このブログについて

国立大学法人山形大学工学部教授の吉田司のブログです。2050年までのカーボンニュートラル社会実現に向けて、色々な情報や個人的思いを発信します。発言に責任を持つためにも、立場と名前は公開しますが、山形大学の意見を代弁するものではありません。一市民、一日本国民、一地球人として自由な発言をするためにも、所在は完全に学外です。山形大学はこのブログの内容について一切その責任を負いません。

2022年4月9日土曜日

再エネ施設見学ツアー

 YUCaN学生部会のメンバーで奥会津にある再エネ施設見学ツアーに行ってきました。最初の目的地は以前このブログでも紹介した、道の駅かねやまの中にある、「みお里」です。只見川沿いの水力発電の開発の歴史などを紹介する施設で、2020年にオープン、無料です!今回、総勢12名、山形大学の学生の訪問ということもあり、なんと施設の職員の方2名がアテンドして下さり、展示内容のガイドを頂きました。ありがとうございました!

昼食後は、雪がまだ沢山残る、沼沢湖に立ち寄りました。沼沢湖は天然のカルデラ湖ですが、只見川とつながる地底トンネルがあり、出力470MWの沼沢第二発電所が地底にあるそうです(見てみたい!)。揚水式発電で、電力が余った時には只見川の水を沼沢湖に汲み上げて、電力を貯蔵する仕組みです(高低差が200メートルもあります)。理想的な電力貯蔵システムですが、なかなかこんな仕掛けを導入出来る適地は少ないですね。

最後は、これは私も初めて行った、柳津西山地熱発電所です。発電所の施設は外からしか見ることが出来ませんが、PR館があり、その中に地熱発電の仕組みなどが紹介されています。

地熱発電ってのは、どういう仕組みなのか良く分かっておりませんでした。他の施設でも、写真の背後に写っている巨大なバケツみたいなのがいつもありますが、あれは冷却塔であることが分かりました。地底のマグマ近くで加熱された地下水は、300℃以上の高温高圧状態で、これを大気下に持ってくれば勝手に気化して水蒸気になるはずです。その力でタービンを回して発電するまでは分かるのですが、その後の地下水は捨てているものだと思っていました。しかし、それは再び地中に戻されて循環しているんです。でも、どうやって一旦低温且つ大気圧になった水を高温高圧の地下に戻すのか不思議に思いました。加圧して戻しているわけない(エネルギーを失う)からです。詳しくはまだ分からないんですが、どうも地中での地下水の大循環を利用しているらしいです。マグマで温められた高温の地下水は、上昇して徐々に冷やされ、再び下降流となってマグマの方に向かう循環があり、それが地上に吹き出せば温泉ですが、地熱発電をやっている様な場所では水を通しにくい粘土層があり、それが遮ることで地底での水の循環が起こっているんです。それで、上昇流のところに吸出し用のパイプがあり、それを地上に持ってきて発電用タービンを回します。その水蒸気が水に戻る様に冷却しているのが写真のバケツ状の冷却塔です。そして冷却された水は地底大循環の下降流のところに放出されます。そうすると、その大循環に引き込まれる様にして水はマグマに向かって流れていき、再び加圧され高温になって上昇流になる、というわけです(それで理解合ってるかな?)。なので、地底の水循環をしっかり調査して、どこから水を汲み上げ、どこに水を戻すかを決めているらしいです。それをやれば、ほぼ永久にマグマの熱からエネルギーを少しずつ取り出せるわけですね。かなり緻密な調査が必要で、簡単ではないなという印象です。そもそも、温泉水はお風呂に使った方がよほどお金になるので、温泉大国日本ではありますが、それをわざわざ発電に使うというのはなかなか経済的に成立しにくいですねえ。この柳津西山地熱発電所もかなり大がかりな施設でしたが、発電能力は50MWということで、正直、大したことないなあと思いました。地熱発電が最も大規模に行われているのはアメリカだそうで、総出力は3GWを越えています。それでも、全体の電力供給能力に占める割合は僅かですね。
再エネ施設ツアーの詳細は、YUCaN学生部会から報告があると思いますので、是非そちらを見て下さい。旅の終わりに、米沢のすぐ近くにある川西ソーラーパークをちょっと眺めに行きました。

地元にこんなに大規模なソーラーファームがあることを知らなかった人も多かったみたいです。スキー場の跡地に建設されているということもあって、4月の今もまだ多くの雪が残っています。太陽電池パネルは雪に埋まらないように、みんな足の長い架台の上にあって、地上よりだいぶ高くに設置されていますが・・・写真を良く見てください。大規模に壊れていました。何しろ、この冬はとんでもない豪雪の年でしたから、さすがに雪の重さに耐えきれなかったのか、恐らく雪崩もあって、パネルを支える台座が壊れてしまったようです。パネル自体も損傷している可能性が高いですね。太陽電池は、もちろん安くなったとはいえ、20年ぐらいメンテフリーで発電し続けることが期待されています。ところがこんなことになると、全く採算が取れないうちに施設が壊れてしまうことになります(川西ソーラーパークはまだ建設途中ですよ)。豪雪だけでなくて、巨大台風や地震による設備の損傷も考えられます。温暖化のために今後は異常気象の頻発が予想されますから、こうした再エネ施設自体の災害対策を念入りにしないと元も子もないことになっちゃいますね。


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125

 「125」この数字が意味するのは何でしょう?はい、私はオートバイが大好きで、特に手に余らず、使い切れるパワーで軽量な125ccクラスのバイクが好きです。高速道路は乗れないけど、バイクで高速道路走っても、ちっとも面白くないし、二人乗りだって出来るし、燃費良くて維持費安いし。今ウチ...