千葉県銚子市の沿岸に大規模な洋上風力発電が計画されています。
洋上風力発電 | 銚子市 (city.choshi.chiba.jp)
秋田県、長崎県でも同様な事業が進められていて、先日秋田の建設現場の近くを通りがかって、巨大な風車の建設が進められているのを目撃しました。平地が少ない日本の国土では、最も安上がりな風力発電の陸上設置は困難です。山の上に風車を建設するよりは、洋上が適しているということでしょう。洋上風力は海底に固定されているわけではなくて、浮動式のようです。釣りのウキみたい。何しろ台風に頻繁に襲われる日本で、それも最近は気候変動のために超大型化していますから、それに耐えるのも大変だと思います。技術者の談では、50年に一度の強風に襲われても大丈夫、とのこと。まあ技術の進歩を信じるしかありません。しかし、技術的問題ではない問題が指摘されているようです。
千葉県銚子市沖で進む洋上風力発電計画 “景観一変”の指摘も | NHK
銚子沿岸の屛風ヶ浦は有名な景勝地で多くの観光客が訪れますが、その景観を壊してしまう問題です。上記レポートには完成予想図もありますが、海からにょきにょきと多数の風車が生えている様な景観は、これまで地域の人が親しみ愛してきた景観の美しさを台無しにするだろう、というわけです。観光収入の低下も予想されますが、心に訴えるところの方が大きいかと思います。
ずっと以前、北ドイツ付近の上空を飛ぶ飛行機の窓から無数の風車が牧草地に設置されている景色を見ました。緑はもちろん綺麗ですが、凄い数の風車が回り、電気を生み出している様は圧巻でした。率直に「悪い」とは感じなかったのを白状します。オランダの風車は有名ですが、それも国土を作るため(水をくみ上げるため)に人が設置したものです。恐らくその時景観に対する悪影響など誰も議論しなかったことでしょう。時間が経ち、むしろそれはオランダを代表する景色の一部になりました。脱炭素に向けて大きく社会が変動しようとしています。未来の世界においては、きっと洋上風力発電も景色の一部に溶け込んでいるのではないかな、と私は思います。
時代の変遷と共に、失われたものもあれば、新たに生まれたものも多くあります。例えばパリのルーブル美術館の入り口のガラスのピラミッドも、登場した時には相当な反発もあったそうですが、今やパリを代表する景色の一つになっています。アパルトマン様式の建物は、数世紀前と変わりませんが、下に目をやると路上を通るのは馬車ではなくて、自動車です。それを悪く言う人はいませんよね。だから、変化に対してそれを全て拒むということではないでしょう。今回の洋上風力の大規模設置については、当然脱炭素という未来志向のモティベーションがあってこそです。それと、さびれていく地域の活性化への期待もあるようです。そうした正の効果も十分議論した上で、地域の人々が選択すべき問題かと思います。仮に銚子の人たちが、景観を損ねるならば計画を撤回して欲しい、と望むならば、きっと他のどこかの地域が手を上げることになるだろうと思います。
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