今日、2020年度の日本のGDPが-4.6%の大幅な縮小となったことが報じられました。
昨年度のGDP -4.6% リーマンショック超える最大の下落(NHK)
パンデミックの衝撃で、世界経済が停滞縮小することは不可避とは言え、内訳を見ると日本の状況がより深刻であることが明らかです。コロナウイルス感染拡大直後の第一四半期で大きく落ち込んだ後、二期連続で反動のプラス成長であったものの、1-3月の第四期では再び年率換算-5.1%となり、2020年度全体では実質-4.6%となったものです。EUは日本と同様1-3月期でマイナスとなり、影響からの立ち直りに遅れが出ているものの日本より落ち込みは小さく、中国は微増、アメリカは+6.4%といち早く立ち直りつつある様に見えます。
経済成長とGHG排出の増大はリンクするから、いっそのこと経済成長などしなくても、とはいかないのは当然です。豊かさを失えば、脱炭素への大転換を進める力は失われますし、そもそも持続可能性の基盤となる健康と食糧も脅かされます。GDPが幸福度の指標ではないことは後にも述べますが、省エネのためには経済成長を断念すべきということにはなりません。実際、このコロナ禍の停滞にあっても残念ながらGHGは増え続けています。
コロナウイルスの感染拡大によって起こったことは、世界経済の大混乱であり、脱炭素への社会システムの変化と進化を遅らせてしまうことの方が心配です。コロナ後の経済の回復が二極化する「K字型」であることも指摘されています。
「K字型」の景気が鮮明化する世界経済、日本の行方は?(ダイヤモンド)
この大混乱下で逆に上向く産業、いち早く回復基調に乗る産業がある一方で、どんどん下降していく産業もある、だからK字型というわけです。人流がストップする中で成長したのは、リモートの代替サービスや通販事業など、少し遅れて、一時期の停滞の反動もあって、製造業は持ち直し傾向にある様です。一方で、外食や観光、スポーツ、エンターテイメントなどの非製造分野は下降したまま、そのまま消滅の恐れもあり、という窮地に立たされています。ただ、これは現時点でのことであって、ポストコロナの新しい世界において必要とされる産業、サービスは大きく作り変えられることになるのだろうと思います。以前の様に、作り、消費し、捨てるという活動についての製造業はこのまま回復成長を続けるわけではないと思います。また、外食も、観光も、エンタメも、形は変わっても常に人生を豊かにするサービスとして必要とされるでしょう。むしろ、どれだけ早くポストコロナ社会に求められるサービスを形作り、提供できるかが重要で、それを成し遂げた者が次の時代を牽引するのでしょうね。
はっきりしているのは、ひたすらに大きさや豪華さを追求した様な、20世紀型の製造業の在り方は完全に過去のものになるであろうということです。いかに省資源で循環型であり、長く使えるかが大切です。でも、豊かさを失い、ひたすら我慢を強いられる楽しくない世界が待っているということではないと信じますし、若い世代にはそんなことは心配しないで欲しいと思います。相変わらず、人はより幸福な社会と自分自身の成長を目指し、世界の発展を目にしているはずです。脱炭素という大きな挑戦は、むしろ人類の大きな飛躍へのチャンスでしょう。
何をして進化、成長とするのか、20世紀型の成長の仕組みの中で大人になった私は適切な解を持ってはいません。しかし、以下のMichael GreenさんのTEDトークは参考になるかと思います。ブータン国王のGDH (Gross Domestic Happiness)ではないですが、Social Progress Indexという指標は、持続可能で幸福な社会への道しるべになりそうです。ただ、国連SDGsの理念からは、このSPIを各国が競い合うということでもないです。誰一人取り残されないことが、抜本的な社会変革への条件となるでしょうから。
What the Social Progress Index can reveal about your country (TED)
日本語の字幕も出せますから、英語が聞き取れなくても大丈夫です。若い世代の人には是非見て欲しいです。
0 件のコメント:
コメントを投稿