ドイツの調査船Polarsternが北極海を1年ほどかけて調査し、帰港したそうです。それによると、130年前と比較して氷の厚さは半分ほどになり、面積も半分以下に縮小、ホッキョクグマの生息域が急激に縮小しているそうです。ドイツ語ですけど、そのレポートは以下のZDFのウェブページで見ることが出来ます。
氷の厚さを推定するのは簡単ではないようで、人工衛星から海面と氷山の高低差を見積もることは出来ても、上に積もった雪がどの程度なのかよく分からないみたいです。軽い雪が大きく堆積していると、高く見えても実際の氷の厚さはそれほどでもない、ということになります。最新の研究において、より高精度に雪の厚さを見積もったところ、氷の厚さの減少は従来推定されていたよりも倍ぐらい速く進んでいることが分かったそうです。
Arctic sea ice thinning faster than expected (phys.org)
先日も話題にしましたが、北極海の氷が溶けて船が通れるようになると、特にヨーロッパと中国、日本への海運を短縮出来て、結果的にGHG排出も低減できるというメリットがあるとは言えます。一方では、氷が溶けたことで石油、ガス、レアメタルなどの海底資源へのアクセスが可能となり、ロシアはそれに期待しているわけです(GHGは増える)。
いずれにせよ、状況は急速に変わってしまうかも知れません。何しろ、早ければ2035年には、北極海の氷が消滅するかも知れないというのです。
Arctic summer sea ice could be gone by as early as 2035 (nationalgeographic.com)
今からたったの14年ですよ。そんなことになれば、本当にシロクマに会えるのは動物園だけになってしまうかも知れません。宇宙から見て、北極の白い氷が黒い海に変われば、それだけ太陽光の吸収が増えて地球はより熱せられることになります。シベリアの永久凍土の融解とメタンの大量放出にしても、そこには誰も住んでいませんから、よく分からないことだらけだと思いますが、温暖化の暴走は我々が思う以上に速く進行しているのかも知れません。
果たして、我々にはどれぐらいの時間が残されているのか?2035年に北極海の氷が無くなりそうならば、2030年にGHG半減ではとても追いつかないのではないかと心配です。実際、上記レポートでも、脱炭素だけでは不十分で、大気中からのGHG除去が必要と言われています。本当のところはなかなか分からないので、あまり悪い方のシナリオでは考えたくないですけど、万一こんなことが現実となれば、その時にはきっと打つ手がない状態になるでしょう。だから、最悪の状況さえ心配して、行動を取る必要があります。取り越し苦労で済むなら、それは嬉しいことです。無駄だったということじゃないでしょう。
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