前回の話の続きですが、ロシアの政治学者、ドミトリー・トレーニン氏のインタビューを是非ご覧ください。
ロシア「敗北すればすべてが失われる」プーチン政権の賭け | NHK
まさに、これなんです。トレーニン氏のいう様に、ロシアがこの戦争に負ければロシアという国家の存亡さえ危うくなるのです。ロシアと西側諸国の関係は既に壊れていて、戦争の前に戻ることはない、という言葉が大変怖いです。でも、恐らくその通りです。親ロシア的なウクライナに戻ることも決してないでしょう。「プーチン大統領はウクライナから反ロシア的なものを排除したい」とトレーニン氏は言いますが、それが実現されることがあるのなら、オレグさんは故郷を失うことになります。世界は深刻な分断を許してしまいました。トレーニン氏は停戦交渉も現実的ではない、と断言します。どちらかが敗北を認めるまで戦争が続くとしたら、恐らく米国を中心とするNATOが敗北することはあり得ませんから、ロシアが壊滅することになります。でも、それは先に書いたとおり、核武装した恐ろしく巨大なテロ組織を生み出すことになるのです。だとすれば、たとえ双方が戦術核の使用に踏み切ることなくこの戦争が終わったとしても、早晩核を使った大量殺戮が行われることになります。もはや、カーボンニュートラルとか、持続可能性とかに取組むことも出来なくなります。
今日、ウクライナのゼレンスキー大統領は開戦後初めて渡米し、バイデン大統領と対談するそうです。一層の武器供与を求めてのことです。戦場で死ぬのはウクライナの兵士ですが、既に米ロの戦争となっていることは明らかです。バイデン大統領にこの戦争を終わらせる意志は無いのでしょうか。ロシアが停戦するためには、西側諸国が相応にロシアの要望を受け入れることが前提となります。EUにも北米にも、そして日本にもそれを受入れる様な考えは全く無さそうです。
私は太平洋戦争終結からおよそ20年後に生まれました。高度成長期を経てどんどん豊かになっていく日本の中で大人になり、バブル崩壊を経験して、行き詰まる日本も見てきましたが、ここまで世界が悪い状況になることには初めて直面しています。歴史の記録でしか知らないことではありますが、あれ程の犠牲を払った大戦争からまだ100年も経たないのに、世界はこの様な深刻な対立を迎え、もはや戦争を平和的に終結する方法は失われたかの様に思えます。こんなふうに、世界が終わりを迎えるとは思ってもみませんでした。若い人たち、我が子、そしてまだ生まれたばかりの命に対しても、こんな愚かな大人たちが世界を悪くしてしまったことを、どう償って良いのか全く分かりません。
このトレーニン氏の言うことも、やはり誤りだと信じたいです。どうにかして、この戦争を終わらせる方法はあると信じたいです。
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