この世に生を受けてから55年が経ち、世界人口が約35億から75億人に増え、大学の教員となって四半世紀以上が経ちました。今は山形県米沢市に在住し、山形大学工学部教授として仕事をしています。社会的に責任のある職業であることは認識しています。しかし様々な方面に忖度して、言うべきを言い、伝えるべきを伝えなければ、我々そして未来の世代を誤った道へと導きかねません。一方でいずれ大学を退職すれば、その発言力は弱まり、声は全く届かなくなることでしょう。
これまで、自分なりに一生懸命学び、経験し、考えてきました。幸いにして、豊かな日本に生まれ育ち、少なくとも日本では平和で安全な暮らしをしてきました。しかし今、世界は大きな不安に直面しています。破滅への道か、持続可能な明るい未来への道か、その分岐点に立っている様に思います。自分をその外に置き、傍観者でいることは出来ません。運命を共にする一人であり、家族や友人だけでなく、全ての同胞の幸せが続く様に、出来ることをしなくてはならないという焦燥感にかられています。このブログを見たり、見返したりする人はほとんど居ないかも知れません。それでも、諦めるわけにはいきません。
2019年の暮れに始まった新型コロナウイルスの感染拡大のために、世界の人々はこれまでに味わったことのない困難に直面しています。2021年の4月となった今も、その猛威は収まるどころか、さらに勢いを増しています。一刻も早い収束を願いますが、気候変動が進む中、同じことがすぐに繰り返されるかも知れません。その気候変動によっては超大型台風や豪雨、異常な高温などが頻発し、命を脅かし、住居や生活を奪っています。異常気象が引き起こす食料生産の危機や資源・エネルギーの枯渇は世界の様々な地域での紛争の引き金となっています。世界が不幸な時代へと突き進んでいる様に思えてなりません。
急速な人口の増加と新興国を中心とした消費の拡大のために、我々人類の活動は地球の許容範囲を超えて大きくなり、その気候を変えてしまう影響を与える程になってしまいました。既に地球の平均気温は産業革命前に比して+1℃を超え、2030年までに+1.5℃以内に収めないと、人間には止められない気候変動の負の連鎖が始まると危惧されています。仮にそれを達成しても、異常気象の頻発は止まらないので、2050年頃までにカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量実質ゼロ)を達成し、2100年頃までに自然な地球環境を取り戻すことが求められます。
この状況を止め、破滅への道を回避しなくてはならないことに、ようやく国際社会が立ち上がり始めました。「○○年までに●●年比で温室効果ガス(Green House Gases = GHGs)を××%削減」という目標を各国が争う様にして宣言していることは、最近ニュースで頻繁に取り上げられています。日本は2050年までにカーボンニュートラル達成を宣言したことに続き、先日の環境サミットを機に2030年までに46%削減の目標を掲げました。目標を示すことは良いことですが、政府が宣言することでそれが達成できるなら、昨年の熊本の集中豪雨、2019年の台風19号、2014年広島の集中豪雨と大規模土砂災害で、そして毎年繰り返される熱中症で救急搬送される人の多くを亡くすまで、なぜそう宣言しなかったのか?また、明らかに国民生活に大きな影響を及ぼすにも関わらず、ちゃんとした説明が国民に無いまま、さらに恐らくは関係省庁との調整も十分にしないまま、政府が宣言を急いだことに大きな不安を感じます。コロナの対応も、トリチウム汚染水の海洋投棄も同じです。国民を赤子扱いする政府も問題ならば、権利と責任を放棄して親方に甘える不勉強な国民も国民です。この状況を大きく変えることなくして、GHG削減目標の達成は無いと思えます。少なくとも、大きな痛みを伴うことが懸念されます。
この様な思いが、このブログを通じて情報発信し、国民、とりわけ未来を生きる若い世代の人たちに、2050年カーボンニュートラルについて考え、行動をするきっかけとなることを願うに至った背景です。常に関係する情報に注意していますが、マスコミではありませんし、自分の専門以外では知らないことも多いですから、誤った理解である場合もあるかも知れません。その時はご容赦頂くと共に、正確な情報や別の側面についての知見など共有頂けると有難いです。最大限の誠意と正義感を持って、この世界にはびこる不正義と戦い、決して我々が誤った道に進むことの無いよう努力したいと思います。
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