EVシフトについて考える上で、これまで大変に参考にしてきたのが以前にも紹介したYouTubeチャンネル、未来ネットの「EV推進の嘘」という座談会で、軟らかく厳しい指摘を出来るその語り口に感心してしまう、モータージャーナリストの岡崎五郎さんなどがEVシフトで世間が大騒ぎしているところに、それに関わる問題点などを鋭く指摘しています。この座談会自体、座長を務める加藤康子さんの意志ゆえだと思うのですけど、ちょっとナショナリズムに過ぎる印象は最初からありました。ただ、大体6回目ぐらいまではその内容にはほぼ全面的に同意、受け入れでしたけど、7回目ぐらいからちょっとおかしくなり、8回目、9回目はちょっとヤバイかなというぐらい右寄りのコメントが出始めています。
まあ、そもそも各国の政府が自国民の利益のために仕事をするというのは、ごく普通のことです。そこへもってきて、特に安倍政権に対して現政権が後退している、国際社会に対する妥協が過ぎると感じる人がいるのは、感じていますし、そういう思想の持主はきっと不満に思っていることでしょう。そしてまた、同時に日本人のお人よしぶりを非難する(同時にちょっと自尊する)様なコメントが散見されます。「私たちは世界のためにこんなに良くしているのに、それが認められない。また、その日本人のお人よしぶりゆえにに世界の列強は日本からどんどん搾取している。」こういうことを真顔で言う愚か者は、全く珍しくありません。「日本は戦後中国や韓国に対して財政支援したり、技術支援したりして、こんなにも良くしてきたのに、どうして連中は未だに我々をそうも嫌うのか、私には理解できない」そういうことを言う、愚か者です。世間知らずも甚だしく、世界が全く見えていない大バカ者です。スポーツの国際試合の後にスタジアムでゴミ拾いする日本人を報道したがる日本のメディアと、それを見て「日本人はエライ!」と感激するナショナリスティックな日本人・・・私はそれを見ると、日本が戦争を繰り返すことへの不安に襲われます。
日本という国は、特に隣人の各国に対しては搾取という搾取を繰り返し、極東の支配者として振舞ってきた恥ずべき過去があります。良心に基づくとして、大東亜共栄圏構想を正当化していますよね。西欧の列強が散々世界中でやってきたんだから、日本はアジアの覇者として、西欧の干渉は受けず、アジアはアジアで、優等国日本を頂点とする平和と秩序を構築する権利があるのだ、そういう愚かさが、330万人の日本人の命を奪う太平洋戦争へと日本を導いたのです。日本という国が、日本人が、本当にそんなお人よしだと思いますか?黎明期の日本は、韓国や中国から散々テクノロジーを搾取し、恩を仇で返す様に朝鮮に出兵し、関東軍が中国を侵略し、満州国が建国を宣言するわけです。戦後は、自動車や電機業界が欧米にスパイを送り込み、コピー品、リバースエンジニアリングを繰り返してのし上がっていくわけです。そしてまた、恩を仇で返す様に、ホンダは何も産業を持っていないオハイオ州政府に「工場建ててやるから土地をタダでよこせ」という人の足元を見た交渉を平然とやり、勝ち取るわけです。そして、そうしたガメツイ無反省な日本企業軍は世界侵略を果たし、銃後の日本人を潤してきました。満州建国と銃後の日本、時代とやり方は少し異なっても、思想には何の変化もないように思います。それは、お人よしがすることですか?本当に?そんなこと言えば、ナイーブ過ぎますよね。自分たちの強欲さから目をそらしてはなりません。誰か他の人がしたことだから、私には関係ない、私に責任は無いのだと思うのも卑怯です。いつの時代も、(日本の場合は特に強い雄たちが世界侵略の兵隊となって)そうして家族に餌を運び続けることだけを考えるのです。だから、今日の強欲極まりない中国も非難出来ません。いつか日本が来た道を辿っているだけです。時代背景とか環境がちょっと異なりますけどね。
で、それが当たり前だからって、そういうことを繰り返すことを、私は決して支持出来ません。忌み嫌う対象です。それを今日のEUがまだやろうとしている。LCA手法で算出されるCFPを基準とした産業を国際基準としようとするところの背景にある、西洋人が最も得意としてきた、「善人の顔をして悪事を働きまくる」、いつものやり方と重なって見えるわけです。カーボンニュートラルにしないと世界の終わりが来るから、それに対してEUは最も先進的に取組んできたんですよ、感謝してください。だから、これからの産業については我々がルールを決めます。反対は無いですよね?(出来ないよね?)ってことで、CFPの多い日本製品や中国製品はEU圏内で売ることが出来なくなります。これは合法的判断ですから、不正な自国製品の保護とかじゃないですよ、と言うための準備をしているんです。だから、先日話題にした、AESCはもちろんのことで、BYDも、CATLも、このままにしていたらいずれEUからは締め出されます。散々技術を盗まれ、中国の環境を実験場にされた後で、です。ただ、日本と中国の立場が決定的に違うのは、EUは中国の資源と市場を使い尽くしたいと思っていますが、日本はそういう魅力がありません。中国が持つレアメタルはEVを作るのに必須ですから、EUは表向き中国を激しくバッシングしながらも、裏ではそれらの供給確約をとりつけていて、中国にもメリットがある様に交渉を続けています。もし断れば、国際社会での締め付け厳しくする。対して日本は叩いても何も出てこない。EUから見て相対的に価値が小さいのは明らかです。
そこへもってきて、若干ニュートラルというか、実利主義的なのはアメリカかも知れません。イデオロギーなんて、どうでも良いというところがあります。アメリカ流自由社会を強制してくるかの様ですが、実はそんなことあまり気にしていません(特に共和党は)。だからサウジアラビアとも仲が良いわけです。金が基準で動いているわけで、ある意味アメリカと一番理解し合えるのが中国だと思いますよ(拝金主義の極み)。で、日本はかなり、イデオロギーなんですよ。日本が最高で一番正しいと心底思っています。だから、EUとはストレートに対立することになります。でも、クレバーなのはEUの方ですね。日本はお人よしっていうより、まだまだ世間知らずです。鎖国が長すぎたから仕方ないです。少なくとも中国を敵にしてはいけないですね。いつか来た道。ドイツ皇帝は自国を守るために、日露戦争を仕掛けたのですよ。日中を戦わせて一番喜ぶのは誰でしょう?ドイツと中国の蜜月ぶりが凄いですけど、中国人にもあんなのを信用しないで欲しいと語り掛けたい。本当の意味で互いを尊重し、平和と自由人権の下に人々が健やかに暮らせる先進的なアジアを共に築き上げたいですよ。人権問題で相容れないですけどね。今日的には、そこにアメリカに同調する日本、赤を嫌う日本があると思います。私も、基本的人権は何より大切だと思っています。
どこがEVのハナシなんだか全く分からなくなりましたね。要はですね、未来ネット第8回でドイツの新疆ウイグル進出をジェノサイドと言ってしまったのは行き過ぎです。ナチスドイツと重ね合わせるなんて。そんなことを言い出したら、相互理解とか協調とかって、絶対無理です。諸国の政府が自国民のことを思って仕事をするのは当たり前です。日本政府のそれに不満があるからって、それを日本はお人よしだから、とかって言って自己犠牲を払っているかの様なフリをするのは全く正しくないですし、理解し擁護される発言ではありません。ドイツはちゃんと戦後の清算をし、被害を被った国に対して謝罪しましたよ。対して日本はどうですか?こんなことであれば、信用信頼されないのなんて当然です。この未来ネットで池田直渡さんが引用している2017年の経産省のレポートは私見ましたが、これは安部政権の当時の戦略に思い切り寄り添った書き方をしているに過ぎず、こんなことを国際社会が認めると思ったら大間違い、というレベルの書き方です。日本は既に低炭素化のために沢山取り組んできたので、もう自国で減らせる分はさしてない。一方で新興国や途上国ではいまだに旧式のインフラでCFPが大きくなっている。だから日本の先進技術をODAして、諸外国を助けますから、それを日本の脱炭素への貢献として認めて下さいまし、というのがそのあらましです。当時は、まだ日本が先手を打てるかも、と経産省も思っていたのでしょう。いかにも、正しい主張の様に聞こえますが、そのインチキを見抜いたEUからはNOを叩きつけられ、現菅政権では遂に2050年カーボンニュートラルを宣言させられた、というのがここまでの流れです。諸外国を助けるんじゃないんです。日本の財閥系企業を助けると言っているんです。インストール先の国にはお金を請求しないけど、それを作った日〇とか東〇とか三〇にはちゃんとお金は渡りますよ。合法的に日本を支える財閥に税金を流し込む理由を作るわけです。本当の理由はそれだけ、でも表向きには国際支援になっている。国民もそれを信じている。「今の官僚はこのレポートを読んでいるのか?こんな立派なことが書いてあるのに!」という話になっていますけど(第9回で)、知っているに決まっています。霞が関は庶民よりもはるかに勉強していますよ。安倍政権時代には、こういうアプローチをしたら、話の流れを日本に有利に持っていけないかな?とトライしたわけです。先方は日本の数段上手で賢い、あくどいですから、足元見られて「ダメ」と来たわけです。そうこうしているうちに、低炭素、80%削減から脱炭素、100%にエスカレートし、日本に逃げ道は無くなりました。実現出来るかどうかは関係なくて、宣言し、宣言に基づいて行動することが必要なんですけど、「実現できるわけがないんだけど」などとやる前から言うことは許されません。宣言し、絶対にやると言い続けて行動するのです。しかし、出来ないことは出来ないと、皆が気づく時が必ずやってきます。それは誰のせいでもないです。そしたら必然的に軌道修正、現実的で最良の対策を議論することになります。「やれなくってもいいから」とやる前から言うな、ということです。
こういうことをグルグル考えていると、本当に誰が一番あくどいんだか、私には分からなくなります。私自身は、そんな手の込んだ悪事を考えられる程、頭も良くないし、小心者なので、良心の呵責に耐えられなくなります。でも、それをやってのけられる人のことを世間では優秀な人、勝者と呼ぶんでしょうかね。話伝わったでしょうか?このことがVWが出資するスウェーデンのNorth Volt社設立やCOP26におけるEU,英国からの日本包囲網につながるんですよ。日本政府の代表は覚悟して闘いに挑み、全部言いなりになって帰ってきてはならないという使命感を持ってもらうしかないですね。今週はG7首脳会談です。菅総理頑張ってくださいね。共存共栄という思想は連中には無いですよ。日本潰しに中国やロシアも利用されます。それを分かっていて、変える力が無いから日本はアメリカにすり寄る。でも、自国の利益のことだけを語る時代ではもはやない、というのも本当だと思いますよ。世間知らずのお人よしは困るけど、一方で自国第一主義も同じくらい世間ずれしていると思います。テクノロジーは刷新されたのに、思想は古い。そういうのが続いている様に感じられます。あるいは、その思想ってのは決して変わることの出来ないものでしょうか?持続性を最上位概念として、活動を再定義したら、より良い世界を創るためのリーダーシップも再考されるのではないかと思います。世界の模範となり得る様な持続可能社会への挑戦を見せられないものでしょうかね?日本は後手後手の様になっているのが大変歯がゆいです。
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