気候変動に関する政府間パネル、IPCCから8年ぶりとなる評価報告書が8月9日に公開されました。まず、IPCCをおさらいしておくと、Intergovernmental Panel on Climate Changeのことで、設立は1988年だそうです。気候変動への不安を煽る悲観的なマニア集団などでは決してなくて、様々な観点からの気候変動に関係する研究者会議で、地球の気候という極めて理解と把握、正確な予測が困難な課題に対して、科学的根拠に基づく人類の英知を結集ようとする真面目な努力です。
今回公開されたのは、IPCCのワーキンググループ1(WG1)、「自然科学的根拠」からのもので、実際にどの様に気候が変動しているのかの分析と要因との相関把握、それに基づいて可能な限り精密に今後の気候変動を予測しよう、という取組みです。それがどの様に社会生活に影響するかの分析などは、別のワーキンググループの担当になります。それら、IPCCのレポートが、気候変動対策の国際的な取り決めを協議する、国連気候変動枠組条約締結国会議(難しい言葉ね!英語の名称がUnited Nations Framework Convention on Climate Change (UNFCCC)でCOPとは単にConference of the Parties)における議論の根拠となってきました。先の第5次報告は、2015年のCOP21(パリ会議)における、2020年以降の国際的目標設定の根拠になり、2100年平均気温上昇を2℃未満とするための今世紀中ごろまでのカーボンニュートラルを目標とする、いわゆる「パリ協定」として具体化したわけです。今年の11月にはイギリスでCOP26が予定されており、今回の第6次報告が目標の引き上げ(精密化)の根拠となる可能性が高いですが、WG2, 3の報告書はまだ来年にならないと出揃わないみたいです。いずれにせよ、IPCC報告書は我々人類が知り得る最も信頼性の高い気候変動とその影響に関するレポートであり、それを根拠として具体的なアクションを決定することには高い合理性があるのだ、ということは信用してください。
さて、本物の報告書は英語ですし、専門的な用語が分からないので、私も正確な理解は出来ないと思います。NHKがレポートを掲載していますので、重要なところはこれで相当理解できます。
地球温暖化の原因は人間の活動と初めて断定 国連IPCCが報告書 | 環境 | NHKニュース
そして、IPCC, WG1レポートの著者の一人でもある、国立環境研の江守正多先生が、分かりやすく説明しているYouTubeビデオがあります。
【速報版】IPCC執筆者が独自解説!「気候変動 国連最新レポート」 - YouTube
毎度関心しますが、江守先生のお話は大変分かりやすく、感謝感激です。これだけ努力頂いているのに、なかなか波及しないことが悔やまれますが、気候危機から人類を救うために出来ることをしようとする、その真剣な取り組みを尊敬します。是非皆さんもこれをご覧ください。
で、肝心の報告書の内容なのですけど、ある意味第5次報告とほとんど同じと見えるために、インパクトが無く、それゆえにニュースとしても大々的に取り上げられなかったように思います。しかし、実は重要なことが色々入っています。ここで素人の私がいちいち取り上げるより、上の江守先生の説明を繰り返し聞いて頂く方が良いと思いますが、簡単に言って、今まで予想されてきたことが間違いないことが確認され、さらに予測の精度が大幅に向上した、ということです。もはや、「直近の温暖化は自然のゆらぎの一部であって、人為的影響により将来に渡って温暖化が進行する恐れなどない」という一部の楽観論者の主張は完全に否定されたと言っていいでしょう。我々が行動を起こさない限り、人類が存亡することが極めて困難な状況を生むと考えて良いです。同時に、脱炭素を早期に実現出来れば、気候変動を目に見える違いで抑制できるであろうことも予測されています。すなわち、COPが取り決める気候変動対策には正当性があり、その実現への努力は必ず報われるということです。
だから繰り返しになりますが、脱炭素は我慢しろというハナシではないのです。より良い世界を実現するための目標であり、その実現は我々の人生をより良いものにするのです。だから、ネガティブキャンペーンをする、目先の金につられた、もうじき棺桶に入る強欲な人たちの話には耳を貸さないでください。
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