つい先日話題にした、ASEAN諸国の脱炭素を進めるために日本が1兆円を超える資金提供と技術供与を行う、という話にオマケがありました。
脱炭素 CO2地中貯留などの技術 東南アジア各国と協力し普及へ | 環境 | NHKニュース
ASEAN諸国は化石燃料への依存度が高く(それを日本が誘導している?)、脱炭素を進めるにはCCUSが不可欠、それを協力して進めましょう、というのがASEAN諸国エネルギー担当相オンライン会議における梶山経産大臣からの話の続きでした。
そもそも、私はCCSについて懐疑的です。一方CCUはほとんど確立されておらず(ポリカーボネートぐらいですか?)。高圧の地中に注入された二酸化炭素はすぐに炭酸塩として鉱物化するから大丈夫、ということなんですけど、ケミストリーの感覚からすると、炭酸塩なんて可逆的に溶解して二酸化炭素に簡単に戻りそう。果たして本当に何千年も何万年も埋まったままでいてくれるのでしょうか?CCSにはかなりお金がかかるそうですけど、それはとりもなおさず、高圧で二酸化炭素を注入するには相当なエネルギーを要するということ。二酸化炭素を始末するのに新たに二酸化炭素を作っていてはどうしようもないですよね。そんなこと素人に指摘されるまでもなく、当然収支としてはCCSで始末出来る二酸化炭素よりもずっと少ない二酸化炭素の発生で済むわけでしょうけど、万一でも戻ってきてしまえばCCSをやった分だけ環境には二酸化炭素が無用に増えるわけです。
まあ技術的信頼性については、これを推進する研究者の主張を信じるしかないです。とは言え、上記のASEANとの交渉については、日本政府の脱炭素への貢献アピールがひも付きなんだなと分かります。「日本の近海だと漁業関係者との調整が難しいので」というのがヒドイ話です。経済的に弱い立場のASEAN諸国なら、日本のゴミを受け取るしかないわけですか?それって、プラゴミの輸出と変わらないメンタリティー?日本近海にも相当なCCSポテンシャルがあるという話でしたけど、東南アジア全域で捨てやすいところを探したい、そこに日本の二酸化炭素も投棄したい、というのが本音なわけですね。
先日のYU-SDGs cafeでお話頂いた九州大学の辻先生がおっしゃっていた「石炭火力の推進のためにCCSをやっているとは思われたくない。とにかく時間稼ぎのためにもCCSが必要なんです。」が思い出されます。CCSを石炭火力継続の免罪に使われたら、悪の手先みたいに思われますよね。ただ、やっぱり地球のことなので、100%大丈夫か、と言えばそれは分からないけど、何千年と言う程度では恐らく大丈夫、ならば時間稼ぎにはなる、ということのようです。
しかしまあ、本当に世界各地でCCSが大規模に行われ、その人為的CO2注入によって炭酸塩の鉱物層が形成される様になれば、将来本当にそれは「人新世」を記憶する地層になるんですかね?
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