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国立大学法人山形大学工学部教授の吉田司のブログです。2050年までのカーボンニュートラル社会実現に向けて、色々な情報や個人的思いを発信します。発言に責任を持つためにも、立場と名前は公開しますが、山形大学の意見を代弁するものではありません。一市民、一日本国民、一地球人として自由な発言をするためにも、所在は完全に学外です。山形大学はこのブログの内容について一切その責任を負いません。

2021年10月26日火曜日

年収が上がらない日本

 ちょっと前にとても気になるニュースがありました。そのニュースページが見つかったので、共有したいと思います。

“年収” なぜ上がらない?専門家に聞きました | おはよう日本 | NHKニュース

日本は仕事に対する賃金が上がっていない、とは聞いていたものの、これほどまでとは思いませんでした。私が学生をしていた頃、1990年から現在までの30年で、日本人の年収は全く上がっていないのです。逆に若干低下しています。驚きなのは、決して好景気に沸いていたとは思えないドイツで2倍、アメリカやイギリスでは2.5倍にも収入が増えているのです。この間物価も上昇しているものの、2倍程にはなっていませんから、これらの国の人々は豊かになったことを実感出来ていることでしょう。中国だともっとすさまじい収入の増加(と物価の上昇)があったに違いありません。こんな状況では、人々が将来への希望や働く意欲を持てなくなるのも当然です。

企業の内部留保の問題もあるとは思いますが、この低成長の時代において日本では賃上げよりも雇用の安定が優先されているから、というのはその通りだろうと思います。それでも仕事を失う憂き目に遭う人は沢山いらっしゃるのだとは思いますが、日本は解雇されにくい国であることは確かでしょう。しかし、誰かじゃないけど、You are fired!とアメリカで誰かが解雇されたとしても、そこで人生が終わっているわけではなくて、また仕事を見つけて別の形で社会経済活動に戻っているに違いありません。時には、そのために新しいスキルを身に着けるトレーニングを受けて、より時代の要請に会った仕事へと変わっていくことでしょう。過度に雇用を守れば、新しい世代にとっては就職への壁ともなりかねませんし、既に仕事に就いている人は新しいことへのチャレンジをする意欲を削がれてしまいます。収入が増えるわけではないのに、どうしてリスクを負わなくてはならないでしょうか?「日本も収入で応える仕組みに変えていくべき」とレポートの中でも指摘されています。そうでないと、海外から優秀な人材を呼び込むことも出来ないでしょうから、未だ経済成長をもって成長とする世界基準に合わせるならば、その通りではあります。日本のこの状況では、高くても欲しいと思わせる様な高付加価値製品を生み出す力は大きく弱められてしまいます。

しかし、それでもなお、金が増えることが成長発展である、という考え方そのものに疑問符を付けるべき時に来ている様にも思います。レポート中に紹介されている寄せられた声を見ても、人々の間に不安と不満が満ち溢れているのは明らかです。これまでの社会的通念からすれば、賃金がどうやっても増えない状況の中で自身の成長を実感したり、未来を展望することが出来ないというのは全く当然ですね。でも、もはや絶対的な成長の余地は無くなりつつあり、仮に(経済)成長があるとすれば、それは弱者からの搾取や弱者に犠牲を押し付けることによってしか成り立たなくなり、世界はより不安定化、二極化していくことになります。

今週末は衆議院選挙です。岸田首相は「成長と分配の好循環」を繰り返し唱えていますが、野党が指摘する「これまで言っていたことと何も変わらない。分配など無かった。」というのもまた事実です。果たして日本が、そしてその国に生きる未来の世代がとるべき選択は、どうあるべきなのでしょうか?経済成長せずとも、不安が無く、一人一人が発展的人生を実感できる社会というのは実現出来ないものなのでしょうか?学生の皆さんは、必ず選挙に行って下さいね。

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125

 「125」この数字が意味するのは何でしょう?はい、私はオートバイが大好きで、特に手に余らず、使い切れるパワーで軽量な125ccクラスのバイクが好きです。高速道路は乗れないけど、バイクで高速道路走っても、ちっとも面白くないし、二人乗りだって出来るし、燃費良くて維持費安いし。今ウチ...