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国立大学法人山形大学工学部教授の吉田司のブログです。2050年までのカーボンニュートラル社会実現に向けて、色々な情報や個人的思いを発信します。発言に責任を持つためにも、立場と名前は公開しますが、山形大学の意見を代弁するものではありません。一市民、一日本国民、一地球人として自由な発言をするためにも、所在は完全に学外です。山形大学はこのブログの内容について一切その責任を負いません。

2021年5月12日水曜日

持続可能な農林水産業

 もう一つ、農業における脱炭素への動きが報じられました。

持続可能な農林水産業実現へ 有機農業拡大などの新戦略 農水省(NHK)

農業の持続的発展については、農水省のウェブに詳しい説明もあります。

第3章 農業の持続的発展に向けて:農林水産省 (maff.go.jp)

化学肥料や農薬を使わない有機農業を2050年までに全国の農地の25%にまで拡大し、農薬使用を50%、化学肥料を30%それぞれ削減するとしています。また、農業機械や漁船の電動化技術も2040年までに確立するとのことです。電動化はともかく、有機農業って健康的ではあるものの、それがどうして持続可能性に関係するの?と思われるかも知れません。しかし、農薬や肥料の合成にはアンモニアが欠かせず、それは石炭を原料としてCO2をバンバン出しながら大量に合成されているのです。元々は、第一次世界大戦でのドイツ帝国の勝利のために、天才化学者フリッツ・ハーバーが生み出した、空気からアンモニアを合成するハーバー・ボッシュ法(そのアンモニアは硝酸になり、爆薬になる)で、人殺しのために編み出した化学が、図らずも緑の革命を起こし、食糧大増産を実現して、多くの人命を救いました。しかし、こういうわけなので、光合成で食糧(バイオ燃料)を作り出す農業も、実は大量の化石燃料消費に支えられています。なので、確かに有機農業は脱炭素に向けた変化になり得るのです。

ただ心配なのは、気候変動によって病害虫による農業被害が深刻化しないだろうか、とも思います。そうすると、食糧を守るためには農薬の使用が必要・・・となってしまいそう。つくづく、全てが相関していますよね。だから研究センターとして皆が対話し、知恵を絞ることが大切だと思います。


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125

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