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国立大学法人山形大学工学部教授の吉田司のブログです。2050年までのカーボンニュートラル社会実現に向けて、色々な情報や個人的思いを発信します。発言に責任を持つためにも、立場と名前は公開しますが、山形大学の意見を代弁するものではありません。一市民、一日本国民、一地球人として自由な発言をするためにも、所在は完全に学外です。山形大学はこのブログの内容について一切その責任を負いません。

2021年7月9日金曜日

山梨産グリーン水素

 昨日のUAE産グレーアンモニアに対して、これは国産グリーン水素のことです。

山梨県、グリーン水素をENEOS水素ステーションに供給: 日本経済新聞 (nikkei.com)

山梨県は晴天率が高く、全国有数の日照時間の長さで、太陽光発電の導入が盛んです。耕作放棄地が多いから、という裏の理由や、景観を損ねたり土砂崩れの原因になるから、これ以上メガソーラーの乱開発を進めないで!という困った事情も実はあります(この話は別の機会に)。とは言え、燃料電池で有名な山梨大学(ソーラーでも有名ですけど)もあって、再エネ先進県と言えるでしょうね。

それで、その太陽光発電の電力で作るグリーン水素をENEOSの水素ステーション用に供給する、ということです。お試し出荷だから、ではあるのでしょうけど、供給量は600立米(常温常圧)。東京オリパラの燃料電池車500台に供給、だそうですけど、トヨタミライの水素タンクは141 L(常温常圧)ですから、それぞれを8.5回満タンにする分、ってことですね。それだけの水素を作るのに必要な電気量は1.44 MAhになります。うーん、大変。

急に増やせないのは当然で、太陽光発電の電力の価格はともかく、水電解には貴金属触媒が必要ですから、グリーン水素はとても高くつきます。高いってことは、結局まだ環境にも良くないということになってしまいますけど、それでもやらなくてはならないのはこちらです。褐炭由来のグレー水素が大量に出回って、それが価格の基準を作ってしまったりすると、グリーン水素が市場に入り込みにくくなってしまいます。太陽光で作った水素でクルマが走っているというのは、結局太陽の力でクルマが走っているということですからね。素晴らしい!頑張って欲しいと思います。

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