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国立大学法人山形大学工学部教授の吉田司のブログです。2050年までのカーボンニュートラル社会実現に向けて、色々な情報や個人的思いを発信します。発言に責任を持つためにも、立場と名前は公開しますが、山形大学の意見を代弁するものではありません。一市民、一日本国民、一地球人として自由な発言をするためにも、所在は完全に学外です。山形大学はこのブログの内容について一切その責任を負いません。

2021年9月15日水曜日

紙や木で脱プラは本当に脱炭素?

 軽くて丈夫、加工もしやすいプラスチックは、20世紀に暮らしを一変させたとても便利な材料ですが、最近は環境破壊の悪者扱いされて「脱プラ」があちこちで進められようとしています。代表的なのはレジ袋の有料化、そしてコンビニで大量に使い捨てされるストローやスプーンなど。

コンビニ業界などで迫られる“脱プラ”への動き その背景は? | NHK

この木製スプーンなんて、ちょっと使い捨てするのがもったいない感じ。木はプラスチックの様に均質じゃないので、割れたり折れたりしないように、ある程度材料を沢山使わないとならないでしょうね。板材を熱プレスしているのか、塊から切削加工しているのか?後者だとかなりコストがかかりそう。バイオマス由来でも、紙の方がより加工はしやすいだろうと思います。

製紙大手 プラスチック製品に代わる紙製品 相次いで実用化 | 環境 | NHKニュース

魚を運ぶ発泡スチロール容器の代替が出来ると説明されていますが、クリーニング屋さんのハンガーも紙製のものが登場しているようです。

確かにバイオマスは、カーボンニュートラルだってことになってはいますが、もちろん原料の生育、採取、輸送、加工などにはエネルギーの投入が必要なので、全体としてはニュートラルにはなりません。そして、これら使い捨て製品は、リサイクルされるわけでもなくて、最後は燃やされるのでしょう。それならば、プラスチックも同じこと。プラスチックが環境中にいつまでも残ってしまうのに対して、木や紙は生分解性なので、万一ポイ捨てされてもいずれ環境中で循環するというところは良いのでしょうけどね。プラスチックをやめて、木や紙にすることで、本当に脱炭素が進むのか、LCA的評価や今後の検証が必要と思います。

そもそも、使い捨て文化自体が見直されるべき、というのも正しいでしょうね。コンビニでアイスやジュースを買って、それをすぐに食べたり飲んだりできるスプーンやストローが提供されるのは確かに便利。まさか、マイスプーンとマイストローを持参しないでしょうし、いちいち洗わなきゃならない。便利さは諦めたくないですよねえ。でも「使い捨て」という考え方そのものは、やはり持続性と相容れない。

どこまでだったら利便性を犠牲にせずに環境負荷を低減できるでしょうか?例えばスーパーマーケットが成立するためにはプラスチックが必要だったんですよね。肉や魚は必ずプラスチックトレーに乗り、ラップされています。だからバスケットにポイっと投げ込めるし、会計も簡単。記憶の片隅にはあるんですが、最近YouTubeで、1960年代の日本とか(もっと古いのは1900年頃のアメリカの高精細カラー化ビデオとか)を見ることができます。お母さんが、食材を買う様子もあったのですが、肉はもちろん、魚も紙にくるんで「はい」と渡し、その場で個別に会計して買い物カゴに入れるのです。豆腐なんて、持参した容器に水ごと入れているんですよ!確かにそうだったです。子供の頃、母親について買い物に行く時、いつも買い物カゴを持っていました。時々水が漏れることもあったと思います。ゴミは間違いなく減るでしょうけど、そんな面倒なやり方には戻れないなあ。便利さは犠牲にせずに、持続性は担保する、そんな技術開発が必要ですね。大切なのは、そういうこれまでの生活を支えていた資源の大量消費の罪悪に気付き、それを変えたいと皆が願う様になることですね。

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