このブログについて

国立大学法人山形大学工学部教授の吉田司のブログです。2050年までのカーボンニュートラル社会実現に向けて、色々な情報や個人的思いを発信します。発言に責任を持つためにも、立場と名前は公開しますが、山形大学の意見を代弁するものではありません。一市民、一日本国民、一地球人として自由な発言をするためにも、所在は完全に学外です。山形大学はこのブログの内容について一切その責任を負いません。

2021年12月5日日曜日

山大生諸君、知ってるかい?

 「ダッコちゃん」「リカちゃん」「人生ゲーム」「チョロQ」「トランスフォーマー」言わずも知れたおもちゃの大ヒット商品、これを生み出したのはタカラ(現在はタカラトミー)ですが、その創業者の佐藤安太さんは、米沢工業専門学校のご出身、すなわち現在の山形大学工学部の出身です。佐藤さんは、残念ながら2019年にお亡くなりになりましたが、2010年には博士課程ものづくり技術経営学専攻を修了され、博士号を授与されています。山形大学工学部の客員教授でもあられたのですね。それを知らなかった私が恥ずかしいです。

「リカちゃん人形」を生んで“累計6千万体”売った男…ストーリーとしての販売戦略 (biz-journal.jp)

また、私が学生の頃、村上春樹氏と人気を二分する人気作家だった吉本ばななさんの父親で詩人の吉本隆明さんも、米沢高等工業学校(現山形大工学部)のご出身です。

吉本隆明略年譜(石関善治郎作成) (bindsite.jp)

ご存知の方からは「そんなことも知らないのか!?」とお叱りを受けそうですが、うちの研究室の学生に話したら全く知らなかったので、ここに書いたところです。吉本ばななさんは、私本を読んだことないので、ここでは語れませんが、タカラのおもちゃは沢山遊びましたねえ。特に私の場合は「人生ゲーム」です。家族で、晩御飯のあと遊んだのを覚えていますが、父親はあまり付き合ってくれなかったなあ。

詳しくは、上記リンクから経歴をご覧になってください。私が浅はかな知識で間違ったことを書いても良くありません。実はこれらの方々に行き着いたのは、山形大学学生の戦時協力(強制ですけど)はあったのだろうか、と思って調べ始めたからです。実に、この佐藤さん、吉本さんのご両名とも、学徒動員で労働にかり出されています。戦場に送られることはなく、無事生き延びて戦後にそれぞれの道を歩まれたわけですが、特に佐藤さんは、高分子化学の知識をさらに発展させ、ビニール製のおもちゃの開発を進められたわけです。

学徒動員というのは、学生が軍の装備品の生産などにかり出されたことですが、一方学徒出陣というのは、全く訓練されていない学生が戦場に送られた悲惨な出来事です。ちゃんとした記録が無くて、闇に葬られているケースも多いようです。しかし、なんと山形大学の学生が学徒出陣で戦場送りになっているのです!米沢ではなくて、山形の旧制山形高等学校(現在の山形大学)の学徒26名が出陣した資料が顔写真や名前付きで見つかりました。これについては、2018年の山形大学プレスリリースに資料があります。

press20180802.pdf (yamagata-u.ac.jp)

実際に出陣した人は、40名にのぼるようです。そして、その後どうなったのかは分かりませんが、大変な目に遭われたことは想像に難くありません。

いやー重たい。自分が今その学校の先生をしているわけで、やはり、なんですけど、時代が時代だったら自分の教え子を戦場に送るなんていう酷いことが起こっていたわけですよね。もうそんなことが二度と起こらないことを心から願うばかりですが、あの戦争から80年が経とうとしている中で、その悲惨さ、どうあっても正当化すべきではない過ちであったという認識はだんだんと消えつつあるように思います。今一度、平和が全ての基礎であることを認識し、より困難な気候変動との闘いをしていかなくてはならないと思います。

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