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国立大学法人山形大学工学部教授の吉田司のブログです。2050年までのカーボンニュートラル社会実現に向けて、色々な情報や個人的思いを発信します。発言に責任を持つためにも、立場と名前は公開しますが、山形大学の意見を代弁するものではありません。一市民、一日本国民、一地球人として自由な発言をするためにも、所在は完全に学外です。山形大学はこのブログの内容について一切その責任を負いません。

2021年11月4日木曜日

中国、ロシア、インドに物申す!

 英国で開催中のCOP26では、またしても日本が不名誉な化石賞を頂きました。

日本に「化石賞」国際的な環境NGO “温暖化対策に消極的” | COP26 | NHKニュース

岸田首相がその演説の中で、再エネによる発電量変動を緩和するピーカー火力発電の開発に言及したことが良くなかったと思います。「水素やアンモニアを使った火力発電の夢を信じてる」とか「そうした未熟な技術が化石燃料の採掘を促進することを知らない」とか、一部事実ですが、やっぱり「そういうお前は何が出来るっての?」と言い返してやりたい。前回は石炭にしがみついたので、化石賞もさもありなん、でしたが、水素やアンモニアを本気でやることは全然間違っていません。でなきゃ、どうやって船舶をカーボンフリーにするつもり?電池では絶対無理ですよ。飛行機もね。密度の高い化学燃料をソーラーを一次エネルギーとして得ることは、もちろん極めて困難ではありますけど、絶対にやらなくちゃならないことです。確かに、オーストラリアの褐炭から水素を作って日本に輸入しようという「水素ふろんてぃあ」の話なんかは、ちと恥ずかしいです。しかし、それとて水素を安定燃焼させる火力の研究開発を前に進めるためには必要でしょう。でなきゃどうやってそこに到達するんですか?

まあ、それはともかく、今回は中国、ロシア、インドのカーボンニュートラル宣言に対して懸念を示したいです(それぞれ世界1位、4位、3位のGHG排出国)。中国とロシアは2060年、インドは今回初めて2070年までのカーボンニュートラルを宣言しました。これら、全く意味ないです。途中のロードマップが全く示されていないから。中国は、2030年までにGDP当たりの温室効果ガスを65%減少させるという目標を前から宣言していますが、これは全くインチキ。以前は超絶古臭いインフラでしたし、生産力も低い国でしたから、GDPは小さいのにGHGは大きい国でした。なので、この比率を改善するのは、金儲けの点で言っても必然。この比率を変えると言っているだけですから、GDPが激増すればGHGが増えても全然構わない、というわけですよ。いつ減少に転じるつもりなのか、2030年でも2040年でも良いので、その時点で何%削減するつもりなのか、それを示さないと、40年先の話をしても意味が無い。インドはもっと酷い。50年先ですよ。モディさんはその頃居ないのは当然。今のそのカーボンニュートラル宣言の責任を一体誰がとると言うのか?途中のマイルストーンはどうなっているのか?

ご存知のとおり、これらの国々は、いわゆるBRICS(Brazil, Russia, India, China, South Africa)、新興国なわけです。中国は未だに「我々は途上国なので・・・」と言いますが、全然的外れです。急激な経済の拡大をしているのですから、その拡大はGHGの拡大を極力抑えたものであるべきです。本物の途上国というのは、まだ発展から取り残されている様な国々です。それらに対しては、OECD諸国はしっかりとした経済的技術的支援をするべきです。百歩譲って、BRICSにも経済的支援は必要でしょう(だって、中国のお陰で色々な物が安く手に入ってるんだから)。これらの国々のリーダーが、2030年目標を出すことから逃げている。それを出させるために、経済支援が必要なら、リーダーたちは膝を付き合せて取引の案を議論すべきです。いくら必要なのか?いくら出せば目標をちゃんと示せるのか?それを出させることが出来ないのは、いわゆる先進国の失敗であり、責任です。こういう時には逃げて、別のところでは超大国顔する中国やロシアは尊敬出来ませんな。しかしまあ、そういうののしり合いでは先に進めません。上記のとおり、これらの国がロードマップを示せないのは、議長国イギリスをはじめ、先進国の問題ですよ。それが出せる様な環境を整えなければ、カーボンニュートラルへの確かな道筋は決して見えてはきません。

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