本当にこの道が正しいのかな?と私は疑問に思わずにいられませんが、IHIは安全性と機能性が高いと期待される、小型モジュール原子炉SMRの開発を進める、アメリカのベンチャー企業NuScaleに出資することを表明しました。
IHI、米ニュースケール社への出資による小型モジュール原子炉(SMR)事業に参画(NIKKEI)
SMRという技術は、50-70 MW級の小さい原子炉(普通は1 GW級)モジュールを12基ぐらい組み合わせたシステムらしいです。従来の原子炉が現地で建設し、検査等を経て運用される施設であったのに対して、SMRでは原子炉モジュールを工場で組み立て検査し、これを現地でアッセンブリーする、セキスイハイムみたいな建て方をするため、工期が短く低コストなこと、そしてモジュールをON/OFFすることで出力を多段階調整出来ることが特徴のようです。冷却が容易なので安全とも主張しています。以下の資源エネ庁のページにSMRの説明があります。
原子力にいま起こっているイノベーション(前編)~次世代の原子炉はどんな姿?(資源エネ庁)
安定な核分裂反応を維持するためには、原子炉の出力を上下させることは出来ず、基本的には立ち上げると最大出力のまま一定、立ち下げるとゼロになる宿命があり、原発が30%に届こうとしていた過去には夜間電力が余るので、エコキュートの普及を進めて夜間割引を適用した、ということがありました。しかし今では逆のことが起こっていて、太陽光や風力の様に変動しまくる電源があると、それを調節するためにLNGを増やさなくてはならなくなります。LNGだと、30分ぐらいで出力を上下させられるらしく、再エネの発電量見込みを勘案して平準化するための運転調節が可能になります。
ただ、そんなLNG発電を増やすことも出来ません。「再エネを増やしたらGHGがかえって増える!」と主張する人の根拠はこれでした。再エネ導入が進むから、今後SMRの様な調節式原発の事業は伸びる、というのが今回のIHIの決断のようです。でも、原子炉の立上げたち下げって、そんなに急に出来るものでしょうか?再エネ電力の安定的利用には、大規模蓄電と余剰電力の化学燃料への変換貯蔵だと思いますけどね。それらの技術開発こそ重要だと私は思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿