ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が、いよいよ大変なことになってきています。連日報道されている通りですが、首都キエフ改めキーウ周辺からロシア軍が撤退する一方、北はハリコフ改めハルキウからクリミア半島までの東部が激戦地と化しています。特に酷いのはマリウポリの攻防戦ですが、ドネツク州全体で戦闘が激化しているみたいです。やはり、ロシアの目論見としてはウクライナ東部での完全勝利と占拠で、これを根拠として僅かに残された(ロシアから連れてくる?)親ロシア派住民の総意を勝手な根拠として独立を強引に認めさせ、それをもって軍事作戦完了を宣言することだろうと思います。ウクライナ全土を占領することなど、到底無理であることが分かり、戦力を東部に集中させているんでしょうね。
では、一方のウクライナ政府が、これ以上一般市民の犠牲が増えることを嫌ってロシアに譲歩し、東部ウクライナの独立を認めるかと言えば、それもありそうにないです。EUのフォン・デア・ライエンさんはキーウに乗り込み、ゼレンスキー大統領とも会ってEU(NATO)による軍事支援強化を約束しました。前線で死ぬのはウクライナ人ですが、巨大な火力を用いてロシアに徹底抗戦し、ロシアが東部の独立を勝手に宣言したところで、実質的な掌握が不可能なぐらいに軍事攻撃(防戦ではなくて、東部に駐留するロシア軍への攻撃)の手を緩めないでしょう。一般市民は可能であれば、どうにしかして現地を離れて西部に避難して欲しい。ロシア軍が撤退したキーウ北部で市民が惨殺された様子も報道されていますけど、無差別攻撃が行われていることは明らかです。一般の住居、高層集合住宅などが破壊されつくしている様子を見ても、軍事施設を狙った攻撃ではないです。となれば、是が非でも占拠し勝利したいウクライナ東部では、人道的配慮など期待すべくもないです。電気も水道も、食料も無い中で、まだ多くの市民が東部に取り残されていると聞きます。逃げない限り、全てのそうした人たちが死に追いやられることになります。そもそも戦争に配慮も何もあったものではありません。殺すか殺されるかの場面になれば、人は狂気に追い立てられて、自分を害する恐れがある存在は(老人、女性、子供でさえ)全て殺戮の対象となってしまうでしょう。だから、逃げて欲しいけど、もはや逃げることさえ出来ないのかと思います。ウクライナ軍が決して屈服しないという姿勢で戦い、米国やEU、NATOが強力な軍事支援を続ければ、下手をすると数年に渡って戦闘が続き、ウクライナ東部は破壊され尽くし、再び人が住むことが出来ない様な場所になってしまうことでしょう。そして今後は、ウクライナ軍による反撃によってもウクライナ市民が犠牲になることになります(きっと人間の盾に利用されますよ)。さらに恐ろしいのは、窮地に追い込まれたロシア軍が化学兵器、生物兵器、さらには核兵器まで使ってしまうことです。そうなったら、下手をすれば数十万、数百万の人命が失われることになり、東ウクライナが仮に独立したとしても、数十年に渡って人が住めない様な場所になってしまうことでしょう。
戦争は、かくも無益なことであり、失われることばかりで得るもののない、憎むべきことだとつくづく思います。互いの正義を振りかざして勝者と敗者が決まるまで戦争を続けるつもりなんでしょうか?一刻も早くやめて欲しい。紛争は対話によってのみ解決すべきであり、どれ程対話が難しい相手であっても決して手を出して、暴力によって相手を屈服させようとしてはいけないのです。連日の報道で、この地域に無関心であった人でも「ウクライナの人が可哀そう、ロシアが悪い」とは思うでしょう。実際もそうだとは思いますが、でもだからと言って徹底抗戦することがウクライナの人たちがとるべき行動だとも思いません。非暴力不服従を貫いても良いのではないかと思います。その時に、他国も仲裁に入って力で屈服させようとすることへの非暴力の抵抗に加担したら良いと思います。
だから、対話がとても重要なんですけど、対話の窓口を閉ざそうとするG7各国の姿勢が理解出来ません。
日本駐在のロシア外交官ら8人追放 ウクライナ情勢で 外務省 | NHK | ウクライナ情勢
昨日、岸田首相がロシアへの追加制裁を発表しましたが、これに加えて日本駐在のロシア外交官を国外に追放することも発表されました。確かに、ロシアが行っていることは決して許されることではありませんが、「お前は悪いヤツだから出ていけ!」と言って対話の窓口である大使館員を国外追放して良いのでしょうか?むしろロシアがしていることは悪いことで、それを止める必要があるのだから、そのための対話の窓口はより大切になるのではないですか?「お前なんか見たくもない、口もきかない!」と言うことで何が解決するのでしょうか?追い出してしまったのは、外交官ですよ。圧力をかけるどころか、ロシアと日本の関係が失われて、停戦に向けた行動において日本が無力化されるだけではないですか。これは日本だけでなくて、G7各国も外交官の追放を決めているようです。日本はそれに同調したのでしょう。しかし、それが問題解決への適切な方法とは思えないです。むしろ、希望が失われている様に思います。こうした行動を取れば、北方領土についての希望が完全に失われるだけでなく、北朝鮮に拉致された人たちが帰国出来る希望も同時に失われます。自分と考えの合わない人とは対話もしない、というのを外交とは言いません。北朝鮮もどんどんミサイルを撃つでしょう。中国による台湾への進行も抑止出来ません。「暴力は絶対ダメ、話し合いなさい」はいつも子供たちに言い聞かせることじゃないですか?自らはそうすることが出来ない大人は悪い見本ですね。そんな人たちがリーダーを自認しているんですか。だからみんな死んで、全てが失われるまで殺し合いをやめられないんです。政治家の皆さんは、パパとママに教えてもらったことを思い出して。ケンカはダメ!
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