コロナウイルス感染拡大のために、世界的な人の往来が著しく制限された状態が続いていますが、米ユナイテッド航空は従来の2倍の速度(ほぼマッハ2)で飛行する超音速旅客機を導入する計画を発表しました。
米 ユナイテッド航空 超音速旅客機導入へ 移動時間を半分に | NHKニュース
速度が倍なら移動時間は半分なわけで、例えば東京とサンフランシスコが6時間になるとのこと。超音速旅客機は、学生さんなどあまり知らないかも知れませんが、フランスとイギリスが共同開発したコンコルド(1976年就航ー2003年退役)が有名で、やっぱりマッハ2でした。ジェット戦闘機を大きくした様な特殊な機体形状ですから、多くの乗客を運ぶことは出来ません。エクゼクティブ級ビジネスパーソンの超エクスプレスとして、それでも確固たる需要があるということなんですかね?でも、大変時代錯誤な印象を受けました。新しい超音速旅客機の開発を進めるのはブーム・スーパーソニックというベンチャー企業だそうです。
コンコルドが消滅したのは、もちろん古くなったからというのもあります。退役する少し前に墜落事故を起こしてしまいました。超音速で問題となったのは、空気の壁を形成することによる著しい燃費の悪化と衝撃波(マッハ1の時)が発生する騒音などがありました。航空機が高くて座席が少ないからだけでなくて、運用にも大変な費用がかかり、さらに大変な環境悪だったのです。ジェット戦闘機がマッハ3とか出せるのは、アフターバーナーというエンジンに過負荷をかけて燃料の追い炊きをかけた時だけで、通常の移動時は亜音速らしいですよ。だから、マッハ2で飛び続けるというのは、とんでもない燃料消費をすることになります。このご時世ですので、ユナイテッド航空は100%再生可能な燃料で運用する計画、と言っていますが、それって前回書いたモンスター級EVをエコだと言うのと同じじゃないでしょうか?例えばバイオ燃料を使っているから、それをガンガン燃やしてマッハ2で飛んでも問題ない、と主張するわけですよね?その燃料を別のもっと有用なことに使った方が良いと思う。再エネであるから、というのを根拠に何でもやっても良いという様な行動をとるのは、やっぱり恐竜的であって、絶滅対象ですよ。悪あがきはやめにしましょう。
確かに、狭いエコノミークラスの座席で、ヨーロッパや北米まで12時間以上移動する時は大変苦痛で、もっと速く飛べないの?と毎度思います(エコノミーしか乗れないからであって、ビジネスクラスなら苦痛じゃない)。それを大幅短縮する手段があれば、重宝することがあるのは事実でしょう。しかし、コロナ禍で学んだのは、それこそ光の速度で移動して場の空気感を共有できるデジタル通信ツールがあることが分かり、それに実際依存して様々な国際的協業が可能となることです。なので、アナログ的思考の延長上で、スピードを上げ、時間を短縮する、という考えもまた、古臭いですよね。例えば観光旅行のために移動するならば、むしろ移動の時間を楽しむべきでしょう。1時間足らずで目的地に着いたら、「遠くに来たんだな」という感慨さえ得られない。新しい場所を訪れたりする喜びを続けたいのなら、真剣に電気で飛ぶゼロエミッション旅客機の開発を急ぐべきです。静かで、クリーンな。さすがに太陽電池は無理だから、水素燃料電池でしょうね。水素を大量に積む・・・。かつてドイツが誇った飛行船、ツェッペリンは水素を使って浮かび上がっていました。漏れて発火する危険が当然あって、ヒンデンブルグ号は大爆発(1937年)事故を起こしています。それこそ、浮上に燃料を要さない飛行船なんて、これからの移動手段としてアリじゃないですか?ヘリウムを大量に使うことは出来ませんけど、浮上だけでなく、航行にも水素を使って(水素燃料電池)。今の技術ならば安全に出来るはずです。トヨタミライは多分爆発しないですよね?そう、世界中を高速鉄道で結ぶのもアリですよ。経済格差や国際紛争を無くさないと実現不能ですけどね。
0 件のコメント:
コメントを投稿