このブログについて

国立大学法人山形大学工学部教授の吉田司のブログです。2050年までのカーボンニュートラル社会実現に向けて、色々な情報や個人的思いを発信します。発言に責任を持つためにも、立場と名前は公開しますが、山形大学の意見を代弁するものではありません。一市民、一日本国民、一地球人として自由な発言をするためにも、所在は完全に学外です。山形大学はこのブログの内容について一切その責任を負いません。

2022年12月21日水曜日

ドミトリー・トレーニン氏

 前回の話の続きですが、ロシアの政治学者、ドミトリー・トレーニン氏のインタビューを是非ご覧ください。

ロシア「敗北すればすべてが失われる」プーチン政権の賭け | NHK

まさに、これなんです。トレーニン氏のいう様に、ロシアがこの戦争に負ければロシアという国家の存亡さえ危うくなるのです。ロシアと西側諸国の関係は既に壊れていて、戦争の前に戻ることはない、という言葉が大変怖いです。でも、恐らくその通りです。親ロシア的なウクライナに戻ることも決してないでしょう。「プーチン大統領はウクライナから反ロシア的なものを排除したい」とトレーニン氏は言いますが、それが実現されることがあるのなら、オレグさんは故郷を失うことになります。世界は深刻な分断を許してしまいました。トレーニン氏は停戦交渉も現実的ではない、と断言します。どちらかが敗北を認めるまで戦争が続くとしたら、恐らく米国を中心とするNATOが敗北することはあり得ませんから、ロシアが壊滅することになります。でも、それは先に書いたとおり、核武装した恐ろしく巨大なテロ組織を生み出すことになるのです。だとすれば、たとえ双方が戦術核の使用に踏み切ることなくこの戦争が終わったとしても、早晩核を使った大量殺戮が行われることになります。もはや、カーボンニュートラルとか、持続可能性とかに取組むことも出来なくなります。

今日、ウクライナのゼレンスキー大統領は開戦後初めて渡米し、バイデン大統領と対談するそうです。一層の武器供与を求めてのことです。戦場で死ぬのはウクライナの兵士ですが、既に米ロの戦争となっていることは明らかです。バイデン大統領にこの戦争を終わらせる意志は無いのでしょうか。ロシアが停戦するためには、西側諸国が相応にロシアの要望を受け入れることが前提となります。EUにも北米にも、そして日本にもそれを受入れる様な考えは全く無さそうです。

私は太平洋戦争終結からおよそ20年後に生まれました。高度成長期を経てどんどん豊かになっていく日本の中で大人になり、バブル崩壊を経験して、行き詰まる日本も見てきましたが、ここまで世界が悪い状況になることには初めて直面しています。歴史の記録でしか知らないことではありますが、あれ程の犠牲を払った大戦争からまだ100年も経たないのに、世界はこの様な深刻な対立を迎え、もはや戦争を平和的に終結する方法は失われたかの様に思えます。こんなふうに、世界が終わりを迎えるとは思ってもみませんでした。若い人たち、我が子、そしてまだ生まれたばかりの命に対しても、こんな愚かな大人たちが世界を悪くしてしまったことを、どう償って良いのか全く分かりません。

このトレーニン氏の言うことも、やはり誤りだと信じたいです。どうにかして、この戦争を終わらせる方法はあると信じたいです。

2022年12月18日日曜日

ウクライナ9

 前の話と一緒に書こうかと思ったんですが、ウクライナのことなので、こっちのシリーズに書きます。でも、関連します。

ウクライナのオレグさんが日本に来て2週間が経ちました。少しずつ日本の生活にも慣れて、物静かな彼が見せてくれる笑顔に嬉しくなります。自分の半径5メートルぐらいしか見えていない人には、戦争がもたらす悲劇、恐ろしさ、苦しさは全く想像出来ないだろうと思います。その世界を生き延び、手で触れることの出来る距離にまで彼が来てくれたこと、その力になることが出来たことは、56年の今までの人生で一番誇れることの一つです。

彼とは、この間にも戦争のこと、ウクライナだけでなく、ロシアの人々や他の地域も含めて、罪の無い普通の人々がどうしたら苦しめられずに済むのかということについて、色々と話をしています。例えば今日、日帰り温泉に一緒に行って、くつろいだ中で話しました。ウクライナには多くの友人がいますが、私はまだ見ぬロシアの友人のことも心配なのです。いや、いたな。ずっと前、確か1996年にインドで太陽光エネルギーの国際会議で仲良くなった、ロシア人のオッサンがいました。リャブチュクさんという人です。一緒にタバコ吸ってて、タバコの時間の度に一緒にしゃべって、歳は凄く違うのに、やたら仲良くなって、学会会場でも会うたびに"Hi, Hello!"って、挨拶してたっけ。生きてるかなあ、リャブチュクさん。そう、国の制度が何だろうと、どんな神様を信じていようと、肌や目の色が何色だろうと、何をいつも食べていようと、友達になれるんです。要するに、人は人。ほとんど違いが無い。よく知ったかぶりして「○○人は、大体△△」とか違いを強調したがる人がいますが、私の知る限り、違いよりも共通することの方がずっと、ずっと多いです。この戦争の行く末に、ロシア人はどうなるのか、ロシアという国はどうなるのか、ということへの心配です。想像してみてください。ウクライナの人々にとっては、今起こっていることは到底受け入れ難いことであり、ロシアという国、そしてロシア人を憎むなということはとても難しいです。それでも、オレグさんは私の言うことに耳を傾け、否定するでもなく、むしろ私の恐れに共感してくれました。何と素晴らしい友人を持ったことでしょう。自分を高め、育ててくれる友人を持つことは幸運なことです。

私が話していたことは「ロシアはこの戦争に負けることは出来ない。負けはロシアという国家の崩壊を意味する。ロシアの崩壊はテロリストを大量生産することになる。」ということです。ロシアの敗戦はプーチンの失脚では済みません。もしこの戦争に負ければ、ロシアを構成する様々な民族、地域はもうモスクワの言うことを聞かなくなります。戦争の責任を問われても、モスクワはそれを合理化することが出来ないでしょう。すなわちそれはロシアの崩壊、分断を招きます。経済的に疲弊した、弱小な地域をマフィア的なリーダーが統治する無法地帯が多数生じます。大変都合が悪いのが、それら弱小且つ不安定な地域が核兵器を保有するということです。すなわち、タリバンが統治するアフガニスタンの様な地域が10個ぐらい生産されて、それが核を持つということです。その管理や適正な運用が出来るはずもありません。悲劇的な頭脳にすさまじい筋力の恐ろしいテロリスト集団を生み出します。なので、ロシアを敗戦に追い込んではいけないのです、絶対に。

アメリカやEUは何を考えているのでしょうか?ロシアが「負けました、降参です」と言う日を迎えるまで戦争を激化させるつもりでしょうか?降参にまで追い込めば、それはプーチンの失脚ではなくて、上記のロシア崩壊を招くのです。ロシアの国体を守らねばなりません。ロシアの人々が、ロシア人としての尊厳を守れる様にして、この戦争を終わらせなくてはならないんです。当然ながら、プーチンはこの戦争を早く終わらせたいと思っているのです。どの様にすれば、戦争を終わらせることが出来るのか、についてバイデン米国大統領とプーチンがその合意点を見出す以外に方法はありません。この状況において、プーチンがその権力の座に留まることに固執するなら、ロシアという国家を道ずれにして崩壊させることになります。すなわち、プーチンの亡命と保護を条件として、民主的プロセスによるロシアの再生を約束する以外にないのです。ウクライナの損失も、ロシアの損失も、この戦争を許してしまった国際社会が総力で償う以外方法は無いです。プーチンは消えても良いけど(殺しちゃダメ)ロシアという国は絶対に守らなくてはなりません。この終戦プロセスについて、アメリカが口出ししないことも大切です。ロシアの未来を選ぶのはロシア人であるべきです。ロシアの弱体化は避けられないでしょう。ロシアの人々はそれを受入れなくてはなりません。しかし、経済や軍事などよりも、長い歴史に裏付けられたロシア人としてのアイデンティティーは決して失ってはなりませんし、私たちはそれをリスペクトしなくてはならないのです。

10年以上続いたアフガン戦争を終わらせたゴルバチョフ氏は、ソビエト連邦を崩壊させました。その時は、まだ崩壊しても大丈夫なソ連だったのです。でも、今度はロシアの崩壊になってしまいます。それはあってはなりません。欧米が、これまでに行ってきたロシアへの敵対政策の過ちを認め、この戦争を明確には非難していない多数の国家に対しても、それらをリスペクトすることが出来るなら、この戦争を終わらせる方法を共に考えることが出来るハズです。今はまだそれが全く見えないのですが、世界の賢人たちに気付きと想像力があれば、きっとその道が見えてくると思います。

2022年12月17日土曜日

ついに日本は戦争をする国に

 ああ、何と嘆かわしい。政府はついに増税をしてまで軍備を増強し、来たる戦争に備えることを決めました。誰か止めてくれ!一体誰のため?国民のためと政府は言うが、皆さんは他国を攻撃出来る程の強力なミサイルを日本が持てば安心して眠れるようになりますか?私は逆に不安になります。とうとう、日本も戦争をする「普通の国」になってしまいました。

首相のスピーチが酷かった。隣国の脅威をひたすら繰り返し、国民を不安に陥れて洗脳し、軍事大国になることを正当化しようとしている。外務大臣経験が長く、広島出身でもある岸田首相には、本気で核の無い世界の実現に取組むことに少しだけ期待していましたが、全く期待外れです。G7で核の縮小を訴えるとか言っていますけど、「言ったよ」で終わるのが明白です。本気じゃない。

NATO入りの条件であるGDP比2%の軍事費となると、日本は米国、中国に次ぐ世界三位の軍事大国になります。今の九位から大躍進!憲法九条で不戦を誓っているこの国がですよ!一体誰が喜ぶのでしょう。それは、ゆ、ゆ、USA!そうですね、我々は敗戦国ですから。アメリカさんの言いなりになるしかないんです。本当、何とでも言え!です。それ程の強大な軍事力を持つことが憲法九条と両立するのなら、憲法改正など全く不要。解釈の範囲にも程がある。明らかな憲法違反であり、我が国に軍備は不要です。永遠の不戦を誓った誇らしい日本。過去の過ちからちゃんと学ぶことが出来た素晴らしい日本人。それは遂に過去のものになるのですね。80年前の悲劇は完全に忘れ去られ、我が同胞が同じ過ちを繰り返そうとしている。嘆かわしく、そして恐ろしいです。我が子を守ってやれなかったことが悔やまれます。自分の力は小さすぎる。

全く持って、やはり想像力が欠けているのです。視野が狭いです。皆さんも、本気で隣国がクレージーだと思いますか?北朝鮮は「ならず者国家」ですか?プーチンも習近平もキチガイですか?そんなわけないでしょ!全くあなたと同じです!そして、相手がクレージーだから、いつ我が民が犠牲になるかも知れないので、怖くて日本を攻撃するなんてことを一切考えられない様にするために、強力な反撃能力を持つべきだ、と言っているわけですけど、それは本当か?ここで必要なのが想像力です。そう言われた相手がどう思うのか。日本は対話に応じる気はなく、我々を敵視している、とより強く思うだけです。すなわち、日本国民はより危険な状態に陥ります。確かに、相手にも想像力が欠けています。我々を敵視して、東京を一瞬で焼け野原にすることが出来る能力を準備するからこういうことになるんです。その行く末に決して両国民の幸せは無いのだ、ということに対する想像が出来ていません。岸田さん、相手が日本を攻撃するのは怖い、と思うのは北京やモスクワや平壌を一瞬で焼け野原にすることが出来る核ICBMを日本が持つことですよ!敵基地攻撃能力ではダメです。軍人は戦争の時には死ぬのが仕事です。他国と同じ、筋肉マッチョなローレベルな恫喝外交をするつもりなら、核ミサイルを開発しなさい。今やっていることは全て間違いです。恫喝に効くのは核だけです。北朝鮮を見習いなさい。それしかすることが出来ないぐらい、世界から無視され、痛めつけられているから、核を開発するんですよ、あの国は。タリバンだって核が欲しいに決まってる。リーダーは、最大限国民の幸せを守ろうとしているんです。それが民主主義でも、専制主義でも。あなたがその程度のことしか出来ないのなら、金正恩氏を見習いな。

今回は言わせてもらいます。私はもっとバカかも知れないけど、世界の政治のリーダー達はバカばっかりです。きっとちゃんと勉強してきた人たちなはずだから、過去を知らないはずはないですよね?だから、欠けているのは想像力です。あなた達のしていることの未来に、国民の幸せはないと、想像できないのですか?勉強出来ても、頭悪いのね。

2022年12月3日土曜日

オレグさん来日

 

この日が来るのをどれ程心待ちにしていたことでしょう。友人であり、共同研究者のオレグ・ディミトリエフさん(ウクライナ国立学士院半導体物理研究所)が12月1日ついに来日しました。写真は成田空港で出迎えた直後のものです。会う時まではどこか半信半疑だったのですけど、彼の姿を見て熱いものがこみ上げてきて、思わず泣いてしまいました。嬉しかった、ただただ嬉しかったです。彼の笑顔を見て。

ウクライナの人たちとの共同研究は、学振の二国間交流事業で2018年から本格始動し、途中コロナのための延期もあって2022年3月末まで継続されました。その後の研究継続発展のために、学振の研究者長期招へい事業に応募採択され、今年6月1日から山形大学で研究を開始する予定になっていたのです。今年1月にオンラインで先方グループとミーティングをしていた時に「なんか、ロシア軍が国境に結集しているみたいだけど、大丈夫?」「いや、単なる脅しでしょう」なんて言っていたところに2月24日、本当に軍事侵攻が始まり、無期延期となってしまいました。戒厳令が敷かれ、18歳から60歳までの男子は出国禁止、日本大使館も業務停止、ですから。

その後、早期に停戦されること、彼が来日出来ることを祈りつつ、YUCaN学生部会によるウクライナの研究者と学生とのオンラインセミナーなども行いました。山形県、米沢市、山形大学に協力をお願いするも、役所らしい杓子定規な断りに直面し、憤懣やるかたない思いでした。システムとしてはダメ、でも個人では違うんですよね。特に山形大学の若手の事務職員のT氏は、学振とのやり取りなど、通常業務で多忙を極める中で迅速に対応して頂いて、本当に嬉しかったです。もちろん、県も市も、担当者としては○○の事情はあっても、個人としてはこの状況に対して熱い支援を頂きました。本当に、皆さんの支援無くしてオレグさんの来日は実現出来なかったと思います。ありがとうございます。ありがとうございます。日本の仲間に訴えたい。これは、絶対に正しいことですよ。傍観者になってはいけない。ウクライナ人だけではありません。ロシア人も。無意味な死を遂げる人がもう生じないように、私たちに何が出来るのか、何でも良いです。どうか忘れないでください。あなたがそうであるように、彼らも、彼女らも、同じように平和と幸せを求めているんです。理屈じゃないです、心で仕事しましょう。信念で仕事しましょう。平和が続くことの尊さ、子供たちが幸せであることの大切さを決して忘れないように。

まだインターネットも使えない、キッチンも使えないので、今週末はずっと彼と一緒にいます。日本に早く慣れてもらって、良い研究が出来る様に環境を整えていきたいと思います。とにかく、一刻も早く皆さんにオレグさんの存在を知って欲しく、彼が山形の地にやってきたことを知って欲しく、速報としてこのブログでも紹介させてもらいました。でも、それでは届かないので、NHKにレポートをお願いしました。フライングで情報を敢えてリークする私に「大丈夫ですかあ?」と気遣ってくれて、Nさんありがとうございます。

ウクライナ人研究者 山形大受け入れ 光エネルギーの共同研究|NHK 山形県のニュース

是非オレグさんに、そしてこれからやってくるウクライナの人たちに、温かい支援をお願いします。そして、このバカげた戦争を一刻も早く終わらせる様に、政府に働きかけましょう。私たちのお金を使ってアマゾンで防衛ミサイルを物色する馬鹿なことはすぐやめて、モスクワに行くべきです。北京にも行ってください。それが出来ないリーダーなど、リーダーと思えません。アントニオ猪木さんが生きていたら、きっと行ってくれたでしょう。「元気ですかー!ダァー!」

多くのウクライナの友人は、まだウクライナにいます。幾人かは国外に脱出したようです。これからも、全力で取り組みます。皆さんの応援が力になります。一人でも多くの人たちが戦火を逃れることが出来ますように。


2022年11月18日金曜日

想像力と気づき

 またすっかり間が空いてしまいました。この間何もしていなかったわけではなくて、大忙しでした。近く、良いニュースもお知らせ出来ると思っていますが、ここ最近も、全く良いことが無いですね、という状況。ウクライナの戦争は全く終わりが見えず(ポーランドへのミサイルの件は本当にドキッとしました)、北朝鮮はバンバンミサイルを撃ち(予想通り)、COP27では全く進展が無く(予想通り)、南部ヨーロッパや北部アフリカの大干ばつ、水不足、食料不足、気候難民。苦し紛れの石炭回帰。身から出た錆、先進諸国は物価高騰には我慢我慢。

そんな中でも、せっせと研究計画を立てたり、あちこちで講演活動をしたり、ヨーロッパ(ポーランド、ドイツ)にも行き(久々の国際会議などなど)、新しいネットワークも構築し、最近はちょっと自分のキャパシティーオーバーに陥っていました。自分が下手くそ過ぎるのか、つくづく日本人を理解出来ていないからなのか、自らの想いと周囲の意識とのズレを痛感しています。それに腹を立てているというよりは、無力感というか、自分自身が迷惑な存在にさえ思えてきて、何もかも放り出したくなることもしばしばです。余計なお世話?かなり、末期的。

私という人は、きっと周囲からは自信満々で主張が強く、暴力的でさえあると思われているのではないかと感じますが(そう片付けるのが簡単だから、そうやって非難する人が少なくない)、どっこいとてもセンシティブです。最近は色んな事が頭から離れず、グルグルと考え続けて眠れなくなることが多いです。強い酒の力を借りて、強制的にぶっ倒れる様に眠りにつく。本当に末期的。自分は弱いし、自信なんてない。ただ、それでも自分を信頼しています。そして変化は起こると信じています。細やかさや器用さは、相変わらず無いかな。自分よりももっと弱い人を分かってあげるキャパシティーが足らない?一方でバイタリティーと粗暴であることを混同している様な人もいますよね。自分はそうじゃないから、ついに心がもたなくなっている。でも、どうあっても、放っておけないんだな。そういう性格なんです。傍迷惑かも知れないけど、自分の正義感が、ノーサンキューかも知れないけど、自分の人類愛が、常に自分に「行動を起こせ」「くじけるな」と語り続けます。自己分析なんて出来ないから、もういいです。自分がよっぽど丈夫なら、まだまだ行けるでしょう。あるいは、このまま弱って老いぼれていく。でも心は変わらないです、昔も、今も、これからも。

さて表題の「想像力」と「気づき」。これは最近口癖の様に言い続けていることです。学びは常に大切ですが、経験や学ぶ機会を通じて自分自身に変化を起こせるかどうかには、想像力と気づきが大切だと思うのです。今の行動、努力というのは未来のためですが、未来は見えません。だから経験したり、(自分にとって)新しく知ったことは、全て過去のことです。それで、次の一歩をどう踏み出すべきなのかを考える時、その拠り所となるのは「想像」です。ただ、それは根拠の無いファンタジーではありません。時にファンタジーも(特に芸術的創造活動では)大切だと思いますが、この想像は、過去の経験や学びから得た知識から論理的に導かれる未来を予想する力です。例えば気候変動がどうして起こったのかを正視し、科学的根拠を持って未来を想像すれば、この先どれ程酷いことになってしまうだろうかと想像することは出来るはずです。一方の気づきは、社会や他者に対する場合もありますが、自分自身に見えていなかった自分にも気づくことです。人は過去を簡単に葬り去ります。というか、自分にとって都合の良いことだけを記憶します。気づきの無さは、想像力を弱くもします。どうして世界はこうなのか、どうして自分はこうなのか、そして未来を想像し、何を成すべきなのかを導けば、それが自分自身を変えようとする力になります。その生き方は、かなりしんどいので、本当に気づいていないのか、気づいてもやりたくないのか、とにかく変わらない。変わりたくない。(やっぱり、文句言ってますよね、だから嫌な奴だと思われる)

例えば、この前お風呂に入っていて思ったのです。自分は毎日風呂に入れることを当たり前の様に生きていることに気付きました。高温多湿な気候の日本に住む日本人の多くには入浴の習慣があります。気候の影響もあるでしょうけど、経済的な事情もあって、風呂なんて1週間に1度入ればいい、あるいは行水だけでお湯なんて使わない、という生活をしている人って、きっと世界には沢山いるんでしょうね(そっちの方が多い?)。言うまでもなく、お湯を作るのには沢山のエネルギーが必要になります。いつも清潔で、石鹸の良い匂いがしている国民って、それだけでも凄く贅沢。映画MAD MAXで、石鹸に驚嘆するシーンが出てくる。何も無い世界だったら、そうなりますよ。でもお風呂に入るのは当たり前過ぎて、それがどれ程エネルギーを大量に消費する生き方なのかを想像したり、自分はそういう贅沢をしている一員であるということに気付いたりすることは容易ではないと思いました。あ、だからってこれからは風呂は一週間に1度にしようとか思っているわけではないですし、臭くなるわけでも無いですよ(加齢臭は別)。清潔で健康的な生活のためのテクノロジー、文化としてのお風呂を生み出したことに誤りがあるわけではないです。もちろん、今より電気が10倍高くなったりしたら、きっとお風呂を使わなくなり、臭くなります。

過日、洋上風力発電に対して「私たちは未来の世代のためにこの景観を守ろうと!」とスゴイ剣幕で反対されるご高齢の方々に「いや、それなら子供たちには電気は要らないんですか?原発作る方が良いんですか?」と言うと、さらにヒートアップして「そんな極論を!」と来たのですが、いやいや、全然極論ではないです。自分たちは、電気を散々使う生活を当たり前に享受してきたのですけど、そのことに対する感謝も無ければ、罪悪感も無いのです。もちろんやめるつもりも無い。学びが無いし、想像力も無いし、気づいてもいない。どうしてこうなったのか、都合の良い記憶ではなくて、それを正視出来たなら、そして子供たちの未来がどうなるのかに想像力を働かせられたら、「私たちは変わりたくないんですよ!」と主張することは出来なくなるはずです。しかし、どんな語り掛けをしても、これは無理だ、と率直に感じました。世代間のギャップの大きさに驚きました。心配だったので、私の学生や高校生に聞いたら、ほぼ全員「再エネ増やして欲しい」「原発はまっぴら御免」です。学んでるし、想像出来てるし、気づいてもいる。

「老いては子に従え」とはよく言ったものです。私ももうすぐお払い箱になります。だから、次を担う世代には、良く学び、想像力に磨きをかけ、人とは何か、自分はどうか、と問いかけ、根源にある問題に気づいて欲しいのです。無力感なんて言わないで。自分たちは変われる、自分たちは変えられると信じて欲しい。努力し、信頼できる自分に成長していって欲しい。それだけが希望です。あなたたちにしか出来ないんです。全力で応援しますよ。

2022年10月12日水曜日

ウクライナ8

 またしても、長らく中断してしまいましたが、再びウクライナの問題です。ロシアによる軍事侵攻が始まってもうすぐ8か月となりますが、事態は改善するどころか、一層深刻になり、終わりが全く見えない上に、凄惨な結末を生むことを本気で心配しなくてはならない状況です。恐れていたことが、次々に現実に起こっています。どうにかして、この状況を止めて欲しい。しかし、その力を誰も持っていない様に思われます。

こうしている間にも、学振に招へいされているOleg Dimitrievさんは、第三国を経由して綱渡り的に来日することを目指し、その準備を着々と進めています。また、山形大学が立ち上げたSTEP-YUプログラムによっても、数名のウクライナ人学生を救済するために、関係者が頑張っています。一人でも多くの人たちの命を救い、ウクライナの再建を果たすために、国際社会は一致協力すべきです。

しかし、その「国際社会」が何を意味するのか、それが一種類ではないことは繰り返し訴えてきた通りです。プーチン大統領を悪だ、狂気の殺人者だと言う人たちがいても、プーチン大統領や少なからぬロシア国民にとっては正義の戦いであって、絶対に負けることの出来ない戦争です。ロシアが袋叩きに遭う中で、中国やインドは微妙な距離感を保っているとはいえ、ロシアを世界地図から消してしまいたいと躍起になる西側諸国が正しいわけでもありません。ロシアの軍事行動を非難する国連決議に反対したり、棄権したりする国が多数あることを忘れてはなりません。世界はその多様性を基礎とすべきであり、善と悪の二極ではないのです。

クリミア大橋の爆破をきっかけに、大規模な報復攻撃がウクライナ全土に広がり、キーウ周辺にいる私の友人たちにも危険が迫っています。ロシアは徴兵に踏み切り、ベラルーシが参戦を表明し、この混乱に乗じて北朝鮮が頻繁な弾道ミサイル発射と核実験による挑発行動を活発化して、世界のルールを無視した核保有国としての既成事実化、力によって相手を恫喝し、交渉のテーブルにつかせようとする動きが露わになっています。これを単に邪悪な心がもたらす行動と思うなら、その世界観は歪んでいます。相手の立場になって考え、そして人の行動心理を素直に受け入れたなら、これらの国々がとる行動は、全くもって合理的です。中国やインドもしかりです。決して米国、EU、日本に同調はしないでしょう。これら全ての国々がしようとしていることも、やはり力によって相手をねじ伏せようとしているだけなのです。力とは軍事力だけではありません。自らだけが正義の旗手であるかの様に振舞うのは明らかに間違っています。

相手が小国であれば、力でねじ伏せることも出来るのかも知れません。しかし、今は大日本帝国が滅亡した80年前とは違うのです。二発の原発と首都東京が焼野原になり、沖縄が占領されてやっと、日本とその人民の存亡が危機に瀕していることを認め、やっと日本は降伏しました。しかし、ロシアは6000発もの核弾頭を保有し、中国も巨大な核保有軍事強国であり、北朝鮮もあっという間に強大な核軍事力を手に入れたのです。台北が、東京が、ソウルが焼野原になってでも相手を屈服させれば正義の戦いに勝利したというのでしょうか?もちろん、その時はモスクワも北京も焦土と化します。ニューヨークも、ロンドンも、ベルリンも、パリも。すなわち、世界が終わるまで、この戦争を続けるのでしょうか?

今の各国政府、対話を拒み続けるリーダーたちの下ではこの戦争を止めることは出来ません。一方で国連は完全な機能不全に陥っています。大切なのは、世界の人々の想像力です。これをこのまま放置すれば、どういう結末に向かうのか、想像力を働かせなくてはなりません。そうすれば、どの様な妥協をしてでも共存への道を模索しなくてはならないことが分かるはずです。責任ある各国のリーダーは自らの思い込みを一旦脇に置いて、イマジネーションを働かせて、事態の緊急性に向き合い、対話による解決へのリーダーシップを発揮すべきです。

2022年8月24日水曜日

ウクライナ7

 ついに半年が過ぎました。しかし、過去の紛争の例を考えると、半年などまだ序の口だと思います。戦争が終わって平和が取り戻されることを願うばかりですが、この状況が続くことを心配するのでは楽観が過ぎると思います。同じ状況が続くのならばまだ良いほうであって、心配すべきは世界の分断が進み、世界が闇に包まれ、かけがえのない幸せの基盤が崩壊し、人類がその繁栄を終えることです。それぐらい心配しても、し過ぎではありません。目の前の問題など取るに足らず、今後数十年、数百年の幸せを心配すべき状況です。何しろ、今回の対立は世界の二大軍事大国である米ロです。経済制裁など効くわけもありません。中国やインドが稼いだ外貨でロシアのエネルギー資源が買われているのです。

この紛争の原因を作った当事者である、豊かな国々の人たちは、既にこの戦争に対する関心を失いつつあることでしょう。いつの時代もそうでした。数年前の記憶などすぐに薄れていきます。目の前にある問題こそが問題であって、既にどうしてこんな戦争が起こっているのか、どうしてそのとばっちりを受けなくてはならないのか、と感じる人が増えていることでしょう。だから、そうした利己的な人類の忘却力の犠牲となる人がこの世界に絶えず生まれるのです。自らには責任はない上に、むしろこの紛争の犠牲者だ、ぐらいに思っている人々が、実は当事者中の当事者なんです。あまりにも歴史を知らないこと、世界の広さと多様性を知らないこと、人の本性を知らないこと、自らの都合しか考えないこと、都合の良いことだけを信じること、想像力が欠けていること、これらが世界の大半である以上、この戦争を止める力は存在しないことでしょう。一年前の自分は、まだ希望に満ちていたと感じます。今となっては、世界がその終わりに向かって突き進むのを傍観し、共に死んでいくことしか出来ないのではないかと、絶望しています。カーボンニュートラルな持続可能社会に向けた国際協力など、夢のまた夢。

いわゆる「支援疲れ」を通り越して、「誰だこんな風にしたのは!」と怒りの矛先を変える人さえ出ていることでしょう。ロシアの侵攻が始まった直後には、己の正義感に打ち震えて悪を打倒するといきり立っていた人たちも、今は物価高騰やエネルギー供給不安に苦しめられる自分を犠牲者と感じているのではないですか?それがいけないんです。いつもそんな風だから、この戦争を許してしまったのであり、今の状況は身から出た錆です。それを本当に反省出来るなら、即時停戦と相互を認め合い共存する世界の再構築に敵対する両陣営がすぐに取組むべきです。嘆かわしいばかりの人の愚かさの犠牲となって、命と生活を奪われたウクライナの人々、さらには戦場に送られて死んでいったロシア辺境の若者も、可哀そうでなりません。これを止める力を持たない自分も、自らと愛する人々を破滅へと導く愚か者の一人です。だからそう遠くない将来に、自分もその一人となって冷たくなっていることでしょう。

つい先日の報道で、ドイツ、フランスでは「ロシアへの制裁強化とウクライナへの軍事支援を支持する」と答えた人が70%以上だと言っていました。本当でしょうか?日本はどうですか?アメリカではウクライナ紛争に関心があると答える人は人口の3%に満たないそうです。一方で物価高騰には関心がある。日本も似たようなものではないですか?それでも、世界140ヶ国以上がロシアへの制裁に同調しました。しかし今もなお、悪の帝国に正義の鉄拳を浴びせることで、ロシアがどこかの段階で反省し「すいませんでした、もうやめます」と言うだろうと本気で思いますか?私は絶対にそれはないと思います。かつての大日本帝国がそうであったように、全てを失い、破滅の危機に瀕するまで、自らの犯した過ちを認めることは出来ないでしょう。80年前の大戦においては、完成したばかりの最新兵器であった原爆2発でついに日本を降参させることが出来ました。日本は壊滅的に破壊され、日本人は地獄を目の当たりにしましたが、世界が滅びることはありませんでした。しかし今は時代が違います。ロシアは6000発もの核弾頭を持っているのです。広い国土を持ち、資源大国ではあるけれど経済的にはトップ10にも入れないロシアにとって、核による脅しは大国としての地位と発言力にはっきりと機能しています。だから、中国やインドがそれに続き、北朝鮮の様な国も核を欲するのです。平常心であれば誰もが嫌い、愚かだと断罪する暴力が、やはり一番強い力になっているのです。ならば、と日本もケンカに強い国になるべきなのですか?再び?第二次世界大戦でのロシアは、3700万人もの犠牲(戦闘による死者ばかりではないですけど)を払ってでもナチスドイツを撃退し、国土と国の統一を守ったのです。人口が近い日本の死者は軍人、民間人合わせて310万人です。そのロシアが降参するでしょうか?核を使えばどうなるのかはロシアも分かっています。だからこそ、核による恫喝をやめないのです。

今回の戦争で、ロシアが国際的な信用を失ったことは確実です。経済的取引において優位に立つためにはその信頼がとても重要です。ですから、ルールを守れない、自分のルールを押し付ける、ということをすれば、必ず国の発展に対して不利に働きます。だからもう十分です。これ以上ロシアを追い詰めるべきではありません。プーチン大統領も、ゼレンスキー大統領も、そしてバイデン大統領も、これ以上人を殺してはいけません。世界がその終わりを迎えるまで、戦いをやめないつもりですか?人種も宗教も政治体制も関係ないです。人の幸せなんて、どこでも同じです。ロシアを滅ぼしたら、次は中国ですか?インドですか?そんなこと出来るハズもないし、考えるのも愚かです。相手を大好きになれとは言いません、でも最低でもその存在を尊重し、幸せを追求する権利を認めるべきです。だから今からでも遅くはないです。可能な限り早く停戦すべきであり、これ以上犠牲を生まず、共存する世界を再構築しなくてはなりません。ロシアにガスを売ってもらいましょう。ユニクロもトヨタもロシアの人たちに良いものを送り届けてあげてください。どれだけ時間がかかっても、相互の尊重と信頼を取り戻し、お互いがその幸せを追求できる世界を維持しなくてはならないです。唯一、その状況において、カーボンニュートラルに向けた協力も可能になります。

今、一生懸命救出しようとしているウクライナの友人たちに対しては、こんな私の本心を伝えることが出来ません。裏切り者とののしられるかも知れません。でも、私はロシアが今やっていることを憎んだとしても、ロシア人を憎んではいません。私には、ドネツクに住む親ロシアの研究者の友人もあります。穏やかでとても優しい、心温かい彼が激しくウクライナ(政府)を糾弾する様に、何も出来ずうろたえる自分がありました。何という悲劇でしょうか。どうしてこんな憎しみが生まれて、遂に戦争となってしまったのでしょう。愚かな人間の定めなのでしょうか。神様が救ってくれるなら、祈りたい気分です。

(追加)

2014年にロシアが一方的に併合したクリミア半島のロシア軍拠点が攻撃を受けていることが大変心配です。ゼレンスキー大統領は、ウクライナ東部のみならず、クリミアを奪還すると息巻いています。先日Nスぺでやっていた「デジタル・ウクライナ」という番組が衝撃でした。人工衛星による監視の目が今や凄いことになっているんです。Space-Xのロケットで打ち上げられた民間の人工衛星の膨大な監視画像が提供されていて、ロシア軍の動きを逐一把握出来ているようです。アメリカは、ウクライナがロシア本土を攻撃しないように、長距離ロケット砲を供与しない様にしているようですが、クリミア半島や黒海艦隊は十分に射程に入るようです。それを始めてしまった。そうすると、ロシアに「ロシア本土への攻撃」とこれを見なす口実を与えてしまうことになり、いよいよ核使用への危険が高まります。ロシアはこの戦争に膨大な戦費を費やしています。中国やインドが助けているとはいえ、経済制裁の影響はロシア経済を長期的に苦しめます。さらに、この戦争で既に1万5千人以上のロシア兵(多くは辺境から前線に送られた非スラブ系の若者)が犠牲になっているようです。そうなると、戦争の長期化はやはりプーチン大統領の政権基盤を揺るがすことになります。今年70歳となり、健康不安も囁かれるプーチン大統領が、多くの国民を道ずれにしたとしても必ずこの戦争に勝利しようとするのは、当然ではないでしょうか。それも、可能な限り近い将来に。自らの権力基盤を維持するために粛清に次ぐ粛清を行ったスターリンも、文化大革命で中国の知識人を抹殺した毛沢東も、天寿を全うして死にました。「プーチン大統領は正気ではない」と論評する報道には呆れてしまいます。彼は全く正気です。冷静さを失っているようにも全く見えません。誤算はあったかもしれないけど、全ては彼のシナリオ通りであり、その行く末にどれだけの血が流れたとしても、偉大なロシアを守る偉大なリーダーとしての決意が見えます。だから、プーチンとの対話を拒み続け、ロシアを攻め続けることは世界の終りに突き進むことなのです。

還暦

 私、1966年生まれ、丙午(ひのえうま)です。2026年になりましたので、還暦を迎えました。すなわち、今1歳です。あと何年生きられるでしょうか?ひとまず、60年で色々経験させてもらい、色々なことを学び、考え、行動することが出来るようになりました。出来ることが増えた一方で出来なく...