このブログについて

国立大学法人山形大学工学部教授の吉田司のブログです。2050年までのカーボンニュートラル社会実現に向けて、色々な情報や個人的思いを発信します。発言に責任を持つためにも、立場と名前は公開しますが、山形大学の意見を代弁するものではありません。一市民、一日本国民、一地球人として自由な発言をするためにも、所在は完全に学外です。山形大学はこのブログの内容について一切その責任を負いません。
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2023年3月10日金曜日

宝もの①

 先日(2023年1月25日)、米沢市立北部小学校の6年生の皆さんに、「SDGs・地球温暖化・カーボンニュートラルについてみんなで考えよう!」というテーマで特別授業をさせて頂きました。そしたら、60人以上の子供たち全員からお礼の手紙、感想文を頂きました!手書きでびっしり書いてあって、熱心な子は2ページに渡っていました。全部読ませてもらいましたよ!

「自分たちのせいで地球が大変なことになり、他の生き物が死んだりしていることがショックだった」「ゴミを拾おう、プラスチックを出来るだけ使わないようにしよう、節電、節水を心がけよう」などに加えて、「どうして不平等が起こってしまうの?」「ウクライナとロシアの戦争が早く終わって欲しい」「このことについて、家族で話をしたい」など、まさに我が意を得たりで、子供たちが熱心に学び、素直に受け止めて、考えていてくれることが良く伝わりました。また、本当は対面でやる予定が、私がインフルにかかってしまったために、急遽オンライン開催になってしまったのですが、そのためかも知れませんけど「これからも、お体に気を付けて、お仕事頑張って下さい!」「ありがとうございました!」の言葉を沢山もらって、本当に涙が出るほど嬉しかったです。この手紙は宝ものです。みんなありがとう!

米沢市の青木さん、この特別授業の開催にご尽力いただきまして、本当にありがとうございました。この手紙を見て、心からやってよかったと思いました。子供たちの感受性の高さ、素直さ、真剣さに感銘を受けました。しっかりと伝わっていると感じますし、これからのこの子達の学びと成長に役に立てたように思います。きっとこの子達が大人になる時、今までの人たちに出来なかった幸せが持続する世界をつくっていってくれると、そう信じられる気がします。これは、是非続けましょうね!中学生になったこの子達に再会して、もっと話がしたいですし、次の子達とも会いたいですね。

60ページ以上の手紙、丁寧に色まで付けてある子も

授業風景はこんな感じだったそうです、会えなくて残念でした!

2023年1月30日月曜日

プラスチックを食べる微生物

 最近、あちこちで、特に子供向けに海洋プラスチックごみの話をしました。持続可能性を脅かす数々の問題の一つに過ぎないとは言え、プラスチックを餌と間違えて食べて死んでしまう海の生き物のことを知ったりすると、それは衝撃で、身近な目に見える問題なので、例えば温室効果ガスの濃度が増えて異常気象が多発する、その原因と結果の因果関係とかよりもストレートに分かりやすく、特に子供の関心を引く「つかみ」としては大変有効ではありました。毎年800万トンものプラごみが海に流れ出し、このままだと2050年には海のプラごみの重量が魚全部の重量よりも多くなる、なんて聞いたらショックですよね。

丈夫で軽いプラスチックはとても便利で、容器や道具としてだけでなくて、衣服として着てもいますが、そもそも化学合成的に極めて丈夫な高分子を作り出しているわけですから、勝手に分解したりしない。プラスチックをやめて紙や木に変えれば良いというものでもなくて、紙を作るにもたくさん水、薬品、エネルギーを使います。プラスチックを使った包装が無ければ、スーパーとかコンビニとか絶対成立しませんから、プラスチック万歳!なのです。中身を取り出したらすぐにその包装紙(プラスチック容器など)を捨ててしまうこと、毎日それを繰り返していることに罪悪感は感じますけどね。だからってやめられない。大半のプラごみはサーマルリサイクルされます。単に燃やして燃料にします。これをリサイクルと呼んで良いかどうかについては異論もあるでしょうが、最新の高温焼却炉では僅かな灰分がガラス状に無毒化されますし、CO2になってしまうこと以外には問題とはならないでしょう。今はそのCO2が問題なんですけどね。

しかし、心無い人が捨てたのか、風で飛ばされたのか、理由は何であれ、我々がこれだけ大量のプラスチックを作り、利用しているわけですから、当然環境中への流出は避けられません。お魚大好きなうちの娘も、そりゃあ悲しむわけです。すぐに分解されて消滅する生分解性プラスチックとかは、用途が限られてしまいます。一方丈夫なポリエチレンとかPET樹脂とかは流出すると微小なマイクロプラスチックになるだけで分解されず、それが上記の問題を引き起こしているというわけです。しかし、その後はどうなっちゃうの?と思っていました。ゆっくりとはであっても、自然環境の中で加水分解されたり、酸化されてやっぱり消滅するのかなあと思っていました。しかし、どうやらもっと凄いことも起こっているようなんです。なんと、プラスチックを分解する微生物がいるんです。

プラスチックを「食べる」スーパー酵素はプラスチック問題を解決できるか | CAS

そんなの常識でしょ!?という方もあるんでしょうね。私が知らなかっただけかも。上記には結構詳しく発見までの経緯や最近の研究について説明されています。2016年にプラスチックのリサイクル場で、PET樹脂を分解して、それを代謝して増殖する微生物が日本で発見されたそうで、プラスチックリサイクルの一助となるのでは、ということでその分解力を向上させるバイオテクノロジー研究が進展しているようです。腸内にこのプラスチック分解微生物を飼っている虫まで見つかっているみたいです。コイツはプラスチック容器をかじったりするんですかね?

プラスチックを食べる幼虫をカナダの大学が発見。マイクロプラ除去システム開発に貢献か | 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン | IDEAS FOR GOOD

泥臭いケミストリーしか知らない私は心底驚き、生き物の能力の凄さに感銘を覚えました。この微生物が直ちに海洋プラスチックごみの問題を解決してくれる様なことは恐らく無いんだろうと思います。今まで通りプラスチックをバンバン使って、そのゴミを虫に食べさせて、その虫を食べる???いや気持ち悪いなんて言ってられないです。人の身勝手な行動で生じた問題を自然が解決してくれるなんて、ちょっと都合良すぎ。もちろん、この微生物を人の目的に合わせて改良して、ゴミの解決と再資源化に活かす可能性を探る研究は良いと思うし、ワクワクしますね。

しかしまあ、このことを知って思ったのは「風の谷のナウシカ」の世界観なんですよ。宮崎駿さんって、本当に凄いな。終末戦争で荒廃し、汚染されきった地球(?)は腐海と呼ばれる毒ガスを出す植物(菌類みたいなやつ)に覆われ、それを守る巨大昆虫が共生している世界ですが、ナウシカはその腐海が水や大地を元の綺麗な姿に戻していることを見つけるんですよね。自然との共生の大切さを訴える、良く出来たドラマだと思います。そしてこの、プラスチックを食べる生き物の存在。これって、太古の昔から生存していたのでしょうか?PETが発明されたのが1941年、広く流通したのは戦後ですから、それまでは自然にはPET樹脂なんて存在しなかったハズです。そうすると、それを餌にする生き物がいるとも考えにくいですよね。ひょっとして、人間が大量のプラスチックごみを生むようになってから、それを食べる生き物が進化によって生まれたのですか?火を付けたら燃える化学エネルギーですから、それをエネルギー源にすると生きられるよ、という能力を新たに獲得するってこともある?まさに、ナウシカの世界ですよね。人が荒らしまくった世界を元通りにしようとする生き物が生れてくる?だとしたら、自然の力って本当に凄いです。ただ、それに甘えていたら、きっと人類は絶滅するんですよ。仮にそのプラスチックを食べる生き物が新たに生まれてきたのだとしても、それは愚かな人間を救うために生まれてきたのではなくて、この地球環境を守るために生まれてきたんです。でもまあ、とにかく自然の偉大さにただただ感心するばかりです。久々に、重苦しい嫌な話でなくて、夢のある話題でした。

2022年7月13日水曜日

男女平等日本116位!

 世界のジェンダーギャップの2022年度ランキングが発表されました。

男女平等度、日本は116位 東アジア太平洋地域でも最下位 (msn.com)

周囲を見渡しても、全く改善していないわけですから当然といえば当然ですけど、日本は調査対象146ヶ国中で116位と、何とも不名誉な、低い順位となっています。G7で最下位なだけでなくて、東アジア太平洋太平洋地域19か国の中でも最下位。韓国よりも中国よりもミャンマーよりも下です。教育と健康は男女同水準だけども女性の社会的経済的地位が圧倒的に低いことがランキングを下げています。これも以前と同じ。改善の兆しもナシ。日本よりもランキングが下の国って、あの宗教の国とかですからね。最下位の146位はアフガニスタン。あの宗教でも日本より上の国もいくつかあります。それぐらい、日本は酷いし、全く改善の傾向がない。

日本の場合はジェンダー差別が一番激しくて、それを社会全体が当然の様に受け入れてしまっているところが問題です。その他のあらゆる差別、人種、宗教、教育、貧富、年齢、身体的ハンデ、そうした全ての僅かな違いが差別の理由に使われます。多様性とかインクルーシブとか、言ってはみるものの、むしろ人は差別を求める生き物です。差別は格差を拡大させ、持続性の無い歪んた社会構造を生み出します。持続性を度外視した経済発展の結果生じているのが色々な環境問題だったりするわけで、SDGs目標の中で何が一番重要と問われれば、それは差別に関するものだと思います。もしもそれが解決できるのなら、他の全ての問題も解決する、というか、そもそも問題が生じないでしょう。

気候変動対策としてのカーボンニュートラルは、SDGsに包含される目標の一つ、みたいに言う人が多いですが、トンデモナイ。気候変動は最後に現れてくる問題であって、それを解決しようとすれば、持続可能性よりも差別と格差を求める人の行動、一番根源にある問題を正すことが大切です。SDGs目標は決して切り離すことの出来ない、全てが連動している問題であって、「つまみ食い」の様に対応してはいけないのです。YUCaNをSDGsの下部組織の様に言う人もあるのですけど、それも違う。YUCaNは目標を具体化し、SDGs達成の具体的手段を見出そうとしているんです。「問題だあ」とか言っているだけで、具体的アクションが何もない、そういうのではダメなんです。「気候変動とジェンダー平等は別問題ですからね」と言っちゃう人もあるのですけど、いえいえ!そんなことはありません!直結しています!弱者をリスペクト出来ない様な世界だからこそ、気候変動なんて見向きもされないんです。

で、「困った問題だねえ~、どういう対策が必要かなあ、私に何をして欲しいですか?」と腕組みしているオジサン方!あなたたちが問題なんですよ!どうしたら活躍する女性が増えるのか分からない?あなたたちがそこに居るからいけないんです。「私が何とかしてあげましょう」と思う必要もナシ。静かに退場することです。「そんなこと言っても、君には無理だろう」と女性や若者を見下す、権力の座に座ったオッサン達、そんなことはないんです。本当に、SDGsを理解しているならば、まず自分のその席を若い女性に譲ったらどうですか?世界を動かしているのは自分だ、とかいう驕りをまずは捨てましょう。日本のオッサンリーダーは自分の権力にしがみつく、女性や若者はオッサンリーダーに甘えてしまい、自らが矢面に立つ度胸を持たない。不寛容だから、リスクを避け、新しいことをことごとく潰そうとする日本の社会、それだからこういうニュースが何度報じられても、本気で変わろうとは思わないんですよね。日本人が大好きな「和」という言葉、でもこの意味においては大っ嫌いです。

リアクト米沢訪問

 米沢市役所の計らいで、米沢市にある「リアクト米沢」さんを見学してきました。

reactyonezawa.com

近隣で飼育される家畜(乳牛)の糞尿や、スーパーで廃棄されてしまった農作物等からバイオガスを生成し、これを用いた発電に取組んでいます。同時に生成される堆肥は地域の農作に利用されていて、ゴミを出さない循環型農業のモデル事業です。


「はまだ牧場」の乳牛さんたち

見学の最初は、「はまだ牧場」です。広い牛舎の中で、沢山の乳牛がエサを食べていました。一部土の様なモノを食べていたので、何か尋ねると、ゼオライトだそうです。お腹の調子を整えているそうで、自発的に食べるんだとか。生まれて間もない子牛も別の牛舎にいて、可愛かった。

搬出される牛糞

当然ながら、牛たちは沢山ウンチをします。それをもみ殻と混ぜて、トラックで運びだします。もみ殻も一緒に発酵されますが、混ぜるのは水分(オシッコも混ざっているので)を吸収させて、搬送途中で盛大に漏れ出さない様にするためだそうです。

リアクト米沢の施設外観

はまだ牧場から500メートルぐらい離れたところにある、リアクト米沢さんに到着しました。写真に見える様な発酵槽が2基、大きいのと小さいのがありました。

廃棄物を砕いて混ぜるミル、ミキサー

搬入口を入ると、牛のウンチだけでなくて、廃棄された野菜なども全部混ぜて粉々にするミキサーがありました。緑色っぽいのはキャベツでした。これ、写真では分かりませんけど、猛烈に臭かったです!まあ、そりゃそうですよね。

分離された固形分は堆肥として利用

ドロドロになった廃棄物は、洗濯の脱水機の様な仕掛けで固形分と消化液に分離されます。固形分は全く臭わず、これが近隣の農家のアスパラガス栽培などの肥料に用いられているそうです。

発酵槽、中央上部に見える赤いのは攪拌用モーター

消化液は地下に埋設された管を通って発酵槽に入り、嫌気性細菌によってメタンガスへと分解されます。硫化水素の生成を抑制するために多少空気を入れるそうですが、酸素があると二酸化炭素と水まで行っちゃいますから、酸素は基本的には遮断されています。温度は43℃ぐらいが良いそうです。攪拌する方が良いのか、しない方が良いのかなどは色々テストするそうです。この攪拌モーターの電力は、ここで発電された電力を使っているそうです。発酵で温度が上るわけでもないそうで、寒い時は温めるそうです(それも、施設内で生み出した電力による)。大体数週間で完全にクリーンになって、そのまま下水に流すことが出来るので、いっぱいになって止まってしまうことは無いそうです。生成したメタンは上部の半球形ドームで回収されます。

ガス分離装置

生成するガスはメタンだけではありません。余計なガスがエンジンに入るとエンジンが壊れるので、このガス分離装置で純化するそうです。

発電機のエンジン、写真に写るのは案内して下さった、株式会社ハイポテックの高橋さん、ハイポテックがこのバイオガス発電プラントの運用をしています。

そして、生産されたメタンガスは、御覧のエンジンの燃料になり、発電機を動かします。エンジンの回転軸は発電用のダイナモに直結されていて、負荷はマグネットで制御する仕組みだそうです。最大出力は470 kWとのことです。てっきりガスタービンエンジンだと思っていましたが、普通のレシプロエンジンでした。片バンク6気筒、V型の12気筒エンジンで(チェコ製だとか)、スパークプラグも見えました。効率悪そうにも思うのですけど、恐らく小型の設備についてはガスタービンよりも良いんでしょうね。燃焼すると、当然二酸化炭素が出るわけですが、元々バイオマス由来ですから、完全カーボンニュートラル、というわけです。燃料さえカーボンニュートラルならば、いままで通りエンジンを使ったら良いです!自動車だって、何も全部EVにする必要はナシ!
こんなに先進的なバイオガス発電施設が米沢にあるということが驚きでした。全国でもこういう施設はまだまだ少ないそうで、連日全国から視察があるようです。設備のほとんどは輸入部品で構成されていますが、設備の設計や施工は独自にされたそうです。こういう施設を見るのは初めてでしたので、スゴイなあ、という印象ではありましたが、ヨーロッパで大規模に取組まれている施設と比較すると、可愛いモノだそうです。実際、470 kWというのは、これだけの設備にして「まあそんなもの」という小ささです。同じ敷地に太陽電池を敷き詰めてもそれぐらい発電出来そう。
でも、そういうことじゃないんです。循環型農業、さらにはカーボンニュートラルな電力生産の取組み、素敵じゃないですか!ご案内頂いた濱田さんや高橋さんの生き生きした表情も大変印象に残りました。我々が何らかの形で、こうした取組みの進化や拡大に貢献出来たら良いなあと思います。リアクト米沢さんの場合、効率的な運用方法は独自に研究検討していて、大学等と共同しているわけではないそうです。エライ!(っていうか、役に立つことが出来ていない大学の研究者が情けない!?)
ここまでやっても、まだまだ道半ばであることの一つとしては、最初に出てきた牛さんたちが食べている穀物飼料や干し草は、やっぱり全部輸入品なんだそうです(外国の土壌、お日様で育った穀物を燃料を使って輸送している)。昔の牧畜というのは、餌も地域で生産し、家畜が育ち、廃棄物は再び土壌に戻るという完全循環でしたが、今は安い輸入穀物飼料を使う効率的な大規模生産が当然になってしまいました。国産は高い上に品質が安定しない、雨が多いせいで牧草がカビたりする、というのが国産飼料にはなかなか切り替えられない理由だそうです。しかし、稲わらの飼料など研究はされているそうですよ。出来ることなら、地域で生産された飼料で家畜が育ち、そこから食料とエネルギー両方を頂いて、再びそれが土壌に戻って飼料を育てる完全循環、その全てが太陽の光の力で回っている、という仕組みを実現したいものですね。
そしたら、国産家畜飼料の話題が先日放送されていました。
鹿児島、指宿での飼料の国産化の取組みです。天候不順による不作、ウクライナ紛争、急激な円安、コロナによる物流停滞などで、輸入穀物飼料の価格が急騰しているために、早くから取り組んできた国産飼料が十分現実的競争力を持つようになったそうです。上記のカミチクホールディングスさんがスゴイのは、餌づくりに始まって、最後に食肉が提供される外食産業まで多角的に取組んでいるところです。でも、そうした方が、入口と出口がつながって、循環する仕組みを作りやすい様にも思いますね。大変ではあるけれど、分業による効率化よりも、連携によるシステム化が今後の鍵でしょうか。これからは、コストだけではなくて、持続可能であることが優先されるべきファクターになると思います。もちろん、採算性が全くないことには取り組めないので、一歩ずつ理想形に近づいて行って、いつかは東北地域から食料とエネルギー両方を全国に供給できる様になったら良いなあと思います。









2022年4月25日月曜日

ヒューマン・エイジ

 昨日からNHKスペシャルで「ヒューマン・エイジ」という新しいシリーズが始まりました。

「ヒューマン・エイジ 人間の時代 プロローグ さらなる繁栄か破滅か」 - NHKスペシャル - NHK

これから何回かに分けて色々な視点からの番組が計画されているようです。でも、そもそもヒューマン・エイジという言葉で何を伝えたいのか?まあ、第一回を見た限りでは、「人新世」を言い換えただけと思いました。斎藤幸平さんも登場したしね。

番組の最初では、火星移住の話が中心でしたが、打って変わってそこに至るまでの人が生み出した技術的進歩の速さを考察する上で、人が集団生活を営む様になったことで、一旦生み出された技術が失われず、その上に付け足し進化させることでその急速な発展を可能とする、「集団脳」がその根源にあるというホモサピエンスの特質(ネアンデルタール人は家族単位で暮らし、コミュニティーを作らなかったらしい)へと展開します。そして、その集団の能力はコミュニティーが大きい程進化の速度を速めて、大きな繁栄を築くんだけど、歴史を振り返ると、どの文明も必ず終わっていて、その終わり方も含めて、どんどん規模が大きくなっているんですよね。そこで、現代の戦争にまで言及したところは、お、プロデューサー考えてるね!と思いました。

良いなと思ったのは、色々な視点が入っていることですかね。宇宙に挑戦する人の飽くなき欲求や夢の実現への意欲、探求心を賞賛すると共に、それがもたらす可能性の大きさや明るい未来を描いているところもあります。ところが一方では、それは自然発生的であって、別に一部の天才の存在によって成し遂げられた様なことではないこと、そしてそうした文明の発展は過去に何度も繰り返されているけれど、それは必ず破局しているという過去。少し前なら、前者の夢の部分をクローズアップした番組がほとんどだったと思う。ところが、今はそうした文明、繁栄が終わってしまうかも知れない、ということが現実的に目の前に突き付けられている時代ですから、終わることへの警戒感も同時に訴えられていましたね。

自分自身の物の見方が変わったなあ、とも思いました。30代くらいまでの私だったら、ワクワクする、光り輝く未来の明の部分しか興味無かったと思います。そして、「それを成し遂げるのは私だ!」ぐらいのことを言っていたと思います。それは経験を積み重ねることによってより広くを見通せる様になった進歩なのか、あるいは単に年老いて「馬鹿なことはおよしなさい」と言ってしまうようになっただけの退化なのか。夢にチャレンジしようとしている人に、やめろと言うのは良くないですけど、火星移住とかっていうのは、もはや古臭い夢の様にも思えるんですよね。空を飛び、音速の壁を破り、宇宙に行き、月に行き、火星に行き、その次は金星にしますか?昔の延長上で考えられたことばかりです。今、私たちは有限な地球の資源や気候を維持する仕組みの問題を知るに至り、持続可能な生き方を模索することの重要性に気付きました。その集団脳を人類の破滅を回避することに活かせるのであれば、我々は終焉を迎えることなく幸せを維持できるのかも知れません。しかし、私には火星移住を熱っぽく語るイーロンマスク氏も恐竜世代の生き残りの様にしか見えませんでした。未来に対する暗の部分の方がクローズアップされてしまいます。それは決して、現在抱える問題のことだけではなくて、人の進化の無さ故に繰り返される破滅が、この上なく巨大化するということへの心配からです。

集団脳において、突出した優れた頭脳の存在は重要ではない、ということが印象に残りました。そして、その繁栄が何に支えられているのかは常に明確ではなくて、ただ進歩と拡大を続けるという仕組みが機能するので、人々は慢心し、やってはならないことと分かっているハズなのに同じ過ちを繰り返して、何度も破滅と再生を繰り返してきた、という話も啓示に満ちている様に思いました。その通りじゃないですか?そして、集団脳がインターネットによって、地球上の全ての人を結びつけるほど巨大化し、繁栄も地球規模となった今日、その終焉は世界の終わりとなって、全ての人類を巻込むことになります。もはや、地域的な帝国の栄枯盛衰のレベルではないのです。世界の終わりの始まりが、このウクライナ戦争である様に思えてなりません。反省したり、修正したりするメカニズムが全く作用していないんです。

だから、斎藤幸平さんも、グレタトゥンベリらZ世代が巻き起こす変革に期待しているようですね。夢をみることをおよしなさいとは言いません、ただ、火星移住なんていう古臭い夢を語っているのは、不勉強故ではないかと思います。Z世代はもっと賢くなって、人類にとって一番大切なものを守り育む世界を創っていって欲しいですね。そして、年寄りはいい加減黙りなさい、退場です。あんたらはそんなに偉くない。反省しなさい。今の惨状は自分たちのせいであることを自覚せよ。自分の古臭い成功神話にしがみつくな。

2022年4月15日金曜日

JR東日本「ロシア語案内隠し」を通して見える日本人

 皆さん、このニュースをご存知でしょうか?ぶったまげて、最初笑ってしまいましたが、何とも悩ましいニュースです。

JR東日本 駅のロシア語案内板 覆い隠すも批判受けて元の状態に | NHK | ロシア

JR東日本の駅には、ロシア語での案内標識もあるそうですが(さすが東京)、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まり、幾人かの乗客が「不快だ」と言ったとかで、その標識を「調整中」と書かれた紙で覆ったそうです。JR東日本ともあろう、大きな会社が。そして、逆にSNS上で「それは差別だ」という批判が相次いで、「やっぱりやめます」とその覆いを取り除いた、というニュースです。それだけのこと?と思うかも知れませんが、そこに今回の事態に対する日本人の本当の反応と、自らに明確な判断基準が無く、「お客様本位」で流されてしまう、全体主義的な怖さが隠れていると感じました。

どっちが正しいのか?といえば、言うまでもなく良識のある判断は、何もしない、ということであったと思います。見たわけじゃないし、私はそこに関わっていませんけど、SNS上での反発の方が当然です。繰り返し書いていることですが、ロシアによる軍事侵攻は非難されるべきことですが、それをもってロシア人は悪だ、ロシア人なんて見たくない、そいつらが話す言葉が日本の路上にあるなんて不快極まりない、というのは完全に間違っています。今の状況を見れば、ウクライナの人々への同情とロシアの蛮行に対する憎悪を禁じ得ないのは当然ですが、背景を学びもせず、過去と未来に思いを馳せることもせず、単純に善悪を二極化して自らの正義感に燃えている人は、世界に対立と憎悪を広めて、反省もせず、世界を戦争の時代に引き戻すことに加担してしまう人たちです。もちろん、紛争の解決手段として暴力を振るったロシアが非難されるのは当然ですが、この様な事態を招いたことについてはアメリカやEU、そして日本も同じぐらい罪を犯してきたということを理解すべきです。

JR東日本ほどの大きな会社であれば、社内には良識のある知識人も少なからずいらっしゃると思います。現場が「お客さんから苦情があるんで、隠そうかと思います」と言ってきたとして「いや、それはマズいよ」と制止する人はいなかったんでしょうか。お客様本位というよりは、ただただトラブルを避けたいだけの、思考停止状態における反射的反応としか思えません。でもきっと1日ぐらいはかけて、わざわざ覆い隠す紙を準備して、いくつもある標識を隠す作業を職員にさせたのですよ!JR東日本には「こうであるべき」という様な思想やその主体が存在していないということですね。SNS上での反発を受けて「差別であるという誤解を与えないために」という苦し紛れの説明をするのも、同様に反対方向の反射的反応をしたに過ぎず、結局どうあるべきと考えているのか、に対する思考はそこに入っていないようです。

それだけのこと?と思うことなかれ。この一連のドタバタからは、日本人の典型的な行動様式とその危険性が見えてきます。多様性を許容するキャパシティーが無く、依存と甘えが強い日本社会においては、思考停止して主流に従う全体主義に陥りやすいです。今回の戦争で、ロシアが悪、アメリカを中心とする西側が善、という単純な二極化を強調すれば、それが一番分かりやすく、考えないでそれに従っておくのが無難だ、となります。もちろん、世界からロシアを消去することで、世界の秩序と平和が保たれるわけではないのです。「和」という言葉が大好きな日本人(私は、ある意味では好きですが、実際目の当たりにする範囲においては嫌いです)。事なかれ主義、多勢に無勢、目先の対立を避けるためなら喜んで思考停止し、犠牲となる少数派には目をつむる(障害者、LGBTQ、女性や外国人は差別される)。だから、80年前の戦争となってしまったのではないのか?気づきがない、反省がない、学びがない、成長がない。想像してみてください。もしも中国が台湾に軍事侵攻したら?日本中にある中国語の案内標識を全部撤去しますか?

2022年4月9日土曜日

再エネ施設見学ツアー

 YUCaN学生部会のメンバーで奥会津にある再エネ施設見学ツアーに行ってきました。最初の目的地は以前このブログでも紹介した、道の駅かねやまの中にある、「みお里」です。只見川沿いの水力発電の開発の歴史などを紹介する施設で、2020年にオープン、無料です!今回、総勢12名、山形大学の学生の訪問ということもあり、なんと施設の職員の方2名がアテンドして下さり、展示内容のガイドを頂きました。ありがとうございました!

昼食後は、雪がまだ沢山残る、沼沢湖に立ち寄りました。沼沢湖は天然のカルデラ湖ですが、只見川とつながる地底トンネルがあり、出力470MWの沼沢第二発電所が地底にあるそうです(見てみたい!)。揚水式発電で、電力が余った時には只見川の水を沼沢湖に汲み上げて、電力を貯蔵する仕組みです(高低差が200メートルもあります)。理想的な電力貯蔵システムですが、なかなかこんな仕掛けを導入出来る適地は少ないですね。

最後は、これは私も初めて行った、柳津西山地熱発電所です。発電所の施設は外からしか見ることが出来ませんが、PR館があり、その中に地熱発電の仕組みなどが紹介されています。

地熱発電ってのは、どういう仕組みなのか良く分かっておりませんでした。他の施設でも、写真の背後に写っている巨大なバケツみたいなのがいつもありますが、あれは冷却塔であることが分かりました。地底のマグマ近くで加熱された地下水は、300℃以上の高温高圧状態で、これを大気下に持ってくれば勝手に気化して水蒸気になるはずです。その力でタービンを回して発電するまでは分かるのですが、その後の地下水は捨てているものだと思っていました。しかし、それは再び地中に戻されて循環しているんです。でも、どうやって一旦低温且つ大気圧になった水を高温高圧の地下に戻すのか不思議に思いました。加圧して戻しているわけない(エネルギーを失う)からです。詳しくはまだ分からないんですが、どうも地中での地下水の大循環を利用しているらしいです。マグマで温められた高温の地下水は、上昇して徐々に冷やされ、再び下降流となってマグマの方に向かう循環があり、それが地上に吹き出せば温泉ですが、地熱発電をやっている様な場所では水を通しにくい粘土層があり、それが遮ることで地底での水の循環が起こっているんです。それで、上昇流のところに吸出し用のパイプがあり、それを地上に持ってきて発電用タービンを回します。その水蒸気が水に戻る様に冷却しているのが写真のバケツ状の冷却塔です。そして冷却された水は地底大循環の下降流のところに放出されます。そうすると、その大循環に引き込まれる様にして水はマグマに向かって流れていき、再び加圧され高温になって上昇流になる、というわけです(それで理解合ってるかな?)。なので、地底の水循環をしっかり調査して、どこから水を汲み上げ、どこに水を戻すかを決めているらしいです。それをやれば、ほぼ永久にマグマの熱からエネルギーを少しずつ取り出せるわけですね。かなり緻密な調査が必要で、簡単ではないなという印象です。そもそも、温泉水はお風呂に使った方がよほどお金になるので、温泉大国日本ではありますが、それをわざわざ発電に使うというのはなかなか経済的に成立しにくいですねえ。この柳津西山地熱発電所もかなり大がかりな施設でしたが、発電能力は50MWということで、正直、大したことないなあと思いました。地熱発電が最も大規模に行われているのはアメリカだそうで、総出力は3GWを越えています。それでも、全体の電力供給能力に占める割合は僅かですね。
再エネ施設ツアーの詳細は、YUCaN学生部会から報告があると思いますので、是非そちらを見て下さい。旅の終わりに、米沢のすぐ近くにある川西ソーラーパークをちょっと眺めに行きました。

地元にこんなに大規模なソーラーファームがあることを知らなかった人も多かったみたいです。スキー場の跡地に建設されているということもあって、4月の今もまだ多くの雪が残っています。太陽電池パネルは雪に埋まらないように、みんな足の長い架台の上にあって、地上よりだいぶ高くに設置されていますが・・・写真を良く見てください。大規模に壊れていました。何しろ、この冬はとんでもない豪雪の年でしたから、さすがに雪の重さに耐えきれなかったのか、恐らく雪崩もあって、パネルを支える台座が壊れてしまったようです。パネル自体も損傷している可能性が高いですね。太陽電池は、もちろん安くなったとはいえ、20年ぐらいメンテフリーで発電し続けることが期待されています。ところがこんなことになると、全く採算が取れないうちに施設が壊れてしまうことになります(川西ソーラーパークはまだ建設途中ですよ)。豪雪だけでなくて、巨大台風や地震による設備の損傷も考えられます。温暖化のために今後は異常気象の頻発が予想されますから、こうした再エネ施設自体の災害対策を念入りにしないと元も子もないことになっちゃいますね。


2022年3月28日月曜日

ユーチューバーとコラボ

 山形出身ユーチューバーの「しおたん」さんと「アフロりゅうじ」さんとのコラボによる動画がそれぞれのチャンネルで公開されました。

【地球がやばい!!】しおたん&アフロりゅうじが世界を救う!!カーボンニュートラルって一体何?【山形県環境啓発動画】(前編) - YouTube

【地球を救え!】しおたん&アフロりゅうじが世界を救う!!環境を守るための具体的なアクション【山形県環境啓発動画】(後編) - YouTube

こんな世界にも足を踏み入れることになるとは思ってもみなかったですけど、色々経験させて頂いて有難い限りです

正しいとか正しくないとか、優れているとか劣っているとか、そんなことじゃないんですよね。しおたんさんの動画が2日間で3500回以上視聴されていることに驚きました。これを社会へのインフルエンサーと言わずして何をそう呼ぶのでしょう。先日書きましたけど、日本学術会議のウェビナーの視聴が200人ですよ!

しおたんさん、アフロさん、ありがとうございました。今度ともどうぞよろしくお願いいたします!

2022年3月17日木曜日

アマモ

 先日こんなニュースがありました。

海草のCO2吸収量 約1万1000世帯分か 全国の主要港などで推計 | 環境 | NHKニュース

浅い海に繁殖するアマモと呼ばれる水草(海藻ではなくて海草)を日本の港湾に植えることで、二酸化炭素を吸収する計画で、国土交通省が取組み、その削減分を国内企業に対して二酸化炭素排出権として売るというのです。「これって本当に大丈夫?」と思ったので、YUCaNの仲間と議論しました。何が心配かと言うと、植物と言うのは確かに成長期においては二酸化炭素を吸収しますけど、死んで分解されるとまた二酸化炭素を出しますから、生まれて、それが完全に消滅するライフサイクルにおいてはカーボンニュートラルであって、ネガティブカーボンではないだろう、と思ったからです。例えば最初は吸収してくれるけど、死んで分解されたら差し引きゼロではないかと。

それで、農学部の程為国先生からご説明頂きました。今までアマモが生えていなかったところにアマモを繁殖させれば、それは砂漠を草原に変える様なものなので、やはりネガティブカーボンを生み出すと考えて良いということです。ナルホド。それから、死んだアマモは全部分解されるわけでなくて、有機物として海底に堆積するので、ある程度はネガティブカーボンを生み出し続けるのです。例えば釧路湿原の様な場所は、水草が長年堆積して、泥炭(ピート)の層を形成しています。それはいずれ石炭になるのでしょう(人間は使えないぐらい時間かかると思います)。しかし、やはり時間が経過すると、吸収量と排出量がバランスし始めて、ほぼニュートラル状態になるみたいです。例えば白神山地の様な古い森林の場合、成長分と同じくらい枯死と分解による排出があるので、吸収能力は期待できないということです。それで、実際どれぐらいの二酸化炭素吸収能力があるのかを正確に見積ることは非常に難しい、とのことです。

全く理にかなった説明で、納得なんですけど、そうするとやはり心配ではあります。それは、人の心理から来るものです。このアマモの繁殖に取組む方からすれば、その二酸化炭素削減効果を声高に主張したくなるでしょう(過大評価につながる)。一方、それを排出権としてわざわざ購入したサイドからすれば、自分たちはお金を使って二酸化炭素を削減したのだ、と主張し続けたいでしょう。しかし、恐らくは毎年の二酸化炭素吸収能力の変化(低下し続けると思われる)を見積もることはしないでしょう。このニュースには全国でやると年間4万5千トンとありますが、それに単純に年数をかけ算して、「これだけ削減した!」となるに決まっています。

なので、やっぱりバイオマスによる二酸化炭素削減効果については、正確な見積もりを可能とする科学的根拠が不十分であると思います。例えばCCSで地中に埋める場合はこれだけ埋めたと言えるでしょうけど、戻ってくる分もあるバイオマスの場合はそんなに簡単ではありません。もちろん、だからやっても仕方ないと言っているのではありません。注意が必要だというだけです。

2021年11月26日金曜日

食用コオロギ!

 ちょっと前に、NHKの山形ローカルニュースでやっていて、物凄いショックだったのがこのネタです。

飼育したコオロギを加工 食べ物として発売開始 新庄市の工場|NHK 山形県のニュース

うぎゃー!私は無理です!いやねえ、確かに牛は成長するまでの極めて多くの穀物飼料を食べ、沢山水を飲み、沢山糞尿をし、沢山ゲップをした上に、ちょこっとだけお肉を作ります。タンパク質を作るプロセスとして大変効率が悪い上に、温室効果がCO2の300倍にもなるN2O(糞尿から)や25倍のメタン(ゲップから)を沢山生産する、とても持続性の無い環境負荷の高い食料です。そのトウモロコシや水を人間が食べれば、もっと多くの人がお腹を空かせずに済むはず、牛肉を減らしましょうとはよく言うハナシ。それに対して、昆虫は僅かな餌でタンパク質を効率よく作ります。だから、持続可能で気候変動も抑制する昆虫食を見直そう!とはよく言われることです。イナゴとか蜂の子とか、サナギとか、日本では昔から昆虫食はありました。何を隠そう、私の故郷の岐阜でも、クロスズメバチの幼虫は「へぼ」と呼ばれる高級食です(私は食べたことありません)。さらに言えば、エビとかカニとか、もし陸を歩いてたら昆虫と何も違わないですよね?ウニとかホヤとか、海の生き物ならばもっとオゾマシイものを食べるじゃないですか!

でもねえ・・・。私はてっきり「え、これ本当にコオロギなんですかぁ?」って感じで、粉末化するとか、元の昆虫の姿が全く見えないものなのかと思っていました。ところが、ビデオに出てくるのは、あのコオロギさんそのもの!まあ、バッタと似たようなもの?いや、あの黒光りする羽根がねえ・・・あの「ゴ〇ブ〇」を連想させるでしょ?だから、これは無理だなあ・・・。本当に食べる物が無くなって、お腹が空いたらきっと食べますけどね。でもそうならないことを願っています。来るべき時に備えて、食品を開発する方はもちろん非難しませんし、賞賛しますけど、私はちょっと遠慮します。生涯食べずに済むことを願っております。皆さんはいかがです?

2021年11月25日木曜日

再エネ施設見学

 先日紹介した浪江町のFH2Rは再エネの未来像とも言える施設でしたが、ある意味普通の従来からある再エネ施設を最近訪れていました。山形県内や近隣県にも多くの再エネ施設があります。

まず最初は、家のすぐ近くに建設が進められている「川西ソーラーパーク」。潰れてしまったスキー場の跡地を利用して、なだらかな山を覆う様にソーラーパネルが設置されています。この場所は時々通りがかるのですが、突然ソーラーパネルで覆いつくされていたので驚きました。どれぐらい広いのかこの写真ではよく分かりませんが、25 MWということなので、国内では結構大規模なソーラーファームですね。近くまで行ったのですけど、工事中で入れません。その昔のスキー場ホテルと思われるコンクリの建物がお化け屋敷の様に朽ち果てて、そのままになっています。いずれ見学できる様になるのかも知れませんが、現状は遠くから見るのみです。何しろ雪が沢山降る地域ですから、ソーラーパネルは全部陸からかなり持ち上げられて設置されています。最近の事故を受けて、しっかり基礎の工事をやっていると信じたいですけど、傾斜地ですし、大雨の時に土砂崩れとか起こさない様にして欲しいですね。でも、ふもとにはほとんど住宅などはありません。こういう場所も上手く使わないと、日本ではソーラーを拡充するのは難しいですから、しっかり対策をしたうえでこういう施設を増やしていって欲しいものです。
次は、山形県庄内町にある「立川ウィンドファーム」。元々この地域は立川町だったみたいです。最上川に沿って吹く「清川だし」と呼ばれる風の好立地のため、古くから国内での風力発電推進のための研究もここで行われていたようです。広大な田んぼの中に10基程度、そして周辺の山の上にも10基程度、合計20基程度の風車を見ることが出来ます。1基あたりの出力は600 kWぐらいのようです。「ウィンドーム立川」という施設があり、地域での風力発電開発の歴史を紹介する施設や、電気カーにも乗れる子供の遊び場などありますが、ややさびれた感じで、展示物はちと古臭い感じではありました。まあ、近々洋上風力発電が本格稼働することになるでしょうけど、さきがけの地として、再エネを皆さんに考えてもらう施設を拡充して欲しいものだとは思います。田んぼの中にある風車は、そのすぐ下にまで行くことが出来ます。巨大な羽根がグルグル回る様に、子供たちは「怖ーい!」。確かに、もし落っこちてきたらどうしよう、という感じはします。しかし、その大きさを見ることで、電気にも大きさがあって、エネルギーを生み出すのは大変なことなのだ、ということを子供たちも数字でなくても理解した様に思います。
最後は、福島県奥会津金山町の「道の駅奥会津かねやま」に併設された、「みお里」という水力発電を紹介する施設です。2020年にオープンした出来立ての綺麗な資料館(?)で入場は無料で、絵ハガキのオマケまでくれます(私が行った時点での話なので、もらえなかったらゴメンナサイ)。阿賀野川の支流、尾瀬を水源とする只見川は、高低差が大きい深い谷を流れる川で、戦前からその水力発電利用の開発が進められたそうです。本格的には、戦後東北電力の初代会長となった、あの有名な白洲次郎氏がその開発の指揮をとったんです。
白洲次郎、カッコ良すぎて男の子はちょっと憧れちゃいますよね。あの時代に、あんな国際人がいたこと自体が伝説になっちゃいます。この椅子、マッカーサー元帥に送ったもの(たぶんレプリカ)だそうですよ。座ってみましたけど、座り心地は良くない。白洲次郎の生き様を紹介するコーナーのほか、4K画像のシアターでは、水力発電開発の歴史などを学べます。そしてハイライトは、実は美術館なんです。奥会津の景色などを描いた絵画やステンドグラス、そしてあの片岡鶴太郎氏の絵画も展示されています。
子供たちは、このプロジェクションマッピングによる、只見川の水力発電施設の紹介や、インタラクティブな水力発電の仕組みを学ぶ模型、東北電力管内にある太陽光、地熱、バイオマス、風力などの再エネ施設などの紹介を楽しんでいました。無料でしたけど、結構楽しんでしまいました。近くへ行った時は是非立ち寄ることをお勧めします!
最後は、みお里の近くにある、沼沢湖を訪れました。カルデラ湖だそうですが、只見川よりも200メートルほど高地にあり、只見川とトンネルで結ばれていて、揚水式電力貯蔵が可能な水力発電が地下に建設されているそうです。凄い!電力が余った時には只見川から水を汲み上げてこの湖に貯めて、発電する時には湖の水を只見川に落とす仕組みです。実際大分登りますけど、川のすぐ近くなので、こんなことが可能なんですね。揚水式ダムはとても有効な再エネ電力貯蔵設備になりますが、なにしろそんなのに適した場所は多くはありません。なので、やはり巨大な電池とかの蓄電設備が必要になってしまいますね。
というわけで、近くにこれほど再エネ施設があるということが嬉しい驚きでした。中が見れなくても、斜面を覆いつくすソーラーパネルや巨大な風車が動く様を見るだけでも、脱炭素に向けて色々考えさせられてしまいます。新しい時代の到来を(その困難さも含めて)リアルに感じるためにも、是非足を運んでみることをお勧めいたします。次は地熱発電を見に行きたいと思ってます!






2021年10月11日月曜日

NTTが推進するIOWNとは何?

 ちょっと前にニュースになっていて、気になっていました。NTTは政府の目標である2050年よりも10年前倒しで、2040年にNTTグループとしてカーボンニュートラルを達成すると宣言したのです。

NTT 光技術で2040年度までに温室効果ガス排出量 実質ゼロ目標 | 環境 | NHKニュース

NTTがグリーン燃料を創出する事業に進出するのかと言えば、そういうことではなさそうです。IOWN(アイオンと読んで欲しいみたいです)と名付けられた新しい光通信技術の導入を進めることで、ネットワークが消費するエネルギーを大幅に削減することが出来るというものです。確かに、先日取り上げたように、情報ネットワークが消費する電力は莫大なものになっているようです。

カーボンニュートラル2050: ICTで気候変動は加速する? (carbonneutral2050.blogspot.com)

今のところ、電線の中を流れる電気信号が情報伝達を行っていて、特に長距離だとその損失はとても大きくなりますから、これを光に変えると損失が低減されるということでしょう。しかし、無線通信はどうするの?詳しくは分かりませんが、NTTはこのIOWNコンセプト(インテル、SONYとの共同)を解説する詳しい情報ページを公開しています。

IOWN|NTT R&D Website (rd.ntt)

端末の直前まで全部光で通信するということのようですが、パワーは?出来れば送電線も無くして、光でエネルギーを供給して、端末側で光から電気に変換できないですかね?それも視野には入っているみたいで、エネルギーのことについてはこのページに解説があります。

IOWNが変える社会インフラ MaaSとエネルギーの革新|NTT R&D Website (rd.ntt)

MaaS (Mobility as a Service)とかってのは、普通は情報伝達の部分だけのハナシだとは思いますが、出来ることならば車両側にバッテリーなどエネルギー貯蔵の必要を無くして、光なのか、電磁波なのか(やっぱり損失が問題になってしまうけど)でエネルギーを常時供給して動ける様になったらいいんですけどね。実際、電車はそうでしょ。電線ですけど、バッテリーは積んでいない。蒸気機関車は石炭を積み、ディーゼル車両は軽油を積んでいて、それで航続可能距離が制限されますが、電車は電気が来る限り走り続けられます。

それでもなお、エネルギーの使用効率を上げて、使用量を減らすだけではゼロカーボンにはなりませんよねえ。生み出すところは他から買ってくるというだけじゃなくて、是非そこもお願いします!


2021年9月15日水曜日

紙や木で脱プラは本当に脱炭素?

 軽くて丈夫、加工もしやすいプラスチックは、20世紀に暮らしを一変させたとても便利な材料ですが、最近は環境破壊の悪者扱いされて「脱プラ」があちこちで進められようとしています。代表的なのはレジ袋の有料化、そしてコンビニで大量に使い捨てされるストローやスプーンなど。

コンビニ業界などで迫られる“脱プラ”への動き その背景は? | NHK

この木製スプーンなんて、ちょっと使い捨てするのがもったいない感じ。木はプラスチックの様に均質じゃないので、割れたり折れたりしないように、ある程度材料を沢山使わないとならないでしょうね。板材を熱プレスしているのか、塊から切削加工しているのか?後者だとかなりコストがかかりそう。バイオマス由来でも、紙の方がより加工はしやすいだろうと思います。

製紙大手 プラスチック製品に代わる紙製品 相次いで実用化 | 環境 | NHKニュース

魚を運ぶ発泡スチロール容器の代替が出来ると説明されていますが、クリーニング屋さんのハンガーも紙製のものが登場しているようです。

確かにバイオマスは、カーボンニュートラルだってことになってはいますが、もちろん原料の生育、採取、輸送、加工などにはエネルギーの投入が必要なので、全体としてはニュートラルにはなりません。そして、これら使い捨て製品は、リサイクルされるわけでもなくて、最後は燃やされるのでしょう。それならば、プラスチックも同じこと。プラスチックが環境中にいつまでも残ってしまうのに対して、木や紙は生分解性なので、万一ポイ捨てされてもいずれ環境中で循環するというところは良いのでしょうけどね。プラスチックをやめて、木や紙にすることで、本当に脱炭素が進むのか、LCA的評価や今後の検証が必要と思います。

そもそも、使い捨て文化自体が見直されるべき、というのも正しいでしょうね。コンビニでアイスやジュースを買って、それをすぐに食べたり飲んだりできるスプーンやストローが提供されるのは確かに便利。まさか、マイスプーンとマイストローを持参しないでしょうし、いちいち洗わなきゃならない。便利さは諦めたくないですよねえ。でも「使い捨て」という考え方そのものは、やはり持続性と相容れない。

どこまでだったら利便性を犠牲にせずに環境負荷を低減できるでしょうか?例えばスーパーマーケットが成立するためにはプラスチックが必要だったんですよね。肉や魚は必ずプラスチックトレーに乗り、ラップされています。だからバスケットにポイっと投げ込めるし、会計も簡単。記憶の片隅にはあるんですが、最近YouTubeで、1960年代の日本とか(もっと古いのは1900年頃のアメリカの高精細カラー化ビデオとか)を見ることができます。お母さんが、食材を買う様子もあったのですが、肉はもちろん、魚も紙にくるんで「はい」と渡し、その場で個別に会計して買い物カゴに入れるのです。豆腐なんて、持参した容器に水ごと入れているんですよ!確かにそうだったです。子供の頃、母親について買い物に行く時、いつも買い物カゴを持っていました。時々水が漏れることもあったと思います。ゴミは間違いなく減るでしょうけど、そんな面倒なやり方には戻れないなあ。便利さは犠牲にせずに、持続性は担保する、そんな技術開発が必要ですね。大切なのは、そういうこれまでの生活を支えていた資源の大量消費の罪悪に気付き、それを変えたいと皆が願う様になることですね。

2021年8月26日木曜日

CO2を吸収するTシャツ!?

 「このTシャツは二酸化炭素を吸収します!」そんな触れ込みだったので、驚きました。

大気中のCO2を吸収する、“藻”で染めたTシャツ | 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン | IDEAS FOR GOOD

英国のVOLLEBAKというメーカーが販売していますが(1着110USDと高価!)、ポイントはアメリカのLIVING INKというベンチャー会社が開発した植物プランクトン(スピルリナ)由来のインクを染料につかっているということ。通常黒い衣類は石油由来のカーボンブラックで染色されているけど、光合成によってCO2を吸収しながら育った黒色の藻を使うことで、その生育過程で吸収したCO2をずっと閉じ込めておける、という主張。さらに、「なんと着ている間にもCO2を吸収し続けるんです!」と上記の日本語レポートにありますが、それはウソ。ちゃんとVOLLEBAK社のウェブには

"Once the t shirt has been built and printed, the black algae ink continues to lock in the carbon dioxide that it absorbed when it was alive. And it will do this for over 100 years. So the t shirt you’re wearing is storing carbon emissions."

とあります。要するに、生きた藻がくっついているわけではありません。そりゃ洗濯出来ないでしょう。ウェブには”Hand wash with cold water”と指示もありますが、それは色落ちしやすいというだけのことでしょうね。

CO2を吸収する服というのが、実は他にも色々出てきました。

CNN.co.jp : 未来のデザイン 二酸化炭素を吸収する「生きた」服

これも「生きた服」ってのにビックリしますが、説明を見てる限りバイオプラスチックを使った安っぽいレインコートです。どこが生きているんでしょうか?色も付いていませんから明らかに光合成しません。カビでも生えれば生きていることになる?

お次は、ファッションの本場フランス。プジョーシトロエングループの高級車ブランド、DSとファッションメーカーのコラボだそうです。

表面を生きた藻でコーティング CO2を吸収する「光合成する洋服」の可能性 | ELEMINIST(エレミニスト)

まあ、カッコイイかどうかは個人の判断に任せるとして、「生きた藻でコーティングされている」のだそうです。であればこれが本命?でも、Tシャツは全体がコートされているという割には色が付いていないですよね。

こういうハナシを米英は単に金もうけに使いそうなのに対して、フランスの人ってこういうことを真面目に主張しそうな感じがしますけど、だいたい詰めが甘いというか、実効性が無いんですよね、フランスの製品には。コンセプトは良いけど、クオリティーが低い、という印象です。DSのクルマって、実際そうですよ。

さてさて、最初は「おっ、スゲー!」と思った今回のネタでしたが、どうやらカーボンニュートラル流行りに乗じたインチキ商品っぽいです。そもそもね、インクを作るのに天然産生の色素を使うというのであれば、伝統的な藍染がそうですよ(ジーンズのインディゴ色素)。あれは防虫効果もあるそうですね。で、コットンはどうですか?光合成で生産されていますよ。しかし、これらも現代においてはカーボンニュートラルかと言えばさにあらず。農機具使います。農薬も化学肥料も使います。さらに繊維を作ったり染色したりのプロセスエネルギーの投入も必要。最後は燃やしても生分解されても閉じ込められていた炭素は再び二酸化炭素になって環境中に放出されます。だから、バイオマスは最良のケースでもカーボンニュートラル(投入エネルギーを全て太陽光発電などで賄ったとして)、ネガティブにはならない。実際にはプラスです。

石油由来の合成染料を使わない様にするというのは、アリでしょうね。それも既に大規模に行われています。漬物とかに色を付ける食用の着色料は天然産生のものが多いです。実際の毒性がどうなのかは良く分かりませんが、やはりイメージとしても合成着色料よりもそちらの方が良いですよね。発色性や耐光性には劣るのかも知れませんが、体に直接触れる衣服の染色にも天然色素が良いのではないでしょうか。要するに草木染ですね。

着心地が良いとか、汗の吸収が良いとか、伸縮性があるとか、発色が良いとか、そういう理由で元々天然の素材で作っていた衣服が、いつの間にか合成繊維と合成染料に完全に置換されていた、それだけのことですか?持続性を考えたら、天然素材に回帰するというのは当然の流れでしょうか。ただし、エネルギーの収支も含めて本当に循環可能、持続可能な産業にしていくということが大切です。

そういう真面目な考え方を基準とすると、ちょっと今回の光合成Tシャツのハナシは単なる便乗金もうけとしか思えませんね。

還暦

 私、1966年生まれ、丙午(ひのえうま)です。2026年になりましたので、還暦を迎えました。すなわち、今1歳です。あと何年生きられるでしょうか?ひとまず、60年で色々経験させてもらい、色々なことを学び、考え、行動することが出来るようになりました。出来ることが増えた一方で出来なく...