日産自動車が英国サンダーランド工場でのEV生産能力を大幅に引き上げる(年間10万台)投資をすることを表明しました。
日産、英国に大規模EVバッテリー工場新設へ (msn.com)
日産は、アリア(ARIYA)と言う名前のSUV型EVを既に発表していて、EVのラインナップ拡充を進めています。このアリアは91 kWhのバカげたサイズのバッテリーを積むヘビー級EVで、660-790万円とかなり高価でもあります。
日本でも発売が予定されていますけど、こんなクルマに補助金を出すべきではありません。これまで再三書いている通り、こういうヘビー級EVは早々に淘汰されることになると思います。ポルシェタイカンやテスラロードスターの様なキチガイEVが欲しい人は、スーパーカーを買う様な人たちなので、一定の需要はあるでしょう。けど、このアリアは中途半端、一般ユーザーは高い割にメリットの無いこのクルマの問題にすぐ気づくことでしょう。
上記レポートではボリス・ジョンソン首相が今回の投資を「EUを離脱した英国への信頼を裏付けるもの」、として得意げです。何しろこのサンダーランド工場はBREXITのために閉鎖の危機が噂されていた欧州での日産の製造拠点でした。計画では、EVの生産だけでなく、バッテリーの生産も現地で行うということですが、それは例の中国メーカー、エンビジョンAESCです。日本の報道では、あたかも日本メーカーの海外進出の様に伝えられていますけど、エンビジョンAESCは中国資本です。
全体を眺めると分かるのは、自動車産業のグローバル化がいかに進んでいるかということです。まあそれは自動車産業に限らないことでしょうね。日産自動車はその出自が日本であり、名前も日本語であって、日本のメーカーという認識が定着しているわけですけど、生産、販売の全てがグローバルに展開していて、もはや日本出身であるということはほぼ関係ありません。実際、ルノーグループの一員ですよね。ルノーは2030年までに全販売数の80%をEV化することを表明しています。その大きな戦略の一翼を日産ブランドが担うということであって、日産製のEVにちょっと化粧直しして、ルノーのバッジを付けたクルマが売られることでしょう。そして、バッテリー関係の利益は中国がコントロールすることになります。日産のクルマづくりの技術はルノーに流れ、NECのバッテリー技術はエンビジョンに流れます。結局、日産ブランドがこの様にしてEVを増産したところで、それはほぼ日本国外での出来事であって、日本人の仕事にはならないし、利益は日本には来ません。それがグローバル化の実態。
これこそ、豊田章男自工会会長が憂いていた日本のモノづくりが無くなるということでしょう。自動車メーカーについては、その先兵が日産です(国内でも作ってるけどね)。ホンダは鈴鹿工場を全部軽自動車の生産に充てましたが、それは日本にしか市場の無い軽自動車を作ることで、日本での自動車生産を守ろうとする意志の現れです。マツダも広島で頑張って生産を続けています。日本からどんどんモノづくり産業が流出すれば、いずれ自動車の様な工業製品を作れない国に転落することでしょうね。
「日産は脱炭素のためにEVシフトに積極的だね!」とかいう明るいニュースでは全く無い、それが今回の真相だと思いました。
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