普段の生活で意識することはないですが、船舶は世界中の物流を担っています。先日のスエズ運河での座礁事故でも、物流が止まって大変だったことが報じられました。みんなお世話になっているということです。自動車の様に大きい工業製品、衣類、食料など様々なものが国から国へと海を通って運ばれています。
ビジネス特集 スエズ座礁事故 原因は?責任は? 今後の焦点 | NHKニュース
船舶も大型の移動機械ですから、当然ながらエネルギーを消費していて、帆船でもない限り大抵は化石燃料であって、GHGを大量に排出しているわけです。脱炭素の波は当然そこにも押し寄せ、GHG排出を削減する新たな国際ルールが決まったことが報じられました。
船舶の温室効果ガス削減義務づける 新たな国際ルールを採択 | 環境 | NHKニュース
どれぐらいの規制なのか、レポートには数字は示されていませんけど、2023年からその運用が始まり、それは新たに建造される船舶についてだけでなく、既に就航しているものにも適用されるそうです。でもどうやって?内訳を見ると、速度を制限することなどによって、とあります。つまり省燃費運転を心がけてください、ということですね。輸送コストを下げるためには、出来るだけ速く運びたいことでしょう。船の場合も、やっぱり全速力で動くと燃費が悪くなるということなんでしょうね。
より抜本的な解決策としては、LNG船(低炭素)、アンモニア、水素船(ブルー、グリーン燃料ならば脱炭素)が検討されています。日本郵船は、自動車輸送用にLNG船を12隻新造する計画を発表しています。
日本郵船/LNG燃料自動車専用船12隻を連続建造 ─ 物流ニュースのLNEWS (lnews.jp)
従来の重油を使う船に比べて40%ぐらいCO2排出を低減させられるそうです。もちろん、やるのは良いことですけど、日本郵船が公表しているGHG削減目標が、「2050年で今の半分」なんですよね。それじゃカーボンニュートラルにならないじゃないですか!もちろん、他のことでオフセットして、全体としてカーボンニュートラルを実現する、ということも出来るのかも知れませんけど、それほどまでに船舶の脱炭素は容易ではないということなんですね。LNGが現状最良であって、アンモニアや水素を待てないという事情はあるのかも知れません。ただ、大型船舶は数年使って入れ替える様なものではなくて、大変長期間運用されるでしょうから、化石燃料を使う船をあまり沢山は新たに作らない方が良いようには思いますよね。
とは言っても、アンモニアや水素で動くエンジン(あるいは燃料電池)はまだまだ開発途上ですし、そもそも再エネからアンモニアや水素を安価に大量に作る技術が確立されていません。蓄電池では無理で、やはりエネルギー密度の高い化学燃料が必要。太陽光からアンモニアや水素を作る技術確立が急がれます。
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