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国立大学法人山形大学工学部教授の吉田司のブログです。2050年までのカーボンニュートラル社会実現に向けて、色々な情報や個人的思いを発信します。発言に責任を持つためにも、立場と名前は公開しますが、山形大学の意見を代弁するものではありません。一市民、一日本国民、一地球人として自由な発言をするためにも、所在は完全に学外です。山形大学はこのブログの内容について一切その責任を負いません。

2021年7月15日木曜日

サハラ砂漠をソーラーパネルで覆ったら?

 面白い記事を見つけました。

サハラ砂漠全体をソーラーパネルで覆い尽くすと何が起こるのか? - GIGAZINE

地球上で一番日射の強い場所は、砂漠です。そして最も大きい砂漠は北部アフリカに広がるサハラ砂漠で、その大きさは中国全土と同じくらいだそうです。最も日射が強い部分では、日照時間が4000時間/年を超えるそうで、一年(8760時間)のほぼ半分お日様に照らされているということです。つまり、毎日晴れだということですね。日射は強いですけど、極度に乾燥していますから、雲が発生することも無いわけです。そこに太陽電池を置いたら、一番沢山発電しますし、時々発電量が低下する雨の日や曇りの日があることも心配しなくて良いので、計画発電にも向いていそうな感じがします。

実際、上記レポートからリンクされているビデオでは、サハラ砂漠に太陽電池を敷き詰めた場合にどれ程の発電量が期待できるのかが説明されています。サハラ砂漠全体を太陽電池で覆ったら、およそ80億の人類が使うエネルギー、それは電力だけでなくて、全てのエネルギーの7倍以上の電力になるそうです。逆に言えば、サハラ砂漠の1/7を太陽電池で覆ったら、全人類が他のエネルギーを全く使わなくても生活できるということですね。サハラ砂漠は広大ですけど、それでも地球全体から見たらごく一部です。そこに降り注ぐ日射を20%程度の効率で電力に変換するだけでも、他のエネルギーは使わずに済むわけですから、やはり太陽のエネルギーというのは莫大です。

しかし、当然ながらメデタシ、メデタシ、じゃあどんどん砂漠に太陽電池を置きましょう、とはいかないわけです。沢山太陽電池を作るのが大変というのもあるでしょうけど、何より道路さえなく、砂だらけの荒涼とした大地にどうやってソーラーファームを建設するのか、という問題があります。そして、電力をどうやって人の居る地域まで(物凄い長距離を)輸送するのか、という問題もあります。ただ、これらについては、砂漠の周辺部など、建設しやすい場所から徐々にソーラーファームを拡大していくことで、建設は可能でしょう。長距離の送電も不可能ではありません。さらには、太陽光発電の電力による水電解、その水素を使ったアンモニア、メタン、e-Fuel合成とパイプラインやタンカーによる輸送で、世界中にエネルギーを供給することも不可能ではないと思います。さらには、太陽光による熱を利用して、珪砂を溶かし、太陽光発電の電力で電解還元して溶融シリコンを作って、新しい太陽電池を作る、ソーラーブリーダーも作れば、現地で太陽光の力を使って太陽電池を増やし続けることも可能?そうできたら、素晴らしいですよね。

しかし、ここでまだ心配があります。上記ビデオ中でも最後の方で出てきますが、広大な砂漠を太陽電池で覆うことによる気候変動です。太陽電池の変換効率は20%程度ですから、残りの80%は熱になるということです。でも、太陽電池が無ければ日射の大半は恐らく反射され、一部が大地に吸収されて、やっぱり熱になって輻射されます。むき出しの砂漠と、太陽電池に覆われた表面のどちらがより温められるのか、そこが良く分かりません。ビデオ中の説明では、後者の方がより熱くなり、上昇気流が生じて砂漠に雨が降り、砂漠が緑化されるだろう、ということです。本当に?だとしたら、CO2の吸収能力も向上、さらには食糧生産さえ可能になり、一石三鳥でしょうか?ただ、それってちょっと楽観的過ぎる様にも思えます。

超大規模太陽光発電を、地球上の局所に配置した場合の地球規模の気候に対する影響の予測、これ面白いですね。JAMSTECの先生方、是非ご検討頂けませんか?


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125

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