福島県浪江町にある、太陽光発電の電力から水を電気分解して貯蔵輸送してオンデマンド利用が可能なエネルギーである水素を製造する施設、福島水素エネルギー研究フィールド(Fukushima Hydrogen Energy Research Field = FH2R)に行ってきました。
再エネを利用した世界最大級の水素製造施設「FH2R」が完成 | NEDO
手前が太陽電池パネル、中央右側の四角い建物が水電解施設、その左側の背の高いタンクに水素を貯めていて、水素を配達するトラックも見えました。一般の見学が可能な施設ではありませんし、行ったのは日曜日ですから(人影なかった)内部を見学出来たわけではありませんが、同施設は棚塩産業団地という沿岸に新たに開発された団地内にあり、上の写真は展望台からFH2Rの施設を眺めたものです。この他に、無人飛行機(ロボット)の研究施設や木造高層ビルのための高度な集成材開発のための施設が同団地内にあります。晴れた1日の水素の製造量が150世帯の1か月分という能力らしいので、まだまだ大都市や産業のエネルギー源としては不十分ではありますが、今考えられる究極に一番近いグリーン水素の供給施設として、大変注目しています。今年の東京オリンピックで使用したFCVの燃料や、先日のトヨタの水素エンジンレースカーの燃料は、このFH2Rから供給されたそうです。周辺にはまだ太陽電池を設置出来そうな平地が沢山残されてはいたものの、既に10 MWの電解装置だそうで、それで上記の水素供給能力となると、単純にこれを拡大して主要エネルギーとすることはかなり困難とは感じました。いかにも、お金がかかっている感じではありました。しかし初めの一歩としては大変重要で、いつかこれが当たり前になる時代が来て欲しいものだと思いました。
ご存知のとおり、浪江町は福島第一原発のすぐ近く、距離にして8キロぐらいです。果たして行けるのかどうかも良く分からないまま現地に向かいましたが、米沢から現地までは自動車で普通に行けました。ただ、浪江町に近づくに連れて、驚く程車の数が減りました。実は線量計を持っていたので、途中の放射線レベルも測りながら行きましたが、途中帰宅困難区域を通り、そこでは車両内でさえ2.5マイクロシーベルト/時を超えることがありました(車外に出ると多分倍ぐらいです)。普通0.1ぐらいなので、25倍程(許容上限が年間20ミリシーベルト程度なので、ちょっと車で通ると病気になるとかいうレベルではありません)。途中見かけた民家は入り口が塞がれ、この10年時間が止まっていることが分かりました。道中の渓谷と紅葉はとても美しく、生活を奪われた人たちの無念さを思わずにいられませんでした。除染が進み、帰宅が可能となった浪江町の中心部では、線量は0.07マイクロシーベルト/時程度で、米沢と全く違いありませんでした。しかし、街は閑散としていました。実際に帰還した人は元の人口の10%にも満たないそうです。
浪江町には、去年オープンした「道の駅なみえ」があります。結構県外ナンバー(自動車だけでなくてバイクも!)がいて、にぎわっていました。
広くて綺麗で、ピカピカの施設です。地元の名産品の売店のほか、浪江で有名な「なみえやきそば」などを提供する綺麗なレストランもあります。なみえやきそば、食べました。正直に言って味はまあまあです。他の道の駅のように、野菜があまり売って無かったのが少し気になりましたね。あっても買わない?生産者が戻ってきていない?短時間の滞在ではありましたけど、何だか異常な感じが街全体に漂っている感じはしました。一旦破壊されてしまった都市機能を取り戻す。ただ、元に戻るのではなくて、より良い未来に向けて街が活性化していく、それを実験的に目指しているのだという感じがします。この道の駅で最大の注目は、その電力が全てFH2Rの水素から供給されているということです。設備の多くが恐らく地中にあるため、例えばデカい水素タンクとかは見えませんでしたけど、写真手前にあるのは恐らく調圧装置で、その奥が燃料電池です(違うかな?)。この設備は、道の駅の裏手にありまして、説明のプレートとか無かったので、どういうシステムになっているのかよく分かりませんでした。是非説明の看板を付けた方が良いと思います。この道の駅に行った人は必ず裏も見学しましょう!近くにはEVの急速充電器も5基あって、太陽光➝電気➝水素➝電気➝電池の系統によって完全にクリーンなモビリティーを実現出来ます。素晴らしい!でもこれを全国でやるというのは、当然困難なことですねえ。
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