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国立大学法人山形大学工学部教授の吉田司のブログです。2050年までのカーボンニュートラル社会実現に向けて、色々な情報や個人的思いを発信します。発言に責任を持つためにも、立場と名前は公開しますが、山形大学の意見を代弁するものではありません。一市民、一日本国民、一地球人として自由な発言をするためにも、所在は完全に学外です。山形大学はこのブログの内容について一切その責任を負いません。

2022年4月25日月曜日

ヒューマン・エイジ

 昨日からNHKスペシャルで「ヒューマン・エイジ」という新しいシリーズが始まりました。

「ヒューマン・エイジ 人間の時代 プロローグ さらなる繁栄か破滅か」 - NHKスペシャル - NHK

これから何回かに分けて色々な視点からの番組が計画されているようです。でも、そもそもヒューマン・エイジという言葉で何を伝えたいのか?まあ、第一回を見た限りでは、「人新世」を言い換えただけと思いました。斎藤幸平さんも登場したしね。

番組の最初では、火星移住の話が中心でしたが、打って変わってそこに至るまでの人が生み出した技術的進歩の速さを考察する上で、人が集団生活を営む様になったことで、一旦生み出された技術が失われず、その上に付け足し進化させることでその急速な発展を可能とする、「集団脳」がその根源にあるというホモサピエンスの特質(ネアンデルタール人は家族単位で暮らし、コミュニティーを作らなかったらしい)へと展開します。そして、その集団の能力はコミュニティーが大きい程進化の速度を速めて、大きな繁栄を築くんだけど、歴史を振り返ると、どの文明も必ず終わっていて、その終わり方も含めて、どんどん規模が大きくなっているんですよね。そこで、現代の戦争にまで言及したところは、お、プロデューサー考えてるね!と思いました。

良いなと思ったのは、色々な視点が入っていることですかね。宇宙に挑戦する人の飽くなき欲求や夢の実現への意欲、探求心を賞賛すると共に、それがもたらす可能性の大きさや明るい未来を描いているところもあります。ところが一方では、それは自然発生的であって、別に一部の天才の存在によって成し遂げられた様なことではないこと、そしてそうした文明の発展は過去に何度も繰り返されているけれど、それは必ず破局しているという過去。少し前なら、前者の夢の部分をクローズアップした番組がほとんどだったと思う。ところが、今はそうした文明、繁栄が終わってしまうかも知れない、ということが現実的に目の前に突き付けられている時代ですから、終わることへの警戒感も同時に訴えられていましたね。

自分自身の物の見方が変わったなあ、とも思いました。30代くらいまでの私だったら、ワクワクする、光り輝く未来の明の部分しか興味無かったと思います。そして、「それを成し遂げるのは私だ!」ぐらいのことを言っていたと思います。それは経験を積み重ねることによってより広くを見通せる様になった進歩なのか、あるいは単に年老いて「馬鹿なことはおよしなさい」と言ってしまうようになっただけの退化なのか。夢にチャレンジしようとしている人に、やめろと言うのは良くないですけど、火星移住とかっていうのは、もはや古臭い夢の様にも思えるんですよね。空を飛び、音速の壁を破り、宇宙に行き、月に行き、火星に行き、その次は金星にしますか?昔の延長上で考えられたことばかりです。今、私たちは有限な地球の資源や気候を維持する仕組みの問題を知るに至り、持続可能な生き方を模索することの重要性に気付きました。その集団脳を人類の破滅を回避することに活かせるのであれば、我々は終焉を迎えることなく幸せを維持できるのかも知れません。しかし、私には火星移住を熱っぽく語るイーロンマスク氏も恐竜世代の生き残りの様にしか見えませんでした。未来に対する暗の部分の方がクローズアップされてしまいます。それは決して、現在抱える問題のことだけではなくて、人の進化の無さ故に繰り返される破滅が、この上なく巨大化するということへの心配からです。

集団脳において、突出した優れた頭脳の存在は重要ではない、ということが印象に残りました。そして、その繁栄が何に支えられているのかは常に明確ではなくて、ただ進歩と拡大を続けるという仕組みが機能するので、人々は慢心し、やってはならないことと分かっているハズなのに同じ過ちを繰り返して、何度も破滅と再生を繰り返してきた、という話も啓示に満ちている様に思いました。その通りじゃないですか?そして、集団脳がインターネットによって、地球上の全ての人を結びつけるほど巨大化し、繁栄も地球規模となった今日、その終焉は世界の終わりとなって、全ての人類を巻込むことになります。もはや、地域的な帝国の栄枯盛衰のレベルではないのです。世界の終わりの始まりが、このウクライナ戦争である様に思えてなりません。反省したり、修正したりするメカニズムが全く作用していないんです。

だから、斎藤幸平さんも、グレタトゥンベリらZ世代が巻き起こす変革に期待しているようですね。夢をみることをおよしなさいとは言いません、ただ、火星移住なんていう古臭い夢を語っているのは、不勉強故ではないかと思います。Z世代はもっと賢くなって、人類にとって一番大切なものを守り育む世界を創っていって欲しいですね。そして、年寄りはいい加減黙りなさい、退場です。あんたらはそんなに偉くない。反省しなさい。今の惨状は自分たちのせいであることを自覚せよ。自分の古臭い成功神話にしがみつくな。

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125

 「125」この数字が意味するのは何でしょう?はい、私はオートバイが大好きで、特に手に余らず、使い切れるパワーで軽量な125ccクラスのバイクが好きです。高速道路は乗れないけど、バイクで高速道路走っても、ちっとも面白くないし、二人乗りだって出来るし、燃費良くて維持費安いし。今ウチ...