女性を守るために」という名目で逆に女性を差別しまくる人がいるんです。例えば、育児のための支援が女性に対してだけ与えられるとか、オカシイでしょ?

「いやあ、女性は研究する時間が無いでしょ」とか「女性じゃ研究費取れないでしょ」とか「女性増やすと論文減るでしょ」とか平気で発言する、信じがたい様な化石男子もいました。それが全て間違っているのは、ちゃんと証明されています。過渡的に上記のようになったとしても、必ず良くなります。多様性こそが進化の仕組みです。目標が一つの時は、同質な人材を揃えることで目標達成へのスピード、効率は上がるでしょう。しかし、そういう組織は変化する能力を失うのです。高度成長期の日本は一つの方向を向いていた。男性中心の社会も、年功序列、終身雇用も、その時は機能したんですよね。でも、今は完全に邪魔なものになっている。自分とは違う人、扱いにくい人、すなわち自分には無い能力を持っている人、を上手くリードし、活用できる人こそが優れたリーダーですよね。でもOBNにどっぷり浸かってきた人には無理。だから静かに退場して、まずは女性にリーダーをお願いしましょう。(え、具体的には誰とか全然言ってませんよ!)

2023年4月21日金曜日

宝もの③

 またしても、宝ものを頂いてしまいました。ありがとう!(ケーキはもう食べちゃったけど)

昨日、57歳になりました。この歳になると、誕生日はあまり嬉しくないのですけど、昨日はサプライズの連続でしたね。忙しくバタバタしていたところに、オレグさんがケーキを持って学生たちが私のオフィスにやってきて、オレグさんが独特のトーンで、Happy Birthday to You!"と歌ってくれました(誰かにビデオ撮って欲しかった!)覚えていてくれたのね、嬉しいです。

それから、先日までドイツに行っていた中村君から「これ、鶴さんからです」と頂いたのは、クロアチア産のネクタイ(写真のやつです)。なんでも、クロアチアがネクタイ発祥の地なんだそうで、クロアチアで買ってきてくれたそうです。鶴君はうちの研究室で博士論文研究をやった2018年卒業生ですが、今はオーストリアで炭酸ガス還元関係の仕事をしています。中村君が帰国前にリンツに行って、鶴君に会った時に渡されたそう。この仕事をしていると、世界中に研究仲間がいることを嬉しく思いますが、世界中に次世代の研究者となる息子や娘がいるのはもっと嬉しいですね。

そして、家に帰って晩御飯を作りましたが(誕生日でも作るのは私)、家族が花束とケーキを買ってきてくれました。本日二度目のケーキ!ウっ!いや、その時の写真、宝ものの子供二人と映っているデレデレの写真もあるのですが、さすがにそれはここに載せるのやめておきます。大学の子達も、ウチの子達も、こうした幸せと平和が続く世界に生きて欲しいと強く願います。


2023年3月10日金曜日

宝もの②

 今年度研究室を巣立っていく学生から、ものすごい宝ものを頂きました。あまりにも嬉しくて、泣けてしまいます。ちょっと自慢話になってしまうけど、お許しください。30年近く大学の先生をやっていて、こんな素敵な贈り物を頂いたのは初めてです。


こんな感じです。私がよく着てるような、フード付きの黒いパーカーなんですけど、完全オリジナル!それも学生たちが心をこめて作ってくれたことがひしひしと伝わってきます。今、こう書いている間にも目頭が熱くなってしまいます。大げさじゃなくて、本当にそれぐらい嬉しかったんだよ!みんなありがとう!
なんたって、背中の「名言7選」に感激してしまいました。笑いが出るほど、良く言う迷言(?)をピックアップしてくれました。確かにいっつもこんなこと言ってるよね。君たちがどれぐらいよく見ているのか伝わってきました。恥ずかしいのと嬉しいのと…。いっつも厳しいことばかり言ってる吉田先生ですが、伝わってるんだなあ、と思えたことが嬉しい。いつも悩み、どうしたら良いのか、この歳になってもまだ試行錯誤ですけど、少しだけ自信をもらえました。君たちとちゃんとつながっているんだ。
あまりにも素晴らしくて、もったいなくて、とても着れません。本当は着て自慢したいけどね。これはずっと宝ものにして、大切にとっておきます。自分が苦しくなった時は、きっとこれを見て頑張ります。本当の宝ものは、君たちだね。良い世界をつくって下さい。チャレンジに溢れ、充実した幸せな人生を送って下さい。時々は便りをください。
自分は幸せ者だ。あー、本当に泣けてきた。ありがとう!


宝もの①

 先日(2023年1月25日)、米沢市立北部小学校の6年生の皆さんに、「SDGs・地球温暖化・カーボンニュートラルについてみんなで考えよう!」というテーマで特別授業をさせて頂きました。そしたら、60人以上の子供たち全員からお礼の手紙、感想文を頂きました!手書きでびっしり書いてあって、熱心な子は2ページに渡っていました。全部読ませてもらいましたよ!

「自分たちのせいで地球が大変なことになり、他の生き物が死んだりしていることがショックだった」「ゴミを拾おう、プラスチックを出来るだけ使わないようにしよう、節電、節水を心がけよう」などに加えて、「どうして不平等が起こってしまうの?」「ウクライナとロシアの戦争が早く終わって欲しい」「このことについて、家族で話をしたい」など、まさに我が意を得たりで、子供たちが熱心に学び、素直に受け止めて、考えていてくれることが良く伝わりました。また、本当は対面でやる予定が、私がインフルにかかってしまったために、急遽オンライン開催になってしまったのですが、そのためかも知れませんけど「これからも、お体に気を付けて、お仕事頑張って下さい!」「ありがとうございました!」の言葉を沢山もらって、本当に涙が出るほど嬉しかったです。この手紙は宝ものです。みんなありがとう!

米沢市の青木さん、この特別授業の開催にご尽力いただきまして、本当にありがとうございました。この手紙を見て、心からやってよかったと思いました。子供たちの感受性の高さ、素直さ、真剣さに感銘を受けました。しっかりと伝わっていると感じますし、これからのこの子達の学びと成長に役に立てたように思います。きっとこの子達が大人になる時、今までの人たちに出来なかった幸せが持続する世界をつくっていってくれると、そう信じられる気がします。これは、是非続けましょうね!中学生になったこの子達に再会して、もっと話がしたいですし、次の子達とも会いたいですね。

60ページ以上の手紙、丁寧に色まで付けてある子も

授業風景はこんな感じだったそうです、会えなくて残念でした!

2022年12月21日水曜日

ドミトリー・トレーニン氏

 前回の話の続きですが、ロシアの政治学者、ドミトリー・トレーニン氏のインタビューを是非ご覧ください。

ロシア「敗北すればすべてが失われる」プーチン政権の賭け | NHK

まさに、これなんです。トレーニン氏のいう様に、ロシアがこの戦争に負ければロシアという国家の存亡さえ危うくなるのです。ロシアと西側諸国の関係は既に壊れていて、戦争の前に戻ることはない、という言葉が大変怖いです。でも、恐らくその通りです。親ロシア的なウクライナに戻ることも決してないでしょう。「プーチン大統領はウクライナから反ロシア的なものを排除したい」とトレーニン氏は言いますが、それが実現されることがあるのなら、オレグさんは故郷を失うことになります。世界は深刻な分断を許してしまいました。トレーニン氏は停戦交渉も現実的ではない、と断言します。どちらかが敗北を認めるまで戦争が続くとしたら、恐らく米国を中心とするNATOが敗北することはあり得ませんから、ロシアが壊滅することになります。でも、それは先に書いたとおり、核武装した恐ろしく巨大なテロ組織を生み出すことになるのです。だとすれば、たとえ双方が戦術核の使用に踏み切ることなくこの戦争が終わったとしても、早晩核を使った大量殺戮が行われることになります。もはや、カーボンニュートラルとか、持続可能性とかに取組むことも出来なくなります。

今日、ウクライナのゼレンスキー大統領は開戦後初めて渡米し、バイデン大統領と対談するそうです。一層の武器供与を求めてのことです。戦場で死ぬのはウクライナの兵士ですが、既に米ロの戦争となっていることは明らかです。バイデン大統領にこの戦争を終わらせる意志は無いのでしょうか。ロシアが停戦するためには、西側諸国が相応にロシアの要望を受け入れることが前提となります。EUにも北米にも、そして日本にもそれを受入れる様な考えは全く無さそうです。

私は太平洋戦争終結からおよそ20年後に生まれました。高度成長期を経てどんどん豊かになっていく日本の中で大人になり、バブル崩壊を経験して、行き詰まる日本も見てきましたが、ここまで世界が悪い状況になることには初めて直面しています。歴史の記録でしか知らないことではありますが、あれ程の犠牲を払った大戦争からまだ100年も経たないのに、世界はこの様な深刻な対立を迎え、もはや戦争を平和的に終結する方法は失われたかの様に思えます。こんなふうに、世界が終わりを迎えるとは思ってもみませんでした。若い人たち、我が子、そしてまだ生まれたばかりの命に対しても、こんな愚かな大人たちが世界を悪くしてしまったことを、どう償って良いのか全く分かりません。

このトレーニン氏の言うことも、やはり誤りだと信じたいです。どうにかして、この戦争を終わらせる方法はあると信じたいです。

2022年4月15日金曜日

JR東日本「ロシア語案内隠し」を通して見える日本人

 皆さん、このニュースをご存知でしょうか?ぶったまげて、最初笑ってしまいましたが、何とも悩ましいニュースです。

JR東日本 駅のロシア語案内板 覆い隠すも批判受けて元の状態に | NHK | ロシア

JR東日本の駅には、ロシア語での案内標識もあるそうですが(さすが東京)、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まり、幾人かの乗客が「不快だ」と言ったとかで、その標識を「調整中」と書かれた紙で覆ったそうです。JR東日本ともあろう、大きな会社が。そして、逆にSNS上で「それは差別だ」という批判が相次いで、「やっぱりやめます」とその覆いを取り除いた、というニュースです。それだけのこと?と思うかも知れませんが、そこに今回の事態に対する日本人の本当の反応と、自らに明確な判断基準が無く、「お客様本位」で流されてしまう、全体主義的な怖さが隠れていると感じました。

どっちが正しいのか?といえば、言うまでもなく良識のある判断は、何もしない、ということであったと思います。見たわけじゃないし、私はそこに関わっていませんけど、SNS上での反発の方が当然です。繰り返し書いていることですが、ロシアによる軍事侵攻は非難されるべきことですが、それをもってロシア人は悪だ、ロシア人なんて見たくない、そいつらが話す言葉が日本の路上にあるなんて不快極まりない、というのは完全に間違っています。今の状況を見れば、ウクライナの人々への同情とロシアの蛮行に対する憎悪を禁じ得ないのは当然ですが、背景を学びもせず、過去と未来に思いを馳せることもせず、単純に善悪を二極化して自らの正義感に燃えている人は、世界に対立と憎悪を広めて、反省もせず、世界を戦争の時代に引き戻すことに加担してしまう人たちです。もちろん、紛争の解決手段として暴力を振るったロシアが非難されるのは当然ですが、この様な事態を招いたことについてはアメリカやEU、そして日本も同じぐらい罪を犯してきたということを理解すべきです。

JR東日本ほどの大きな会社であれば、社内には良識のある知識人も少なからずいらっしゃると思います。現場が「お客さんから苦情があるんで、隠そうかと思います」と言ってきたとして「いや、それはマズいよ」と制止する人はいなかったんでしょうか。お客様本位というよりは、ただただトラブルを避けたいだけの、思考停止状態における反射的反応としか思えません。でもきっと1日ぐらいはかけて、わざわざ覆い隠す紙を準備して、いくつもある標識を隠す作業を職員にさせたのですよ!JR東日本には「こうであるべき」という様な思想やその主体が存在していないということですね。SNS上での反発を受けて「差別であるという誤解を与えないために」という苦し紛れの説明をするのも、同様に反対方向の反射的反応をしたに過ぎず、結局どうあるべきと考えているのか、に対する思考はそこに入っていないようです。

それだけのこと?と思うことなかれ。この一連のドタバタからは、日本人の典型的な行動様式とその危険性が見えてきます。多様性を許容するキャパシティーが無く、依存と甘えが強い日本社会においては、思考停止して主流に従う全体主義に陥りやすいです。今回の戦争で、ロシアが悪、アメリカを中心とする西側が善、という単純な二極化を強調すれば、それが一番分かりやすく、考えないでそれに従っておくのが無難だ、となります。もちろん、世界からロシアを消去することで、世界の秩序と平和が保たれるわけではないのです。「和」という言葉が大好きな日本人(私は、ある意味では好きですが、実際目の当たりにする範囲においては嫌いです)。事なかれ主義、多勢に無勢、目先の対立を避けるためなら喜んで思考停止し、犠牲となる少数派には目をつむる(障害者、LGBTQ、女性や外国人は差別される)。だから、80年前の戦争となってしまったのではないのか?気づきがない、反省がない、学びがない、成長がない。想像してみてください。もしも中国が台湾に軍事侵攻したら?日本中にある中国語の案内標識を全部撤去しますか?

2022年4月9日土曜日

再エネ施設見学ツアー

 YUCaN学生部会のメンバーで奥会津にある再エネ施設見学ツアーに行ってきました。最初の目的地は以前このブログでも紹介した、道の駅かねやまの中にある、「みお里」です。只見川沿いの水力発電の開発の歴史などを紹介する施設で、2020年にオープン、無料です!今回、総勢12名、山形大学の学生の訪問ということもあり、なんと施設の職員の方2名がアテンドして下さり、展示内容のガイドを頂きました。ありがとうございました!

昼食後は、雪がまだ沢山残る、沼沢湖に立ち寄りました。沼沢湖は天然のカルデラ湖ですが、只見川とつながる地底トンネルがあり、出力470MWの沼沢第二発電所が地底にあるそうです(見てみたい!)。揚水式発電で、電力が余った時には只見川の水を沼沢湖に汲み上げて、電力を貯蔵する仕組みです(高低差が200メートルもあります)。理想的な電力貯蔵システムですが、なかなかこんな仕掛けを導入出来る適地は少ないですね。

最後は、これは私も初めて行った、柳津西山地熱発電所です。発電所の施設は外からしか見ることが出来ませんが、PR館があり、その中に地熱発電の仕組みなどが紹介されています。

地熱発電ってのは、どういう仕組みなのか良く分かっておりませんでした。他の施設でも、写真の背後に写っている巨大なバケツみたいなのがいつもありますが、あれは冷却塔であることが分かりました。地底のマグマ近くで加熱された地下水は、300℃以上の高温高圧状態で、これを大気下に持ってくれば勝手に気化して水蒸気になるはずです。その力でタービンを回して発電するまでは分かるのですが、その後の地下水は捨てているものだと思っていました。しかし、それは再び地中に戻されて循環しているんです。でも、どうやって一旦低温且つ大気圧になった水を高温高圧の地下に戻すのか不思議に思いました。加圧して戻しているわけない(エネルギーを失う)からです。詳しくはまだ分からないんですが、どうも地中での地下水の大循環を利用しているらしいです。マグマで温められた高温の地下水は、上昇して徐々に冷やされ、再び下降流となってマグマの方に向かう循環があり、それが地上に吹き出せば温泉ですが、地熱発電をやっている様な場所では水を通しにくい粘土層があり、それが遮ることで地底での水の循環が起こっているんです。それで、上昇流のところに吸出し用のパイプがあり、それを地上に持ってきて発電用タービンを回します。その水蒸気が水に戻る様に冷却しているのが写真のバケツ状の冷却塔です。そして冷却された水は地底大循環の下降流のところに放出されます。そうすると、その大循環に引き込まれる様にして水はマグマに向かって流れていき、再び加圧され高温になって上昇流になる、というわけです(それで理解合ってるかな?)。なので、地底の水循環をしっかり調査して、どこから水を汲み上げ、どこに水を戻すかを決めているらしいです。それをやれば、ほぼ永久にマグマの熱からエネルギーを少しずつ取り出せるわけですね。かなり緻密な調査が必要で、簡単ではないなという印象です。そもそも、温泉水はお風呂に使った方がよほどお金になるので、温泉大国日本ではありますが、それをわざわざ発電に使うというのはなかなか経済的に成立しにくいですねえ。この柳津西山地熱発電所もかなり大がかりな施設でしたが、発電能力は50MWということで、正直、大したことないなあと思いました。地熱発電が最も大規模に行われているのはアメリカだそうで、総出力は3GWを越えています。それでも、全体の電力供給能力に占める割合は僅かですね。
再エネ施設ツアーの詳細は、YUCaN学生部会から報告があると思いますので、是非そちらを見て下さい。旅の終わりに、米沢のすぐ近くにある川西ソーラーパークをちょっと眺めに行きました。

地元にこんなに大規模なソーラーファームがあることを知らなかった人も多かったみたいです。スキー場の跡地に建設されているということもあって、4月の今もまだ多くの雪が残っています。太陽電池パネルは雪に埋まらないように、みんな足の長い架台の上にあって、地上よりだいぶ高くに設置されていますが・・・写真を良く見てください。大規模に壊れていました。何しろ、この冬はとんでもない豪雪の年でしたから、さすがに雪の重さに耐えきれなかったのか、恐らく雪崩もあって、パネルを支える台座が壊れてしまったようです。パネル自体も損傷している可能性が高いですね。太陽電池は、もちろん安くなったとはいえ、20年ぐらいメンテフリーで発電し続けることが期待されています。ところがこんなことになると、全く採算が取れないうちに施設が壊れてしまうことになります(川西ソーラーパークはまだ建設途中ですよ)。豪雪だけでなくて、巨大台風や地震による設備の損傷も考えられます。温暖化のために今後は異常気象の頻発が予想されますから、こうした再エネ施設自体の災害対策を念入りにしないと元も子もないことになっちゃいますね。


2022年4月5日火曜日

GHG削減目標不十分!

 気候変動に関する政府間パネル、IPCCの、第3作業部会(WG3)の8年ぶりとなる6次評価報告書が公開されました。WG3は気候変動の緩和、必要な対策の提言と効果の見積もりに関するので、これからの社会生活がどう変わるのかを予測する上で大変重要です。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書第3作業部会報告書を公表します (METI/経済産業省)

“温室効果ガスさらに排出削減を” 国連のIPCCが8年ぶり報告書 | NHK | 環境

炭素半減に最大30兆ドル必要 IPCC、再生エネに投資促す: 日本経済新聞 (nikkei.com)

IPCC報告書要旨「CCSで1兆トン貯留可能」、障壁は多く : 日本経済新聞 (nikkei.com)

予想できた通りと言えば、その通りなんですが、極めて残念で厳しい内容となっています。まず、これだけ世界中で気候変動対策の重要性が認識されている中でも、年間のGHG排出量は世界全体では増え続けている(=温暖化の進行は加速している)ということを認識していなくてはなりません。一部の地域では再エネ導入、エネルギー効率向上、製造業の他国へのシフトなどにより年間GHG排出量は減少に転じていますが(出していないということではないですよ)、新興国や途上国におけるエネルギー消費増大がこれを打ち消して、世界全体では相変わらずGHG排出の伸びは加速しています(ここ10年ぐらいはやや「伸びが鈍化」している程度)。世界的なコロナウイルス感染拡大の影響で、2020年は少し減少したものの、やはりリバウンドして、2021年は過去最大を記録したそうです。さらにウクライナへのロシアの軍事侵攻が始まり、世界は協調どころか対立を深めています。暴走列車はスピードを落とすどころか、その終わりに向けて加速を続けています。

そのうえで、気温上昇が正のフィードバックループに乗って後戻り出来ない状況とならないための限界値、Tipping Pointと考えられている、産業革命以前からの気温上昇を+1.5℃以内(現在既に+1.1℃)に抑制するためには、2025年までに(あと3年!)減少に転じ、2030年には2019年比で-43%、2050年に-84%の大幅削減が必要である、と結論されています。「あれ、日本は2030年に-46%、2050年に-100%(カーボンニュートラル)だから、楽勝じゃん!」とか思わないように。これはグローバル、世界全体で、という意味です。エネルギーインテンシブな製造業を他国に押し付けて、非製造業分野での経済成長を担保した上でのGHG削減を一部の先進国が果たしたとしても、それは他国でのGHG排出増に貢献しているだけで、グローバルな削減には貢献出来ていません。この報告を受けて、国連のグテーレス事務総長も、やはりウクライナの戦争のことに言及しています。エネルギーや穀物の価格を押し上げて、国際的な協調をより困難にすると予想されます。エネルギー価格が上がれば消費が落ち込んでGHGが減るかと言えば、さにあらずです。効率やGHG抑制が後回しになり、世界の分断と対立がエネルギー獲得合戦に影を落とし、GHG排出を加速させます。実際、ロシアからの天然ガス禁輸を視野に入れて、ドイツでは封印する予定だった石炭火力発電の延長運転を決めています。だから、世界の平和と協調は気候変動との戦いのための大前提であり、それが損なわれていることへの嘆きをこのブログでも何度も取り上げているのです。

さて、その上でIPCCの報告書は「打つ手ナシ!」と言っているのではありません。必要とされる対策を具体的に示しています。ただ、それを見るとかなり絶望的な気持ちにならざるを得ません。最も効果が高いのは、やはりエネルギー分野での脱炭素化を進めることで、コストが下がってきた風力発電や太陽光発電を主力とするエネルギー供給の大転換を求めています。そして、再エネ由来の水素やメタンの活用も貯蔵出来るエネルギーとして拡大が期待されていますが、これはまだ技術開発途上です。運輸ではEVの効果が高いと言っていますが、これはもちろん電源の脱炭素とセットでなくてはなりません。脱希少元素も必要です。一方、やはり出す量を減らすだけでは難しく、例えばセメント産業で大量のCO2が出ることは避けられないので、地中にCO2を埋めるCCSも不可欠と考えられていて、CCSによるCO2貯蔵量の最大ポテンシャルは1兆トンにも及ぶと試算されていますが、技術、コストの観点だけでなくて、どこに埋めて誰が管理するのか、なども考えるとこの世界的な対立の中でそれが健全に進められるとはとても思えません。だから、先にも書いた通り、CCSは心理的な逃げ道を与えているだけなので、ひとまず封印した方が良いと思うのです。

それで、脱炭素を加速して上記の目標を達成するのに必要と見積もられているコストが衝撃です。2030年時点でグローバルなGHG排出を半減するために必要な設備投資が30兆ドル(3680兆円)だそうです。次の8年間で、ということです。実際今どれぐらいかと言えば、クリーンエネルギー関連投資が世界全体で1兆ドル程度だそうです。米国の全設備投資額が2.8兆ドル/年だそうですから、それを全部つぎ込んでも足らない。誰がどれだけの負担をするのか、なんていう話がまとまるわけもないことは、明らかです。従って、まだ可能性はある、我々は分岐点に立っている、やらなくてはならないことはコレです、とIPCCは真面目に報告書を出すわけですけど、世界の民衆がそれを支持しないことも明らかだし、各国のリーダーもそれを実行しようとはしないでしょう(だから政治に任せてもカーボンニュートラルは実現出来ないんです、やるのはあなた、我々自身です)。

仕方がない、と本当に言ってしまって良いのか、それは今立ち止まって考えなくてはならないと思います。この事実から目を背けてはいけません。持続しない生き方の先に、幸せはあるでしょうか?隣人を大切に思うのなら、子供や孫を大切に思うのなら、また自分が大切にされたいのなら、真剣に科学者の声を聞き、考えて行動を変えることは出来るはずです。それをせず、世界がその終わりを迎える時になってもまだ「仕方なかったんだ」と本当に言えるでしょうか?

2022年2月10日木曜日

ジュリア・ギラード氏旭日大綬章

 いやあ、今年に入ってまだ更新が4回目です。すいません、怠けているわけではないのですけど、いわゆる大学の繁忙期でして・・・。こちとら一生懸命に仕事をしているのですけど、メッタ打ちにされる様な状況で、身も心もボロボロです・・・。カーボンニュートラルに向けた活動、今こそと思い、始めたものの、知れば知るほど、考えれば考えるほど、それが遠のいていく様に思えます。世の中の出来事、人の行動パターンの変わらなさを思うと、どの様にしてカーボンニュートラルなどという大事業を成し遂げ得るのか、それにどう貢献し得るのか、全く見えず、暗闇に放り出された心境です。

みんな気づいていないのか?あるいは気づいてはいても、明日を思うと自らを変え、世界中にはびこる不条理と戦うことなどやめて、境遇に身を任せてしまうからなのか、とにかく世界は、というより人は変わろうとしない、と感じます。それに苛立ちを感じて、抵抗すること自体に自分自身も疲れてしまっているのを感じます。気が付けば「そんなことは無駄だからおよしなさい」と言ってしまう側になってしまうのではないか、と恐れさえ感じます。この苦しみは、まだ自分が戦おうとしていることの証なのでしょう。

そんなことはほぼ毎日考えますが、自分の力不足を情けなく、恥ずかしく思い、久々に書こうと思ったのは、2010-2013年にオーストラリアの首相を務めたジュリア・ギラード氏(オーストラリア史上唯一の女性首相)のインタビューを見たからです。

旭日大綬章受章の豪ギラード元首相単独インタビュー(TBS系(JNN)) - Yahoo!ニュース

2011年の東日本大震災の時に、海外の首相として初めて津波による被災地を訪れ、それ以降も日豪の友好に貢献したことが受章の理由だそうです。しかし、そのインタビューでは受章のこと以上に、初の女性首相として感じた難しさ、相変わらない男女の格差、豪ではむしろ男女平等が後退していることなどを語っています。

ギラードさんが首相になった時のことは良く覚えています。何しろ私が大好きなジュディ・フォスターにも似た美人ですから、「へえ、凄いなあ、こんな人が首相になるんだ」と思ったのを覚えています。しかし、すぐそうやって、女性の容姿のことを話題にする愚かな男の私もまた、女性が等しく活躍できる社会を阻む一人なのかも知れません。もちろん、政治のリーダーにとって容姿から来るイメージというのは大切だとは思います。例えばケネディ大統領やハリウッドスターだったレーガン大統領の残したカリスマ性に、その端正なルックスが無関係だったとは思えません(ニクソン大統領が対極?)。最近だと、フランスのマクロン大統領でしょうか(美男子)。なので、美しくて何が悪い、であり、国民のリーダーは外形から来るものだけでなくて、内側からほとばしる美しさがあってしかるべきでしょう。

でも、ギラードさんはおっしゃるわけです。首相になった時、マスコミや社会は着ている服のことや、子供はいるのか?子供は誰が世話しているのか?ママ業と首相は両立できるのか?とか、そんなことばかりを話題にして、肝心の国の政策、リーダーとしての理念などを十分には聞いてもらえなかった、というわけです。女性の社会進出を阻む2つの壁として、構造的な壁と心理的な壁があると言っています。構造的には、やはり次の命を育てる大きな役割を担う女性に不都合を生じる社会の仕組み、まあこれは気づけさえすれば、改善は可能でしょう。しかし、それを見過ごしたり、気付けなかったりする背景には、社会のリーダーは当然男性である、という強いバイアスがあることも明らかです。

それで、ギラードさんは、ジェンダー平等に関する研究科を大学に立ち上げたり、NPO活動を支援したりの活動をされている様です。折しも、オーストラリア議会内で起こった議会職員女性に対する性暴力行為が承認され、捜査中であることも報じられました。

オーストラリア議会が女性に対する性暴力と虐待の訴えを承認 - 2022年2月8日, Sputnik 日本 (sputniknews.com)

日本よりは、よほど男女平等、女性の社会進出が進んでいると思われる西洋社会であっても、実態はまだそんなもの、ということなんでしょうか。

つくづくたちが悪いのは、差別まみれの人種に全くその差別意識が無く、むしろ善意で行っているとさえ思っているところです。性差別に限りません、人種、文化、教育、年齢などなど、差別の理由はいくらでもあります。結局社会的強者がその既得権益を守り、正義と悪を勝手に定義し、善人ヅラして悪事を働く、本人にはその差別意識がゼロ、という困った状況です。そして強者による弱者の支配に常に利用されるのが、金の力です。今日のニュースの一つが、流通超大手、アマゾンが基本給上限を2倍以上引き上げ、年4000万円としたということです。

アマゾン 基本給の上限を2倍以上 年間約4000万円に引き上げへ | IT・ネット | NHKニュース

理由は、優秀な人材を確保するため、ということで、まあ当然と言えば当然でしょう。日本も春闘の時期ですが、過去30年実質的に成長していない日本では絶対無理な話。そうしているうちに、日本からは優秀な人材というのがどんどん失われていく?アマゾンみたいなことが出来なかったとしても、例えばはした金であったとしても、やはりそれをチラつかせて「俺の言うこと聞けよ」と来られたら、ひとまず言うこと聞いておいた方が良い、となるでしょう。だから、弱い者には罪はない。

では金以外に努力や能力を引き出す方法は無いのでしょうか?もしその程度であれば、結局世界は変わらないでしょう。カーボンニュートラルも無理です。強者にとって都合の悪い人は必ず排除の対象にされます。ギラードさんの話を通じて思った、相変わらず多様性を認めない社会は、こうした強者の論理による支配と無関係ではありません。その瞳が輝きを放つ、美しく(すいません、また言いました)聡明なギラードさんの様な人に心から敬意を表します。同時に、何も出来ない自分自身の情けなさを痛感しております。


2022年1月14日金曜日

そうだったのか!「吉田教授の学べるニュース」

 2月4日(金)19時から、米沢市社会教育課主催のオンライン講座で、代表の吉田がカーボンニュートラルについて一般市民向けに講演させて頂くことになりました。ご関心のある方は是非ご登録ください。

開催日:2022年2月4日㊎19:00~21:00

演 題:学校で教わらない!カーボンニュートラルの不都合な真実!?

内 容:最近ニュースで聞くカーボンニュートラルとは何か、

    世界はどうやって脱炭素社会を実現しようとしているのか、

    そんな疑問を山形大学の吉田教授が深堀り解説!

講 師:山形大学カーボンニュートラル研究センター 代表 吉田 司 氏

会 場:You Tube配信

参加費:無料

参加申し込みURLはこちら

https://forms.gle/1iQxXG6eS7ufdUbV8

2021年12月5日日曜日

山大生諸君、知ってるかい?

 「ダッコちゃん」「リカちゃん」「人生ゲーム」「チョロQ」「トランスフォーマー」言わずも知れたおもちゃの大ヒット商品、これを生み出したのはタカラ(現在はタカラトミー)ですが、その創業者の佐藤安太さんは、米沢工業専門学校のご出身、すなわち現在の山形大学工学部の出身です。佐藤さんは、残念ながら2019年にお亡くなりになりましたが、2010年には博士課程ものづくり技術経営学専攻を修了され、博士号を授与されています。山形大学工学部の客員教授でもあられたのですね。それを知らなかった私が恥ずかしいです。

「リカちゃん人形」を生んで“累計6千万体”売った男…ストーリーとしての販売戦略 (biz-journal.jp)

また、私が学生の頃、村上春樹氏と人気を二分する人気作家だった吉本ばななさんの父親で詩人の吉本隆明さんも、米沢高等工業学校(現山形大工学部)のご出身です。

吉本隆明略年譜(石関善治郎作成) (bindsite.jp)

ご存知の方からは「そんなことも知らないのか!?」とお叱りを受けそうですが、うちの研究室の学生に話したら全く知らなかったので、ここに書いたところです。吉本ばななさんは、私本を読んだことないので、ここでは語れませんが、タカラのおもちゃは沢山遊びましたねえ。特に私の場合は「人生ゲーム」です。家族で、晩御飯のあと遊んだのを覚えていますが、父親はあまり付き合ってくれなかったなあ。

詳しくは、上記リンクから経歴をご覧になってください。私が浅はかな知識で間違ったことを書いても良くありません。実はこれらの方々に行き着いたのは、山形大学学生の戦時協力(強制ですけど)はあったのだろうか、と思って調べ始めたからです。実に、この佐藤さん、吉本さんのご両名とも、学徒動員で労働にかり出されています。戦場に送られることはなく、無事生き延びて戦後にそれぞれの道を歩まれたわけですが、特に佐藤さんは、高分子化学の知識をさらに発展させ、ビニール製のおもちゃの開発を進められたわけです。

学徒動員というのは、学生が軍の装備品の生産などにかり出されたことですが、一方学徒出陣というのは、全く訓練されていない学生が戦場に送られた悲惨な出来事です。ちゃんとした記録が無くて、闇に葬られているケースも多いようです。しかし、なんと山形大学の学生が学徒出陣で戦場送りになっているのです!米沢ではなくて、山形の旧制山形高等学校(現在の山形大学)の学徒26名が出陣した資料が顔写真や名前付きで見つかりました。これについては、2018年の山形大学プレスリリースに資料があります。

press20180802.pdf (yamagata-u.ac.jp)

実際に出陣した人は、40名にのぼるようです。そして、その後どうなったのかは分かりませんが、大変な目に遭われたことは想像に難くありません。

いやー重たい。自分が今その学校の先生をしているわけで、やはり、なんですけど、時代が時代だったら自分の教え子を戦場に送るなんていう酷いことが起こっていたわけですよね。もうそんなことが二度と起こらないことを心から願うばかりですが、あの戦争から80年が経とうとしている中で、その悲惨さ、どうあっても正当化すべきではない過ちであったという認識はだんだんと消えつつあるように思います。今一度、平和が全ての基礎であることを認識し、より困難な気候変動との闘いをしていかなくてはならないと思います。

2021年12月2日木曜日

カーボンニュートラルオンライン講座収録進行中!

 先日もお伝えした、山形県委託のカーボンニュートラルオンライン講座。本日は近藤道雄先生担当の第三回目の収録がYTS山形テレビで行われました。

左から聞き手のYTSアナウンサー、熊谷瞳さん(いつもお美しい!)、真ん中が講師をお勤め頂いた産総研の近藤道雄先生、そして私ですが、私は出演しているわけではございません。毎回、収録のお供をさせて頂いております。しかし、当然といえば当然ですけど、近藤先生はお話がとても分かりやすく、上手なので、調整役の私は全く必要ありませんでした。雑談のパートナーをしただけですかね。
今回のテーマは「カーボンニュートラルに向けた国、県等の施策」で近藤先生からは、第6次エネルギー基本計画、産総研FREAやGZRの紹介、日本がリーダーシップをとる国際連携についてお話頂いています。後半は山形大学の栗山先生から山形県の施策についてお話頂きます(後日収録)。完成版は近日中にアップされると思いますので、是非お楽しみに!
吉田担当の第一回目とKarolin先生担当の第二回目は、山形県公式チャンネル「やまがたChannel」に掲載済みです。まだ御覧頂いていない方は是非ご覧ください!



2021年12月1日水曜日

秋篠宮さま、気候変動を憂う

 WWFジャパンの名誉総裁も務められている秋篠宮さまが、11月25日の記者会見で、今年一番印象に残った出来事として、世界の気候変動についてお言葉を述べられました。

秋篠宮さま、世界で深刻な「気候変動問題」に思いを馳せる。一年で「特に印象に残ったこと」に挙げる | ハフポスト (huffingtonpost.jp)

短いコメントですけど、世界で起こる出来事を良く見ておられるのだな、と思います。日本はどうあるべきだと思う、とか政治的な発言は出来ないお立場ではあるのですけど、こういう語り掛けは是非して頂きたいと思います。国民主権なわけですから、いざ大変なことが起こってから「どうして宮様はあの時止めてくれなかったんですか!」と泣きつくわけにはいきません。この語り掛けに対して、気候変動に対する認識をすること、そして自分たちがどうあるべきかを考えて行動すること、これが大切ですよね。でも、日本のスポーツ選手の活躍とか、そういうことだけじゃなくて、こうしたグローバルな問題に対しても言及されることは、皇室のあるべき姿だと思います。

秋篠宮さまといえば、例のことで散々マスコミの標的にされていましたね。この記者会見も、実は全体のほとんどがその話です(宮内庁はちゃんと発表するんですね)。宮様を人間と思うか、特別な存在であって普通の人権が当てはまらないと考えるかで意見は分かれると思いますが、私はやっぱり前者だと思いますよ。うちの子はまだ結婚には程遠い年齢ですけど、愛する娘に対する父親の気持ちとしたら、ただただ「そっとしておいてほしい」と思うんじゃないかなと思います。最近の一連の出来事には、ちょっと心が痛みます。私は、立派にお勤めを果たされていると思いますよ。

2021年10月30日土曜日

山形県カーボンニュートラルオンライン講座

 皆さん!山形県のカーボンニュートラルオンライン講座(全7回予定のYouTubeプログラム)が始まりました!

【県公式】やまがたChannel - YouTube

是非ご覧ください!

2021年10月9日土曜日

連合初の女性会長に芳野氏

 更新をサボっているわけではないのですけど、色々あって追い付かず・・・。この間にも色々ありました。カーボンニュートラルにどう関係するの?と思われるかも知れませんが、私は大ありではないかと期待する出来事の一つがこれ。

連合 新会長に芳野友子氏を選出 女性の会長就任は初めて | NHKニュース

連合(日本労働組合総連合会)の新しい会長に、副会長だった芳野友子氏が選出されました。初の女性会長です。インタビューで「本当はもっと働き続けたいんだけど・・・」という女性の声に応えようと頑張ってきたことを語られていました。まさに、ダイバーシティー、多様性、SDGs、これなくして持続可能な発展もカーボンニュートラルもあったものではありません。これからの活躍に大いに期待しております。

女性首相は今回なりませんでしたが、いずれは二人に一人は女性という時代が来ることを願っています。出来れば、長の職に就く方は、少なくとも60歳以下、出来れば50歳以下であって欲しい。要するに、構成員の分布を考えた時に、丁度真ん中に居る世代(+ちょっとだけ上方シフト)ということです。で、岸田首相はその所信表明において、「成長と分配の両立」の新資本主義を唱えています。まさに、この点では連合が意図する労働者と大切にする社会という考え方と重なるだろうと思います。男女関係なく、世代を越えて、さらには人種も問わず、全ての構成員が腐らずに目いっぱい頑張りたくなる様な社会を目指して欲しいと思います。管理が過ぎると、頑張る気持ちが削がれるので、成功の報酬はキチンと与えられる仕組みは必要ですよね。しかし、一方で格差を無制限に拡大したり、その格差が支配関係に発展すれば、資本主義の闇の部分が拡大します。優しさと思いやりに溢れ、尚且つ一人一人が頑張りたくなる、そんな社会を実現して欲しいものです。

であるならば、きっとカーボンニュートラルという全員に関わる重大問題にも一致協力して取組めるのではないでしょうか。

2021年9月4日土曜日

IPCC第6次評価報告

 気候変動に関する政府間パネル、IPCCから8年ぶりとなる評価報告書が8月9日に公開されました。まず、IPCCをおさらいしておくと、Intergovernmental Panel on Climate Changeのことで、設立は1988年だそうです。気候変動への不安を煽る悲観的なマニア集団などでは決してなくて、様々な観点からの気候変動に関係する研究者会議で、地球の気候という極めて理解と把握、正確な予測が困難な課題に対して、科学的根拠に基づく人類の英知を結集ようとする真面目な努力です。

今回公開されたのは、IPCCのワーキンググループ1(WG1)、「自然科学的根拠」からのもので、実際にどの様に気候が変動しているのかの分析と要因との相関把握、それに基づいて可能な限り精密に今後の気候変動を予測しよう、という取組みです。それがどの様に社会生活に影響するかの分析などは、別のワーキンググループの担当になります。それら、IPCCのレポートが、気候変動対策の国際的な取り決めを協議する、国連気候変動枠組条約締結国会議(難しい言葉ね!英語の名称がUnited Nations Framework Convention on Climate Change (UNFCCC)でCOPとは単にConference of the Parties)における議論の根拠となってきました。先の第5次報告は、2015年のCOP21(パリ会議)における、2020年以降の国際的目標設定の根拠になり、2100年平均気温上昇を2℃未満とするための今世紀中ごろまでのカーボンニュートラルを目標とする、いわゆる「パリ協定」として具体化したわけです。今年の11月にはイギリスでCOP26が予定されており、今回の第6次報告が目標の引き上げ(精密化)の根拠となる可能性が高いですが、WG2, 3の報告書はまだ来年にならないと出揃わないみたいです。いずれにせよ、IPCC報告書は我々人類が知り得る最も信頼性の高い気候変動とその影響に関するレポートであり、それを根拠として具体的なアクションを決定することには高い合理性があるのだ、ということは信用してください。

さて、本物の報告書は英語ですし、専門的な用語が分からないので、私も正確な理解は出来ないと思います。NHKがレポートを掲載していますので、重要なところはこれで相当理解できます。

地球温暖化の原因は人間の活動と初めて断定 国連IPCCが報告書 | 環境 | NHKニュース

そして、IPCC, WG1レポートの著者の一人でもある、国立環境研の江守正多先生が、分かりやすく説明しているYouTubeビデオがあります。

【速報版】IPCC執筆者が独自解説!「気候変動 国連最新レポート」 - YouTube

毎度関心しますが、江守先生のお話は大変分かりやすく、感謝感激です。これだけ努力頂いているのに、なかなか波及しないことが悔やまれますが、気候危機から人類を救うために出来ることをしようとする、その真剣な取り組みを尊敬します。是非皆さんもこれをご覧ください。

で、肝心の報告書の内容なのですけど、ある意味第5次報告とほとんど同じと見えるために、インパクトが無く、それゆえにニュースとしても大々的に取り上げられなかったように思います。しかし、実は重要なことが色々入っています。ここで素人の私がいちいち取り上げるより、上の江守先生の説明を繰り返し聞いて頂く方が良いと思いますが、簡単に言って、今まで予想されてきたことが間違いないことが確認され、さらに予測の精度が大幅に向上した、ということです。もはや、「直近の温暖化は自然のゆらぎの一部であって、人為的影響により将来に渡って温暖化が進行する恐れなどない」という一部の楽観論者の主張は完全に否定されたと言っていいでしょう。我々が行動を起こさない限り、人類が存亡することが極めて困難な状況を生むと考えて良いです。同時に、脱炭素を早期に実現出来れば、気候変動を目に見える違いで抑制できるであろうことも予測されています。すなわち、COPが取り決める気候変動対策には正当性があり、その実現への努力は必ず報われるということです。

だから繰り返しになりますが、脱炭素は我慢しろというハナシではないのです。より良い世界を実現するための目標であり、その実現は我々の人生をより良いものにするのです。だから、ネガティブキャンペーンをする、目先の金につられた、もうじき棺桶に入る強欲な人たちの話には耳を貸さないでください。

2021年8月23日月曜日

バービーもカーボンニュートラル!

 1959年生まれで、今年62歳になるバービー人形。2030年までに全てリサイクル素材で製造される様に変身中だそうです。

バービー史上初!海洋プラスチック再生素材を使用した地球にやさしいシリーズがデビュー!「バービー うみとともだち(Barbie Loves the OceanTM)」 - (sotokotonews.com)

"The future of pink is green."っていうキャッチフレーズが良いですね。今回リリースされる「バービー うみとともだち(Barbie loves the ocean)」シリーズでは、素材のほとんどが海洋プラスチックごみから再生した素材だそうです。パッケージもリサイクル紙のシンプルなものです。上記リンク中で見れるYouTubeビデオでは、BarbieたちがSDGsについて語ってくれますよ!

「そもそもおもちゃなんて無駄なんだよ」などと言ってはなりません。遊ぶことを大切にするのが人間です。心の食べ物ですよ。カーボンニュートラルを目指して、女の子たちの憧れの対象であるバービーたちも変わっていく。それで遊んだ子たちが大人になった時のことを想像してみてください。

男の子たちのおもちゃも、例えばラジコンとか変身ロボットとかも是非変わって欲しいですね。ユニセックスですけど、有名なLEGOブロックも、ペットボトルから再生したプラスチックへの置き換えを目指して開発が進められているそうです。

CNN.co.jp : レゴ、再生プラスチックから作ったブロックを公開

簡単そうですけど、色を付けられないそうです。顔料をブレンドするか、塗装するとかでカラー化出来ないですかね。

しかし・・・リサイクルプラスチックを使うことで、材料自体は再利用されたとしても、プロセスエネルギーも含めた脱炭素、さらには輸送や販売も含めたゼロカーボン化、おもちゃを作り、遊び、廃棄するまでのトータルで、LCA的観点でのカーボンニュートラルについては、どれぐらい課題が残されているのでしょうか。特に今回原料が海洋プラスチックごみともなると、その分別、洗浄をする過程で相応のエネルギーとコストがかかっていることは明らかです。新規にプラスチックを生産するよりもCFPが高くなる様では本末転倒です。そういうことも含めて、バービーたちがこれからも進化し続けて、それで遊ぶ子供たちの未来を変えて欲しいものです。

2021年7月7日水曜日

新潟大八木先生水酸化触媒!

 新潟放送のSDGs特集で、水素エネルギーが取り上げられ、その中で新潟大学工学部の八木政行先生の水電解触媒の研究が紹介されていました。

水素エネルギーと脱炭素社会(後編)効率化へ新発明(BSN新潟放送) - Yahoo!ニュース

脱炭素社会におけるエネルギーキャリアとして、最も有望視されているのが水素です。水素は地球上に大量に存在しますが、その大半は水素の酸化物(燃焼後生成物)であるところの「水」としてであり、どこかを掘ると水素ガスが出てくるという鉱脈はありません。すなわち燃料となる水素は、人の手で作るしかないわけで、水を電気分解して酸素と水素に分けることによります。この反応は外部からエネルギーを注入することによってしか起こりません。CO2を還元して有機燃料を得る場合も同じですね。そこに石炭や天然ガスなどの化石燃料のエネルギーを使ったらCO2は増えるばかりになりますから、エネルギー源は太陽光などの再生可能なものでなくてはなりません。

太陽光エネルギーでCO2から有機燃料を作ることは人工光合成と呼ばれますが、太陽光で水電解して水素を作ることも広義には人工光合成と言っていいでしょう。水素は必ずしも水素の状態で貯蔵・輸送・利用する必要はなくて、より貯蔵しやすいアンモニアやe-Fuelに転化しても良いです。大切なのは、燃えカスであるCO2やH2Oから再び燃焼出来る高エネルギー物質を得る時に、そのエネルギーが再エネ由来であるということで、それを果たせばそれらは全て「グリーン燃料」と言うことが出来ます。水素や炭素はエネルギーの運び手(エネルギーキャリア)なわけです。カーボンニュートラルを達成するためには、出してしまったのと同じだけのCO2を化学燃料に戻すのが一番分かりやすいですけど、水素をキャリアにしてそもそもCO2を出さない様にしても同じです。さらに言えば、エネルギーキャリアは炭素や水素に限定されるわけでもありません。例えばアルミはどうでしょうか?アルミは地殻中に大変豊富な元素です。その酸化還元電位は大きくネガティブなので、アルミー空気電池は大変大きい電圧になります。また、1個のアルミ原子から3個の電子が出てきます。ゆえに可逆サイクルで大量のエネルギー貯蔵、取り出しが可能な元素の一つがアルミです。実際には色々な技術課題はあるのですけど、それはさておき、そういう視点で元素の周期律表を眺めると、どんなエネルギー貯蔵技術があるだろうか、と想像をめぐらせることが出来ると思います。

さて、話を八木先生に戻します。八木先生は私と同じ研究室の出身(で私よりも優秀な)先生です。人工光合成にかける熱い思いでずっと関連の研究を続けてこられて、遂に物凄い性能の酸素発生触媒の開発に成功されました。1年ほど前に米沢でもご講演頂きました。途中で太陽電池に浮気した吉田との差ですね!やっぱり専心、献身が大切。上記人工光合成では、CO2の還元や、水を還元して水素を得るところが重要と思われがちですが、一番大切なのは、水を酸化して電子を得る反応です。CO2や水を還元するのに十分な電位に電子を持ち上げるのは、太陽電池などを使えば良いわけですけど、その電子がどこから来るのかが大切で、それは水の酸化でなければ再生可能な系にならないのです。ですから、八木先生はいかに小さいエネルギー損失で水を酸化するか、非貴金属系の触媒開発を進めて、今回の発明に至ったというわけです。電圧1.5ボルトの乾電池1個で、理論電圧が1.23ボルトの水の電気分解を実演されていました。素晴らしいですね!

これで、耐久性を担保して、スケールアップを果たせればグリーン水素の安価な量産に展望が開かれるかも知れません。

2021年7月1日木曜日

佐藤ゆかり議員、e-Fuel推し!?

 自民党の経産部会長佐藤ゆかり議員のインタビュー記事がありました。

自民党 経産部会長佐藤ゆかり氏に直撃 「e-fuel」は経済戦略の決定打になるや?ならざるや??(ベストカーWeb) - Yahoo!ニュース

環境・エネルギーと産業問題に明るい方なので、佐藤さんが環境大臣でも良い様にも思うのですけど、必ずしも豊田章男モリゾー社長のファンだからとかではなくて、未来のエネルギー問題を幅広い視野で見ておられる様に思いました。例の水素エンジンレースカーのことも話題にしていますけど、自動車の電動化で問題解決とかそんな簡単なことではないし、そういう「究極はコレ」みたいな暴走に与さない姿勢が鮮明です。

これは、まあ例のEV推進の嘘でも取り上げられていたところで、EV化するにあたって電力どうするの?電池に必要な希少元素どうするの?など様々な課題があり、日本の産業構造を根本から揺るがしかねないという指摘は全くもってその通り。EVをやっちゃいけないわけではもちろんなくて、EVは重要な選択肢の一つではあるけど、それ一本じゃないですよ、ということでしょう。水素はもちろん、アンモニアもエネルギーキャリアとして注目されますし、自動車、船舶、航空機などにより親和性が高いグリーン燃料はe-Fuelだ、というわけです。

もちろん、グリーン水素やグリーンアンモニアに対して懐疑的な人もいます。さらに言えばCCSに対しても懐疑的、炭素税はとても受け入れられない税率になるとして、現状を「脱炭素バブル」と称し、それは必ず破綻するとおっしゃる池田信夫氏、はっきり言わないけど(ズルい)、総合すると「私は脱炭素なんて絶対無理だと思いますよ」と表明しているとしか思えません。

「脱炭素バブル」が必ず崩壊する理由(JBpress) - Yahoo!ニュース

じゃあどうするっていうの?脱炭素はどうせ無理だから、破滅への道をスローダウンするぐらいしか出来ないと言う?やりたい放題やって、欲しいものは全部手に入れて、もうじき死ぬ人はそういうことを言うかも知れません。でも、知った顔してそんな事をエラそうに言うあなたもこの状況を放置して、変えることの出来なかった無力な大人の一人ではないですか?

どんな時も、どうなっても、諦めたりしてはなりません。そんな無責任な発言を若い人を諭す様に言うものではありません。人を男か女かで分けたくないけど、どうにも私の同類である男は破壊が好きで困ったものだと感じます。「気候変動の大津波が来るから覚悟しろ!」と言うことを勇敢だと思いません。それを勇敢だと言うなら、私は勇敢じゃなくていいです。次の世代にもそう言う。思い切り怖がっても恥ずかしくなんかない。持続可能であること、守ることへの真心と情熱においては、常に女性が勝って見える今日この頃です。

さて、e-Fuelに話を戻しますけど、技術的には大変なことです。「大気中のCO2を回収して」なんてのはずっと先のことで、まずは火力発電から出てくるCO2とグリーン水素からメタンを作る「メタネーション」でしょうね。

脱炭素化 合成メタン作る「メタネーション」技術開発強化へ | 環境 | NHKニュース

これまた、CO2とH2があれば出来るんですけど、水電解でH2を作るところに貴金属触媒が必要になるので、低価格化が難しいところです。だから吉田研では有機触媒で水素を作る研究をやっているんですよ!それから、e-Fuelの様な液体の有機燃料を得るにはCOとH2を原料とするFischer-Tropsch反応があり、それは第二次世界大戦ぐらいからやっているそうですけど、COはCO2還元で、H2は水を還元して作る必要があります。そして、その電力は再エネにしなくてはならないし、触媒は貴金属ダメです。なので、やっぱり吉田研では有機触媒でCO2を還元することもやっているんですよ!CO2を流通した水の中で、COとH2を1:1の量論比ぴったりのファラデー効率で発生させる触媒とか出来れば、連続でF-T反応に接続してe-Fuelを量産出来るでしょう。金属を含まないけど水素結合性の導電性高分子は水電解やCO2還元の触媒になるんですよ。今研究のホットトピックスになっています!

だから、手段が無いわけではないんです。でも大変困難で、コストはかかるしスケールアップも難しい。難しいからやらないというのはダメです。無理だとか言わず、チャレンジするんです。技術の完成を2030年までには果たして、e-Fuelが実用出来る環境を整えないとなりません。佐藤議員には、是非可能性のある技術開発を幅広く(東大とかメジャー大学だけに任せない)支援して欲しいものです。EVはそんな未来までのつなぎですかね?e-Fuelを誰でも手に入れられる様になったら、エンジンの雄叫びが復活する?

2021年6月29日火曜日

カラフルアップサイクル繊維

 内丸もと子さんという方が設立した「カラーループ」というベンチャー会社が、再生繊維からカラフルなプロダクトを生み出す、アップサイクル事業を始めたレポートを見ました。

リサイクルをカラフルに!|おはBiz キーワード解説|NHK NEWS WEB

このNHKのレポートだけでなく、以下のレポートも御覧ください。

テキスタイルデザイナーが起業 廃棄繊維を色で分別しアップサイクル | 繊研新聞 (senken.co.jp)

この内丸もと子さんのインタビューが印象的です。元々服飾のデザイナーさんだったそうですが、作って、売り、使われて、まだ使えても捨てられてゴミになり、消費され続ける衣類に対して「ひょっとして私はゴミを沢山作っているのか?」と疑問に思ったとのこと。そして、子育てが終わったのを機に京都工繊大の博士課程に入学し、このカラフルアップサイクル技術を研究されたそうです。苦節5年で完成させた(まだ高いのが問題の様ですけど)そうで、なんと素晴らしい。

家具などでスカンジナビアンデザインはそれ自体がブランド化していますけど、再生繊維をプレスして作った厚手のフェルトを座面にした椅子とかなかなかカッコ良くて、上手いなあと思いました(例えばこれ)。とは言え、このレポートの通りで、全部の繊維を一緒にして再生すると、中間的な色であるグレーになっちゃうんですよね。もし何度でもリサイクルを繰り返せば、世の中の繊維製品は全部グレー一色になっちゃいます。やはり色というのは、デザインの基本中の基本なので、まずは色が選べるというだけでも凄いですよね。恐らく模様を入れるところまでは行っていないのかな、とは思いましたけど。ゼロから新品を作るなら、どんな色でも模様でも入れられますけど、リサイクルという前提になると、これは容易ではない。そこに目を付けたということですね。服を長らくデザインされてきた人からすれば当然のことなのかなと想像します。それにしても、先日話題にした柿コーヒーも女性社長でした。エコロジーに対するセンスと行動力は明らかに女性の方が優れていますね。

しかーし、結局のところ、まずはリサイクルの対象になる廃品を色分けしている様子がビデオに出てきますよね。それも人力で。それは大変だし、コストが上がるのも当然です。ゴミを減らすのは良いけど、リサイクルがあまりにも高くついてしまうと、リサイクルしたというバリューがあっても合理化出来ません。ここを何とか省力化、自動化出来ると良いですよね。瞬時に色だけでなくて繊維の種類も映像から判別して、自動仕分けする様な設備を開発すれば、リサイクル品をもっとカラフルに出来るかも知れませんね。

還暦

 私、1966年生まれ、丙午(ひのえうま)です。2026年になりましたので、還暦を迎えました。すなわち、今1歳です。あと何年生きられるでしょうか?ひとまず、60年で色々経験させてもらい、色々なことを学び、考え、行動することが出来るようになりました。出来ることが増えた一方で出来なく...