先日のG7サミットレビューの続報の様になります。バイデン大統領は、先日のG7に続きブリュッセルで開催されたNATO北大西洋条約機構首脳会合に出席しました。トランプ大統領の時に乱れた関係を修復し、組織の連携を強めることが課題ですが、それも差し迫る脅威とされる中国への包囲網を強固なものにしたいという思惑があってのことです。
NATO首脳、中国の脅威に対抗宣言 バイデン氏が結束再確認 (msn.com)
NATO、露だけでなく中国を「脅威」に位置付け…宇宙空間も集団的自衛権の対象 (msn.com)
そもそもNATOの最大の仮想敵国はロシア(GHG排出世界4位)というか以前のソビエト連邦と東ヨーロッパや他地域の共産主義国の軍事連合でした。中国(GHG排出世界1位)は軍事的脅威と見られていなかったのですが、その様相はここ数年で完全に変わったと思います。最新の世論調査では、日本国民の8割が中国を軍事的脅威と感じているとのことです。
中国の安全保障面の脅威 8割が「感じる」 NHK世論調査 | 選挙 | NHKニュース
日本はもちろんNATOの様な軍事同盟には組していませんが、日米安保の関係からはアメリカに同調協調する立場にあります。恐らく国民の大半はNATOが対中国で結束を強めることを歓迎しているのではないかと思います。当然ながら、中国は即座に反発しています。
NATOサミットに反発「中国脅威論をあおるな」 (msn.com)
中国に言わせれば、軍事力の拡大はどの国も行使している主権の範囲内での活動であるし、台湾や香港、新彊ウイグルのことは内政問題であって、諸外国が口を出すことではない、となります。これらを理由に中国の軍事的脅威をあおり、軍事的対立の構図を鮮明化しようとすることは不当だというわけです。
実際、「どこまでやるつもり?」と疑問に思います。中国も喧嘩を売られたら、買わざるを得なくなるでしょう。自制をして欲しいとは思いますし、世界の平和と協調が大切であることは中国のリーダーもよく分かっているはずですから、一連の反応を見て、自身のとる行動が中国の将来にとって得策ではないと判断して欲しいものです。しかし、一方のバイデン大統領も(あるいは日本の首相も)こうして圧力をかければ相手が反省し、「あ、そうですか、すいませんでした」と悔い改めるとは思わない方が良いと思います。この時代、いざとなれば、刺し違えても、などという考えは一切あり得ないのです。民主主義は正義であり、人が人として生きるために守られるべきものと私自身も思いますが、だからと言っていずれは全ての国や地域が民主化されるのが当然である、と思うのは間違いです。異なる思想、システムや主義主張があるのは当然という多様性を認めることは、共存共栄への条件です。今、気候変動抑制のための脱炭素への挑戦においては、世界の全ての国や地域が協力することが必要なのです。G7、NATOの一連の会議は、それをより困難にしたと感じます。GHG排出世界1位の中国と4位のロシアと敵対して、どうやってゼロカーボンの世界を実現するのですか?
0 件のコメント:
コメントを投稿