またまたEVの話題ですが、今回はホンダについて。
40年にガソリン車ゼロ目標 ホンダ、日本メーカー初(Kyodo News)
このニュースには、とことん驚きました。そして個人的にはとても悲しい。前々回の②の話でもあったように、自工会としては拙速なEVシフトに対しては慎重という反応でした。ところが、ホンダは2040年にはガソリン車を完全にやめるというトヨタとは対照的な目標を打ち立てたのです。これにはHVやPHEVは含まれず、EVやFCV(燃料電池車)のみにするというのです。さらにその比率を2030年時点で国内20%(グローバルでは40%)、2035年で80%、そして2040年時点ではガソリンを使う自動車は全く売らない、というわけですから物凄い計画です。現時点でホンダが売っているEVはHonda-eの一車種のみ(しかもバカ高い)、FCVは極めて特殊なクラリティのみ、ですからあと9年で40%がEVやFCVに変わっているというのは想像を超える変化です。日本でのホンダの4輪車販売の半分以上は軽自動車ですが、2024年には軽のEVを市場投入させる予定とのこと。利ザヤの小さいガソリン軽から高級軽EVに変わることで利益率を上げたい思惑があるのでしょうが、それは補助金頼みですね。一番肝心なバッテリーは内製する計画の様ですが、果たしてうまく行くかどうか。
先日このブログでも取り上げましたが、FCVで先行するトヨタは、実は水素エンジンも手掛けています。と思えば、既に先日の上海モーターショーではSUV型のBEVも公開し、しっかりとEVも手掛けています。リスク分散の挙句総倒れという可能性が無いわけではなくて、変化を先読みし、大きく舵を切ることも大切なのかも知れません。ホンダの戦略が吉と出るか凶と出るか、不安だけでなくて、一応期待もしておきましょう。
個人的に何故悲しいかと言えば、それはホンダの歴史に対する敬意と、ホンダエンジンに対する愛情ゆえです。実は自分自身で過去に所有したホンダの4輪車は、ビートとCR-Vの二車種だけですが、オートバイは数知れず。今も所有する4台のうちの3台はホンダです。私にとっては、ホンダはオートバイのメーカーであって、その信頼性の高さと性能は間違いなく世界トップクラスだと思います。今回の電動化宣言は、エンジンの開発をやめます、という宣言と同義になります。なので、これから登場するホンダのガソリン車には期待しない方が良いでしょう。私も今のバイクを壊れるまで乗り続けます。あ、ちなみに最新の統計によると、オートバイを購入する人の平均年齢が何と54.7歳なんだそうです。サザエさんのお父さんの波平さんの設定が54歳だそうで、「波平さんと同じ」と報道されていました。私、波平さんより年上です!私の世代だと、16歳になったらバイクの免許を取るのが当たり前でした(私は忌まわしき3ナイ運動のために18歳でした)。結局バイクに乗る世代がそのまま歳をとったわけです。今や全く未来の無い産業製品になってしまったわけですね。
さて、そんなノスタルジーを語りたかったわけではなくて、やはり危惧するのは選択肢としての内燃機関を捨て去ることはあまり賢明とは思えないのです。トヨタの水素エンジン以上に内燃機関にこだわるメーカーと言えば、マツダでしょう。詳しくは書いても面白くないので書きませんが、自着火方式のSkyactive-Xを商品化した執念には敬意を表します。自分ではやっぱり買わないですけど、内燃機関のそうした技術をさらに磨いていけば、将来、水素やアンモニア等のCO2フリー燃料(と炭化水素の両方)を使える自動車も登場するかも知れません。「究極はコレ!」の様なやり方が最良とは思えないのです。
しかし、今回のホンダの決断をした三部社長は、エンジンの技術者だったそうです。ずいぶん思い切った決断です。あれほどの素晴らしいエンジンを生み出した技術者上がりの社長がどの様に考えて今回の決断に至ったのか、大変興味のあるところです。国際的競争の中で、それが生き残りの道という勝算があるのでしょうか。一連の情報については、私がいつも参考にさせて頂いているERESTAGE LABにもレポートがあります。このYouTubeチャンネルは凄いですよ。また別の機会に紹介しますが、よくぞここまで頑張って情報提供をしてくれていると思います。感謝!
【2040年】ホンダが新車の完全電動化を発表しました(ERESTAGE LAB)
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