このブログについて

国立大学法人山形大学工学部教授の吉田司のブログです。2050年までのカーボンニュートラル社会実現に向けて、色々な情報や個人的思いを発信します。発言に責任を持つためにも、立場と名前は公開しますが、山形大学の意見を代弁するものではありません。一市民、一日本国民、一地球人として自由な発言をするためにも、所在は完全に学外です。山形大学はこのブログの内容について一切その責任を負いません。

2022年11月18日金曜日

想像力と気づき

 またすっかり間が空いてしまいました。この間何もしていなかったわけではなくて、大忙しでした。近く、良いニュースもお知らせ出来ると思っていますが、ここ最近も、全く良いことが無いですね、という状況。ウクライナの戦争は全く終わりが見えず(ポーランドへのミサイルの件は本当にドキッとしました)、北朝鮮はバンバンミサイルを撃ち(予想通り)、COP27では全く進展が無く(予想通り)、南部ヨーロッパや北部アフリカの大干ばつ、水不足、食料不足、気候難民。苦し紛れの石炭回帰。身から出た錆、先進諸国は物価高騰には我慢我慢。

そんな中でも、せっせと研究計画を立てたり、あちこちで講演活動をしたり、ヨーロッパ(ポーランド、ドイツ)にも行き(久々の国際会議などなど)、新しいネットワークも構築し、最近はちょっと自分のキャパシティーオーバーに陥っていました。自分が下手くそ過ぎるのか、つくづく日本人を理解出来ていないからなのか、自らの想いと周囲の意識とのズレを痛感しています。それに腹を立てているというよりは、無力感というか、自分自身が迷惑な存在にさえ思えてきて、何もかも放り出したくなることもしばしばです。余計なお世話?かなり、末期的。

私という人は、きっと周囲からは自信満々で主張が強く、暴力的でさえあると思われているのではないかと感じますが(そう片付けるのが簡単だから、そうやって非難する人が少なくない)、どっこいとてもセンシティブです。最近は色んな事が頭から離れず、グルグルと考え続けて眠れなくなることが多いです。強い酒の力を借りて、強制的にぶっ倒れる様に眠りにつく。本当に末期的。自分は弱いし、自信なんてない。ただ、それでも自分を信頼しています。そして変化は起こると信じています。細やかさや器用さは、相変わらず無いかな。自分よりももっと弱い人を分かってあげるキャパシティーが足らない?一方でバイタリティーと粗暴であることを混同している様な人もいますよね。自分はそうじゃないから、ついに心がもたなくなっている。でも、どうあっても、放っておけないんだな。そういう性格なんです。傍迷惑かも知れないけど、自分の正義感が、ノーサンキューかも知れないけど、自分の人類愛が、常に自分に「行動を起こせ」「くじけるな」と語り続けます。自己分析なんて出来ないから、もういいです。自分がよっぽど丈夫なら、まだまだ行けるでしょう。あるいは、このまま弱って老いぼれていく。でも心は変わらないです、昔も、今も、これからも。

さて表題の「想像力」と「気づき」。これは最近口癖の様に言い続けていることです。学びは常に大切ですが、経験や学ぶ機会を通じて自分自身に変化を起こせるかどうかには、想像力と気づきが大切だと思うのです。今の行動、努力というのは未来のためですが、未来は見えません。だから経験したり、(自分にとって)新しく知ったことは、全て過去のことです。それで、次の一歩をどう踏み出すべきなのかを考える時、その拠り所となるのは「想像」です。ただ、それは根拠の無いファンタジーではありません。時にファンタジーも(特に芸術的創造活動では)大切だと思いますが、この想像は、過去の経験や学びから得た知識から論理的に導かれる未来を予想する力です。例えば気候変動がどうして起こったのかを正視し、科学的根拠を持って未来を想像すれば、この先どれ程酷いことになってしまうだろうかと想像することは出来るはずです。一方の気づきは、社会や他者に対する場合もありますが、自分自身に見えていなかった自分にも気づくことです。人は過去を簡単に葬り去ります。というか、自分にとって都合の良いことだけを記憶します。気づきの無さは、想像力を弱くもします。どうして世界はこうなのか、どうして自分はこうなのか、そして未来を想像し、何を成すべきなのかを導けば、それが自分自身を変えようとする力になります。その生き方は、かなりしんどいので、本当に気づいていないのか、気づいてもやりたくないのか、とにかく変わらない。変わりたくない。(やっぱり、文句言ってますよね、だから嫌な奴だと思われる)

例えば、この前お風呂に入っていて思ったのです。自分は毎日風呂に入れることを当たり前の様に生きていることに気付きました。高温多湿な気候の日本に住む日本人の多くには入浴の習慣があります。気候の影響もあるでしょうけど、経済的な事情もあって、風呂なんて1週間に1度入ればいい、あるいは行水だけでお湯なんて使わない、という生活をしている人って、きっと世界には沢山いるんでしょうね(そっちの方が多い?)。言うまでもなく、お湯を作るのには沢山のエネルギーが必要になります。いつも清潔で、石鹸の良い匂いがしている国民って、それだけでも凄く贅沢。映画MAD MAXで、石鹸に驚嘆するシーンが出てくる。何も無い世界だったら、そうなりますよ。でもお風呂に入るのは当たり前過ぎて、それがどれ程エネルギーを大量に消費する生き方なのかを想像したり、自分はそういう贅沢をしている一員であるということに気付いたりすることは容易ではないと思いました。あ、だからってこれからは風呂は一週間に1度にしようとか思っているわけではないですし、臭くなるわけでも無いですよ(加齢臭は別)。清潔で健康的な生活のためのテクノロジー、文化としてのお風呂を生み出したことに誤りがあるわけではないです。もちろん、今より電気が10倍高くなったりしたら、きっとお風呂を使わなくなり、臭くなります。

過日、洋上風力発電に対して「私たちは未来の世代のためにこの景観を守ろうと!」とスゴイ剣幕で反対されるご高齢の方々に「いや、それなら子供たちには電気は要らないんですか?原発作る方が良いんですか?」と言うと、さらにヒートアップして「そんな極論を!」と来たのですが、いやいや、全然極論ではないです。自分たちは、電気を散々使う生活を当たり前に享受してきたのですけど、そのことに対する感謝も無ければ、罪悪感も無いのです。もちろんやめるつもりも無い。学びが無いし、想像力も無いし、気づいてもいない。どうしてこうなったのか、都合の良い記憶ではなくて、それを正視出来たなら、そして子供たちの未来がどうなるのかに想像力を働かせられたら、「私たちは変わりたくないんですよ!」と主張することは出来なくなるはずです。しかし、どんな語り掛けをしても、これは無理だ、と率直に感じました。世代間のギャップの大きさに驚きました。心配だったので、私の学生や高校生に聞いたら、ほぼ全員「再エネ増やして欲しい」「原発はまっぴら御免」です。学んでるし、想像出来てるし、気づいてもいる。

「老いては子に従え」とはよく言ったものです。私ももうすぐお払い箱になります。だから、次を担う世代には、良く学び、想像力に磨きをかけ、人とは何か、自分はどうか、と問いかけ、根源にある問題に気づいて欲しいのです。無力感なんて言わないで。自分たちは変われる、自分たちは変えられると信じて欲しい。努力し、信頼できる自分に成長していって欲しい。それだけが希望です。あなたたちにしか出来ないんです。全力で応援しますよ。

2022年10月12日水曜日

ウクライナ8

 またしても、長らく中断してしまいましたが、再びウクライナの問題です。ロシアによる軍事侵攻が始まってもうすぐ8か月となりますが、事態は改善するどころか、一層深刻になり、終わりが全く見えない上に、凄惨な結末を生むことを本気で心配しなくてはならない状況です。恐れていたことが、次々に現実に起こっています。どうにかして、この状況を止めて欲しい。しかし、その力を誰も持っていない様に思われます。

こうしている間にも、学振に招へいされているOleg Dimitrievさんは、第三国を経由して綱渡り的に来日することを目指し、その準備を着々と進めています。また、山形大学が立ち上げたSTEP-YUプログラムによっても、数名のウクライナ人学生を救済するために、関係者が頑張っています。一人でも多くの人たちの命を救い、ウクライナの再建を果たすために、国際社会は一致協力すべきです。

しかし、その「国際社会」が何を意味するのか、それが一種類ではないことは繰り返し訴えてきた通りです。プーチン大統領を悪だ、狂気の殺人者だと言う人たちがいても、プーチン大統領や少なからぬロシア国民にとっては正義の戦いであって、絶対に負けることの出来ない戦争です。ロシアが袋叩きに遭う中で、中国やインドは微妙な距離感を保っているとはいえ、ロシアを世界地図から消してしまいたいと躍起になる西側諸国が正しいわけでもありません。ロシアの軍事行動を非難する国連決議に反対したり、棄権したりする国が多数あることを忘れてはなりません。世界はその多様性を基礎とすべきであり、善と悪の二極ではないのです。

クリミア大橋の爆破をきっかけに、大規模な報復攻撃がウクライナ全土に広がり、キーウ周辺にいる私の友人たちにも危険が迫っています。ロシアは徴兵に踏み切り、ベラルーシが参戦を表明し、この混乱に乗じて北朝鮮が頻繁な弾道ミサイル発射と核実験による挑発行動を活発化して、世界のルールを無視した核保有国としての既成事実化、力によって相手を恫喝し、交渉のテーブルにつかせようとする動きが露わになっています。これを単に邪悪な心がもたらす行動と思うなら、その世界観は歪んでいます。相手の立場になって考え、そして人の行動心理を素直に受け入れたなら、これらの国々がとる行動は、全くもって合理的です。中国やインドもしかりです。決して米国、EU、日本に同調はしないでしょう。これら全ての国々がしようとしていることも、やはり力によって相手をねじ伏せようとしているだけなのです。力とは軍事力だけではありません。自らだけが正義の旗手であるかの様に振舞うのは明らかに間違っています。

相手が小国であれば、力でねじ伏せることも出来るのかも知れません。しかし、今は大日本帝国が滅亡した80年前とは違うのです。二発の原発と首都東京が焼野原になり、沖縄が占領されてやっと、日本とその人民の存亡が危機に瀕していることを認め、やっと日本は降伏しました。しかし、ロシアは6000発もの核弾頭を保有し、中国も巨大な核保有軍事強国であり、北朝鮮もあっという間に強大な核軍事力を手に入れたのです。台北が、東京が、ソウルが焼野原になってでも相手を屈服させれば正義の戦いに勝利したというのでしょうか?もちろん、その時はモスクワも北京も焦土と化します。ニューヨークも、ロンドンも、ベルリンも、パリも。すなわち、世界が終わるまで、この戦争を続けるのでしょうか?

今の各国政府、対話を拒み続けるリーダーたちの下ではこの戦争を止めることは出来ません。一方で国連は完全な機能不全に陥っています。大切なのは、世界の人々の想像力です。これをこのまま放置すれば、どういう結末に向かうのか、想像力を働かせなくてはなりません。そうすれば、どの様な妥協をしてでも共存への道を模索しなくてはならないことが分かるはずです。責任ある各国のリーダーは自らの思い込みを一旦脇に置いて、イマジネーションを働かせて、事態の緊急性に向き合い、対話による解決へのリーダーシップを発揮すべきです。

2022年8月24日水曜日

ウクライナ7

 ついに半年が過ぎました。しかし、過去の紛争の例を考えると、半年などまだ序の口だと思います。戦争が終わって平和が取り戻されることを願うばかりですが、この状況が続くことを心配するのでは楽観が過ぎると思います。同じ状況が続くのならばまだ良いほうであって、心配すべきは世界の分断が進み、世界が闇に包まれ、かけがえのない幸せの基盤が崩壊し、人類がその繁栄を終えることです。それぐらい心配しても、し過ぎではありません。目の前の問題など取るに足らず、今後数十年、数百年の幸せを心配すべき状況です。何しろ、今回の対立は世界の二大軍事大国である米ロです。経済制裁など効くわけもありません。中国やインドが稼いだ外貨でロシアのエネルギー資源が買われているのです。

この紛争の原因を作った当事者である、豊かな国々の人たちは、既にこの戦争に対する関心を失いつつあることでしょう。いつの時代もそうでした。数年前の記憶などすぐに薄れていきます。目の前にある問題こそが問題であって、既にどうしてこんな戦争が起こっているのか、どうしてそのとばっちりを受けなくてはならないのか、と感じる人が増えていることでしょう。だから、そうした利己的な人類の忘却力の犠牲となる人がこの世界に絶えず生まれるのです。自らには責任はない上に、むしろこの紛争の犠牲者だ、ぐらいに思っている人々が、実は当事者中の当事者なんです。あまりにも歴史を知らないこと、世界の広さと多様性を知らないこと、人の本性を知らないこと、自らの都合しか考えないこと、都合の良いことだけを信じること、想像力が欠けていること、これらが世界の大半である以上、この戦争を止める力は存在しないことでしょう。一年前の自分は、まだ希望に満ちていたと感じます。今となっては、世界がその終わりに向かって突き進むのを傍観し、共に死んでいくことしか出来ないのではないかと、絶望しています。カーボンニュートラルな持続可能社会に向けた国際協力など、夢のまた夢。

いわゆる「支援疲れ」を通り越して、「誰だこんな風にしたのは!」と怒りの矛先を変える人さえ出ていることでしょう。ロシアの侵攻が始まった直後には、己の正義感に打ち震えて悪を打倒するといきり立っていた人たちも、今は物価高騰やエネルギー供給不安に苦しめられる自分を犠牲者と感じているのではないですか?それがいけないんです。いつもそんな風だから、この戦争を許してしまったのであり、今の状況は身から出た錆です。それを本当に反省出来るなら、即時停戦と相互を認め合い共存する世界の再構築に敵対する両陣営がすぐに取組むべきです。嘆かわしいばかりの人の愚かさの犠牲となって、命と生活を奪われたウクライナの人々、さらには戦場に送られて死んでいったロシア辺境の若者も、可哀そうでなりません。これを止める力を持たない自分も、自らと愛する人々を破滅へと導く愚か者の一人です。だからそう遠くない将来に、自分もその一人となって冷たくなっていることでしょう。

つい先日の報道で、ドイツ、フランスでは「ロシアへの制裁強化とウクライナへの軍事支援を支持する」と答えた人が70%以上だと言っていました。本当でしょうか?日本はどうですか?アメリカではウクライナ紛争に関心があると答える人は人口の3%に満たないそうです。一方で物価高騰には関心がある。日本も似たようなものではないですか?それでも、世界140ヶ国以上がロシアへの制裁に同調しました。しかし今もなお、悪の帝国に正義の鉄拳を浴びせることで、ロシアがどこかの段階で反省し「すいませんでした、もうやめます」と言うだろうと本気で思いますか?私は絶対にそれはないと思います。かつての大日本帝国がそうであったように、全てを失い、破滅の危機に瀕するまで、自らの犯した過ちを認めることは出来ないでしょう。80年前の大戦においては、完成したばかりの最新兵器であった原爆2発でついに日本を降参させることが出来ました。日本は壊滅的に破壊され、日本人は地獄を目の当たりにしましたが、世界が滅びることはありませんでした。しかし今は時代が違います。ロシアは6000発もの核弾頭を持っているのです。広い国土を持ち、資源大国ではあるけれど経済的にはトップ10にも入れないロシアにとって、核による脅しは大国としての地位と発言力にはっきりと機能しています。だから、中国やインドがそれに続き、北朝鮮の様な国も核を欲するのです。平常心であれば誰もが嫌い、愚かだと断罪する暴力が、やはり一番強い力になっているのです。ならば、と日本もケンカに強い国になるべきなのですか?再び?第二次世界大戦でのロシアは、3700万人もの犠牲(戦闘による死者ばかりではないですけど)を払ってでもナチスドイツを撃退し、国土と国の統一を守ったのです。人口が近い日本の死者は軍人、民間人合わせて310万人です。そのロシアが降参するでしょうか?核を使えばどうなるのかはロシアも分かっています。だからこそ、核による恫喝をやめないのです。

今回の戦争で、ロシアが国際的な信用を失ったことは確実です。経済的取引において優位に立つためにはその信頼がとても重要です。ですから、ルールを守れない、自分のルールを押し付ける、ということをすれば、必ず国の発展に対して不利に働きます。だからもう十分です。これ以上ロシアを追い詰めるべきではありません。プーチン大統領も、ゼレンスキー大統領も、そしてバイデン大統領も、これ以上人を殺してはいけません。世界がその終わりを迎えるまで、戦いをやめないつもりですか?人種も宗教も政治体制も関係ないです。人の幸せなんて、どこでも同じです。ロシアを滅ぼしたら、次は中国ですか?インドですか?そんなこと出来るハズもないし、考えるのも愚かです。相手を大好きになれとは言いません、でも最低でもその存在を尊重し、幸せを追求する権利を認めるべきです。だから今からでも遅くはないです。可能な限り早く停戦すべきであり、これ以上犠牲を生まず、共存する世界を再構築しなくてはなりません。ロシアにガスを売ってもらいましょう。ユニクロもトヨタもロシアの人たちに良いものを送り届けてあげてください。どれだけ時間がかかっても、相互の尊重と信頼を取り戻し、お互いがその幸せを追求できる世界を維持しなくてはならないです。唯一、その状況において、カーボンニュートラルに向けた協力も可能になります。

今、一生懸命救出しようとしているウクライナの友人たちに対しては、こんな私の本心を伝えることが出来ません。裏切り者とののしられるかも知れません。でも、私はロシアが今やっていることを憎んだとしても、ロシア人を憎んではいません。私には、ドネツクに住む親ロシアの研究者の友人もあります。穏やかでとても優しい、心温かい彼が激しくウクライナ(政府)を糾弾する様に、何も出来ずうろたえる自分がありました。何という悲劇でしょうか。どうしてこんな憎しみが生まれて、遂に戦争となってしまったのでしょう。愚かな人間の定めなのでしょうか。神様が救ってくれるなら、祈りたい気分です。

(追加)

2014年にロシアが一方的に併合したクリミア半島のロシア軍拠点が攻撃を受けていることが大変心配です。ゼレンスキー大統領は、ウクライナ東部のみならず、クリミアを奪還すると息巻いています。先日Nスぺでやっていた「デジタル・ウクライナ」という番組が衝撃でした。人工衛星による監視の目が今や凄いことになっているんです。Space-Xのロケットで打ち上げられた民間の人工衛星の膨大な監視画像が提供されていて、ロシア軍の動きを逐一把握出来ているようです。アメリカは、ウクライナがロシア本土を攻撃しないように、長距離ロケット砲を供与しない様にしているようですが、クリミア半島や黒海艦隊は十分に射程に入るようです。それを始めてしまった。そうすると、ロシアに「ロシア本土への攻撃」とこれを見なす口実を与えてしまうことになり、いよいよ核使用への危険が高まります。ロシアはこの戦争に膨大な戦費を費やしています。中国やインドが助けているとはいえ、経済制裁の影響はロシア経済を長期的に苦しめます。さらに、この戦争で既に1万5千人以上のロシア兵(多くは辺境から前線に送られた非スラブ系の若者)が犠牲になっているようです。そうなると、戦争の長期化はやはりプーチン大統領の政権基盤を揺るがすことになります。今年70歳となり、健康不安も囁かれるプーチン大統領が、多くの国民を道ずれにしたとしても必ずこの戦争に勝利しようとするのは、当然ではないでしょうか。それも、可能な限り近い将来に。自らの権力基盤を維持するために粛清に次ぐ粛清を行ったスターリンも、文化大革命で中国の知識人を抹殺した毛沢東も、天寿を全うして死にました。「プーチン大統領は正気ではない」と論評する報道には呆れてしまいます。彼は全く正気です。冷静さを失っているようにも全く見えません。誤算はあったかもしれないけど、全ては彼のシナリオ通りであり、その行く末にどれだけの血が流れたとしても、偉大なロシアを守る偉大なリーダーとしての決意が見えます。だから、プーチンとの対話を拒み続け、ロシアを攻め続けることは世界の終りに突き進むことなのです。

2022年7月13日水曜日

男女平等日本116位!

 世界のジェンダーギャップの2022年度ランキングが発表されました。

男女平等度、日本は116位 東アジア太平洋地域でも最下位 (msn.com)

周囲を見渡しても、全く改善していないわけですから当然といえば当然ですけど、日本は調査対象146ヶ国中で116位と、何とも不名誉な、低い順位となっています。G7で最下位なだけでなくて、東アジア太平洋太平洋地域19か国の中でも最下位。韓国よりも中国よりもミャンマーよりも下です。教育と健康は男女同水準だけども女性の社会的経済的地位が圧倒的に低いことがランキングを下げています。これも以前と同じ。改善の兆しもナシ。日本よりもランキングが下の国って、あの宗教の国とかですからね。最下位の146位はアフガニスタン。あの宗教でも日本より上の国もいくつかあります。それぐらい、日本は酷いし、全く改善の傾向がない。

日本の場合はジェンダー差別が一番激しくて、それを社会全体が当然の様に受け入れてしまっているところが問題です。その他のあらゆる差別、人種、宗教、教育、貧富、年齢、身体的ハンデ、そうした全ての僅かな違いが差別の理由に使われます。多様性とかインクルーシブとか、言ってはみるものの、むしろ人は差別を求める生き物です。差別は格差を拡大させ、持続性の無い歪んた社会構造を生み出します。持続性を度外視した経済発展の結果生じているのが色々な環境問題だったりするわけで、SDGs目標の中で何が一番重要と問われれば、それは差別に関するものだと思います。もしもそれが解決できるのなら、他の全ての問題も解決する、というか、そもそも問題が生じないでしょう。

気候変動対策としてのカーボンニュートラルは、SDGsに包含される目標の一つ、みたいに言う人が多いですが、トンデモナイ。気候変動は最後に現れてくる問題であって、それを解決しようとすれば、持続可能性よりも差別と格差を求める人の行動、一番根源にある問題を正すことが大切です。SDGs目標は決して切り離すことの出来ない、全てが連動している問題であって、「つまみ食い」の様に対応してはいけないのです。YUCaNをSDGsの下部組織の様に言う人もあるのですけど、それも違う。YUCaNは目標を具体化し、SDGs達成の具体的手段を見出そうとしているんです。「問題だあ」とか言っているだけで、具体的アクションが何もない、そういうのではダメなんです。「気候変動とジェンダー平等は別問題ですからね」と言っちゃう人もあるのですけど、いえいえ!そんなことはありません!直結しています!弱者をリスペクト出来ない様な世界だからこそ、気候変動なんて見向きもされないんです。

で、「困った問題だねえ~、どういう対策が必要かなあ、私に何をして欲しいですか?」と腕組みしているオジサン方!あなたたちが問題なんですよ!どうしたら活躍する女性が増えるのか分からない?あなたたちがそこに居るからいけないんです。「私が何とかしてあげましょう」と思う必要もナシ。静かに退場することです。「そんなこと言っても、君には無理だろう」と女性や若者を見下す、権力の座に座ったオッサン達、そんなことはないんです。本当に、SDGsを理解しているならば、まず自分のその席を若い女性に譲ったらどうですか?世界を動かしているのは自分だ、とかいう驕りをまずは捨てましょう。日本のオッサンリーダーは自分の権力にしがみつく、女性や若者はオッサンリーダーに甘えてしまい、自らが矢面に立つ度胸を持たない。不寛容だから、リスクを避け、新しいことをことごとく潰そうとする日本の社会、それだからこういうニュースが何度報じられても、本気で変わろうとは思わないんですよね。日本人が大好きな「和」という言葉、でもこの意味においては大っ嫌いです。

リアクト米沢訪問

 米沢市役所の計らいで、米沢市にある「リアクト米沢」さんを見学してきました。

reactyonezawa.com

近隣で飼育される家畜(乳牛)の糞尿や、スーパーで廃棄されてしまった農作物等からバイオガスを生成し、これを用いた発電に取組んでいます。同時に生成される堆肥は地域の農作に利用されていて、ゴミを出さない循環型農業のモデル事業です。


「はまだ牧場」の乳牛さんたち

見学の最初は、「はまだ牧場」です。広い牛舎の中で、沢山の乳牛がエサを食べていました。一部土の様なモノを食べていたので、何か尋ねると、ゼオライトだそうです。お腹の調子を整えているそうで、自発的に食べるんだとか。生まれて間もない子牛も別の牛舎にいて、可愛かった。

搬出される牛糞

当然ながら、牛たちは沢山ウンチをします。それをもみ殻と混ぜて、トラックで運びだします。もみ殻も一緒に発酵されますが、混ぜるのは水分(オシッコも混ざっているので)を吸収させて、搬送途中で盛大に漏れ出さない様にするためだそうです。

リアクト米沢の施設外観

はまだ牧場から500メートルぐらい離れたところにある、リアクト米沢さんに到着しました。写真に見える様な発酵槽が2基、大きいのと小さいのがありました。

廃棄物を砕いて混ぜるミル、ミキサー

搬入口を入ると、牛のウンチだけでなくて、廃棄された野菜なども全部混ぜて粉々にするミキサーがありました。緑色っぽいのはキャベツでした。これ、写真では分かりませんけど、猛烈に臭かったです!まあ、そりゃそうですよね。

分離された固形分は堆肥として利用

ドロドロになった廃棄物は、洗濯の脱水機の様な仕掛けで固形分と消化液に分離されます。固形分は全く臭わず、これが近隣の農家のアスパラガス栽培などの肥料に用いられているそうです。

発酵槽、中央上部に見える赤いのは攪拌用モーター

消化液は地下に埋設された管を通って発酵槽に入り、嫌気性細菌によってメタンガスへと分解されます。硫化水素の生成を抑制するために多少空気を入れるそうですが、酸素があると二酸化炭素と水まで行っちゃいますから、酸素は基本的には遮断されています。温度は43℃ぐらいが良いそうです。攪拌する方が良いのか、しない方が良いのかなどは色々テストするそうです。この攪拌モーターの電力は、ここで発電された電力を使っているそうです。発酵で温度が上るわけでもないそうで、寒い時は温めるそうです(それも、施設内で生み出した電力による)。大体数週間で完全にクリーンになって、そのまま下水に流すことが出来るので、いっぱいになって止まってしまうことは無いそうです。生成したメタンは上部の半球形ドームで回収されます。

ガス分離装置

生成するガスはメタンだけではありません。余計なガスがエンジンに入るとエンジンが壊れるので、このガス分離装置で純化するそうです。

発電機のエンジン、写真に写るのは案内して下さった、株式会社ハイポテックの高橋さん、ハイポテックがこのバイオガス発電プラントの運用をしています。

そして、生産されたメタンガスは、御覧のエンジンの燃料になり、発電機を動かします。エンジンの回転軸は発電用のダイナモに直結されていて、負荷はマグネットで制御する仕組みだそうです。最大出力は470 kWとのことです。てっきりガスタービンエンジンだと思っていましたが、普通のレシプロエンジンでした。片バンク6気筒、V型の12気筒エンジンで(チェコ製だとか)、スパークプラグも見えました。効率悪そうにも思うのですけど、恐らく小型の設備についてはガスタービンよりも良いんでしょうね。燃焼すると、当然二酸化炭素が出るわけですが、元々バイオマス由来ですから、完全カーボンニュートラル、というわけです。燃料さえカーボンニュートラルならば、いままで通りエンジンを使ったら良いです!自動車だって、何も全部EVにする必要はナシ!
こんなに先進的なバイオガス発電施設が米沢にあるということが驚きでした。全国でもこういう施設はまだまだ少ないそうで、連日全国から視察があるようです。設備のほとんどは輸入部品で構成されていますが、設備の設計や施工は独自にされたそうです。こういう施設を見るのは初めてでしたので、スゴイなあ、という印象ではありましたが、ヨーロッパで大規模に取組まれている施設と比較すると、可愛いモノだそうです。実際、470 kWというのは、これだけの設備にして「まあそんなもの」という小ささです。同じ敷地に太陽電池を敷き詰めてもそれぐらい発電出来そう。
でも、そういうことじゃないんです。循環型農業、さらにはカーボンニュートラルな電力生産の取組み、素敵じゃないですか!ご案内頂いた濱田さんや高橋さんの生き生きした表情も大変印象に残りました。我々が何らかの形で、こうした取組みの進化や拡大に貢献出来たら良いなあと思います。リアクト米沢さんの場合、効率的な運用方法は独自に研究検討していて、大学等と共同しているわけではないそうです。エライ!(っていうか、役に立つことが出来ていない大学の研究者が情けない!?)
ここまでやっても、まだまだ道半ばであることの一つとしては、最初に出てきた牛さんたちが食べている穀物飼料や干し草は、やっぱり全部輸入品なんだそうです(外国の土壌、お日様で育った穀物を燃料を使って輸送している)。昔の牧畜というのは、餌も地域で生産し、家畜が育ち、廃棄物は再び土壌に戻るという完全循環でしたが、今は安い輸入穀物飼料を使う効率的な大規模生産が当然になってしまいました。国産は高い上に品質が安定しない、雨が多いせいで牧草がカビたりする、というのが国産飼料にはなかなか切り替えられない理由だそうです。しかし、稲わらの飼料など研究はされているそうですよ。出来ることなら、地域で生産された飼料で家畜が育ち、そこから食料とエネルギー両方を頂いて、再びそれが土壌に戻って飼料を育てる完全循環、その全てが太陽の光の力で回っている、という仕組みを実現したいものですね。
そしたら、国産家畜飼料の話題が先日放送されていました。
鹿児島、指宿での飼料の国産化の取組みです。天候不順による不作、ウクライナ紛争、急激な円安、コロナによる物流停滞などで、輸入穀物飼料の価格が急騰しているために、早くから取り組んできた国産飼料が十分現実的競争力を持つようになったそうです。上記のカミチクホールディングスさんがスゴイのは、餌づくりに始まって、最後に食肉が提供される外食産業まで多角的に取組んでいるところです。でも、そうした方が、入口と出口がつながって、循環する仕組みを作りやすい様にも思いますね。大変ではあるけれど、分業による効率化よりも、連携によるシステム化が今後の鍵でしょうか。これからは、コストだけではなくて、持続可能であることが優先されるべきファクターになると思います。もちろん、採算性が全くないことには取り組めないので、一歩ずつ理想形に近づいて行って、いつかは東北地域から食料とエネルギー両方を全国に供給できる様になったら良いなあと思います。









2022年7月11日月曜日

ウクライナ6

 久々に、このテーマです。最近目立った動きがあったわけではないです。むしろ、他のニュースが大変だったこと、そして開戦から4か月半が経過したことで、人々の関心が薄れかかっている様にも思え、ニュースでとり上げられる時間もめっきり減った感じさえします。

戦況としてはドンバス地方に中心が移り、同地域の支配と一方的な独立宣言へと持ち込もうとするロシアの意図が明らかです。欧米各国が軍事支援を小出しにする中で戦闘が長引き、さらに多くの人命が失われ、国土が荒廃し、終わりの見えない状況です。この先どうなるのか、を考える中で、過去の戦争がどの様に推移し、どんな結果を生んだのかに想いを馳せています。「もう見飽きた」なんてもってのほかです。太平洋戦争は1941年12月8日の真珠湾攻撃で急に始まったわけではありません。その前の何十年にも渡る大国の覇権争いの末に、日本を破滅へと導く日米開戦へと突き進んでしまったのです。世界を取り巻く不穏な空気、これを増幅させる気候変動の問題、発展と繁栄の時代の終り、閉塞感。「世界の終りの始まり」の様に思えてならず、この時代に一体何をすべきなのか、出来ることはあるのか?に対して明確な答えを見いだせない自分自身を恨めしく思います。

そんな思いを余計に募らせたのが、7月8日の安倍晋三前首相の殺害事件です。1932年の五・一五事件になぞらえている人もありました。時の首相であった犬養毅が海軍の青年将校に殺害された事件です。気に入らないことがあるのなら、気に入らないと言うことは良いです。しかし、暴力でそれを封殺することは決して認められません。90年の時を経て、こんなことが再び起こってしまうことは、やはり暗黒の時代が繰り返されようとしていることの象徴ではないでしょうか?参院選では自民が圧勝し、遂に憲法改正の発議に必要な議席を衆参両院で獲得しました。これからその議論が本格化するのかと思いますが、憲法とは政府を国民がコントロールするための国民憲章であって、政府が国民をコントロールするためのルールではありません。改正案は政府から示されることになるかと思いますが、是非自分自身の考えで、日本という国がどんな国であって欲しいのか、をよく考えて、声の大きい人、多勢の意見に押し流されることのないようにしてください。特に争点となる9条ですが、あのような徹底平和主義が条文にある国は世界中で日本ぐらいではないかと思います。「他国から押し付けられた」とかを根拠に改正を訴える人がありますが、大いなる過ちを犯し、膨大な犠牲を払って深く反省することが出来た日本だからこそ勝ち取ることの出来た、世界に誇るべき平和憲法だと私は思います。絶対守るべき。自衛隊の明記も不要。

さて、話をウクライナに戻しますが、やっぱり日本の過去と対比してしまいます。過去の日本と対比されるのは、今のロシアです。今のウクライナと対比されるのは、過去の中国です。そして過去の大戦においても、今の戦争においても、その行く末に大きく影響するのが大国アメリカです。大日本帝国の拡大の歴史は、日清戦争にまでさかのぼります。台湾の統治、日露戦争による樺太の割譲、朝鮮半島の支配、1931年の柳条湖事件(満州事変)を経ての満州国建国、日中戦争による中国への侵攻、仏印進駐と拡大し、ついに1941年の対米開戦へと向かいます。アジアの同胞を西洋列強から守り、日本を中心とする大東亜共栄圏を形成しようとする当時の日本の理屈と、ロシア民族の統一の名の下にウクライナ(や、さらにジョージアやモルドバなども)に侵攻する今のロシアと重なります。そして、当初ヨーロッパの戦争(ナチスドイツとの戦い)にも、対日戦争に対しても消極的だったアメリカを動かしたのは、前者は英国首相のチャーチル、後者は国民党を率いた蒋介石でした。蒋介石の外交戦略は誠に巧みで、勝ち目のない日本との戦いをグローバル化し、まんまとその罠にかかる様にして、絶対に勝てないアメリカに対する無謀な戦争に日本を向かわせたのです。その過程において、西洋諸国に対して妥協的な姿勢を見せる政治家が血気盛んな若い軍属に暗殺されたりした、荒っぽい時代、力で言論をねじ伏せる空気があったわけです。恐ろしいですね…。

そうすると、今のゼレンスキー大統領と蒋介石が重なって見えます。当時の中国にも、結局自分の利害しか考えてはいない米英に対し、民主主義への不信が募っていきます。それが今日まで続いているかな?確かに蒋介石の関心はあくまで中華民族の独立を守ることであり、米英を信頼していたわけではなくて、独日との講和やロシアとの同盟も模索していたみたいです。それを今に置き換えると、ゼレンスキー大統領は中国を独立へと導く蒋介石のように、クレバーに交渉出来るのかどうか、と思います。でも、当時は敵を敵と戦わせるかのように、日本を米国と戦わせることで日本を滅亡に導いたわけですけど、今日的にはロシアを米国と戦わせるわけにはいかない。ロシアが勝つことは日本と同様に無いでしょうけど、強大な核兵器を持つロシアと戦争になれば、NATOが勝利して終わり、ともいきません。だから、ゼレンスキーさんは、国際社会を巻込んでも、対ロシア戦争に駆り立てることは出来ないし、やって欲しくもないんです。だから、ロシアが疲れるまで、戦力を小出しにしながら戦争を長引かせることになるのでしょうけど、紛争地域にいる人たちが可哀そうでならない。全くもって、列強の覇権争いの犠牲者です。当時の大日本帝国の様にロシアを追い込めば、最後の手段としての対米開戦もあり得なくはないです。そうすれば世界は終わります。そして、戦争が長引き、米英やEUがさっさと自分たちを救済してくれないことに対して、ウクライナ国民の中にも失望感が生まれるのではないかと思います。民族的なつながりが濃くても、侵略戦争の記憶から中国の人々が決して日本、日本人を信頼できないと感じるように、ウクライナの人々も、こうなってはロシアを同じスラブ民族の仲間として受け入れることは極めて困難でしょう。でも、一方で西ヨーロッパや北米も、自分たちの仲間ではない、という孤立感に追い込まれそうです。人種とか宗教とかいうものを越えて、同胞愛を発揮し、信頼し合える関係を築くことはそれほどにも難しいことなのでしょうか。

と、考えていくと、80年前の世界に対してテクノロジーは確実に、大きく進歩していて、戦争の手段はこの上なく強力になり、極めて短い時間に世界を焼き尽くす力があるのですけど、一方で人はちっとも進歩していないというか、相変わらず力で相手をねじ伏せる帝国主義的な戦いの構図、異なるモノへの不信、根底にある人の心が透けて見えます。だから、今事態は一触即発の危険な状態にあり、早くこの危険な状態を脱さなくてはならないのに、その打開策が見えない苦しい状況に陥っていると感じます。

皆さんはどう思いますか?この戦争の行く末に、勝者も敗者もいないことは明らかではありませんか?それどころか、世界は気候変動との戦いに一致協力しなくてはならない時です。人類社会がその終わりに向けて、その暴走を止めようとはせず、さらにその時が来るのを早めようとしているかのごとくです。私たちは、過去の過ちから学ばなくてはなりません。場当たり的な解決策であれば、過去も、どの地域でも、誰かがそれに一生懸命取り組んで、大きな犠牲を払ってでも過渡的な平和と安定を守ってきたのです。でも、そうした場当たり的対応も、既に効果を失いつつあるし、過去の繁栄を再び、というのはとてもありそうにないと感じます。

2022年7月4日月曜日

大混乱時代に突入

 コロナウイルス感染症によって疲弊した世界は、戦争によってさらにその分断が進み、モノの動きが止まって経済が混乱する中、これに追い打ちをかけるようにして気候変動の影響が顕在化している様に思います。世界はいよいよ大混乱時代に突入し、蓄積する不満が新たな紛争に対して引き金を引かせるのではないかと心配です。「終わりの始まり」の様に思えてなりません。果たして人類はここで立ち止まって考え、持続可能な新たな生き方に対して協力協調して、この難局を切り抜けることが出来るほどの英知を持った生き物なのでしょうか?

基本的人権や自由、個人の尊重と民主的な社会システムは、人が人らしく生きるための基本であるとは思いますが、動物的に生き延びること、生命が守られることが大前提として優先される基盤であることは明らかです。イデオロギー、思想など、それらに比べれば取るに足らない?

象徴的なニュースの一つはこれです。今年11月に行われる米議会中間選挙を睨んでのことでしょうか、中国に対する敵対的関税の見直しをバイデン政権が検討しています。

アメリカで対中関税の見直し論が浮上 なぜ?今後の行方は? (nhk.or.jp)

そもそも、トランプ前政権時代に米国の製造業を守ることを理由に始まった対中製品への高い関税ですが、今ロシアのウクライナへの軍事侵攻に対する経済制裁のために、世界的な物価高が進み、消費者に不満が蓄積しています。その緩和策として、対中制裁を弱めようということです。それって、全然おかしくないでしょうか?結局理屈も思想もポリシーも関係なくて、負の影響があれば場当たり的にそうした制裁を撤廃する。だったら初めからやらなければいい。そしてそんな不平不満を言っているのは、結局200円のサラダ油が400円になっても、買うことの出来る豊かな日本の消費者ですよ。もっと酷い目に遭っているのは、穀物が止まって餓死している貧困国の人たちです。その人たちにはイデオロギーなんて余計関係ない。選挙で負けることを恐れて簡単に捻じ曲げるぐらいなら、最初からそんな敵対的な関税をかけたりするなと言いたい。「それはトランプがやったこと」は言い訳です。間違っていると思うならば、交代直後に撤廃すべきでした。明らかに、バイデンも中国に敵対的です。そして、ロシアに対しても。ロシアについては、何しろ人殺しが進行中ですから、痛みが伴ってもロシアに対する敵対的な行動、軍事的手段による現状変更の試みに対して反対する姿勢を鮮明にすることは重要でしょう(でないと、抑止力が全く働かない)。しかし、それがこういう経済的混乱を生むことは、当然分かっていたはずですし、今こうなったからと言ってそれに耐えられないと泣き言は言えないはずです。この苦しみもまた、ロシアや中国が悪いからだ、と思う人が多いでしょうが、それは違うと思います。そもそも、ロシアの軍事行動を許してしまった国際社会全体に責任があります。邪悪な集団だからやったと言うのは簡単ですが、邪悪な集団(例えばテロリスト)を生んだのは、自分自身がそれらの人を抑圧したとは全く思っていない、しかし貧困国から搾取しまくって豊かさを享受してきた銃後にいる我々(一般的な日本国民やアメリカ国民)です。好きか嫌いか、考え方が合うか合わないかではなくて、相手にもその幸せを追求する生活があるのです。それを尊重出来ない限り、こうした対立とそれに伴う混乱、最悪事態としての戦争も無くなりはしないでしょう。結局、多様性を受け入れる寛容さが無いのです。強者が決めるルールに弱者を従わせることを多数決、民主と思っている限り、本当の民主主義は成立しないです。

そしてもう一つの気候変動。この前の冬、米沢はすさまじい豪雪でしたが、打って変わって暑いです。でもまあ、米沢なんて可愛いほうです。今年は、6月から40℃越えを記録するなど、異常な暑さが続いていますね。長期予想では、7月も日本全国で平年より気温が高い状態が続くそうです。この猛暑は日本に限ったことではなくて、ヨーロッパ西部、南部やインド、パキスタンも記録的な暑さのようです。

【気候変動による世界の被害】各地で異例の猛暑 ヨーロッパやインドは40℃超え - Yahoo! JAPAN

一方、反対側のオーストラリアでは豪雨による水害、アメリカでは乾燥による大規模な山火事と、とにかく気候が極端になっている感じですね。YUCaNのご意見番をお願いしている、JAMSTECの山形俊男先生と先日メールをやり取りさせて頂いた時に、この異常気象についての説明を頂きました。関連する部分を抜粋して紹介させて頂きます(専門用語が私には分からず・・・ですけど)。

(山形俊男先生より)

今年はインド洋に負のダイポールモード現象が発生し、インドモンスーンが活発です。これにひかれて消滅に向かっているラニーニャ現象がだらだら生き延びています。活発なモンスーンはロスビー長波を励起してそれが西進し、ヨーロッパ南部で下降気流を生み、猛暑をもたらすのですが(モンスーンー砂漠機構と言います)、それが北ヨーロッパの冷気と混ざって大気擾乱を生み、その擾乱が偏西風という導波管を伝わって東に戻ってきます。この擾乱はストークスドリフトで空気塊を東に運び、導波管が弱まるユーラシア大陸東部(日本の西日本あたり)にその空気塊を蓄積して、対流圏全体に及ぶ背の高い高気圧を形成します。今年はこの高気圧が形成されているようです。昔の予報官は経験的に<クジラの尾>といわれるパターンとしてこれを知っていました。

てことで、全体の平均が暑くなるのは気候変化(地球温暖化)だけど、気候が激しく揺れ動くのは気候変動で、その変動ぶりが温暖化によって激しくなっているようです。電気の正負のごとく、大気(海洋も)の熱冷のダイポールが発生し、その熱いところに位置する地域は極端な高温にさらされるわけですね。一方巨大低気圧なども発生して、別の地域では洪水を発生させると。地球規模の気候の仕組み、複雑な相関は我々素人にはとても理解出来ませんけど、なんとなくイメージは出来ます。この気候の激しい乱れもまた、我々が引き起こした問題なのでしょう。

地域によっては梅雨が2週間で終わってしまうなど、今年は酷い洪水が発生しなかった一方で、降水量が足らない地域が多かったのではないかと心配です。このまま猛暑が続くと、全国的な水不足に陥るのではないでしょうか。東北地域は、冬の間に降った雪がまだまだあって、それが水源となるために滅多なことでは渇水になりません。それでも、普段当たり前に起こっていることが絶妙なバランスを保っていて、水や食料が得られているわけで、このバランスが崩れると一気にパニック状態に陥るかも知れません。つくづく、普通を維持することが容易ではないことを思い知らされます。

地球が緊急事態に陥っているなかでも、覇権争いをやめることが出来ず、自らの生活を破壊し、更なる負荷を自然に対して与えることをやめない人類。世界の全ての人たちが、生き方を変えて、持続可能であることを最優先とすることは、果たして可能なのでしょうか?世界が狭くなり、食料が水が足らなくなれば、相手を殺して自分だけが生き残ろうとする、それが自然ですかね?でも、恐らく最後は全部が絶滅することになります。いや、核戦争が起こったとしても、ちょっとぐらいは生き残るかな?多分地球に10億人ぐらいならば、持続することはそんなに困難ではないでしょうね。

還暦

 私、1966年生まれ、丙午(ひのえうま)です。2026年になりましたので、還暦を迎えました。すなわち、今1歳です。あと何年生きられるでしょうか?ひとまず、60年で色々経験させてもらい、色々なことを学び、考え、行動することが出来るようになりました。出来ることが増えた一方で出来なく...