「異次元の少子化対策」だそうです。また言葉遊びに終わらないで欲しいですね。一体何をしたら「異次元」と言えるのか?
岸田首相は、2023年度の目標として大規模な少子化対策に取組む目標を掲げ、関係大臣に指示、議論を加速させる意向です。それは当然でしょう。何しろ出生数は昨年度80万人を切り、予想よりも急速に少子化が進んでいます。一方で65歳以上が人口に占める割合は既に29.1%、令和18年には3人に1人になります。このまま行けば、日本の著しい衰退は避けられません。何でカーボンニュートラルのブログで少子高齢化の話題と言うことなかれ。目標は健全で幸福な社会の持続的発展なのですから、極めて重大な関連する問題です。
で、報道を聞く限り、結局金の話に終始していますね。確かに、子育てにはお金がかかりますが、お金だけが問題でしょうか?政府は子育て関連予算を倍増、それには数兆円規模の財源が必要、ということで消費税増税論が早速飛び出し激しい反発を受けています。つい先日は軍事大国になるための増税を決め、矢継ぎ早に生活に直結する消費税増税など論外です。社会は長引くコロナによる停滞とウクライナ戦争による物価高騰に喘いでいるというのに、増税などと言えば国民が支援されているとは感じないのは当然でしょう。逆に罰を与えられている様なものです。東京都の小池知事は5000円/人の都独自の支援を表明しましたね。絶妙なタイミングで格好をつけた感じです。
少子化対策、部分的対応では「異次元」にならず=小池都知事 (msn.com)
東京都はお金持ちだから、というのはあるでしょうけど、女性知事だからこそ余計にメッセージ性が強い。山形県の吉村知事もいかがですか?小さい子がいるウチは嬉しいですよ♡。いや、山形県にそんなゆとりは無いですかね。
政府の言う少子化対策というのは、今に始まったことではないです。過去の対策というのが全く少子化の抑止に効かなかったのは何故か?そこの検証が大切です。支援のお金が少なかったから、それを増額すれば「異次元」になり、成功する、と本当に思いますか?そもそも今の経済状況と日本の相対的国力が低下し続ける中で、お金を増額することなど無理だと思います。今まで一人5000円だったのを1万円にするとか、そいういうことだと増税するしかなくなります。政府は打ち出の小づちを持っているわけではありません。お金に限って言えば、むしろ振り分けが大切ですよね。このWedgeオンラインにあった記事がそれを良く説明していると思います。
「異次元の少子化対策」実現に必要なたった一つのこと Wedge ONLINE(ウェッジ・オンライン) (ismedia.jp)
シルバーファーストからチルドレンファーストへ、まあ分かりやすいですよね。数字の上でも多数派になり、社会への支配力も強い高齢者に良い顔をし続けないと選挙に勝てないという実情もあって、高齢者への手厚い保障を切り捨てられない。しかし増税せずに子育て支援を拡充するにはそこから持ってくる以外にありません。高齢者も生産人口に組み入れられ、しっかり納税してくれるなら良いでしょうけど、税収は若年層の労働に支えられているわけですから、高齢者への保障を減らさずに子育て支援を拡充しようとすれば、必ず現役世代への税負担増となります。沢山支援しますよ、と言いつつ一方では増税に苦しめられるのであれば、ちっとも状況は改善しませんよね。まあ、以上ごく簡潔にお金のことでした。
しかし、何故結婚したくないか、子供を持ちたくないか。その傾向が続いていることはお金の理由だけではないと思います。女性を含む人口減少が続いているわけですから、出生数が低下するのは当然ですけど、未婚率が増大し、出生率が低下していることが問題なわけです。簡単に言って、社会がこの先良くなっていく様に思えない、リスクばかり感じて、希望が持てない。そういう状況だから家庭を持つなんていうのはリスクの増大としか感じられないのだと思います。命の再生産と次世代の育成に取組み(さらには労働の主力でもある)社会の持続性に奮闘する若い世代をもっと大切にしないと。それはお金を配るだけではないんですよ。日本よりもお金の無い国でも、こんなに少子化が進んでいない国は沢山ありますよ。未来に展望が持てるということと、お金が沢山あるということはイコールではないです。社会を取り巻く不安というのは、お金に対する不安だけではない。自分の将来が発展していくだろうという展望、そのためならば頑張りたいという意欲の引き出し、これが大切です。絶対値よりも微分値ですかね。微分も収入についてではないですよ。自らが社会の主役になっていくという展望と、それに対する期待です。
高齢者は多くの経験を積んできたからより的確な判断が出来る、というのは本当か?むしろ時代遅れ、古臭くなってしまった自分の経験に縛られ、判断を誤る。プライドが邪魔をして、過ちを認められない。特にタチが悪いのはジイサンです(まあ、バアサンもだけど)。そして、日本の社会を支配する人たちの顔ぶれを思い浮かべて。ジイサンばっかり。少し若い人がいても、それはジイサンの支配を完全に受けているジイサン予備軍みたいな人たち。ジイサンに異論を唱えると、排除の対象になる。もっと全世代が等しく社会参加する多様性を受入れないと。まだ言い訳は許されないけど、判断力や活力の低下は、自分自身にも感じます。一番強かった時期は過ぎたかな。人は誰でも老いていきます。当然の変化です。一方でこういう問題は以前よりもよく見えるようになったのは確かです。一通り経験したからね。
ジイサン支配は政府に限ったことではないんですよ。社会全体がそう、特に役所や大学は酷い。高度成長期を支えた団塊の世代はもちろん、その後についても今の社会で重要な地位を占めている男性は、そのキャリアのために女性を犠牲にしてきた人たちです。「内助の功」とかそういう言葉で片付けるな。学びの時、そして自分のキャリアを確立する過程において、どれ程女性に助けられましたか?女性に犠牲を払ってもらって今があるのです。自分の能力だなどと思わない方が良い。しかし、そんな人たちが「いや、これからは是非女性にも活躍して頂いて」とか言ったところで、全く説得力無いし、的外れなことをするに決まっています。今の少子化対策においても、結局子育ての主役は女性であるという考え方に全く変わりはない様に思います。かく言う自分を振り返ると、30代の頃は父親になる資格など絶対に無いような生活をしていました。だから、実際にも子供はいませんでした。自分自身が他の人をケア出来るだけの余力を持つまで、それは無理でした。だからこんなに歳を取った父親になってしまい、我が子にはちょっと申し訳ないんですけど、それでも30代の自分は親になるべきではなかったと今でも思います。今は毎日食事を作ったり、子供の勉強を手伝ったりしてはいても、それでもやはり母親である妻には大きな負担をかけてしまったと思います。やはり、彼女自身のキャリアを犠牲にさせてしまった。生き物として、子供を身ごもることも、授乳することも、女性にしか出来ないです。子供が生まれ、歩いたり話したり出来る様になるまでは特に、妻は大変だったです。子育てとは、それぐらい大変な取組みです。
結局、女性の苦労の上にあぐらをかいているオジサンには少子化対策など出来ないと思います。「異次元」を目指すならば、まずはその席を退席するのがよろしいかと。あと、ミサイルも要らないんで、そのお金を子育て支援に回した方が良いですよ。
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