このブログについて

国立大学法人山形大学工学部教授の吉田司のブログです。2050年までのカーボンニュートラル社会実現に向けて、色々な情報や個人的思いを発信します。発言に責任を持つためにも、立場と名前は公開しますが、山形大学の意見を代弁するものではありません。一市民、一日本国民、一地球人として自由な発言をするためにも、所在は完全に学外です。山形大学はこのブログの内容について一切その責任を負いません。

2021年9月7日火曜日

山形からEVトラック

 立て続けにEVの話題になりますが、これは山形からのニュース!

トラックEV化へ走行試験 サニックス(山形)、23年度の事業化めざす (msn.com)

天童市にあるサニックスという会社が、EVに改造された貨物トラックの試験を行ったということで、山形大学の国際事業化センターもその開発に協力しているとのことです。全然知らなかった。

トラックは今でも物流の主力ですが、大きく重いトラックは、大きいディーゼルエンジンで動いていて、当然CO2の排出量も多いです。長距離の輸送をすることもあります。だからこれを全部電気で、となるととても大きいバッテリーが必要になってしまい、簡単にはEV化出来ないという説明。しかし、国内はもちろん、海外でもEVトラックの開発は進められています。重いとはいえ、一方では大きいので、専用設計をすれば上手にバッテリーを積むことも出来そうです。

上記レポートのEVトラックは、実際にはレンジエクステンダーとしての発電用エンジンを搭載していて、ゼロエミッションではありません。さらに、トラックにとって一番大切な荷室にデデーンとバッテリーが搭載されているのはちと問題ですねえ。やはり専用設計で、最初からバッテリー駆動をするEVトラックを開発しなくてはならないと思います(やっていると思います)。とは言え、そもそも長距離移動を前提とする必要が本当にあるかどうかも疑問です。長距離を走るトラックと、市内でコンビニに弁当を配達するトラックでは、一度の走行距離は全然違います。むしろ、都市部で沢山使われている2t程度のトラックを全部電化した方が良いのではないかと思います。ワンチャージで100キロも走れば十分で、荷物を積み替えている間に充電が完了する様な急速充電が必要ですね。

さて、EVトラックの開発は、トラックが庶民の足になっているアメリカで盛んに進められています。異様な形で話題になったテスラのサイバートラックも2022年から本当にデリバリーするそうですが、実はアメリカで一番売れているクルマであるフォードF-150というピックアップトラックのEVバージョン、その名もFord F-150 Lightningも近々発売のようです。

フォード、「F-150 ライトニング」初公開 ピックアップトラック「F-150」のEV版 - Car Watch (impress.co.jp)

その内容には驚くばかりです。馬鹿でかいピックアップトラックは、かの地では生活の道具として定着していますが、当然大きいので大量の燃料を使います。こんなものが、飛ぶように走るわけない、と思いきや、なんと0-60 mph (0-100 km/hとほぼ同じ)加速が4秒なんだそうで、F-150シリーズ最速をうたっています。走行レンジは300マイル(480キロ)ということなので、相当な容量のバッテリーを搭載しているはずです。分からないですけど、恐らく100 kWhを越えます。なのに、一番驚いたのはその価格で、たった4万ドル(440万円)から買えるというのです。色んなものがオプションで、それらを追加すると倍ぐらいになってしまうのかも知れませんが、それでも安い。それから、本来なら巨大なエンジンが納まっているフロントフードの下は巨大なトランクになっているとのこと。一体どこにバッテリーを積んでいるのでしょう?車体の下ですかね。でもそうすると、岩にヒットしたら壊れますよ。それは本来のピックアップトラックの使われ方としては問題ですから、きっとしっかり対策はしてあるのでしょう。15.5インチのタッチスクリーンも強烈な印象ですけど、そんなギミックはどうでもよくて、本当にそんなパッケージのトラックをその値段で作れるのか、俄には信じがたいです。

まあ、これはF-150の話題じゃなかったですね。でも、この通りで、トラックもEV化が進んでいることは間違いないです。大勢の人のために働き、年間の走行距離も長いトラックやバスなどは、優先的に低炭素化を進めるべきだとは思います。


EVシフトを考える⑰

 ドイツ最大のモーターショーが、これまでのフランクフルトからミュンヘンに開催場所が変更になり、IAA Mobilityという名称のイベントとなって、9月7-11日の期間開催されるそうです。

IAA MOBILITY 2021 - MOBILITY OF THE FUTURE

そのジャーナリスト向けプレビューからのレポートがいくつか出ています。

VWやルノー、量販EV発表 独で自動車ショー開幕: 日本経済新聞 (nikkei.com)

上記日経のレポートにはビデオもあります。昨今の流れからの予測通りですが、ヨーロッパメーカー各社EVの新型車(やそのコンセプトモデル)を続々登場させました。日本メーカーは不参加ということで、例によってメディアは日本のEV出遅れ感を強調する様な書き方をしていますが、コロナ禍で集客が見込めない中、費用対効果が低いという賢明な判断なだけだと思います。EVで日本は遅れているわけではありません。しかし、吉利汽車に買収されたVOLVOのEVブランドPolestarはもちろん、NIOなどの新興中国メーカーはこぞって出展しているとのことで、EU市場への切り込みを狙う中国の前のめり感が分かります。

詳しい内容についてはまだ不明の点が多いのですが、出てきた新しい顔ぶれを映像から判断する限り、内容的には全く驚きがありません。というか、やっぱり心配している通りの誤った方向性が見えてきます。ドイツ御三家、ベンツ、BMW、アウディは、やっぱり大きく豪華で高性能なEVを出してきました。そういう恐竜型EVに未来が無いことは繰り返し主張している通りです。電池開発の現場でも、エネルギー密度やパワー密度を上げるために、色々な元素を使った材料開発が進められていて、一方では安全性を高めるという矛盾した課題を突き付けられています。コストとか省資源という観点はひとまず置き去りにされます。そして、その大量の電力をどうやって生み出すのかという観点も忘れられています。むしろEVはいかにコンパクトに軽く作り、小さくて安くて安全な電池でも十分に役に立つものを開発するかが持続性という観点からは最上位にあるべきと思います。それでは自動車メーカーは儲からないから、新種の贅沢を提供してそれを買って消費して欲しいわけですよね。でも、それが今に至る、そして将来危惧されている気候変動、環境危機の元凶なわけで、その考え方を改めることから始めなければ脱炭素は必ず失敗するでしょう。

唯一注目に値すると思ったのは、フォルクスワーゲンが公開した、ID.LIFEというコンパクトEVのショーモデル(まだ市販タイプではない)です。既に販売されているID.3がフォルクスワーゲンの主力車種であるGOLFのEV版という感じなのに対して、このID.LIFEはUPという一番小さいやつのEV版という感じでしょうか。日本で対比すると、ホンダのHonda-eに近いかな?詳しい内容はまだ分からないのですが、想定価格が2万ユーロ、260万円ぐらいということなので、大したサイズのバッテリーではないはずです。そこはHonda-eもコンセプトは同じで、いたずらに走行可能距離を伸ばしたりせず、EVはEVらしく、シティユースを中心として、無駄に大きくて重い、高価なバッテリーは積まない様にしましょう、ということです。しかし、Honda-eは500万円ぐらいする、馬鹿らしい程高価格なEVです(ギミックの類いが多すぎ)。それに対して、2万ユーロを公言しているのは脅威ですね。もっとも、ガソリンエンジンのUPは200万円を切りますから、EVは高価ということは変わりません。UPはリッター20キロは軽く走る低燃費車ですし、3分でガソリンを補給して500キロノンストップで走れるクルマです。だからまだまだ、ではあるのですけど、ID.LIFEには遥かに未来への可能性が感じられます。繰り返しVWの悪口を書いてきましたけど、結構真面目かな?と少し考え方を改めました。

で、日本のEV戦略は、やはりマイクロEVカテゴリーを新たに作ることから始めるべきで、行政のリーダーシップが大切と思います。電動キックスケーターとかも、レギュレーションが無いまま乱立していたのでは、産業としての方向性や成熟が果たされません。最初は、民間のアイデアに任せるのは良いでしょう。それで大体メリットと問題点がはっきりしてきた段階で、道路交通法の法改正も含めてちゃんとしたレギュレーションを作り、メーカー側の開発競争を促して輸出産業に育てるべきです。

その意味で、やっぱりマイクロEVはバッテリーサイズで制限をかけるべきです。20 kWh。それだけあれば、上手に作れば500キロ走れるEVも可能と思います。通常のLiBでも全固体でも何でも良いです。サイズも、安全性まで考えたら全長4 m、幅1.7 mまで許容して良いでしょう(ちょっと前の5ナンバーコンパクトカーのサイズ、これなら国際的にも通用する)。バッテリーのサイズが限定されていたら、無暗にクルマを大きく出来ません。軽くしたうえで、出来るだけゆとりのある室内空間を確保したり、走行安定性を向上したりする努力が進みます。それはこれまでの軽自動車開発において、日本メーカーが得意とすることだと思います。走行性能や航続距離を20 kWhの制限の中で目いっぱい向上させることが必要になります。そこに全固体電池の技術を導入するなら、それも良いでしょう。安い電池で賄うのもOKです。方法では限定をかけず、限定はバッテリー容量のみ。それを満たしたら免税として、普及を支援する。急速充電で5分で満充電出来る様になったとしても、全量が20 kWhであるなら過大な電力需要の増大を生じません。もし、そこに開発資源を集中して、2050年ゼロカーボンの時代に必要とされるEVを日本が先行して形にしたならば、きっとその時代にもモビリティー産業を担う国として、日本は元気で居続けられることでしょう。EUもアメリカも、恐竜EVに未来が無いことにはすぐに気づきますよ。日本は得意とするミニチュア化で先行すべきです。

2021年9月6日月曜日

量子コンピュータ

 今朝のNHKおはBizで量子コンピュータの話題がありました。

世界を変える!?量子コンピューターの可能性|おはBiz キーワード解説|NHK NEWS WEB

IBMが作ったアジア初の量子コンピュータが日本で稼働を始めたそうで「世界を変える」との触れ込み。そうなって欲しいものです。

量子コンピュータ、名前は何度も聞いたものの、どういう理屈で動いているのかはサッパリ分からず。従来のコンピュータが電気のOFF/ONに対応した0か1の二進数で動いていたものが、原子の量子数に対応してもっと多重になっていて、それ故に計算が物凄く速いらしい。まあ、ハードウェアの構成とか、その動作原理とかは分からなくても、要は超高性能な計算機なんですね。だから、機能としては従来のコンピュータがやっていたことと同じという理解で良いんでしょうか。次のページに、素人向けの説明がありましたけど、それを読んでも理屈はやっぱり分かりません。

量子コンピューターとは?原理や仕組みをわかりやすく解説!実用化されるとエンジニアの未来像はどう変わる?日本の現状も紹介 | A-STAR(エースター) (agency-star.co.jp)

まあいいです、分かんなくても。技術的な課題がまだあるということなので、実際に今までの計算機と同じ様に使える様になったわけではないのかと思いますが、それを目指していることには違いは無さそうですね。スパコンは気候変動を予測する地球シミュレータとして活躍していますし、その能力が大幅に向上するのであれば、喜ばしいことです。そんなにも大変な計算だと、量子コンピュータが導き出した答えが正しいのかどうかを人間が検証することも出来なくなりそうですけどね。上記NHKレポートで登場する量子コンピュータ本体は、なんともまあ、SF映画に出てきそうな感じですね。未来チックというか、皆が夢見ていた未来のカタチっぽいです。しかし・・・

もはや、私はこの量子コンピュータの話題について、技術的観点からコメント出来る立場には全くありません。量子って何?ぐらいは分かっても。そうですね、私は古典的な人間です。未来の世代はきっとより良いものを生み出して、古い世代には想像も出来なかった良い世界を創り上げていると信じましょう。で、その観点では上記レポートの中の「応用が期待される分野」に大いに疑問を感じました。新薬開発、(電池など)新素材開発、交通渋滞解消、これらは良いでしょう。特に経験や実験的検証だけに頼らない材料開発には、超高速計算機が活躍する可能性高いです。しかし、最後の金融が疑問。新薬も新素材も、究極の理由は金儲けなのかも知れませんけど、リアルバリューが生み出されたことが儲かる理由です。例えば未知の感染症が拡大した時に、その治療薬がすぐに開発出来たなら、お金を越えた価値を生み出したと言えるでしょう。だけど、金融市場での投資リスク低減って?成長分野を的確に予測して、そこに適切な資金が流れることは、全体の進歩を活性化して、皆ハッピーでしょう。しかし、どこが勝って、どこが負けるか、の予測だと意味が無い。誰が一番性能の高い量子コンピュータを持っているかで勝者と敗者が決まる?金融市場では、敗者がいるから勝者が生まれるんです。誰かが笑うためには誰かが泣かなくてはならない、最悪死ななくてはならない。もしもそういうことのために量子コンピュータの発展に期待をしているならば、技術は進歩すれど人は進歩せずの典型です。世界は良くなりません。

2021年9月4日土曜日

IPCC第6次評価報告

 気候変動に関する政府間パネル、IPCCから8年ぶりとなる評価報告書が8月9日に公開されました。まず、IPCCをおさらいしておくと、Intergovernmental Panel on Climate Changeのことで、設立は1988年だそうです。気候変動への不安を煽る悲観的なマニア集団などでは決してなくて、様々な観点からの気候変動に関係する研究者会議で、地球の気候という極めて理解と把握、正確な予測が困難な課題に対して、科学的根拠に基づく人類の英知を結集ようとする真面目な努力です。

今回公開されたのは、IPCCのワーキンググループ1(WG1)、「自然科学的根拠」からのもので、実際にどの様に気候が変動しているのかの分析と要因との相関把握、それに基づいて可能な限り精密に今後の気候変動を予測しよう、という取組みです。それがどの様に社会生活に影響するかの分析などは、別のワーキンググループの担当になります。それら、IPCCのレポートが、気候変動対策の国際的な取り決めを協議する、国連気候変動枠組条約締結国会議(難しい言葉ね!英語の名称がUnited Nations Framework Convention on Climate Change (UNFCCC)でCOPとは単にConference of the Parties)における議論の根拠となってきました。先の第5次報告は、2015年のCOP21(パリ会議)における、2020年以降の国際的目標設定の根拠になり、2100年平均気温上昇を2℃未満とするための今世紀中ごろまでのカーボンニュートラルを目標とする、いわゆる「パリ協定」として具体化したわけです。今年の11月にはイギリスでCOP26が予定されており、今回の第6次報告が目標の引き上げ(精密化)の根拠となる可能性が高いですが、WG2, 3の報告書はまだ来年にならないと出揃わないみたいです。いずれにせよ、IPCC報告書は我々人類が知り得る最も信頼性の高い気候変動とその影響に関するレポートであり、それを根拠として具体的なアクションを決定することには高い合理性があるのだ、ということは信用してください。

さて、本物の報告書は英語ですし、専門的な用語が分からないので、私も正確な理解は出来ないと思います。NHKがレポートを掲載していますので、重要なところはこれで相当理解できます。

地球温暖化の原因は人間の活動と初めて断定 国連IPCCが報告書 | 環境 | NHKニュース

そして、IPCC, WG1レポートの著者の一人でもある、国立環境研の江守正多先生が、分かりやすく説明しているYouTubeビデオがあります。

【速報版】IPCC執筆者が独自解説!「気候変動 国連最新レポート」 - YouTube

毎度関心しますが、江守先生のお話は大変分かりやすく、感謝感激です。これだけ努力頂いているのに、なかなか波及しないことが悔やまれますが、気候危機から人類を救うために出来ることをしようとする、その真剣な取り組みを尊敬します。是非皆さんもこれをご覧ください。

で、肝心の報告書の内容なのですけど、ある意味第5次報告とほとんど同じと見えるために、インパクトが無く、それゆえにニュースとしても大々的に取り上げられなかったように思います。しかし、実は重要なことが色々入っています。ここで素人の私がいちいち取り上げるより、上の江守先生の説明を繰り返し聞いて頂く方が良いと思いますが、簡単に言って、今まで予想されてきたことが間違いないことが確認され、さらに予測の精度が大幅に向上した、ということです。もはや、「直近の温暖化は自然のゆらぎの一部であって、人為的影響により将来に渡って温暖化が進行する恐れなどない」という一部の楽観論者の主張は完全に否定されたと言っていいでしょう。我々が行動を起こさない限り、人類が存亡することが極めて困難な状況を生むと考えて良いです。同時に、脱炭素を早期に実現出来れば、気候変動を目に見える違いで抑制できるであろうことも予測されています。すなわち、COPが取り決める気候変動対策には正当性があり、その実現への努力は必ず報われるということです。

だから繰り返しになりますが、脱炭素は我慢しろというハナシではないのです。より良い世界を実現するための目標であり、その実現は我々の人生をより良いものにするのです。だから、ネガティブキャンペーンをする、目先の金につられた、もうじき棺桶に入る強欲な人たちの話には耳を貸さないでください。

2021年9月2日木曜日

ICTで気候変動は加速する?

 今朝とても気になるニュースがありました。動画で見ることが出来ます。

ビットコイン “グリーン”になれる?|おはBiz キーワード解説|NHK NEWS WEB

携帯電話などの無線通信や世界中に張り巡らされた情報ネットワークが大量の電力を消費しているとは聞いていました。私自身は全くそういうものの必要性を感じる様な生活をしていないのですけど、経済活動を加速して金を生み出すためのツールとして誕生した仮想通貨、ビットコインの運用に莫大な電力がかかっていて、テスラのイーロンマスクさんも、「グリーンじゃない」と批判したことで、その価値自体が急落したというハナシでした。

まあ、その仮想通貨がどれほど有用なものであるかの議論は出来ないので、さておき、このニュースの中で出てきた具体的な電力消費量はどれ程のものか、関心があったので、計算してみました。ニュースの中では「サーバステーション1つを1時間運用すると、住宅2万軒分の電力を消費する」とありました。それってどれぐらい?

まさか、住宅2万軒の1年分の電力ということではないと思います。同じ時間であれば、1時間も何も関係ないので、恐らくはサーバ1時間運用と、住宅2万軒の1日分が同じということと想像します(この前提が間違っていると数字が凄く変わってしまいますので、ここからの話には責任は持てません)。まず、アメリカの平均的な住宅1軒の年間電力使用量は11,000 kWhとありました。しかし、ここはテキサス。テキサス州の平均は全米平均の26%増しだそうなので、13,860 kWhです。2万軒分の1日は、

13,860 × 20,000 ÷ 365 = 759,452 kWh

となります。サーバ1時間で760 MWh!ほとんど原発1基(約1 GW)の電力を供給し続けることになってしまいます。24時間、365日コンスタントにこの電力が必要なら(それも不明ですが)、

759,452 × 24 × 365 = 6,652,800,000 kWh

出力1 Wの太陽電池が年間およそ1 kWhの電力を生み出しますので、仮にこれだけの電力を太陽光発電だけで供給しようとすれば、6.65 GWの太陽光発電所が必要になります。サーバーステーション1か所で?ちょっと上記のサーバ1時間で住宅1日分の2万軒分、という仮定が間違っている様に思います。1時間同士であるなら1/24で、サーバ1時間の電力は31,644 kWh、それが1年で277,200,000 kWh必要なので、必要な太陽光発電が277 MWになります。それでも凄い。まあ、住宅2万軒分は恐らくピークパワーの時で、24時間365日同じ電力を食うわけではないのかと思います。曖昧さが残ってしまいました。NHKさん、数字を出す時はちゃんとね!

しかしですね、1 MWのソーラーファームがどれほど広大かを見たら、この電力の凄さが分かります。スマートグリッドとか、ICTを上手に使えば電力の節約に貢献すると期待されています。でもそのICT自体が物凄い電力消費を伴う。う~ん、困ったねえ。地球全部に物や情報を流そうとする、すなわち血管の神経を地球サイズで張り巡らせるという行為自体が、脱炭素社会の実現と逆行しているということでしょうか。しかし、地球の反対側で起こっていることも、リアルタイムで知り、適切な行動を取れることは、便利なだけでなくて、恒久的な平和や持続性にも貢献している様には思います。正常進化なんですよね。

上記番組の中で、レポーターさんが、白いサーバがうずたかく積み上げられた異様な部屋に入り「気温が60℃です!」と伝えています。半導体デバイスに流れる電流は決して大きくないのですけど、あれだけ束になると、熱になって捨てられるエネルギーが莫大になるわけですね。電力を全部ソーラーにするとかだけじゃなくて、サーバーを全部水冷にして、近隣のお風呂はそのお湯で賄うとか出来ないものですかね?

P2G

 先日はV2H (Vehicle to Home)の話題がありましたけど、日本の人って本当にこういう略称好きですよね。

山梨県と企業が水素製造技術「P2Gシステム」実証へコンソーシアムを設立 | TECH+ (mynavi.jp)

P2GとはPower to Gasのことだそうです。太陽光発電等の電力をガス燃料である水素に変換供給する水素のサプライチェーン構築をNEDOの支援によって山梨県で実証するということです。電力からガスだったら、Electricity to Gas = E2Gじゃないの?水素じゃなくて液化アンモニアだったら、Power to Liquid = P2L?さらに粉末状の固体燃料だったらPower to Powder = P2P?いや、そんなのどうでも良いですね。どんな技術に将来性があるのか、確定しない段階ですから、ほんの数年で忘れられてしまう可能性も高いです。まあ、覚えやすいとか、キャッチ―な感じなので、かく言う私も略称を作りまくるタイプですけど、すぐに忘れられる造語とか、学術的には何の意味も無いですわな。流行りです。文化です。上記の山梨県コンソーシアムの名前も、H2-YESだそうで、なんとまあ。

しかし、太陽の国、山梨県は再エネに積極的ですよね。それは素晴らしいことだと思います。先に取組んだ人がエライんです。それは他に波及します。新しいことをしようとすると、すぐに抵抗する人のなんと多いことか・・・。

2021年9月1日水曜日

貴金属フリー水素生成触媒?

 東工大のグループが、ごく低温でアンモニアから水素を生成する、貴金属フリーの触媒を開発したと報じられました。

貴金属フリーでアンモニアから水素を生成する高性能触媒、東工大が開発 | TECH+ (mynavi.jp)

かの有名な細野秀雄先生らのグループです。アンモニアを窒素と水素に分けるのですから、別にエネルギーを生産しているわけではないのですけど、少し冷やすか圧力をかければ簡単に液化するアンモニアは、水素に比べたらはるかに貯蔵輸送しやすいです。しかし、アンモニアを直接利用する燃料電池は触媒の不活化の問題があり、直接燃焼する場合もNOxの生成を抑制しなくてはならないなど、燃料としては水素の方が扱いやすい、という事情もあります。簡単なコンバーターで、液体アンモニアから水素を抽出できるようになれば、水素酸素燃料電池や水素エンジンを搭載した移動機械には大きなメリットになりますよね。

ポイントは、CaNH(カルシウムイミド)という物質の表面に、アンモニア分解触媒として知られるNiナノ粒子を担持したことにあるようです。CaNHにはNH2-が欠損した欠陥があり(水酸化物になっている?あるいはフリーエレクトロンがある?)そこにNH3が捕捉され、NがNiに強く引き付けられて低温での分解が進行する様になる、ということらしいです。NH2-はアンモニアから脱プロトンした化学種ですから、それを安定化するカルシウムイオンが大切で、NH2-の欠損したサイトにNH3が水素を放出しながら吸着され、Ni上でN2が生成するということでしょうか。

しかし、気になるデータが示されています。繰り返し実験でNH3が吸着されて水素が生成しているのは最初の3回ぐらいで、すぐに反応しなくなっています。同時に、欠陥に由来する黄色い着色が反応後に無くなっています。NH2-欠陥が無くなると、NH3は吸着しなくなると説明されています。だとしたら、それを触媒と呼んで良いのでしょうか?単なる化学反応であって、物質が消費されてしまっています。これは50℃くらいの低温での実験データなので、高温動作させれば欠陥が再生するのであれば、まあ触媒になるのかも知れませんけどね。この欠陥の挙動と末路を理解することが大切そうです。

還暦

 私、1966年生まれ、丙午(ひのえうま)です。2026年になりましたので、還暦を迎えました。すなわち、今1歳です。あと何年生きられるでしょうか?ひとまず、60年で色々経験させてもらい、色々なことを学び、考え、行動することが出来るようになりました。出来ることが増えた一方で出来なく...