最近この「人新世」(じんしんせい、Anthropocene、アントロポセン)という言葉をよく耳にする様になりました。地質学の年代として、人類の活動が地質に影響を及ぼす様になった年代として、従来の完新世(Holocene)に次ぐ時代として定義することが2000年頃に提唱されたようです。その始まりは、諸説あるみたいですけど、太平洋戦争の末期に、アメリカが世界初の原子爆弾、トリニティをさく裂させた時、とするのが有力みたいです。確かに、あれを境にして世界は変わってしまったと言っても過言ではない出来事ですよね。詳しい話はWikipediaの説明をどうぞ。
それで、人類の活動が地質に影響を及ぼすって、どういうこと?と思いますよね。例えば、温暖化によって地上から氷床が失われたり、人為的なCO2排出によって炭酸塩の形成が促進されたり、というのは地球の自然なバランスを人類の活動が変えてしまっていると言えます。さらにもっと分かりやすい説明として、以下の記事を見つけました。有料なので全部は見れませんけど。
地球に人類が爪痕残す…「人新世」はどんな時代? : 科学・IT : ニュース : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)
人は金属を作り、色々な産業機械を作ったり、コンクリートで建物を作ったり、道路の表面をアスファルトで覆ったり、人間が生活しやすい様に地球の環境を作り変えていったわけです。それらを作る原料は鉱物資源で、そこに大量の化石エネルギーをつぎ込んでプロセスしたわけで、大元は地球に存在した物質なわけですけど、これら人の手によって生み出された金属やコンクリートなどの物質、その総重量が1兆トンを超え、2020年に地球上の全生物の総重量を上回ったそうです。そしてあと20年でそれはさらに2倍に増えるという予想。これ、凄いですよね。確かにそうであるならば、地球という星のあり様を変えてしまう程の影響を人類が与えたということになります。
20世紀初頭には人工物の重量は生物の3%にも満たなかったそうですから、100年あまりのうちに、地球は大きく変貌してしまったわけです。私は1966年ですから人新世の生まれですが、当時の世界人口は35億人、今はもうすぐ80億人と2倍以上に増えていますから、僅か50年のこれまでの人生で、既に大きな世界の変化を目撃した思いです。実際、子供の頃(名古屋でした)オンボロの家の前の道は未舗装でしたよ。空は広くてスカスカ、虫や魚をとったり、泥んこになって遊んでいました。写真も残っているし、ついこの前のことの様に思えてしまうこともあるのですけど、テレビは小さい白黒だったし、エアコン無かったし、当然スマホなんて誰も持っていなかったし、今日を基準にすると本当に何もなかったですねえ。それでも、誰も困っていませんでしたよ。不幸せだと思ったこともありませんでした。
学術上の地質世は、短くても数千年の期間で区分されていますが、果たしてこの人新世はあと何年続くのでしょうか?続くことが出来るのでしょうか?自分たちの行動をそうして客観視して定義する様な知恵を得るところまで人類が発展したのは立派ですが、それを最後の世代とはせず、自らを持続可能とすることに成功する知恵も持っていると信じたいです。
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